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ああ、間違いない。親子だよっ。

修正いたしました。28.12.31

 うっかり爆睡しました。ポメアがちょっと困り顔で必死に起こしていたそうな。ごめんごめん。ベッドがいつも通り気持ちよすぎて……それでも時刻はまだ朝の9の鐘はなっていないんだけどね。鐘がなってしばらく、だから8時かな?


 言い回しが何となくわかってきたこの頃。それでもまだちんぷんかんぷんだけど。聞けば私だってわかるのだ!


 鐘の音や時間経過を気にしていたおかげで聞けば大雑把にだけど把握できますからね!気にしていた甲斐あってか何となく言葉を掴めてきたんだよ。一人では未だに分かりませんけどねー。


 鐘がなって“ 少し ”と言われたらとりあえず一時間は経っているかな、ぐらい。もしくは一時間未満が妥当かも。“ しばらく ”と言われれば二時間前後は経っている、と思われます。これ以上の単語はありません。だが、私の中では大きな進歩だ!


 実際に暇な三時間の間に今何時?みたいなことを頻繁に訪ねたりしたからね。そうするとだいたいこの2種類の回答が返ってきて推測ができたと言う、ね。


 ポメアかすっごい戸惑っていて可愛かったんだけど。でも頻繁に聞きすぎてしまったおかげで不思議そうに答えていた最初と打って変わって最後は困惑していました。ごめんね、ポメア。


 でもポメアのおかげねちょっと分かりやすくなったからとてもありがたいです。ありがとう!だから色々と誤魔化すように時間を知らせる鐘について質問してみた!


 なぜ鐘は三時間おきになるの?それは鐘を鳴らしすぎて平民に不眠が流行ったからだとか。あと細かすぎると言う理由で数を減らしたんだって。そりゃあ、一時間おきに鐘がなったらうるさいよね。子どもに恵まれた家庭は夜泣きで少しは耐性があるかもしれないけど独身にはきついよね。あと学生もそのおかげで体調を崩す子が出ていたことから鳴らしすぎは止めたらしい。


 理由があるだけにみんな大変だね。でも夜中の3時はいいのか。みんなぐっすりだからいいらしい……緊急の時って起きられるの?それとこれとは別って言われたんだけど……あれ、謎が深まったよ?


 さて皆様。そんな事をぼへっと考えていたらポメアがすでに私の着替えやら身支度を手早く終わらせてしまいました。最初の頃はおろおろと四苦八苦しながら頑張っていた姿が懐かしくなっていますよ!優秀すぎて思わずにこりと笑っちゃいます。本当に物覚えが早いんだよね、ポメアって。教本もほとんど覚えちゃったとか。私も負けていられない気がするっ!


「クロムフィーアお嬢様。今日は朝食を食べ終わった後に男爵夫妻へご挨拶となっております。後程、旦那様からご報告がありますのでお聞きください」


「わかりました」


 準備万端なので行きましょうか。抱えて歩くのは疲れてしまうのでノルアを前にアブルを隣に歩かせて食堂に進む。


 因みにノルアはちょっと私より離れて前を歩いていく。私がこの前ちょっと転んでしまったのが原因です。ふりふりと動くしっぽに気を取られていて転けました。そのままノルアにダイブしたらそりゃあ警戒するよね。


 賢いノルアは私が前に倒れても潰されない一定の距離をしっかりと見極めたらしい。着かず離れずがなんとも言えないね!自業自得だけどさっ。目の前にふりふりしているのが悪いんだっ!今日も可愛いよ!!


「クフィー!!」


 ノルアがとたたたたたー!とトールお兄様の頭の上に登ったのを確認したらお父様が突進してきました。ひょーいと抱えられたら挨拶もそこそこにほっぺたを擦りあわせてご満悦。


 私の朝はこれが日課になっているんだけどさ。外見的に抱っこが難しいくらい身長が伸びたらやめてくれるのかな?でもトールお兄様に抱きついて挨拶をかわしているしなあ……将来がちょっぴり不安である。


 膝の上に乗せて食べさせようとしていないからまだ大丈夫だよね?あーんはもうやっていないし――ちゃんと娘離れをしてくれるのか不安だ。


 そしてそれはお母様もである。抱っこが交代されて朝の挨拶。そろそろ力仕事を何もしていないお母様には7歳児の子どもを抱き上げるのは辛いと思うのに……なぜこれが続くのでしょうか。


 一通り終わったらようやくご飯です。あ、お父様と今日の予定のお話しだった。


「私の父と話し合った結果だが父――じい様たちはアーガスト伯爵家の傘下に入ることになった。ケーリィム男爵家の者だが本家としての繋がりはないと思っていてくれ。隠居した貴族にはほとんど力が残されないのでどうやってもケーリィム男爵と関わりはないと思っている」


「ですが父上、ケーリィム男爵家は分家に二つあると伺っております。そちらとお祖父様の関係は切れないのでは?」


「今、牽制している。もしこの牽制に歯向かうのなら縁を切ることも考えているそうだ」


 そんな簡単に切れるものなのか……ちょっと怖いな。お父様の家系ってバッサリする時はバッサリといくよね。


「この後、お祖父様からも切り出されると思う。トールはしっかり聞くように」


「わかりました」


「父様」


「なんだいリディ」


「よろしいの?もし縁を切る事になるのであればお祖父様はわたくしたちだけしか残されませんわ」


「それはお祖父様に聞いた方がいいだろう。じい様だってそれだけの覚悟がある。元当主だ。軽はずみで発言をしない」


 お祖父様も思いきっているんだなー。てかお父様はじい様と呼ぶのか。変な気分だよ。とか思いつつ呑気に食べている私。断言するお父様にお祖父様もはっきりと決めるタイプかもしれないと考える。


 兄弟関係で縁を切ったお父様はよく相手を知っていてなおかつ距離がすごく近い故に決断した。男同士の関係ってずれが生じたら見栄で修復が難しいらしいからね。けどお祖父様は親と子の微妙な距離がある。兄弟と親子では感じ方がまったく違うでしょうね。一方通行が多いときがある。


 それでも決断してしまうお祖父様の発言。他の息子たちをどう思っているんだろう?男爵だから~とお父様がちょっとボカしているけど……それにしてもはっきりしすぎているような――?


「朝食の後に挨拶をしに行くけど、挨拶は伯爵家として振る舞うんだよ?一応でも体裁を取り繕わないとじい様はうるさい。終わったらじじぃでもばばぁでもなんでも好きに言ってもいいから最初はしっかりするんだよ」


 それなんだよね。こっちの方が爵位が上だからってお祖父様とお祖母様にちょっとお高く止まりなさいって言うけど、私は身内なんだから別に――と思うんだよね。


 でもお父様は絶対に気丈に振る舞え、とか言葉遣いとか色々と細かく注意をしてくる。お祖母様が怖いんだって。だからしっかりしてね!


 あとこっそりトールお兄様とリディお姉様にどっちがくせ者か聞いてみたらお祖母様だった。まじか。昨日の姿を見ている感じだとおっとりとした感じだと思っていたんだけどな。


 それから私宛に手紙が2通あるとの事なので、後で部屋に戻ったら読むようにとのこと。きっとヴィグマンお爺ちゃんとレーバレンス様に違いない。と言うか私はこの2人としか文通をしていないのだけどね!


 今度もし魔法院に離れるときはエリーたちに手紙でも書いてみようかな……


 朝食を終えて身だしなみを整えましたらご挨拶です。ぞろぞろと行くのも変な気がするが、私たちが先にいなくては始まらないので移動。場所は――みんなのお気に入りである2階のテラス!?嘘だっ。昨日と予定が違うよ!?庭が全体的に見えるから見映えもいいからってそんなっ。


 一瞬にしてリディお姉様の計画が崩れたよ?あそこは少し狭いからお茶を招く場所じゃないでしょうにっ。


 あと、5人が座れるだろうソファーとテーブルがドン、と置いてあるだけだったと思うんだけど……行ってみたらそんな心配はいりませんでした!なんと普通にソファーが2個とそのソファーの高さに合わせた低めのテーブルが用意してあった!近づいてみたら半円のテーブル!


 テーブルは円を描いている部分が部屋の中向きにソファーは真ん中を開けるように両端に。奥に届かないだろうそこは中心に花が引き詰めてある。生け花に使う少し平べったい器を使ったんじゃないかと思いたくなるほど下までもっさりと花が満開に咲いていた。


 水仙はになんとかわかるんだけどね。菊みたいにもっさりと花びらをつけている薄いグレーの花はなんだったかな。思い出せない……山茶花だった……ような?椿と似ている花ってなんだったかな。


 あとシクラメンもあるね。それにこれは……なんだろう?秋桜よりは枚数がちょっと多いけど中心は濃いめのグレーでその周辺の1センチメートクターが白。しかしその白から花びらはちょっと濃いめのグレーである。間違っても秋桜ではないだろう。


 冬の花と言えば……うーん。寒かったし、冬ってだいたい出歩いても雪が積もっていたりイルミネーションとかむしろ冬に花が咲いているイメージがなかったから気にしなかったよ。これは断念するしかないね。


 でもこのテーブルたちっていったいどこから出てきたのだろうか気になる――けど、あえて気にしません。家のことだけど気にしては駄目な気がする。


 それにジェルエさんたちは教えてくれないだろうし、お父様たちがさらっと教えてくれる気がするけどそれだけで終わりそうだし。倉庫があると思っておけばいいよね。


 まだ来ていなかったので私はささっと座らされる。末席に置かれるような端っこ。扉を開けた入り口からもしかしたら私は見えないかも知れない。先に仕組んだのかな?まだ油断ならないってみんなが言っているし。本当にリディお姉様は守ってくれるのか、心配だ。椅子に座っていたら大丈夫だよね?心配だ!


 いや、隣はトールお兄様だ!何で!?でもお父様の指示なので座る。リディお姉様の悔しそうな顔がもう助けてくれる以前の問題だよっ。なんで悔しがっているの!?


「レムリエグ男爵とトフリア男爵夫人が到着しました」


 そういえばダリスさんの仕事をしています!って言う姿を見るのは初めてかも。いや、ちゃんとやっているのだろうけど、ふらーっと姿を見せて用件だけ告げたらどこかに行っちゃう姿しか見たことがなかったからこれは新鮮かもしれない。


 お父様が一つ頷けば音を響かせないように歩いてダリスさんが扉を開けた。なにあの技術。今思えば私ってばダリスさんが入ってきた瞬間を見ていない。……いつ入ってきたんだろう?


 扉を開けたそこには当然ながら昨日見たお祖父様とお祖母様が。きりりとした顔立ちで中に入ってきてお父様が挨拶をする。お祖母様は相変わらず穏やかに笑顔だ。


 それぞれ堅っ苦しい挨拶をやりとげたらお父様が椅子にすすめる。移動のさいに私が視界に入ったのだろう。と言うかソファーは斜めだが対面に並んでいるようなものなのでこっちに来るんだったら嫌でも私は見える。視線を外さなかったのは自意識過剰かもしれない。うん。気のせいだよね。気のせいにしたい事がなんだか多いね!


 今さらだけど……私、アブルを抱えています。これはさすがにまずいのではなかろうか。と言うかさっきのアブルに視線を向けていたんじゃない!?それか早速テーブルの花とじゃれているノルアか……視線からして違うか。


 さらに今さらだけど動物までもここに置いておいていいの?しかもノルアったら自由気ままにじゃれているよ……ああやめて!それは食べられません!!


「ダリス」


 スッ――とノルアを回収。一瞬にして頬袋が膨らむ。けど目の前にリンゴ……じゃなくてゴリンの欠片を口元に添えれば意識はそっちに行ってしまったのかしゃくしゃくと食べ始めた。


 ノルア……ご主人様の私よりダリスさんに飼い慣らされていない?ダリスさんもどこから欠片を出したの……そしてノルアはポメアの手に渡る。そのポメアの手にはゴリンが数切れ入っているのを目撃。


 君、朝食を食べたばかりだろうに!デザートは別腹ってやつですか!?


「もういいか?」


「どうぞ」


 どうやらいつの間にか貴族としての立ち振舞いら終わったらしい。お祖父様とお父様が確認しあっている。挨拶だけで紹介も何もしていないのだけどね!あれだけ言っておいて意味なんてないじゃんっ。


 早いね!一瞬で威厳が拡散してデレッデレの顔になったよっ!?


「お前、いつの間に娘を増やした。私に報告をせんか」


「ふっふっふっ。可愛いでしょう?来れないとわかっているので仕方なく黙っていたのですよ」


「抜かせ!どうせお前のことだ。仕方がないとか言いつつ故意に知らせなかっただけだろう」


「分かっているのなら聞かないでもらいたいです」


 お父様とお祖父様の間に戦いが始まった。お父様が優勢らしい。誇らしそうに笑って軽くあしらっているね。


「あの状況では無理だったでしょうに。クレラリアも大変だったでしょう?」


「わたくしはお義母様にお知らせしたかったのですけど……あれらが邪魔をするので迂闊に言葉は入れられませんでしたの」


「仕方ないわ。そのお相手がお相手でしたもの。でも、ここ五年くらいは大丈夫だったでしょう?難しいとわかっていましたが遅れてでも連絡はほしかったわ」


「現ケーリィム男爵家当主へ送ったものですから返事を打ち切られましたの。わたくしたちは今まで家督を譲られた事を知りませんでしたからどうしようもありませんでした」


「まあ。あの子ったら報せもしていなかったのかしら。嫌だわ、ケーリィム家は見放されるわね」


「アーガスト家とお義父様とお義母様は親族であると思っておりますわ。見放したりいたしません」


「ありがとう。わたくし、一番上の息子にはほとほと呆れてました。いったいどこで間違えてしまったのかしら」


「関係者を洗うしかありませんわ。他のご兄弟はわかってくれると嬉しいのですけど……」


「わからなかったら泣いてしまうわ」


 お母様とお祖母様は両方とも静かに怒るタイプなのではなかろうか。もうっとかちょっと可愛らしく言っているけど吐き出されるため息は少しだけ荒々しい。


 すっごく身構えていたのにまずは親からなので拍子抜けです。あれだけ祖父母たちは危険だ!とか盛っていたくせになんでしょうね、これ。被害がないなら別にいいけどさ。出されたアップルティー……この世界だとゴリンティー?なんかメスゴリラに洋風の名前をつけた感じだね。ヌ、てつけたらゴリラ風のお蝶夫人が浮かんでくるよ。


 ――ん、んん!……………………………………変な事を考えていたらついに私である。タイミングがばっちりなのはいかがなものか。言いたいことをそれぞれ息子と嫁に訴えたら今度のターゲットは私らしい。


 ぐりんとこちらを見て何か期待しているようです。囁くようにトールお兄様が挨拶と言ってくれなければ首を傾げて無言の何かが出来上がっていたかも。


「クロムフィーアです。今日はお祖父様とお祖母様にお会いできて嬉しいです」


 ごめん。何も考えていなかったので当たり障りない、普っ通の紹介を言ってしまいました……伯爵令嬢の挨拶なんて考えてもいなかったよ!でも成功?らしい。まあ!と叫んだのはお祖母様。いち早く動いたのもお祖母様。


 おかしい。まあ!とはしゃいで色々とお父様とお母様に何か話し出し、お祖父様がトールお兄様を巻き込んで話し出したら――そうしたら私の上半身と顔面に弾力の圧迫が生じる。


 お祖父様が誘導したのか……華麗にドレスを捌いて近づいてきたお祖母様は本当に素早い動きだった。さっ!と立ち上がってだ!とフリーの窓側からこちらに駆け寄ったと思ったらもう訳がわからない。とりあえず息が出来なくてもがいています。苦しいっ。


 くぐもって何かが聞こえたけどわかりません。そういえば席は私が端っこで隣がトールお兄様だったね。リディお姉様もさすがに飛び越えられないか。だったらトールお兄様も日頃は鍛えているのだから瞬時に助けてくれたっていいじゃないっ……


 息苦しさで思考が薄れてきたので抵抗していた腕から力を抜く。と同時に解放感。ちょっと朧気の視界に意識がそのまま霞みそうになったけど、鼓膜に突き刺さる悲鳴でちょっと意識が戻ってきた。


 私、死んでいませんね?意識が落ちるってこういう意味だったのか……3歳のリディお姉様っだったから確かに死にかけるよね。私も死にかけたけど。


 とりあえず休憩させてください。




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