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新たな出会い?

 案の定と言いますかなんと言いましょうか。なんと言いましょうかと言いながらこれ一つしか言葉がないんだけどね。


 安定のやっぱり肩の上だったよ……


 流れるようにアビグーア部隊長が手を伸ばしたと思ったら肩の上。はい、出来上がり。


 ジジルが怖々とだけどちょっと羨ましそうに私を見ていてどうしようか切に悩んだよ。アビグーア部隊長、ジジルもダメ?


 なんて言う視線を送ったらいつの間にかジジルも私と一緒で肩の上。近くなった距離にお互いがビックリで思わず目を見開いて戸惑った。


 片手でどうやってあげたんだろうね。疑問が残るけどジジルが「すご~い」とか言ってはしゃぐからバランスを取りながら落ちないようにするのが私の精一杯です。


 巨人の上って怖いもんなんだよ。慣れちゃったから今や文字通り高みの見物である。


 ケヤンは男の子なので――と言うか肩に座る場所もアビグーア部隊長の腕も2本しかないから。


 アビグーア部隊長の後ろをとことこと着いてくる。足の幅がかなり違うのでほとんど小走り。


 それに気づいたアビグーア部隊長がゆっくり歩きだすもんだからアビグーア部隊長の優しさに感動ですよ!ハイスペック様は気遣いもできるんですっ!


 そしてそのまま騎士棟の中へ。はい、奇異の目がたくさん向けられますねー。そりゃあ最近話題の部隊長に昇進したアビグーア部隊長の肩の上に少女ら2人を乗せて歩いて来たらそんな視線を送っちゃうよ。


 でも気にしないのが私たち。とくにアビグーア部隊長だ。


 お馴染み(笑)の受け付けで待機中メジックさんに微笑ましいと言わんばかりの表情で見送られた。


 ずんどこ進んで曲がって進んでまた曲がって――の繰り返しで訓練所に到達!


 そこにはこれまたお馴染みの騎士様たちと魔法師たち。どちらも見習い、下級、中級、上級、正規と多くの人たちが集まっていた。


 数えられないんだけどこの前のと比べるとかなり多いんじゃないかな?1000ぐらい?半々かな?


 やっぱり視線を集めながら私たちはそのまま魔法師たちのところに移動。なんだか近づくにつれ若魔法師の子達が怯えて距離を取って行く。


 下級の人は表情をなんとか真顔に保とうと顔の色んな筋肉が引きずる。口やら頬やらが小刻みに動いてちょっと怖い。


 その中で空気を読まないのがエモール先生。「ここまででいい」と言うけど……アビグーア部隊長が留まるだけで下ろされる事はなかった。


「あの、アビグーア部隊隊長?もう下ろしてくださってもいいのですよ?ここまでありがとうございました」


「あ、ありがとうございました!」


「……大丈夫」


 何が?


 ジジルと共にハテナをいっぱい浮かべて首を傾げる。よく分からないんだけどアビグーア部隊長がここにいても大丈夫だって意味?


 聞き返すとコクリと頷かれましたー。部隊隊長殿。お役目はどうした!?


「部隊はどうされる、アビグーア部隊隊長殿」


「グレストフ魔法師が来るまで」


 ……え、何?直接私を渡さないとアビグーア部隊長は役目を終われないの?それって私のせいじゃない?


 なんて思っていたら向こう側から全速力で駆けてくる黒い物体を発見。しかも「クフィィイイイイイ!!!!」と叫んで。


 恥ずかしいからやめて、お父様!!


 たどり着いた瞬間に私はお父様の腕の中ですよ!?ほとんど抱き締める状態でアブルが潰れたため両手両足をお父様の顔面にくっつけて押し出し猛抗議中。


 動くたびにボソボソと若魔法師たちから「生きてる!?」「おい、あれって……」と声が……もうグダグタだね。


 エモール先生をちらりと見てみると眉間を揉んでため息を吐き出し中でした!私は悪くないと言いたい。他の魔法師たちや上級魔法師にてきぱきと指示を出していた。


 お父様もあんな風にキリリとしていてくれたらいいんだけどなあ……


 ウォルターさんと話していたらいつの間にかトールお兄様と一緒に私が消えていて悲しんだって言われてもねぇ。


 お父様の家族自慢って長いんだもの。


「お父様、どうしてこちらに?」


「クフィーに会いに来たに決まっているじゃないか!」


「お仕事は?」


「捨てた」


 駄目だよお父様!短時間でなんか色々と駄目になってる!!元々怪しかったけど今の発言はヤバイやつだよ!?


 う、うう後ろ見て、後ろ!エモール先生の背中に般若が取り憑いているよ!?


 そしてお父様はエモール先生のお小言をもらうのだった……


 分かりきっていた事だけど――お父様って本当に家族絡みになるとハチャメチャだよね。


 こんな事をやっている間にもジジルは素直に下りてアビグーア部隊長に手を振って見送っていたと言うのに……


 もう怖くないの?最初はあんなに怯えていたのに……子どもって順応が早いね。


 それに比べて……アーガスト家の良識はいったいどこに置き去りにされたのでしょうね?連れ戻す事は出来ないんだろうか。


 エモール先生がお父様の相手をしている間に私は上級魔法師に背中を押されて若魔法師の輪に入っていく。


 見知らぬ子が多くてどぎまぎしたけどにこりと笑って挨拶をすると意外にもみんな受け入れてくれた。アブルは見ないように。その中から同じ教室にいた子を発見。


 前髪が長くて揉み上げと一緒にみつ編みにしている子。黒から白くグラデーションになっている……ベリーっぽい食べ物の名前だと思うんだよ。ごめん……


 向こうの方で誰かが殿下が来たと声をあげたのでにこりと笑うだけに止めて前を向いた。


 よかった。名前が出てこなくてこっちは汗びっしょりだよ。


 最前列の私はおのぼりさんよろしくで目だけキョロキョロ。キャロラリンはいません。よしっ!


 いつの間に出来ていたのだろう私から見たら白っぽい簡素な壇上に促されるグラムディア様を発見。これからありがた~いお言葉を聞くみたいだね。


 グラムディア様の付近には光が反射してるんじゃないかと――ついつい頭の天辺を見てしまうコデギス近衛補佐様。


 ちょび髭さんは……いないねー。でもマントを着けている騎士が後三人。あ、あの背が高くて顔面までごっついフル装備の人ってビーランヴァ様じゃないかな?


 思わず手を振りそうになって挙げないためにもアブルをぎゅっとしてしまった。「ぐあう」って絞まった鳴き声なのか微妙だよ。


 他に――上級騎士が数人とお父様にエモール先生と他魔法師が数人でグラムディア様を護衛しているのかな?


 そのグラムディア様は力強く“ 魔法騎士隊 ”の成長と“ 魔法武装隊 ”のあり方などを語ってく。


 さすがに私の横や後ろの反応なんて分からないのでここは真剣にお話を聞く事にする。


 用は新設した部隊はお互いに協力しなきゃうまく出来ないから頑張るぞ!と言う事だね。


 演説が終わって騎士も魔法師も揃って最高礼で答える。私たち若魔法師は見様見真似でわずかだけど遅れた。きっと正面に魔法師がいなかったら棒立ちで悪目立ちしていただろうね。


 グラムテォア様はそのままたち去り……次にコデギス近衛補佐が壇上に上って各自顔合わせを行い指示に従う事を言い渡され騒がしくなった。


 もちろん騎士は騎士、魔法師は魔法師で一度距離を置くためか左右に離れ集まっていく。


 私も遅れないように付いていくけど……知らない人に呼び止められました。貴方はだあれ?


 前髪を全部後ろにやってそれを黒っぽいバンダナ?で押さえる青年。チェーンは着いていなく、長いローブは魔法師の証。


 瞳の色はグレーなので青かな?後ろを向いてくれないと髪の毛の想像が出来ないんだけど……


「お前がグレストフ一進魔法師様の娘か?ちょっと来い」


「嫌です」


 いや、つい……なんか尊大な態度でしかもお前呼びだったもんで。うっかり病が発動しちゃった!


 当たり前だけど私を呼び止めたお兄さんの表情は一気に悪くなる。もうイラッ!って。今にも舌打ちしそう。


「いいから来い。お前はまず騎士の方から紹介する」


 そんな事を言われましても。


 顎で指示されたらこっちもイラッと来るんだよね。せめてもう少し親切に対応してくれれば着いていくんだけど。


 何も言わずに辺りをキョロキョロしていたらアビグーア部隊長がこちらにやって来る様子が見える。普通に歩いていると思うんだけど早歩きに見えるのは歩幅のせいですか?


「無視すんな。これだから貴族は嫌なんだよ。魔法師に貴族の序列とか関係ねぇっつーの。あるのは魔法師の序列で俺は魔法師、お前は若魔法師。まだなってもない下っ端ぎゃっ!?」


「彼女はお前の態度に驚いてんだよ。先輩魔法師様として見てほしかったら態度を改めろ、態度を」


 よく、分かんないけど……尊大を振り撒いていたお兄さんのお尻に強烈なキックが炸裂しました。


 また新たなお兄さん魔法師様が登場。今度はさすがに驚いて目を見開いてしまった。


 ほとんど白に見える髪。色が思い付かないから本当に白なのかも。ついでに顔も白すぎてもう怖いのなんの。


 さらにこのお兄さんの頬がなぜか痩けているもんだから余計に薄気味悪さが増長。


 それなのに笑顔で尊大お兄さん魔法師に――なんだっけ。技をかけているんだよ。すごい早業で巻き付いて……そう!コブラツイスト!


 ちらりと見える手首なんか細いのにどうしてあんな技がかけられようか……


 尊大なお兄さん魔法師はかなり痛がっているんだけどげっそりお兄さん魔法師は「あはは。ふふふ」とか言って絞める絞める。


 ――他人のフリして向こうに行こうかな、と思っていたけどアビグーア部隊長がすでに来てしまっていてあえなくまた肩の上。ブレないわあー。


 そして放置される2人……いや、尊大なお兄さん魔法師。あえなくげっそりお兄さん魔法師に捨てられて放置された。


「あいつが悪かったね。私はカルゲン・ウィズヨム。後で説明するけど君と同じグループの魔法師でお目付け役を任されているよ」


 おうふ。ついにお目付け役がきちゃった。グループのお目付け役である事を願いたいです。




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