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侵入者の登場は派手でした

ご指摘された箇所と他の誤字等を修正いたしました。28.10.16

 家族団欒は満喫いたしました!リディお姉様はアビグーア中隊長が苦手のようです。でもなんか最終的には慣れちゃうっていうね、あんなに震えていたのに……適応力が高いよね、みんな。


 もっぱら私の生活はどんな感じ?て言う世間話。ん?世話話?まあ私に関しての質問が絶えなかったんだよね。気になって気になってしょうがないみたい。母心がわからないのでちょっと心配しすぎ、って思っちゃうけど……きっとこの反応が普通なんだよね。


 改めて私が幼いんだと言われましたよ。忘れてはいけない“ 7歳 ”。どうしても私は忘れがちである。つまりは小学生低学年……今までは学校に通いに行く程度だったから何でもなかったけど、長期のお泊まりはまだこのお母様には堪える。難しいね。


 だったら平民の方はどうなんだろうって思っちゃうから。少なくても同じ境遇のはずなんだけど……ジジルとかね。そう言えばあんまり身の上話はしてないかも。機会があれば聞いてみよう。


 そう言えばもうすぐ成人式があって、トールお兄様の衣装が出来上がったらしい。先に見ちゃったお母様がすっごく嬉しそうな顔で説明してくれて――トールお兄様が毅然と食事に専念していました。……お腹、空くもんね!私も楽しみなんだけだなー。


 まあ、そのおかげでリディお姉様が食いついてお母様とすごい勢いで盛り上がっちゃったから珍しく、食卓が賑やかだったよ。たぶんジェルエさんがいたらたしなめるぐらい。凄かった……


 そんなわけでまた魔法剣。今度は模擬戦だったよね?色々とやるって言ってたから私――は、お父様に預けられました。どうやらアビグーア中隊長もやるみたいです。


 あ、お母様たちはさすがに帰ったよ。この魔法剣はまだ秘密なんだって。成人式のグラムディア様復活の時に一緒にばばん!と発表なんだとか。あと50日ぐらいって言ってたからもうすぐだよね!


 と言うわけでお父様の腕の上。危ないから1人でフラフラさせないためと言ってるんどけど……お父様だと説得力がまるでない。ここまで説得力がないなんて相当だよね。ちらりと聞こえたレーバレンス様が「羨ましかっただけだろう」ってさ。私もそう思います。


 対戦は……同じ階級の騎士で模擬をするみたい。まあ、実力が割れちゃうからしかたないか。では――と言う誰かの合図とともに魔法剣を発動。場所が広いのと人数が多いことから10組を、どこからか出現させた(本当にどこから?)砂時計の砂が落ちるまで打ち合うらしい。落ちたら交代だって。ノルアサイズだね。砂があんまりないように見える。


「お父様、これはどれくらいなのですか?」


「ん?そうだな……馬車で我が家から城へ着くまで」


 意味不明である。わかるかっ!


 そんな突っ込みは空しく空振りで近衛隊長のガストレアさんの号令で模擬戦が始まった。キン!と甲高い音がそこいらじゅうに鳴り響いているよ!やっぱり一番すごいのは近衛騎士たち。


 魔法剣で打ち合っているのに何時も通りと言わんばかりに打ち込みが激しい。なかには笑いながら楽しそうに模擬をやっている人がいた。きっとあの人は戦いが大好きな人に違いない。怖いわー。初っぱなから飛ばしているご様子。でも魔法剣の乱れはない。さすが上級者。


 対して――上級、中級、下級、見習いと下がっていくにつれ手数が少なく静かだ。あ、でも逆に見習いは雄叫び?気合いか。そんな声がすごく聞こえる。


「はああああああ!!」


 とか


「でゃああああああああ!」


 とかね。気合いが入っているねー。気合いが入りすぎて魔法剣の乱れがよく分かる。そこは言ってあげなきゃわからないよね。お父様や。あそこの見習いの魔法剣が――お父様は自分で行きません。目線だけで魔法師を使っています。それに応える魔法師も慣れたもんです。王宮筆頭魔法師がまたかいま見えた気がする。


 そうやって見ていたら――確かあそこは上流騎士で固めていたよね。アビグーア中隊長が登場であります!!背が高いからわっかりやすいね!


 何やら闘志が漲っているのでしょうか。剣をひゅんひゅん言わせて馴染ませています。いや、聞こえないけどそんな感じで剣を振っているのですよ。早くてあんまりわかっていないけどさ。


 対戦相手がもうガタブルものだよ。へっぴり腰になっちゃった。てか魔法剣が乱れに乱れまくっている。たぶん、目に見える形でアウトだったんだろうね。魔法師からストップがかかってアビグーア中隊長は不戦勝。戦ってないけど。しょんぼりしてる。あ。帰ってきた。


「もうよろしいのですか?」


「俺。邪魔………………妨げになる」


「あっちの近衛の方にいれてもらってはどうだ?まだクフィーは私と一緒に見たいそうだ」


 言ってない言ってない。


「もう少し高い方がいいです」


「え」


「アビグーア中隊長様、お願いします」


「え?」


 私がアビグーア中隊長の方へ手を伸ばしたら持ち上げてくれました!そんでもって肩へくりんとやってもらったら何時もの高さっ!うん、見晴らしがいいね!!やっぱりこれぐらいの高さだと見やすいかなー。


 因みにお父様は色々と戦って叫ばなかったけど膝をついて床を殴っていました。きっと肩書きがなければ叫んでいたと思う。崩れ落ちるのもどうかと思うんだけどね。王宮筆頭魔法師様。


 そんなお父様の姿に魔法師様たちは苦笑いが消えません。てか引きずっていますよ。もういろんな意味で騎士からも注目を浴びていますね。お父様、目立つから止めてよー。アビグーア中隊長の方が高くて見晴らしがいいんだから仕方ないじゃないか。私はこっちがいい。


 でもこのままのお父様だと立場的に差し支えるだろうから、お父様は剣が扱えるのかを聞いてみる。にゅっと立ち上がったお父様は何事もなかったようにたしなみ程度だって。貴族の男は騎士ほどにはならないが、剣を触れるぐらいはやらされるらしい。


 剣をふったお父様もきっと格好いいんでですね?なんて言ってみたら当然だろう!て復活。でも騎士にはやっぱり負けちゃうからこの模擬戦は出ません、て言われちゃった。ちゃんと分かっているらしい。


 やっぱりお仕事モードだとちょっと態度が違うみたい。いつもだったらもうちょっとぐわあ!と叫んで盛り上がるのに……まあ、鍛えられた騎士の中にいたらお父様も専門外で負けちゃう……のかな?そこは全然わかんないんだけどね。


 そんな事を言っていたらトールお兄様だよ!トールお兄様ー!!私も自重して目線だけにします。アビグーア中隊長、見にくいからあっちを向いてくだされ。トールお兄様だよって言ったらお父様はちゃんと立ち直るから。


「おい。侵入者だ」


 その声はレーバレンス様ですね?侵入者って誰だろう?そんな私の疑問を答えてくれる者はいません。すぐにアビグーア中隊長が近衛に近づいて守りを固めてくださいましたから。あんなに離れていたのに、早いねー。まあ一番ここが近かったんだけど。


 ぎょっとした近衛騎士様たち。私がその騎士の真ん中に下ろされたのと、アビグーア中隊長が「侵入者です」と短く言っただけで分かったらしい。ざっ!と見渡して……わたしは囲まれたよ!?マントで見えないんだけど!?なにこれ!!逆に怖いよっ!!


 なんで私はここまで守られているのだろうとか色々と考えて――あ、私は7歳だった。ちっちゃいわ。とか変な事を思いました。ここで子どもが不慮の事故に巻き込まれたら大変な事になるよね。仮にも近衛クラスの騎士がいるんだから。


 でも聞こえるのはドゴォン!となんかどっかで聞いたことのある音。ガッ!ガッ!とかもなんとなくどっかで聞いたことがあるような音です。みんな大丈夫かな?


「げっ。キャロラリンがなんでここに……」


「剣を仕舞え!キャロラリンに傷一つ付けるな!隙間を開けずに囲め!!土魔法師はキャロラリンの足を固めてくれっ!!」


 おお!キャロラリンは聞いたことありすぎるわ!てかなんでここに来ちゃったかな!?ガストレア近衛騎士隊長様の怒声のもと、見習いも含めてガッチャガッャ音が鳴っている。マントの隙間から覗いてもいいかな?


 覗かなくてもいいそうです。コデギス近衛補佐の名前が聞こえたと思ったら担ぎ上げられました。小脇です。地面とご対面が先だったようですよ。そのまま出口へ連れてかれました!


 ちらりと見たけど……キャロラリンはあの凛々しい顔でキラキラしておりましたよ。なんか前よりすごいキラキラしてる気がする。キラキラって事はつまり、魔力暴走と言うことで……なんか、目があった気がする。


「あ、あの!」


「喋ると舌を噛むぞ!我慢してくれっ――てっ、なんでこっちくるんだ!?」


 それは分かりません。とりあえずそのつるんつるんが目に入ったのではないでしょうか。


 遠ざかっているはずなのに近づいている錯覚。キャロラリンってやっぱりすごいな。私は運ばれているだけだからこんな余裕で見ていられるんだろうね。敵?がキャロラリンだからあんまり怖くないし。殴られたら怖いけど。


 そんな私は振り向きながら観戦です。すっごく目があってる。見てる。マジでこっち見てる。でも体はあっちこっち向いて騎士が凪ぎ払われてます。近衛は飛ばない。転ぶだけ。すごいな上級騎士もけっこう堪えてる。


「あの、お父様に伝えてくれますか?」


「ぁああ!?」


「キャロラリンは魔力暴走してるんです」


「なんだそれ!?」


 そんな事を言われてもね。以前とおんなじ感じでキラキラをまといながら騎士を蹴っては投げ蹴っては投げ……前回とほとんど一緒なんだもん。違うのは近衛騎士と上級騎士の数名が転がって耐えているだけ。キャロラリンってなんだか牛みたいだね。なんか違う塊が飛んでいるのは土魔法の破片なのかな?


 よくわかんないと言う風に首を捻っているけど、コデギス近衛補佐は腹の底から出しているのか、かなり大きな声でキャロラリンの魔力暴走を伝えてくれた。これでお父様が気付いてくれたら……『水の抱擁』で眠らせてくれるはず!!


 そんな事を思っていましたらキャロラリンの全体がキラキラとして……動きが止まったけど上げていた前足をドン、と下ろしたら起きた?らしい。また暴れだした。キャロラリン……君はどれだけ暴れたいの?


 今度はキャロラリンの目が覆われました。きっと闇の魔法。いきなり視覚を奪われたせいか、余計に激しく動き回るけどすぐにまたキャロラリンの顔の近くがキラキラ。すぐに闇は消えてしばらくしたらキャロラリンが大人しくなった。倒れないなら寝ていないのかな?どんだけ図太い精神力なのだろうか。


 しばらくみんな立ち止まったけど……そうしたらばったばたと倒れていく人がいて驚いちゃったよ!なんの現象ですか!?どうした!?とか思っていたらお父様が頭をかいて笑ってる。あ、誰かが肩を使って大袈裟に力を抜いたよ。もしかしてお父様、やり過ぎちゃった?


 ちょっとその場で喋りあって手を振っていただきました。ちょっと警戒しながらコデギス近衛補佐は近づいてくれるんだけど……いい加減、下ろしてくださいな。食い込むんだよー。


「すまん。ちょっと強すぎたみたいだ。近くの奴らが寝てしまった」


「確かキャロラリはしばらく四人制で昼夜問わず管理しているはずだろう。担当はどうしている」


「今それを調べる。まさかキャロラリンがな……」


 自惚れじゃなかったら会いに来たんだろうな……だって、顔を見せに行くとか言ったのに行かなかったし。キャロラリンには言ってないけどね。我慢が爆発したんだと思う。


 それはレーバレンス様が思い付いたらしい。そう言えば……みたいな滑り出しで事情をちょっとだけ話して私に注目がっ。そんな幹部のみなさんがまとめて幼女を見ないでよ。怖いじゃんか!


 もっと怖いのはコデギス近衛補佐の抱き方に不満をさらけ出しているユリユア様だけどね!引ったくられてユリユア様の腕の中に収まりました……今日は地面が遠いな……………………


 で、これをどうする?どうしようか?


「起こすしかないだろう……嬢ちゃんが起こせば安全、か?」


「まだ罰則は続いているから少しだけだ。声と姿だけたぞ」


「そうなると初めからこの嬢ちゃんを見せれば落ち着いたんじゃないか?」


「あの騒ぎで幼女を差し出せるか?しかもグレストフの娘だぞ?」


「私が許さん」


 お父様からと思いきやユリユア様から反対されました。コデギス近衛補佐が面食らってます。でも納得しちゃった。なんででしょう?


 とりあえずまずはごちゃごちゃしている騎士を叩き起こす。そこで最後に私が声をかけてキャロラリンを起こして退場です。


 そう言えば四人ほど気分が悪そうな人たちがいた。その中にトールお兄様がいたから、やっぱり今回はかなり酷い魔力暴走を起こしていたんだろうと思われます。魔力酔いって二日酔いの方なのかな?それとも乗り物酔いの方なのかな?


 なんとか片付けてキャロラリンもすっごい近寄りたそうに動かなかったけど、なんとか宥めて帰ってもらいましたよ。因みにお世話していた騎士は肋骨と足を骨折して動けなかったらしい。殴られて気も失っていたのだとか。キャロラリンが怖い。


 そして地面とか直していたら運悪く鐘がなっちゃうから魔法剣はここまで。なんか消化不良を起こした感じで終わっちゃいました。みんな微妙な顔だ。だから後日、改めて……になりました!キャロラリンはいつもすごいね。最強だわ。


 あとで聞いた話……キャロラリンはグラムディア様にすっごい怒られたんだって。怒る顔が想像できないんだけど……最終手段で残していた脅しが効いてしょんぼりしているんだとか。それはなんですか?て聞いたら――


「二度と乗らない」


 なんだって。それは……馬としては、堪えるだろうね。キャロラリン、頑張れ。




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