事情聴取?
大した事ではないのですが、主人公のセリフを少しいじりました。
ラ行をすっかり忘れていたのです。なんで気づかなかったのだろうか。汗。
誤字・脱字・加筆・修正いたしました。27.4.9
うっかり寝てました。こんにちは。
なにやらお父様とお爺ちゃんがとても虚しく(主に父が)悲しい言い合いを始めてしまったので、隣で寝てしまいました、はい。
よく騒いでいる中で寝られたな、と思ったよ!私もビックリ。
でもこれはどうしたらいいのかな?誰もいないんだけど………
勝手に寝た私が悪いんだろうけどさ、起きたら誰もいないってどうなんだろう。お爺ちゃんの部屋なのにいいのか、それで。赤ん坊は時にとんでもない事をするんだぞ。
離れそうにないお父様までいなくなってる事にさらに驚きを隠せない私。うん、本当にどうなってんの?毛布が暖かいから二度寝していい?
ええと確か、お爺ちゃんに診て?もらってから頭と眼の方がなんか変みたいな事言って―――そうそう。そこから何故か私の引き取りがどうとかの話になったんだよ。
「おとーしゃま?みくまんしゃま?」
ヴィグマン発音できない。てか呼んでもこない!?呼んだら飛んできそうなお父様が来ないなんて異常だよ!
と、そんなお父様ウザさに拍車がかかるだけだから止めよう。嫌いじゃないけどもう呆れてしまうくらい凄いよね、うちのお父様。
とりあえず毛布をひっぺがして下りてみる。どうやらソファーから動かさなかったらしい。フカフカだったから体は痛くないよ!このソファー、いいな。
ちょっとソファーが高かったけどなんとか下りて………うん。部屋の中、全部がデカイ。
いつも抱っこで上から見ていたからそんなに気にしなかったんだけどな。なんか新鮮!不思議の国に来たみたい!前世持ちだからすでに不思議感覚は炸裂しるけどね!
まあ、なんとか自分の足が床に付いたのだから探索と行きたい所なのだけど。出歩いて大丈夫なのかが心配。
抜け出してお父様が騒ぎを起こすのもみんなが可哀想だし。切実に。でも、する事ないし。まあ、近くを歩いていれば問題ない?てかお腹が空いた!
そうと決まればここを脱出してご飯を探しに行こう!腹が減っては考え事も出来ぬのです!食いしん坊とか言わせないよっ。
しかーし!ここに難所があったなんて。なんと在り来たりな事か………扉を見上げて、改めて私はまだ3歳だと言う事を思い知らされる。ええ。女の子で3歳です。
ドーンと憚る扉はとてつもなく壁でございます。ドアノブに届きません。ええ。私の背丈では届かないとい言う、由々しき事態でございます。
ご飯が食べたいです。お外に出たいです。むしろ私と共感してくれるだろうトフトグルお兄様に逢いたいのが本音です。
まあ、その本音は片隅にでも置いておいてですね。私は餓えているのですがこれはどんな罰ですか?
え?うっかり寝ちゃったのが駄目だった?それは3歳児ですから昼寝が本分ですよ。生体本能ですよ。正しい体作りで私に非があるとは思えない。
しかし………なんで私は置き去りにされたんですかね?あのお父様が一瞬でも手放すとは思えないんだけど。いや、今現在進行形で手放されっちゃっているけど。
いやだってさ
「抱っこは私の至福だ」
て。真顔でジェルエさんに言い切る人だよ?ここに入る時も抱っこがどうとか言ってたし。
それでなんで私が一人になんなきゃいけないのさ。泣いちゃうよ?少しは成長したおかげで我慢強くなったけどさっ。
さて、どうしたものか。
なにかないかと見渡してみるけど………お爺ちゃんの部屋は本がギッシリだね。
1、2、3―――10段も棚があるよ!?すごっ。しかもこれ………魔法と医学に関してかな?
上から5段は医学で下が魔法みたいだね。全部が私の手のひらサイズの分厚すぎる本だからそんな量があるわけじゃないけど。高ーい。読みたーい。
でも読みごたえがありそうだね、とだけ言っておこう。たぶん、今の私じゃあ両手を使っても本の重みで動かせないと思うし。
あとは―――中央に長テーブルと両側のソファー。窓際に大きめのデスクと椅子のセット。
うん。レーバレンス様と同じ作りの部屋なんだね。そういえばあんまり見てなかったけどお父様の使ってる部屋もこんな感じだったような気がする。
しかし、本当にどうしたもんかな?1回下りちゃったソファーは高すぎて上れないし。
こんな小さい体じゃあなんにもできない。不思議の国だったら誰か手助けしてくれたりするんだけどなぁ~。ヒントはどこかにないだろうか?
ガチャ。
ニヤリ。しかも私、タイミングがいいね!これは神の思し召しとかだったりしたら私は土下座で感謝を何度でも告げるよ!
本当に運がいい。まだドアから離れていなかった私はガチャリと開けたドアから勢いよく突進して廊下にでる!
歩いていればきっと誰か知り合いがっ!私の事を知ってる誰かがっ!なんとかしてくれるのさ!
なんと他力本願なんだろうとは思うけどお腹が減ったから仕方ないじゃないか!はっはー!
「うん?」
「うわ!………なんだ?この小さいの。ヴィグマン様の孫かなんかか?」
「え、孫?曾孫の間違いだろ」
いや、どっちも違うから。私を憚る四つの太い何かから必死に掻い潜ろうと体を捻る!足をかける!よじ登る!
会話?そんなもの、今はまったく気にしないね!お腹空いた!
しかし、何故かこの太い何かは動き出す。どうなってんの、これ!?しまいには体が浮いた!?どうした私!?
「………う?りゃーれ?」
「それはおじさん達が聞きたいな」
なんと、体が浮いたのはおじさんに持ち上げられたからでしたー。はい。ようやく気づきましたよ。会話、無視しちゃ駄目だね。
あれ、前の人が私を持っているんじゃない?腰に手をあてて見つめられても困るんだけど………てことはもう一人いて、誰か支えているんだね?後ろの人、まったく見えないんだけど―――まあいいか。
「くおむ、ふぃーあって、いいます。おとーしゃま、しいましぇん、か?おなか、へったの」
「………………お嬢ちゃん、家名は名乗れるかい?」
「かめ?」
「えーと、お家の名前」
子どもっぽく言うの大変だわ。てか空腹は無視ですか?面倒臭い。
しかし、家の名前か………言っていいのかな?この人たち、誰かわからないし。いつも知り合いだけだったから警戒はしておいた方がいいよね。
さっと眼に見える感じ、悪そうには見えない。どことなく癖のある濃いめの髪にちょっとたれ目のこれまた濃いめの瞳。両方茶色かな?いや、茶色希望。で、年齢を感じさせるちょび髭。おじさんだよね?
私を無理矢理に追い出したり、放り出したりしないから話せばわかるかもしれない………かな?うーん。大丈夫かな?たれ目で騙されそう。
しかし腰の剣の柄にさりげなく手を置く感じがとっても怖いです。ここは首を振っとこう。私、赤ん坊。ワカリマセン。
「んー。じゃあ、どうしてここにいるんだい?」
「みくまん、しゃまに、みてもあうため、って。おとーしゃま、いってました」
やっぱり濁点まだ駄目だねっ。一文字発音ならさっき出来たけど難しい!しかも文節が変だよ!早くうまく喋りたーい!!
因みに私の「みくまんしゃま」発言で私を支えている後ろの人が吹き出しました。支えがぷるぷるしてちょっと怖いです。落とさないでよ?
濁点が言えないんだからしかたないじゃん!て。言えたらどんなにいい事か。
あー。みくまんて肉まんみたいだよね。お腹が空いたよ!
そう思ったら素直なお腹がとても―――前世では聞いたことのない可愛らしい音がなってしまった。きゅるきゅるきゅる~なんて音、初めて出したよっ。
ちょっと恥ずかしくてお腹を押さえたら目の前の人物は口元を拳で隠すように小さく笑いだす。
あなた方、ちょいと失礼ではありませんか?
「ご飯はどうしたのかな?」
まだなんです!さっき言った!
「しかし、君を勝手に連れだすのはまずいな。私も忙しい。一人にするのも可哀想だ。他に誰か知っている人はいるかな?あ、私とした事が君のお父様の名前を聞くのを忘れていたね。言えるかな?」
なんだろう。あんまり言いたくないな………てかお父様も濁点がついているね。ついでに、ら行。
やばい。噛むかもしれない。
「うぇすとふ」
「………………………………………………そうか。知人を教えてくれるかい?」
あ。考えんの止めたでしょ。切り替えはやいよ。
「ちいん?」
「あー。知ってる人」
うん。わかってる。この流れ面倒臭いなー。
しかし、残念な事に他の人達も濁点とら行がついていると言うとても悲しいお知らせです。
さて、言えるかな。自信なんてない。
「りぇーうあえん、す!」
「聞き取れたか?」
「悪い。分からん」
すまないね。レーバレンス様ならなんとなくわかってくれると思ったんだけどな。
「うぉという」
「………誰だ。ヴィクマン様の知り合いに………誰だ?」
「もっとわからん」
正解はドトイルでした。ごめんね。発音している私も難しいとは思っているんだよ。ここまでみんな言いにくい名前なんて思いもよらないって。
じゃあ最後にロノウィスくん。言ってみよう!
「うぉのいす」
「誰に該当するのかがまったく思い付かない。ヴィグマン様の付近にそれらしい名前はいるか?」
「俺はそこまで魔法棟の奴らに詳しくない。いっそもとに戻して見なかった事にしないか?」
「さすがにそれはまずいだろう。騎士がここにいるだけで、まだわだかまりは解けていない。目撃者が数人いる」
「でも、多分この子は誰も見てないだろ?」
「この部屋が誰のものか知っているだろう。いくら知人とは言えこのまま放置はまずい」
ええ、お腹………空いてるんで、とくにまずいです。
真剣に悩んでいるところ悪いのですが、本当にお腹が空いたんです。もういいですか?
結局言ってもわかってもらえなかった寂しさでちょっと泣きたくなったんで。いい加減さ、離して。疲れたのか脇に抱えるの止めてください。
私を置いてきぼりでどんどん話を進めていく二人に私はだんだんと視界が滲んでいくのがわかった。
前みたいになんとなく頭が冷めて熱を持ち始めたね。ついでに鼻が痛くて悲しくてもう、我慢の限界です。
ああ。制御できないや。誰か、知ってる人来てください。誰も分かってくれないし、お腹空いたんです。




