キラキラの正体
誤字等を修正いたしました。27.4.4
気持ちよくお昼寝をしたらなにやら騒がしいです。うん。ちょっと静かにしてよ!て怒鳴りたいくらいうるさい。
誰が騒いでるんだよ、てよく見たらレーバレンス様の胸ぐらを掴んでいるお父様。すごく空気が重い。
なにやら私の近くでみんな集まってたみたい。揺りかごに囲まれるようにみんながいた。何してたんだろ?てか起きたの気づいてくれないんだね………
きょろきょろと回りを見てみるけど………………ふおお!?
「いっ!?」
「きゃー!」
「うわわっ。クフィーちゃん!それは駄目だって!」
「クフィー!よくやった!」
えー。だって掴みたくなるじゃん!
起き上がってきょろきょろしてたら黒い線のようなもの発見。しかも、チョロチョロと揺れ動く。
そんなものが視界に入れば……掴まなきゃって思わない?
と、言うわけで遠慮なく捕まえた結果がロノウィスを慌てさせる原因になったんだけどね!お父様には褒められたけど、これってなんだろう?
ロノウィスくんが必死に私の指を引き剥がそうと手を握ってくる。でも離さない。だって、お父様がそのままだ!いいぞー!!なんて言って誉めてくれているからね!
でもしばらくロノウィスくんも頑張る。けど私も頑張るよ?負けません。てなわけで引っ張ってみたり。
上から「うっ」とか苦しそうな声?が聞こえるけど気にしないよ!だってこの紐なんかすごく楽しいもの!意外とサラサラしてる!!
まだ赤ん坊だからかね?こんな引っ張る、て言う動作だけでなんか楽しくなっちゃう。私もまだまだだねぇ。で、これはなんなんだろうか?
「抜ける………………」
「私は初めてレーバレンス様の表情が変わるところを見たような気がします」
「そう言えばそうだな。レーバレンス、お前笑えるじゃないか!」
「え、笑ってなかったと思うのですが………」
「親馬鹿めっ!!」
はい。状況把握しましたー。なんとなんと。この黒い紐はレーバレンス様のしっぽ(髪の毛)でした。ごめんなさい………………
いやー。さっき、触りたいな~とは思っていたんだけどね。まさかこれがそうだとは思わないじゃん?気にせず引っ張ってしまって申し訳ない。離さないけど。
引っ張るのを止めたらロノウィスくんも外すのを諦めてくれた。大丈夫。もう引っ張りません。
「めんちゃい」
ごめんなさい。ぺこり。
まだ首と体がうまく動かせないけど、ぺこりと挨拶。静まり返ってしまったが、悪いのは私なんだよね。離さないけど。
でもちゃんと伝わったみたいで、お父様の手が私の頭に伸びてきてわしゃわしゃと撫でてくれた。髪が乱れるっ。
満面な笑みでやられたので嫌とも言えないよ。まったく。
「で。こいつはいつまで俺の髪を掴んでいるんだ?」
「気がすむまでそうしていてくれ」
「おい。かける言葉がおかしいだろ」
「クフィーちゃん、そろそろ離してあげてくれないかな?」
え、嫌だよ。せっかく掴んだんだから。私、まだ赤ん坊なので言ってる事がわかんないよ!
てなわけで首を振って否定アピール。ついでに笑っておくのも忘れない。じゃあ、てにっくきドトイルが近づいてきたから引っ張ってやる。レーバレンス様に怒られるがいい。
案の定、レーバレンス様に近づくなととても低い声で言われて距離ができた。さすがレーバレンス様だよ。でも離さないから。なんか手が離れないんで。
気を引こうとロノウィスくんがあのヌイグルミを私に渡すけど、手は一本じゃないんだよ?もう片方の手で受けとればいいんだもんね。
レーバレンス様からため息が聞こえるけど、手が離れないのだから仕方ないじゃないか。なんだか離せないんだもん。なんでだろう?あ。
「きあきあ!」
「また、きあきあかい?いったいどこを見てそんな事を言っているんだ」
どこって――――レーバレンス様の後頭部。なんかキラキラと光ってますよ?
多分でもなくあれは髪留めか何かじゃないかね?項で束なっている根本らへんが光っていますよ。指差すように手を持ち上げるけどヌイグルミがちょっと邪魔だった。仕方ないから置いて指差す。
そこで理解してくれるのが――――なんと、ドトイルだった。マジでショックだわ。
「レーバレンス様の髪留めか?確かに銀で輝くだろうが宝石の輝きと同じではないか」
「いや、宝石と違うだろ」
「でも、なんでこれを見てきあきあ~って言うんですかね?クフィーちゃんは銀が好きなんですか?」
「いいから離すように言え」
あ。レーバレンス様が怒ってる。でも離さないよ!何て言ったって掴みたかったしっぽだからね!
にへら。と笑いながらレーバレンス様を見ればほら。無表情に宿る瞳は戸惑い。なんか見てると可愛くておかしくなってしまう。レーバレンス様っていくつだろ?赤ん坊じゃなければときめくなー。
でも残念な事にお父様が引きはなそうとしたのでここは抵抗しないよ。お父様を立ててあげよう。私、甘やかされても我がままにならないからね。まだ見ぬ姉の二の舞なんか進んでなりません。
当然のように私を抱えてレーバレンス様の目の前まで持ち上げてくれる。どうやら私の抱っこ交代らしいです。
ほら、てたぶん後ろでいい笑顔のお父様がいるんじゃないかな?さっきの戸惑う眼はどこいったんだか。すごく冷たい目になっているよ?私、泣いちゃうよ?
「はぁ」
ため息をつきながらも抱っこしてくれましたー。正確に言えば俵抱きだけどね。なんで?しかも高いよ!
そのまま歩きだすからちょっと面白くなって笑ってみた。それを見てかお父様も微笑ましそうに笑うけど、ロノウィスくんは慌てる感じ。なんだか面白すぎてさらに笑えてしまう。
で。私はどこに連れていかれるのでしょうか?部屋から出ちゃったよ?
レーバレンス様もなかなか高くて楽しいけど、説明ってほしいよね。中継したいけど俵抱きじゃあ床しか見えない。しかも一面が白だよ。ははは。
お父様がなんとか言ってるけど止まる気配なし。なんかお腹に食い込んできたな。
さすがに口から出すわけにはいかないからなんか手なんかでべしべしと叩いて騒いでみるけど………………ふむ。レーバレンス様は気にしない方のようですっ。早く止まって!
「少し待ってろ」
お。ロノウィスくんに選手交替ですか?次にドトイルは止めてね。まだ許さないから。
ロノウィスくんに預けたレーバレンス様はそうそうに中のどこかに消えちゃった。わけがわかんないです。もう少ししっぽ(髪の毛)を触っておけばよかったかな。もったいない。
ロノウィスくんをみても苦笑い。仕方ないので回りを見渡す事にする。さて、いったいどこに連れてきてくれたのかな?
「おはにゃ!」
「私が初めて連れていきたかったのに………」
お父様がなんか言ってたけど気にしない方向で!それよりも視界に広がる花畑にちょっと興奮です!
色なんてなくても匂いなんかが堪能出来るんだよ!ビックリだ!
ちょっとだけ色がなくてつまんないと思ってたけど、まだ別の楽しみ方があるからいいじゃないか。綺麗な形には変わりない。
気を聞かせてくれたロノウィスくんが私を下ろしてくれて、すぐさまお花にかけよる。もちろん、鑑賞だけです。摘んだりなんかしないよ!
こっそりとロノウィスくんを遊ぶのも忘れない。「くちゃいの?」て言ったら「綺麗だね!」て掻き消されました。残念。
ガーベラみたいに手を広げるように咲く花はなんとラベンダーに近い香りがっ!?さすが異世界です。色々な事が異なっていくんだね。
つんつん突っついちゃうのはお約束。赤ん坊は力加減ができないからね。こうしてるだけで楽しいのです。
あ。あそこにもキラキラ光っているものを発見!わー!なんか花が光るって面白ーい!あれって鈴蘭のやつじゃん!遠いけど行ってみよ!
「ちーうえ!あっち、きあきあ!」
「んー?クフィーの方が輝いてるよ」
お父様、ちょっと駄目な人みたいだよ。あ、ごめん。もう駄目な人だったっけ。
「おーうぃー、きあきあ」
「あっちに行くの?」
「あい!」
両手を広げてアピール!さすがにあそこまで遠いからね。運んでくだされ。
そうすればやっぱり優しいロノウィスくんは私を抱き上げてキラキラの方に歩いて行ってくれた。なんかお父様がロノウィスくんを睨んでいるけど………気にしないであげよう。
それでそれでー?キラキラ様はいったいどんなお姿なのかなー?って!ロノウィスくんストップ、ストップ!!行きすぎだよ!!
「え?これ?あっちの噴水じゃないの?」
噴水?なにそれ?
振り向いて――――ああ。本当だ。噴水あるね。でも光ってないよ、あれ。天気がいいから水が光るかもしれないね。でもそんなの私にしたら透明で見にくいだけだから意味ないんだよ。
と、言う事であえなく知らんぷり。私の言っているキラキラはこっちなのでそっちは気にしない方向で行くよ。
近くで見るとやっぱり光ってるんだよね~。鈴蘭の花の中からかな?水が光ってるって感じで中から光が出てる。
それをちょいと触ってみると――――あ、手がキラキラに光ってる!
「きあきあ~」
「………………レーバレンス、まさか」
「多分、想像通りだろう」
ん?なんの事?レーバレンス様はいつ戻ってきたのかな?それを含めて首をかしげればお父様が色々なにかを話し出した。箇条書きに一例を出していく。
・魔力暴走を止め終わった時
・城を見た時
・通路にある花を見た時
・レーバレンスの髪留めを見た時
・スーランを見た時
それに何があるのかね?そう言えばお父様が口にしたものは全部キラキラしている物だったと思う。
首を傾げながらロノウィスくんに手を拭いてもらって再び抱っこ。もう帰りたいなー。
「その小さいの、魔力が見えるんじゃないか?」
誰かの、息を飲むような音がした。




