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風変わり

誤字・脱字・加筆・修正いたしました。27.4.5

 

 はい。やって参りました。2歳です!いつの間にか2歳です!なんでわかんなかったかって?


 カレンダーないし。誰もお祝いとかしてくれなかったからです。遅れてジェルエさんがヌイグルミくれました。その時に聞きました。


 なにか?


 私だって忘れてたんだから別に気にしないよ!ヌイグルミ1個だけだったなんて、気にしないんだからね!


 特大なヌイグルミだけど。大人等身大のヌイグルミだけど………これ、中に人は入っていないよね?お父様、入って、いないよね?


 ダリスさんすら見えなくなるような大きい、ライオン。たぶん。持ち運んできたから中に人はいない、はず………


 お座りして可愛いんだけど………見上げなくてはならないそれはけっこうな迫力があるんだよね。何て言うか顔はメルヘンで円らな瞳のくせに圧巻です。さすがライオン。ヌイグルミでもその強さを垣間見せるのかっ。


 下から覗けばライオンの顎しか見えないヌイグルミ。ぶっちゃけ怖くて近づけないのは内緒です。近づくきはするけど………見る―――見上げるだけ?みたいな。


 いや、だってデカすぎて持てないし。よくて触るだけだよ。肌触りはいいんだけどね。やっぱり爵位持ちだといい素材のヌイグルミが手に入るんだね!


「クロムフィーア様もついに2歳ですか」


「こう言ってはなんですが、リアディリア様と真逆でございますな」


「そのリアディリア様がもうそろそろ来られるんですよね。ワーナはよく尽くしてくれています」


 ワーナって誰だよ。て、ツッコミはしないよ!大丈夫、わかっているよ。我が姉の侍女さんだよね!私はわかる子だよ。苦労しているんだね。


 頬に手をあててため息なんかつかないで下さいな。目の前でやられたら慰めなきゃならないじゃないか。


 座り込む二人の膝にポンポンと叩いて笑っといてあげるよ。にへら。私の笑みで疲れを癒してくれ。


 馬鹿にしてる訳じゃないけど、君たちはこうされるとホッとするのでしょう?


「クロムフィーア様!」


「今日も頑張れますな!」


 君ら現金だね。私の笑い一つでここまて元気になれるのもどうかと思うぞ。


 あんなに落ち込んでいたのにすぐに2人とも微笑んで私と遊んでくれるからいいんだけどね!ダリスさん、仕事はいいのかい?


 そうそう。この前、私がお城に行ってきた後で色々わかった事と変わった事があります。


 まず変わった事。あ、ドトイルは影からこっそり見ていたお父様の黙認で約一か月後に復帰したよ。私が笑っていたから謹慎が溶けたらそのまま復帰だって。


 因みにロノウィスくんとの仲は微妙です。上下関係は崩れていないみたいだけど、ドトイルから喧嘩の申し込みはなくなったんだって。「庶民が!」とかはまだうるさいんだけど。


 やっぱりがに股で私をブランコしたのがいい印象に築けたみたい。あれからどうしようか必死にメイドさんとロノウィスくんに訪ねてお互いの仲が少し変わったかかね。お父様談で実際は知らないんだけどね~。ちょっとは改善されたんならいいんじゃない?


 そう!お父様とお母様も変わったんだよ!


 あの一件(私の魔力暴走)でなにか吹っ切れたとか。私に会いたいからジェルエさんとダリスさんに相談して監視下の元、気持ち1時間程度は毎日遊んでくれます。


 ええ、気持ち1時間ですよ。毎日来てくれるんですよ。どういった風の吹き回しだよ?て思って、ジェルエさんを見つめたら語ってくれました。


『どうして逢ってはいけない。ちゃんとした理由を言ってみろ』


『では、失礼します。旦那様、奥様。リアディリア様の例がございますからあまり甘やかしてはなりません。失礼ですが旦那様と奥様に任せると我がままに育ってしまうのは眼に見えていますので、触れ合える時間は室内のみ、少しの時間で決めさせてもらいます。贈り物もお祝いの席以外では駄目ですよ。リアディリア様のように付け上がりますから。まだ小さいのにお二人で宝石店へ出向かれ金貨50枚相当をリアディリア様にあげられたとか?この前はドレスに金貨100枚はいきましたでしょうか?………今では月に一度、宝石とドレスを所望する様子ですがこのままだと伯爵家はリアディリア様のために破産されるのではないでしょうか。もしお聞きしてもらえないのであれば私は侍女長をやめさせてもらいます』


『ぅぐ!』


『私からも言わせてもらいますが、トフトグル様が遠慮なさってからリアディリア様への金銀の動きが荒すぎでございます。見える未来がこのままであれば、老い先短い私めも辞退させてもらえないでしょうか』


『すまん!我慢する!!』


『よく言ってくれたわ。言われなければアーガスト家は借金に負われて不名誉で消えていたでしょう』


『ああ。クフィーに触れ合える時間が少ないが、家のためだ。ダリス、ジェルエ―――今後も、アーガスト伯爵家を支えるために助力を尽くせ』


『『かしこまりました。旦那様』』


 だ、そうです。親ダメダメじゃん。従者に諭されてどうすんの。絶対に他人に言えないね。イケメンでもこれは駄目だわ。


 親が甘やかしすぎて姉が高慢で鼻高々になりすぎてえらい事になったらしいので、我がアーガスト家の名を汚すわけにはいかない、と執事様と乳母様(侍女長様)が奮い立った次第でございます。


 よくクビにならなかったね。二人とも。まあ、お父様の人柄の影響でもあるとは思うけど。ジェルエさんどんだけ鬱憤たまってたんだろ………


 お父様とお母様の退室を渋る時に見せるあの笑顔がなんかとても怖いんだ。


 なんかよく分かんないけど甘いもん押し付けてくるからさ。甘やかす方向を変えたらしいね。私に太れと?ジェルエさんのこめかみがピクピク動いてた、なんて忘れられないよ。


 二人を引き剥がすのに、メイドさん3人係りで私から引き剥がそうだなんて―――見てない。見てないから。即行で視線を変えて絵本に夢中です。


 何かしら最後に叫んでいるけど、絵本に夢中なら、しかたないよね。夢中になっていたら周りなんて聞こえないからね!


 あまりにもしつこい時は笑顔で手を振ってあげるんだ。そうしたらお父様がとくに泣いて喜ぶから後が楽なんだよ?決してあれは惜しむ涙じゃない。嬉し涙。


 そんな訳で、私がなぜ両親にあえないのか、と言う理由はこんなところにあったんだね………情けなくて涙が出そう。


 なに、その理由。馬鹿らしすぎて開いた口が塞がんなかったよ。魔力云々の方がよっぽど納得できるものだったよ!駄目親発覚なんてしたくなかった!!


 あと、我が家はアーガスト伯爵です。それにフォンもつけて―――つまり、私の名はクロムフィーア・フォン・アーガスト。長いな。クロムフィーアが長すぎるんだよ。姉より長いじゃん。


 あ。そっか。今日その姉に逢うんだった………高慢な姉に逢うなんてもう対立するような未来しか浮かばないんだけど。うまくやっていける自信がない。苛められたりしないよね?


 黙ってたら察知してくれたジェルエさんが頭を撫でてくれました。さすがだね。


 ダリスさんはやっぱり私のほっぺ。軽く突っついてお仕事に行かれました。そんなに私のほっぺは触りたいか。突っつきがいがあるか。いいけど。


 姉がくるまで読書する事になりました!絵本だけどね。2歳になったおかげて増えたよ。10冊ほど。どんだけだよ。低い棚がいつの間にかギッシリです。大人等身大のヌイグルミの次に圧巻です。


 中身は魔法師が半分にお姫様シリーズだけどね。女の子ならこれですか。冒険ものもドンと来いなんだけどな。


「リアディリア様が来られました」


「まあ。………クロムフィーア様、頑張ってください」


 え、頑張る必要があるの!?ジェルエさんそれとんでもない発言だから!


 待ったなしの扉全開に私の動揺は消せずに姉が登場!バーン。てな感じで両手広げていらっしゃいます。つり目ですね。お父様似かな?外見はどうやらお母様みたいに白っぽい髪に薄目の瞳です。


 誰か。色を教えてください。このままじゃ色も知らずに誰が誰だかわかんなくなるよ。顔ははっきりしてるけどさ!


「来てあげましたわよ!さあ、私に貢ぎなさい!」


「………………う?」


「ちょっと。何首を傾げてますの?私が来たのだから出迎えて貢ぐのですよ」


 おい。どんだけ上から目線なんですか。貢ぐの当たり前とかお父様、恨むよ?甘やかしてしまえばここまで酷くなるとかどうなの?え、もうやっていけない空気バリバリと伝わるよ。


 しかしまあ。一応、姉ですから?私、赤ん坊ですから?笑顔でお迎えしてあげます。にへらと笑って「ねーしゃま!」で飛び付く。おう。そう言えば言葉も少しずつ喋れるようになったんだよ!


 走ったら転ぶからまだととと、みたいな走り。お兄様のように抱きついて差し上げましょう。距離も延びたんだよ。ジェルエさん、後で誉めてね。


 お兄様より少し背の低いお姉様はちょうど太ももくらいですかね?抱きっ。と突撃して「きゃー」なんて。あれ、これ第三者で見たいんだけど。子どもと赤ん坊がじゃれ会うとか、可愛いいじゃん!


「よだれは付けないでね。これ、高いんですの」


 ドレスの値段は………まさか前に聞いた金貨100枚相当の高級ドレスって言わないよね?そんなの着てこないで下さいな。てか金貨1枚はいくらですか。ジェルエさんや、諭しながら説明してくれないかな。


「たかーい?」


「ええ。最っ高っ級!の素材で作ってもらっいましたのよ?どう。羨ましいでしょう」


「んー?そあい?」


 くっ。まだ濁点は発音できないんだよ!!


 でもなんとなく分かったのか、お姉様はすごい自慢げにいい笑みを浮かべて話だした。


 なんでも、お父様が最近魔物退治へ行ったときに狩った虫の繭を製糸して作り上げたとか。その繭は作られて五日で製糸しないと価値がなくなるまさにレアな素材だとかなんとか。


 これ、虫の繭から作られた、て聞いた辺りでちょっと引いたのは内緒の方向でお願いします。今、それで出来上がったドレスに抱きついてる事に後悔している事も内緒でお願いします。倒れそうです。よく作れたね、職人……………


 てかさ。お姉様………………長話なら中に入りませんか?さすがにドレスから手を離したいのが本音です。






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