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うんざりした後はお世話体験

ようやくの投稿できました!

スローペースですが、今年もよろしくお願いします!

 

 ぐるっと回って下見――で、終わりでした。なんとまー思わせ振りなんでしょうね!


 端から時計回りにぐるりと人の輪に近づいて聞いて回るのは本当に疲れるよ。アブルを抱き上げていたらすぐにダウンしていたと思う。


 そんなアブルを持っているジジルは元気一杯にぎゅーって抱き締めているけどね。心なしかアブルがぐてーっとしているような……そうでないような。


 だらーんとしているだけだから……いまいち分かんないや。


 回った意味があったとのか、と言われればあったと思う。


 ほら、私は若魔法師ですから~……と言うのは嘘で普通にどのチームの誰が何を苦手か、と言うのをクォート魔法師様とカルゲン魔法師がさらさらと書き留めていましたー。


 やっぱり騎士の方で魔力操作が苦手な人が多いみたい。魔力はあるけどうまく使えなくて困っている人。


 それと魔法師の方では若魔法師たちがだいぶ恐縮しちゃって今後の活動に波乱の予感。


 魔力の暴走とかはないと思う。けど、どことなく焦っている雰囲気の騎士と若魔法師が多く見られたような気がして何かが起こるのではないかと疑っちゃうんだよね。


 私の方はすでに何かが起こっちゃっているけど。ヤジャル中級魔法師ってばウザいよ。


 歩くのが遅いだの足が短いだの成人男性と幼女を一緒にしないでほしいんだけど!


 お互い【水】だけど俺が先輩だって?先輩って言うならせめてアドバイスと励ましをお願いします。寧ろいちいちちょっかい出さないでもらえれば励みになりますよ?歩きにくいんだって。鬱にあるわー。


 いっそ名前を改名しようよ。やじゃ馬なんでどう?野次馬とかけてみたんだけど。


 口が滑ったら後がうるさそうだけど当分はやじゃ馬って呼ぼう。そうしよう。


 それと誰か耳栓を開発してくれないかな?奇襲とかあったら困るから誰も開発していないと思うんだよね。


 その前に耳栓の素材がないか……待って。別に綿でもいいじゃん。今度からやじゃ馬が近くにいる時は綿を詰め込もう。あ、でも他の人の声が聞こえないのはまずいか……最初から駄目なんじゃないかっ!


 ――それで、サポーターのような私たちは実地される来週から始めるらしい。もちろん私たちは魔力操作を一番苦手といっていたとある騎士から見ていきます。


 チームの平均は騎士が10人に対して魔法師が4、5人。約15人のチーム編成となっていて、私たちは本当に特別枠で作られたチームだと分かる。


 魔法師だけのチームとか私たちだけで空しいよ……だからサポーターになるんだけど。


「あ、言い忘れていたが七日後に基礎を見て大丈夫そうなら属性事に別れっから。んで、他のチームのサポートしに行くからな」


 おぉぉおおおおいっバンダナァァァア!!!!それ大事な事だから!すごく大事な事だからっ!!


 そうなると私は来週からこのやじゃ馬と一緒に行動でしょ!?基礎って何やるの、待って、待って待って!嫌な予感しかしない。本当に嫌な予感しかしないよ!!


 なんとか表情に出さないよう気を付けながら――でも返事はすぐに出来そうになかったので軽く頷いておいた。


 もうあの人バンダナでいいよ。名前忘れたし!バンダナめっ!バンダナめっ!


 今すぐ八つ当たりをしたいけど物がないので出来ないジレンマ!これ、たぶんだけど基礎が出来なかったらやじゃ馬が教えてきそうっ。


 他に誰か付き添ってくれるかもとか考えるけど若魔法師で基礎が怪しいのなんてケヤン(ごめんケヤン!)ぐらいしかいないよ!?


 嫌だー……嫌だよー……やじゃ馬と一緒とか本当に嫌だよー………………お父様に泣きつこうかな?


 本気と書いてマジでそうしようか悩んでいたら無邪気にジジルが「頑張ろうね!」何て言うからつられて返事をする。


 考えていてもしょうがないよね。一応、やじゃ馬は親切心で言っている節があるから……ああああああ、なんか言い合いしそう。


 程なくしてさっさと解散になり私はお父様のお迎えではなくトールお兄様のお迎えによりとある場所に案内された。


 トールお兄様、私のサポートはいりませんか?トールお兄様を発見したけど授業?中だから目礼でそのチームは問題がなかったから離れちゃったんだけど……無理だよねえ。


 にこりと笑って交わされたよ……


 本当に顔合わせだけだったらしく、早々にみんな散り散りになり騎士は誰かの号令一つでざっと集まりだしていた。


 別の誰かがまた大きな声で号令をして騎士たちを集めるんだけど……あれ、トールお兄様はいいの?


「トールお兄様、どちらに行かれるのですか?」


「キャロラリンの所だよ」


「……今からですか?」


「今からだよ。クフィーは約束をしてからキャロラリンに顔を出していないじゃないか、と王子たちから苦言をもらったんだ」


 そう言えばそんな約束をしていたような気もするかもしれない。やばい。どんな時にそんな約束をしたっけ?覚えていないよ……


「わかりました。一応お聞きしますけど、王子たちはいらっしゃいませんよね?」


「こればかりは僕――私には分からない。何せ、キャロラリンはグラムディア殿下の愛馬だからね」


 ほら、グラムディア殿下のだから双子ちゃん王子なんていらないでしょ?今日のお世話係りがいればそれだけで十分だから、是非っとも!二人がいない事を願うね!


「クフィーちゃんアブルはどうする?」


「あ」


 忘れてた!





















 と言うわけで。やって参りましたキャロラリンの目の前に。


 いや、なんか牧場っぽいところに連れられまして……ここ城のどういった場所?構造もさっぱりだよ。


 自信満々に道を覚えていないと言いきれる空しすぎな私はトールお兄様に視線を送ってみる。


 何を勘違いしたのかトールお兄様から大きく頷き返されて押し出されたんだけどね。お世話係りの人たちが変な表情で私を見るんだけど……


 とりあえず一歩前に出るとキャロラリンの頭突きをもらってしまい、咄嗟にその顔にしがみつく。


 あ、因みにさっき忘れてしまいそうになったアブルは私の足元にいます。何かをするでもなくぐわぁっと大口を開けてあくびをしたり、うつらうつらと体を揺らしたりと護衛失格な態度で座り込んでいますとも。


 比較的に白と思われるキャロラリンの肌はざらっと少しだけ固いけど嫌じゃない。私も鼻筋を撫でてあげると「ぶるるん」と鳴く。


「ありえねー」


「『魔獣の調教師』は伊達じゃねのな」


「だったら躾とけよ」


 なんて言ったお馬鹿さんは数秒後に「ぐっへあ!」と声をあげて向こう側でどさりと音を聞く。


 誰か……2人?くらい「メッソ様!?」と呼びながらどこかに駆けていったよ。


 自業自得だよねー、とか思いつつ本当なのかわからないからキャロラリンから少し離れて向こうを覗こうとしたんだけど……


 キャロラリンの熱烈な顔すりすりに負けて移動も出来ない!しかも絶妙な力加減で私が尻餅をつくかつかないかって言うね。キャロラリン、何がしたいの!?


 大体の想像はつくけど……向こう側からぎゃいぎゃいと騒がしくなる。「おいお前!」とか言われてもねー……


 ぐりぐりと顔を押し付けるキャロラリンにより私は成す術なく撫でるしか――と言うか放っておいたら「ぐふぇ!」て聞こえたんだけど?


 もしかしてキャロラリンの後ろに回り込んだの?むしろそのまま後ろから近づいちゃったってやつ?だから蹴られちゃったとか……


 たぶん、そうなんでしょうね。向こう側で救護班が呼ばれているよ。馬の後ろに立っちゃいけないって常識でしょ。すんごい蹴りが来るのも当たり前。


 そうやって注意が聞こえるけど誰も反論はしなかったよう。つまり気絶ですか?キャロラリンの側で偉そうにしているからだよ。


 きっとどこそこの貴族だったんだろうなあ。まあ私には関係ないでしょう。


「クフィー。ついでにキャロラリンの食事を頼めるか?」


「いいのですか?」


「むしろ頼む」


 それはどうして?なんて聞かずに誘導される私。キャロラリンに声をかけたトールお兄様は私の背を押して歩き出す。


 どこに行くのかはわからなかったけど、キャロラリンが後ろから付かず離れずの距離で私たちはすり寄られながら進んだ場所は小さな泉だった。


 そこには何頭ものウママンがあの濃ゆくて凛々しい顔を泉に突っ込んで水を飲んでいる。いわゆる休憩中ですね。たまに草をもしゃもしゃ食べているウママンも見る。


 こんな牧場みたいなところでよく泉が出来たもんだよね。そっちの方が驚きがあるよ。


「食事はここで摂らせるのが決まりなんだ」


「厩舎ではないんですか?」


「あるよ。今は厩舎を清掃中なんだ」


 もうすぐお昼ですよ?


「ウママンたちは大体ここで羽を伸ばすんだ」


「心労を溜めないようにですね」


「そう。ここはウママン専用の区間で解放しているんだ」


「お世話が大変なんじゃありませんか?」


「それはクフィーが知らなくていいんだよ」


 なぜそこを含ませたんですかトールお兄様。気になって仕方ないじゃん!


 けど馬のお世話を考えたら大変そうだよね。何人体制でやっているのかは不明だけど、聞かないでおこう。絶対に頑張っているはずだし。


 キャロラリンをずっと見ていて私とトールお兄様はそんな会話を細々と繰り広げて餌を待つ。


 キャロラリンはとくに他のウママンと比べて美食家なんだとか。綺麗で美味しいもの、それと餌をあげる騎士の態度で食べるか決めているんだって。


 どんだけお嬢様――いや、女王様的な態度なの。美味しくなかったらお皿をひっくり返しちゃう(餌または世話係りを蹴飛ばす)我が儘なウママンだよ。


 もう少しだけ待つと人参?が一杯刺さっているバケツを両手にぶら下げてやって来た数十人の騎士たち。


 私が抱えられるくらいに入っている人参は一頭に付きバケツ一つだそうで……両手にバケツを持つ騎士がぞろぞろと――


 何人いるの?いや、何頭いるの!?


「数えるのが面倒だから詳しく知らないよ。上級騎士の騎馬隊はそれほど多くないからね。予備も含めてここにはざっと千頭かな?」


 ――ここには?……


「王宮御用達専属の馬屋が三つほど外部にあるんだよ。この城だけで約上級騎士三千人のウママンの面倒は見られないからね」


 ……意外と騎士っているんだね!上級騎士だけで3000って中級とか入れたらどれだけになるのかな?


 でもそんな人を収納できるとは思えない――て、そうだった。そんな全員がこの城に滞在とか王都にいる訳じゃないよね。


 地方にもいるだろうし。近隣の街や領地にいる事だってあり得るじゃん。


 そうなるとここにいる騎士の数とは魔法師の数って国内の計算だったりしそうだね。城に何千も入る分けないもんね!馬は入っているけど。最大5000かな?


 集めたら何万の軍隊になるんだろう。サファリナ国って一応は隣国と比べると優位な国だから結構な数になりそう……


「これがキャロラリンの食事分です」


「ありがとうございます」


「いえ……よろしくお願いします」


 人参が入っているバケツをトールお兄様が受けとると深々とお辞儀をして去っていく誰かさん。


 なんで深くお辞儀をしたんでしょう?よく分からないけどトールお兄様に渡されたのでそれを受けとる。


 でも重かったからそのまま床にドスンです。ごめん。予想以上に重かった!足潰さなくてよかった~!


 思わずトールお兄様を見たら苦笑いを返されてしまった。バケツは持ってくれるそうです。


 ではではキャロラリン、ご飯だよー。


「まてまてまて。洗ってからな?」


 これ、洗ってないの?思わずにんじんを見るけど……どことなくザラザラしている?色はグレーだよ。ちょっと鮮やかに見える……かもしれない。


 結局は全部トールお兄様にやってもらって私は持つだけに終わった。


 キャロラリンはなんの躊躇いもなく差し出された人参を食べてくれたので私も嬉しくなる。


 ただ唾液で手と袖がべちゃべちゃになったけどねっ。泉で洗っていいって言ったから速攻で洗いに行ったよ!


 因みにキャロラリンはなぜか興奮しすぎて後ろの蹄で地面を蹴っていた。さすがに突進はなかったけどちょっと怖かったのは内緒です。


 でも食べ終わったらすりすり。キャロラリン……貴方はどうしてキャロラリンなの?


 今までお世話していた騎士と私では全く違う行動だから見ていた騎士たちがドン引きしているんだけど。普段のキャロラリンってどんなのだろうね。





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