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お仕事ですよ

「ほう……ずいぶんと幼い」


「アビグーア部隊隊長殿、その子が例の……?」


 例の、てなんだよー。そこで切るとなんだか私がいかにも、な人みたいに聞こえるから止めてほしいんだけど。


 なんて言えるはずもなく。


 笑顔を崩さないように微笑んでアブルを盾に縮こまる。いや、だって。上から見ていてもあんまり変わんないし。


 2メートクター(たぶん)のアビグーア部隊長の肩の上なのにみんな遜色ない高さでね。


 それと騎士ですから?鍛えていらっしゃいますから?私を囲む騎士はみな威圧的な体格をお持ちの方ばかりでして。


 背が高かろうが騎士は騎士だったよ!


「グラムディア殿下に代わり俺が説明する。この少女はあの、グレストフの末娘クロムフィーア嬢だ。魔力も親顔負けに保有しており、魔力を見る力を持つ」


「クロムフィーア・フォン・アーガストです。若魔法師としてこちらに参りました」


「ほう。礼儀正しいな。あのグレストフ一進魔法師の娘にしては物静かではないか?」


「いや、まだ分からんぞ。慣れてくると暴走しだすかもしれん」


「でも本当に魔力なんて見えるのか?確か光って見えるんだとか……」


「そこは実際に見てもらえば言い。これから魔法具所持者を洗い出す。アビグーア部隊隊長。そろそろ自分の隊に戻るように」


「はっ」


 そしてコデギス近衛補佐様の肩の上に移動となる。なんでやねん!


 つい大阪弁で突っ込んでみたけど……心の中で言ったからね。空しいだけだった。むしろ口が滑っても誰も分かんないか。それより変な目で見られるよね。


 何となく振り返ってげっそりお兄さん魔法師ことカルゲン魔法師と、尊大なお兄さん魔法師の――さんに視線でいいのか伝えてみたけど――


 反応?まったく返ってきませんが。むしろ興味津々です!てばかりに私を見る。


 そういえば尊大なお兄さん魔法師の名前をまだ聞いていなかったけど……あえなく肩から腕の方に移動させられた私は騎士の重圧を真っ正面から受ける事になった。


 もう見世物だよ、私。みんなの視線が同じになった事で目力が半端ないよ!!


 とりあえずサクサク進めるために近衛隊長クラスの人たちから見て次に上級騎士第一軍第一小隊から順に見ていく。


 もう人が多すぎてね?「どれくらいの人が集まっているのですか?」て聞くと「753名だ」なんてさらりと……


 中途半端だね、なんて思ったが止めとくよ。今日はもう突っ込まないから!


 因みに魔法師は500名にしたんだって。配分は分からないけど魔法師と見習い魔法師が多いみたい。


 前回は何人だったかな……増えているような気がするのは気のせいかな?てか前回のを覚えていませんことよ、私。


 ごちゃごちゃと考えながら見ていたのが悪かったのか口調がおかしくなってきた。


 そして面白い事に魔法具を付けている騎士が発見されるとその所属している隊長に鉄拳をもらっている騎士がちらほら。


 騎士を舐めてんのかこの野郎!みたいな感じで右ストレートを炸裂させる隊長もいたよ。右手が唸ってます!


 隊長だけあってその人たちはちゃんと付けていなかったり申請済みだったりしたんだけどねー?


 ただの上級騎士たちやお坊っちゃまな成り上がり騎士は申請を許されないからバレた時が痛いとか。


 ぽそぽそっとコデギス近衛補佐は愚痴をこぼす。「軟弱もんがっ!」て。ユリユア様がいたら大変な事になっていただろうね。


 剣を振っているから腕力をあげたいのか力を増幅させる腕輪が多くてこっちもビックリだよ。


 それを取ったらどれだけの差が出るんだろう?気になる!けど、言わないよ。さすがの私も余計な事は、いいません。


 代わりに中には面白い魔法具を付けている人もいた。


 なぜかお腹に付けている人がいてお腹から微かに光が……て言うと微妙な空気になる。


 だって、ねえ?今まで腕とか指とか耳に付いていたのにその人はお腹なわけで……みんなが一斉に彼の腹部を見て想像を膨らます。


 脱ごうにも私(女の子)がいるから脱げなくて説明しようにも彼はすごく躊躇うものだから上司の視線を一身に受けるはめに。


 まあ結局は涙を堪えながら魔法具の説明をしたけど、ねえ?因みに確認は向こう側でカルゲン魔法師がしました!


 で、その魔法具なんだけど……彼、お腹が弱いんだって。今さっきもお腹を下している最中なんだとか。なんでも腹痛とかを緩和させる魔法具らしい。臍に埋め込む魔法具なんだとか。


 そんな魔法具がある方が驚きなんだけど!?


 特注で作ってもらったとか。作れるんだね。すごいわー魔法具。魔法文字でどんな事を書いてあるのがすごく知りたいわー。


 彼は緊張のためよくピーになるらしい。そして今回の『魔法騎士隊』に選ばれた彼は喜んだけど上手くやれるか心配になり、さらには緊張でお腹をここ数日ほど壊した。


 今日も魔法師との合同、しかも大怪我から復活したグラムディア様直々の挨拶が聞けるとなってさらに緊張。ついでにお腹が壊れる延長となりこの魔法具が手放せなくなったとか。


 それを聞いた私たちは生暖かい視線を送りながら彼の魔法具を許可した。なんで騎士をやっているの、なんて野暮な事は聞かない。誰でも事情と言うもを持ちますから~。それに入団する際に調べていそうだし。


 もしかしたら魔法剣を作る際に支障が出るかもしれないけど……それも確かめたい、と言うのもあったのだ。


 魔法具に左右されず魔法剣を作れるのか。その時の魔力はどちらに荷担するのか。彼はあえなく実験台となった。


 彼のおかげで後から見つかった魔法具を所持している騎士は鉄拳をもらってから実験台に決定していき私はあれこれと捌いていく。


 みんな見つけると騒ぎだしてうるさいけどね。事前に魔法具は取り外すように通達されているそうなんですよ。


 それでも付けてしまったらそれは自分の責任でしょうに。なんで見つけた私が責任を負わなきゃいけないんだろうね?


「ふむ……68か。事前に申告してこれか」


「ほとんど二軍の騎士ばかりですね。」


 えーと、確かいつかこっそり教えてくれたトールお兄様の説明によると部隊隊長が持つ騎士を軍で別けているんだったっけ。部隊隊長は全部で……あれ、何人だっけ?


 えーと、その中の二軍に配属している騎士がなんとまあ貴族ばかりの集まりで魔法具を存分に扱う人たちだった。


 指輪をいっぱいして剣なんて握れるの?むしろそれメリケンサックよろしくで殴った方が早いような気がする。


「すっげぇな。見る力は本当か」


「これなら魔法剣もうまくやれるかもしれん」


 魔法具を見つけた事により私の力?は認められカルゲン魔法師から頭をぐりぐりと撫でられた。よくやった、だって。


 げっそりしているから笑った顔もなんだか怖い。けど優しいお兄さんとかギャップ狙いですか?


 それからこっちの紹介もあるから~と言う理由で私たちは一度離れる事にした。今度は魔法師。


 意外にもお父様が静かで――きょろりと見てみるけどいないような気がする。お仕事かな?


 邪魔だからエモール先生が頑張って連れていったのかも。


 カルゲン魔法師はお兄ちゃんよろしくを全面的に醸し出して私と手を繋ぎ歩く。彼らにも同じ説明をして~と。


 同じ要領で魔法具を探し出してね!て。私は魔法具発見器かっ!


 尊大なお兄さん魔法師はカルゲン魔法師がする私の扱いが気に入らないみたいで後ろからギャーギャーとうるさい。


 私は手を引っ張られているから立ち止まる事も出来ないし……と言うかアブルを片手でとかちょっと重いよ。


 せめてポメアにでも……なんて思うけど見つからない。白黒だと人混みも辛いんだよね。


 魔法師様になるとみんな黒のローブを着ているからほとんど分からないし。若魔法師はそもそもローブが短くて髪を下ろしていたら分かんないし!特徴を見抜けないと本当に誰か分かんない!!


 だからポメアはどこにいるか分からない、と。


 ポメア~!私の侍女を頑張るんじゃなかったのー!?こう言う時こそ傍にいてほしいんだけどー!


 あえなく魔法師様たちの前に私が押し出される。なんてこったい。魔法師は魔法師で私を訝って何も言わな。それはそれで怖いよ。


 面倒になりつつもカルゲン魔法師が説明して私はさくさくと魔法具を見つけていく。


 騎士より多くを見つけてしまいなんだか私が悪者だと言うように魔法師たちが声をあげる。


 でも私は聞こえなーい。なんでかって?尊大なお兄さん魔法師は【風】を扱う魔法師だからでーす!


 後ろでボソボソっと聞こえたと思ったら無音になっちゃってビックリだよ。むしろ怖いよ。


 無音って体験した事なかったけどこれは凄いね。本当に音が聞こえなくて――長時間このままでいると考えるとかなり怖いって思う。


 まあそれは尊大なお兄さん魔法師がちょっと間違えただけなんだけどね。私じゃなくて相手にかけようとしたらしいよ。わざとじゃないだろうね?


 悪ぃ悪ぃって適当に顔をしかめて言われても納得が出来ないんだけど?


 音が聞こえないって結構怖いんだから!!


「こっちは時間がかかりそうだな……」


「納得しねぇから見てやっているだけって何度言えばいいんだよ」


「魔法師の魔法具を取り外す必要はあるんですか?」


「え、ないよ。上級も含めて下は駄目に決まっているけど魔法師を自立した者はよほどの魔法具じゃなければ問題ないよ」


 あっけらかんとカルゲン魔法師は言うけどそんな決まり、知らなかったんだけどね。


 どうしても私の力?が納得できないから魔法師には試しただけであって、本命は上級魔法師や見習い魔法師たちを見るんだって。


 なんて回りくどい……


「にしてもまだ魔法師じゃねーのに付けている奴が多いな」


 確かに多いね。騎士の倍はいるみたい。主に下級から上にあがるにつれ装飾として魔法具を付けている人が多い。


 若魔法師もほんと少人数で出てくるし。ほとんどが貴族っかよって尊大なお兄さん魔法師が言うくらいこっちは自由だった。


 処罰は追って連絡するって話して帰すんたって。魔法具所持は規則があるからね。守れない魔法師は罰則があるんだ。そのまま退場、て事もあるけどね。


 あらかた見たら今度は私を魔法師だけにささっと自己紹介。それが終われば私が特殊な立場にいるって言う理由からこの少人数で作られたグループに割り当てられた。


 そこにはジジルにポメア、ケヤン、ベリーっぽい名前だったはずの人。と、お目付け役のカルゲン魔法師と尊大なお兄さん魔法師。


 ととと、もう五人もでした。見習い魔法師から上級まで一人ずつ。ローブの違いって便利なはずなのに私には便利に成り立たないね。


 最近は色のレパートリーがなくなってきたんたけど……


 それとあの方が!ついにあの方が!!予想では青紫の髪にアクアマリンの瞳をしていて口許のほくろが色っぽく低音ボイスがまたエロティックな魔法師様がっ!!


 魔法騎士隊の練習の時からよくお見かけしたお方です!名前がようやく分かる!


 ……あれ。まさか彼もお目付け役……?前から私を知っているんだし、あり得るわあ。てかこの人数は本当に少ないの……?


 まあいいや。お目付け役が3人で済まないような気がするしっ!どうせこっそり監視されているような気がするんだよねっ、遠くからお父様とか!!


 ――とりあえずまずは自己紹介から、だよね?そこの私を凝視して驚いているヤジャ――や、じゃ?なんだっけ。そう、中級魔法師様。お久しぶりです。


 今はアビグーア部隊長の上に乗っていませんが人を指差して何が言いたいんですか?



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