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家族団欒

修正いたしました。28.12.17

「はー……やっぱり家族で揃うのはいいね。癒される」


「本当に素晴らしいわ。最愛の人と最愛の子どもたちに囲まれながらこうしていられるなんて――やはり毎日でもやりたいわ」


 はははははははは。私は年に数回でいいよ。………………まさか未だにお父様の膝の上と言う特等席に座らされるとは……子離れっていつですか?お父様に対してそれはないような気がします。


 今日は数日が経って無の日。あれから我が家でのんびりしてお父様が忙殺でもしているのではないか?疑惑の後、やっぱりと言うかそうなるよね、と妙な納得で本日は一日だけお父様のお休みです。


 投げ捨てるようにレーバレンス様がお父様を置いていきました。よほど疲れていたんだろうね。表情が死んだままで玄関に放り投げて帰っていったから……


 でもお父様は逆に元気が良くなったんだよねー。何事もなかったかのように厚い抱擁を家族全員に振る舞い、今日なんて朝食を食べたらあのテラスにお呼びだし。


 なんだなんだと集まれば「家族団欒を楽しむぞ!」なんて音符が語尾に乱舞していそうな勢いで宣言してソファーに引き込まれたのだ。トールお兄様とリディお姉様は。私はひょいと抱き上げられたと思えば膝の上さ……


 そしてしばらくは何も語る事なく、ジェルエさんが出すお茶にほっこりして……縁側の老夫婦のようにまったり。お父様の右隣に座っているトールお兄様はどこか遠いところを見ている。逆の左隣はお母様で向こうがリディお姉様。なんの抵抗もないようで、ジェルエさんが出してくれたお茶を飲んでいます。


 私はこのまま抱っこちゃんだよ。何か?私は足の不自由な子どもですか?目の次は足?止めてよ縁起でもない。でも離れると言う言葉はないらしい。お母様と夫婦が寄り添ってまったりしているのが現状だ。


 因みにノルアも私の膝の上だったりする。いや、なんか着いてきたから……それにノルアは私の護衛でもある、てお父様が言うので問題と言うものはないね。最近ではよじよじしてくるノルアに慣れたのか、お父様は驚きもせずに微笑んでされるがままでいますよ。


「お父様、今日はお休みなのですか?」


「そうだよ。レーバレンスに働きすぎだ、と怒られてしまってね……もう少しで『帝王(げひん)』のおっさんを追い出せると思うんだけどなー。うまくいかないね」


 そこまで浸透させたいのか、『帝王』=『下品』と……もう、何も言うまい。


「今回はずいぶんと対応が早いですのね。帝国はそんなに酷いのです?」


「んー……けっこう、酷いかな。帝国側の主張には嘘偽りがなく、あっちは植物が少なかったらしいよ。私はこの国から離れたとこがないのでなんとも言えないが……見たことがある者にとって変わり果てた姿だ、とは言っていたね」


「そんなにですの?帝国はよくそのまま独立でいられましたわ」


「帝国は狂戦士が多いからあまり他国に頼ることはなかったと聞いている。父上、こんな話を教えていいのですか?」


「別にいいよ。もう少し後になるだろうけど、我が国は帝国の開発技術などを引き換えに友好国へと変わるそうだ。そのためにまず、あっちの国を知らなきゃいけないんだけどね……」


「歯切れが悪いですね。お父様、やはりお疲れなのではありませんか?」


「家族とこうしてのんびり出来るから疲れはなくなったよ。ただ、もしかしたら陛下が一度、帝国へ赴くかもしれないと言っていてね……」


 ああ、陛下が行くのなら王宮筆頭魔法師、もしくは十進魔法師であるお父様が出向かなきゃならないかも知れない、と。だから渋っているんだね?


 そしてただいま充電中、みたいな感じで私をぎゅっとしないで下さいな。ノルアもぎゅっとなっちゃってしっぽがぱたぱた揺れて抗議している。


 そのしっぽがトールお兄様に当たる――と。飲み終わったから大丈夫だったけどね。


「そう言えば父上。騎士の遠征はいつか決まりましたか?」


「……決まったぞ」


「いつですか?」


 ん?んー?あれ?ちょっと……なんだか腕が締まっていく気が……?


「あ、」


「いつですか?」


「明日……」


「え?遠征は冬ですよね?」


「急遽!変更!だから淋しいんだよぉぉぉおおおおおおお!!!!!!」


「うぐぅっ――っ!?」


「ひゃあああ!?」


「嫌ですわ。わたくしもトールが遠征に行ってしまって淋しいのですよ?ね、リディ」


「え、そ、そりゃあ淋しい、ですわ……」




 そんな事より助けてえええええええ!?




 お父様の膝の上に乗っていて、お父様がガバッ!とトールお兄様に覆い被さるように飛びかかったために私はサンドイッチ!にならない!けどっ、お父様が両手をトールお兄様の肩に回すようにしたがために膝の上に乗っていた私の支えはない!ぽろんだよ!


 それに気づいたトールお兄様がテーブルにぶつかる前に手を伸ばしてなんとか支えてくれたのでぶつかりはしなかったよ!でも私はトールお兄様の伸ばされた腕にしなだれているだけなので……ここからどうする事も出来ません!もう半分は落ちていますからっ。因みにノルアはごめん。ぽろんと飛んでいってしまいました……でも本人は余裕で着地だけどね。そんな隙間、私には無理ですからっ。


 このままの体勢でお父様が泣き始めてしまった……離してください、とお願いしているトールお兄様の声は届かないらしい。なんだか呻き声が聞こえたのは聞き間違いにしておこうと思う。


 そんな事より私はどうするか、だ。中途半端に浮いた体を元に戻すのはちょっと無理。まずどこに着地をしろと言う。私の足ではソファーとお父様の足も加わって地面に届かない!


 いや、ぽーんと軽くジャンプすれば届くんだよ?ただお父様がトールお兄様に抱きついているから足まで移動しているのです。


 現在の私の位置。トールお兄様の足と、お父様の足の間に挟まっています。体はほぼ横向き。トールお兄様の差し出された腕にぶら下がるような形で支えられている。微妙にお尻が浮いていたりも……


「父上……クフィーが落ちますよ」


「……落とすわけないだろう?」


 落としかけてはいたけどね。何さりげなく私を抱え込もうとしているんですか。いや、すごく安全になったけどっ。トールお兄様、ありがとうございますっ!本当に出来たお兄様だよねっ。


 そんな私たちをどこをどう見てかはわからないが、お母様は「羨ましい」「ずるい」「わくたしも」とほほほ、なんて言いながら笑っています。笑っていないで私は助けてほしかったな!


 満足したのか支えられていた私はトールお兄様の膝上に移動させられ今度はお母様とリディお姉様が抱き締められていた。これはあれか。働きすぎて家族成分がなくなったと言う、あれか。補充か。それとも充電か。


 そして今さら気づいたけど、5人掛けを4人で真ん中に集まったものだから私の席がないと言う事実。頑張れば隙間に入れるけどそんな事はさせないんだろうな……下ろす以前にトールお兄様に目を隠される、と。ああ、家族の前なのにオープンだよね。どうしてこんなに大恋愛を継続させられるんだろうか。目のやり場に困っちゃうよ。隠されているけど。


「やっぱり会えないのは辛いな……」


「お疲れのようですわね」


「父様、どうして遠征が明日になりましたの?冬ではいけませんの?」


「色々あってな……騎士は如何なる時でも対応できるように今年から遠征は前情報なしになったんだ。だから次はいつになるかな……」


「父様を見ていればわかる気がしますわ」


 確かに。項垂れていそうだよね。「うっ」て。即バレしてそう。ところで……私はいつまで目隠しされているのでしょうか?


「あ、そうそう。魔法院はまあ、変わらずだよ。ちょーっと私が遊びにいく程度だから。説明は明日くらいにしてくれるんじゃないかな。だからクフィー、明日はトールと三人で城に行こう!」


「わかりました。あ、そうです。そ――……ソリティアさん?の事なんですけど」


「クフィー、さすがにそれは誰だい?」


「えーと………………あ、ソマディオさんでした。もしかしてもう色々と決めてしまいましたか?」


「ああ、ソマディオ、ね……決めてないよ。それについてまたみんなと相談しようと思ってね。トール、いつまでクフィーの目を隠すんだ?」


「父上が母上に見境なく愛情を表現しなければ」


 え。まだいちゃついているの?それはそれでお父様ったらすごいね。そう言うのは2人の時だけにしてほしい。


 えー、てなんだか子どもみたいに抗議をしているんだけど?お父様、やっぱり仕事のしすぎでぶっ壊れたんじゃない?ノルア、ちょっと攻撃してやって。……そう言えばノルアは?


 そんな事を思っていたら暗闇から脱出!ちょっと眩しく思えたのは目隠しされていたからだね。あと気持ちだよ。本当はサングラスを掛けているみたいに眩しくはないんだけどさ。あ、ノルアったら激甘クッキーをかじってる。その内虫歯になるよ?またぱんぱんに詰め込んでいるし……


「あ、そうだ。クフィー、できたら明日は騎士棟に顔を出してくれないか?キャロラリンがそろそろ暴走しそうなんだ。と言うか暴走して我が道を歩いていて止められないんだ。父上、いいですよね?」


「私も行くぞ。息子と娘を送り届けるのは私の役目だ」


 いつからそんな役目が――てかキャロラリン……君はどうしたいの?そして私はお父様の膝の上に戻されるんだね?あ、もういちゃいちゃは終わったんだ。よかった。


「あ!大事な事を忘れていた!」


「どうなさいました?」


「クフィー」


 私?


「なんでしょう?」


「欲しいものはあるかい?あまり高額な物じゃなければなんでもいいよ」


「あ、ずるいですわクフィー!わたくしも欲しいものがありますのにっ」


「リディったら。それは本当に必要なもの?お母様とお話ししましょうか」


「……今のところ特にほしいと言うものはありません」


「いや、何か考えてくれないと困るんだけどな~……」


 上を見上げたら本当に困ったような表情で新緑……だっけ?の髪を掻く。考えてくれ、と言われても、ね?そんなすぐ思い付かないんだけどな。欲がないとかじゃないんだけど……やっぱり限度ってあるからね。7歳児って普通はなにを欲しがるのかな?


 書斎の本は閲覧の禁止が出たから別の本?欲しいものは何か、って聞くけどやっぱり1つだよね?うーん。なにをねだればいいんだろう……


「急にどうしたのですか?クフィーが悩んでいますよ」


「ああ。――クフィーには魔法剣で色々と活躍をしてくれたからね。魔法騎士はまだまだ要検討だが設立もできたし入隊希望も増えて成功している。だから、魔法剣のお手伝いをしてくれたクフィーに褒美を与えたいとグラムディア殿下が仰ってね……それを忘れていたから危なかったよ」


「グラムディア殿下のお言葉を忘れないでくださいっ。……いつまでご報告をなさるのです、父上」


「………………明日」


「また明日ですか。急すぎますよ」


「トール、これは仕方ないんだ。騎士への権限は私が持ち合わせているわけでもないし、殿下は昨日に仰った。私は悪くないぞ」


「………………クフィー、遠慮も必要だからな?」


「そんな大層な物をお願いできませんよ」


 おっそろしい事はしない主義です!でも、急に欲しいもの、か……何かの資料ってなると物によっては疑われちゃうし。本は読み飽きちゃうかも知れないデメリットがあるね。


 かと言って今回限りの消耗品はなくなった時にまた手に入れられるか、となるといらないかな。継続的にもらえる褒美じゃないと思う。てかそれを言ったらかなり図々しいよ、私。


 保存ができて永久的なもの?置物とか?そうなると……ヌイグルミ?いや、私はそこまでコレクターなわけじゃないよ。てかあれ以上に増えたら管理が大変だからパス。宝石や装飾は色がわからないからただの石や形としか思えないので却下。そうなると色関係も考えなきゃならないの?


 ペットとか花のそう言った飼育関係も微妙だなあ。花の世話はボテガイラに投げちゃいそうだし。別にやってもいいけど無の日しかできないなんて中途半端すぎる。あと、咲いても色がわからないからちょっと萎える。


 また動物にしてもノルアと仲良くやれるのかが謎だし。大きさも考えなきゃならないでしょ?餌代とかも馬鹿にならないよね。あとは何があるかな……?


「なんでもいいんだけどなー。クフィーの欲しいものだよ?」


「いざ聞かれると何がほしいのか……お父様でしたら、何がほしいですか?」


「そりゃ当然、家族との時間だよ」


 自信満々にいただきました。


「じゃあ、お父様の休暇で」


「え?」


「へ?」


 もうしばらくしたら休暇が貰えるんだっけ?まあその時でもいいけどさ。どっかで家族愛を補充しないとまたレーバレンス様やヴィグマンお爺ちゃんに迷惑がかかるからさ。


 私の目の事とか。今後とか。あと、言っていなかったけどまぐとりが変なことを言ってそれっきりなんだよね。それも確かめたい。そして私は普通に魔法院で勉強ができるのか。目が白と黒のままなら将来的に考えて私は魔学医になれるのか。


 そろそろ色々とお話し、しようよ。




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