魔法騎士隊誕生の第一歩
修正いたしました。28.10.16
超絶、笑顔と超絶、仏頂面の2人をお迎えして朝からどうすればいいのか右往左往している私です。とりあえずおはようございます。お父様、レーバレンス様。
今日はレーバレンス様によってここに来てくれたお父様は叫びながら私に抱きついて挨拶してくださいました。食べたものが、んばーと出そうになったりならなかったり色々とやばいです。ちょっと落ち着こう。
そんなやり取りを見たレーバレンス様から冷気が漂っていますから。よく分からないけど、冷気がね!?もしかして低血圧でしょうかっ。睨まれたよ!
――そんなこんなで……ごちゃごちゃしながらもようやくお出掛け。エジーラ様になんだか微笑ましいと言うように見送ってもらいました。やばいお姉さんを飛び越えて第三のお母さんポジションが確立されそう。第一はあっちのおかんね。第二のはお母様……元気にしているのだろうか?
そんな事を思っていたらいつの間にかアビグーア中隊長も来ていて騎士棟に飛んでいっちゃったけどねー。あ、ノルアはお留守番です。気分屋くんを騎士棟の広いところに連れていったら大変な事になりそうだもん。ちゃんと頷いてくれたから大丈夫だよ。レーバレンス様がすっごい凝視していたけどね。
そして飛んだらあの受付だった。ちょっとビックリしながらメザックさんが私を見て納得の顔で頷いています。その頷きはなんでしょうか?まだ通行書の牙を見せていないのに。
まあ、受付もざっくり終わって私はアビグーア中隊長の肩の上。もう何も言うまい。景色がまったく違うし、面白いからなんでもいいよ!お父様が下から何か言っているけど聞こえません!
そして案内された場所は……どこかの訓練所。私が細かくわかるわけありません。どこかだよ。そこにはずらりと並んだ騎士のみなさま。なんだか、すごいごってごての鎧を来ている人と、マントをつけている人が半分。あと半分がたぶん見習いとかなのかな?何百人?いるんだろう。あ。ユリユア様とウォガー大隊長を発見。
「王宮筆頭魔法師、グレストフだ。今日はよろしく頼む」
「王宮筆頭魔術師、レーバレンス」
「近衛騎士隊隊長、ガストレアだ。今日はよろしく頼む」
「近衛騎士補佐、コデギス。世話になる」
うん。ちょび髭とつるんつるんがかなり気になる人を発見。てか私はちょっとアウェイすぎるんだけど。せめて肩から下りてアビグーア中隊長の後ろに隠れたい。
「娘のクロムフィーアです。娘が魔力を見て回ります」
「娘さんが……ん?もしかしてあの時の娘さんか?」
そう言って見られたんですが。え?私はちょび髭の人なんて覚えていないのだけど!?見つめあってみますが……まったくわからないっ!ちょっと失礼だけど挨拶は済ませておいた。アビグーア中隊長、本当に下ろして……
でもそんな事はしてくれるはずもなく――幹部が挨拶を交わしたら即、説明になりましたー。私?そのままアビグーア中隊長のか・た・の・う・え。今なら語尾にハートが顔を覗かせられると思うよ。それになんの意味もないが。
そしてもちろん、みなさんは一度ほど私を見るのです。気のせいであってほしい。とくに上級騎士?なんだか重装備の人たちにすごい見られたって言うのはわかるよ。見習いの方?たぶん慣れたんだと思う。本人たちも、私もね。
説明はさくさくっとお父様がしていきました。まず、魔法具を着けていないかチェックして次に魔法剣を発動してもらって確認していき、そのまま状態維持にどれくらいかを見定める。ある程度の時間まで最初の状態まで維持できれば次の段階。どこまでそれを扱えるか。ここでちょっとだけふるいを掛けるらしい。グラムディア様のためにも、中途半端にはしたくないんだって。これはみなも大きく頷いて説明を聞いてくれる。
段階を踏んだところで次に魔法剣を振り回してもらい、魔法が飛び出るか。そこも見定めて数回やったあとに模擬戦。これも最初は同じ属性をやり、少ししたら相反する属性同士がどこまでやれるか、他の属性ではどこまで対応できるか見るらしい。
そして最後に――ミスリル以外の剣で魔法剣はできるのか。それと剣以外にも出来るのか。最後までやり遂げたものは継続してそのまま続けてもらえるらしい。魔力的には、魔法師のように魔力を維持し続けることを慣れていない騎士がやるのだから自分の限界も知るようにと締め括って始めることにした――いが、やっぱり私の事で疑問に思う人がいた。
遠回しに王宮筆頭魔法師の娘だからってこんなところに連れてくるんじゃない、子どもは邪魔だ。との事です。そんな遠回しでは私に通用しないので、私は当たり障りない表情で見るしかない。
しかし……なんだろうね?文句がある人とか突っかかってくる人って大抵は魔法具をつけていると言う方程式でも成り立っているのだろうか……私は見てるだけで饒舌に語る顔は――まあ、貶してるんじゃない?兜がもみ上げまで覆ってよくわかんないや。キラキラとは、しているけどね。
「両手首。自前の剣の柄頭。耳にもそれとなく見えます」
「お前から確認しよう」
ガストレア近衛隊長様が手招き。上層部からのおいでおいでに戸惑うのは当たり前だろう。ちょうど先頭にいて、口を挟んだのが悪いのではないでしょうか。まあ後で発見しちゃうんだけど。遅いか早いかの違いだよね。
魔法師が数人いるのだけど動かないのはもしもの時のためだと思う。ここは屈強な騎士に任せた方がいいよね?と言うことでコデギス近衛補佐様ががっしり頭部を鷲掴んで兜を取っちゃった!?手のひらが大きいね!!
出てきた顔は薄いグレー。なんだか焦って後ろに後退しようとしているけど、コデギス近衛補佐様の手にかかれば肩に手を置くだけでいいらしい。へっぴり腰でちょっとカタカタしながら動かなくなった。
「お前、耳飾りなんか着ける奴だったか?」
ギロリと睨んでいます。きっとその一睨みで私もガクブルと震えるのだろう。レーバレンス様が冷気を放ちながら近づいてその耳飾りを見ている。ちょっと見て「増幅だな」と呟けばコデギス近衛補佐様のアッパー。軽く体が浮いたのはそれだけ威力があったから……なのかな?
怖いよ帰りたいよ!
「魔法具を付けている者は自己申告せよ!グラムディア様の立案に私意で便乗した者は騎士を捨てろ!我々はなぜここにいるか、よく考えよっ!!」
怒鳴り声もいいところだよっ。響き渡る声にピクリとも動かないのは私たち側にいる幹部とマントを着けた人たち。ちょっと動いてしまった見習いたちは悪くないよ!私もビックリしてアビグーア中隊長の頭を掴んじゃったから!
なにを言っているのかもはや分かっておりません。とりあえず口に出していなかったのが救いです。
それから自己申告してきた人が3人ほど出てきた。でも彼らはもう一度チャンスをっ!とかなり深い頭の垂れかたで願い出てた。一人はたぶん、貴族だと思う。その貴族が頭を下げたのがまた波紋を呼んでる。
私としてはすぐに失態に反省して改めるなら貴族だろうとなかろうといい印象を与えてくれるんだけどね。でもあっちの騎士はごにょごにょと「ださい」とか「三男だから」「必死すぎ」とか色々と聞こえる。
学校でもあんなの、あったよね。虐めの最初はまず見下す。その反応を楽しんだら声をかけて色んな事をやっちゃうんだよね。きっとそういう人たちなんだと思う。
「今日で結果を出せ」
それだけ言うと彼らはもう見ちゃったから別の方に移動。別けなきゃ混ざって誰が見たかわからなくなるからね。
それからさくさくーと見て引っ掛かったのが4名。貴族っぽい。きっとぼにょぼにょ喋っていた人たちかなー?そんな人たちは必ず見た私を避難する。それでも回りが動じなければ巻き込むように扇ぐんだよね?でも彼らは遠回しに近衛を貶したので退場。ウォガー大隊長がすっごい悪どい顔で「親でも呼んでやろうか」とか囁いていました。悲壮な顔が全快になって消えましたよ、彼ら。その後――彼らを見たものは……なんてね!
それはそうとまたもやビックリなんです!!なんとなんとトールお兄様ではありませんかっ!?なぜここにって見ていたら軽く怒られましたっ。なんで!?たぶんアビグーア中隊長から下りていたら小突かれていたと思う!!
理由は簡単ですよね。選ばれてたんだ、トールお兄様。それと続いてあのいい線いっているよねー、て話していた3人もいました!子爵のラディム。気づかなかったけどドワーフのムドラン。男爵のクローヴェル。並んでましたよ!ビックリだ!顔色が悪いけどさ!それはさっきのだろうか、アビグーア中隊長に対してなのか……ちょっと気になっていたりします。
終わったところで近衛騎士も混ざりつつ、等間隔に広がって魔法剣を。私は背が高いアビグーア中隊長の肩から見下ろして皆様を見ていきたいと思います!みんなキラキラだよ!すごくキラキラ!なんだか面白いです。にやり。
だいたい1時間を目安にやるそうなので……その間に私が選抜しますよ。なにを選抜するかって?ほとんどの人は魔法剣ができるけど、ここに選ばれた人は希望者と魔力が多目な人。それと魔法剣を上手にこなせる人が集まっているのです!
だから私はここで魔力を、魔法剣の放出具合を見て今後はどうやってその人を伸ばすか考えるんだって。魔力操作に費やす時間とか、騎士の訓練とか時間調整があるからね。
上から見てアビグーア中隊長と魔法師1人を連れてまずは魔力を放出しすぎてキラッキラの魔法剣にしている9人を教えていく。名前を聞いて魔法師がメモっていきます。なんだかみんなびくびくしているよ。でも君たちは魔力操作を知らないと早めにダウンすると思う。
次に魔法剣は出来ているけど魔力が薄い人。この人たちもちょっと魔力操作を頑張った方がいいかな、て人だね。出しすぎもよくないけど魔法剣の意味があまりないから普通の騎士とかわんない。5人をまた名前を聞いてメモしていく。
次は……魔法剣が出来ているけど別のところからも魔力を放出している人。無意識なんだろうねー。これが4人。トールお兄様もなんだけどもう一人も微妙なところなんだよね。そこは魔法師の判断で……大丈夫だそうです。本人たちが理解しているから。他2人は首を傾げちゃったからあっちでお話しだそうです。
ぐるりと回って後気づくのはあるかな?と言われましても……うーん………………この人、かな。とりあえずその人の目の前に行って魔法剣をよく見てみる。なんだかキラキラと放出はされているんだけど途切れるんだよね。わかんないけど。
でも魔法師が言うには魔法剣は維持されている、って言うし……なんなんだろう?あ、また途切れた。でも一瞬ぐらいで復活。うーん?悩んでいたらレーバレンス様が登場しました。囲まれた騎士が百面相してるや。
「どうした」
「意見が別れました。魔法師様は魔法剣がちゃんとできていると言いますが私から見たら魔力がたまに途切れるので魔法剣が少し曖昧なのでは、と」
「………………魔力が途切れると魔法剣は成り立たない」
「では、なぜ途切れるように見えるのでしょうか?」
「単純に考えてそいつの属性が二つ存在するんじゃないのか?色がおかしい」
「え?」
そうなの?とでも言うようにみんなで注目してみる。当然、聞こえていた騎士からも見られて視線は色々なところから集まるよね。
聞かれた本人はもうたじたじで――魔力が乱れていますよ!なんだか危ないからお父様を呼んでみることにした。ほら、お父様も二つ持っているから。お父様で試せばはっきりするよ!
と言うことで呼ばれたお父様はん?とした顔で青年から剣を借りて魔法剣を作ってみせた。お父様がやると魔力が大きいから炎と氷が混じっているらしくて……なんで蒸発しないの?あと煙が出ないんだろうか。
まあ、大変な事になっていました。キラキラが凄すぎて私はあんまり捉えられないんだけどね!くっそう!でもこれで納得しました。二つでたおかげで交互に光っているんだろうね。お父様もけっこうな早さで途切れていたの。キラキラ~じゃなくてキラ!キラ!て早変わり。量が多いけどぱ!とキラキラが出てきたり忙しい。それを言えばみんな納得したように青年はそのまま魔法剣の維持をしてもらった。何かあったら叫ぶようにと……なんかレーバレンス様が囁いて次の段階に進むことになった。青年の顔が真っ白なのは気のせいかな。
では、意外にもみんな維持を継続させられたので次の段階へ。次はその場でいつも通りの基礎訓練を。ちらっと聞いたら素振り1000回って聞こえちゃった。それをやっていたらどれだけ魔法剣の脱落者がでるか……魔法剣って忍耐が必要なんだねっ。てかそれは一時間でできないと思う!
もちろん、脱落者がちょっと出た。まず、無意識に魔力を放出していて、それを知らない二人。魔力の枯渇と思わしき症状でダウン。これは仕方ない。次に魔力を大きく放出していた人。やっぱり魔力枯渇に近づいていた。
後の人は最後まで頑張っているけど……もう魔法剣を維持が怪しい人たちばかり。私がそれを伝えると近衛から苦笑いが漏れた。少しだけストップがかかる。
魔法剣を維持させたまま休憩させれば戻る人が結構いた。素振り1000回は日々やっていた事だから体力があったんだろうけど、やっぱり魔力が、ね。あと集中力とか大変みたい。
そんな私はお腹が空いてしまったよ。ヤバイ。食いしん坊ってあだ名か称号がそろそろ付くような気がしてきた。でもお昼はまだなんだって。アビグーア中隊長はエスパーなのだろうか……
そんでもって次は軽く振って魔法剣の威力を見てみましょう!と言うことで事前に調べたんだよね?魔力の大中小をぱぱぱ!と別けて見学。少量の人は岩(土魔法師が出した)に傷がついていい方かな。この辺はあんまり普通とかわんないと思う。けどやっぱり【火】とか触ったら暑いらしい。火傷には気を付けてね。
中くらいの人も大小は様々だけど魔法を飛ばしたりしています。すごいなー。因みに魔力大の人は最上級をバンバン放ってた。ほぼ近衛とおじさんたち。そこにユリユア様も加わっています。怖いよっ……
因みに魔法師もお披露目していました。なんでも今日はちゃんと全属性が揃うようにしていたらしい。人数が多いのは騎士が多いからだと思っていたよ。違うんだね。
それぞれなかなか大きな放出を放ちながら魔法剣を出してます。私は残念ながらキラキラの量と最後に出ていった魔法の形跡しか見えない。【光】が一番、わかりませんでした。キラキラと普通の光が合わさってもう何がなんだか。一番分かりやすいのは【闇】でしたよ!闇は黒いからね!だいたいわかったさっ。
で、一旦挟んで休憩でーす。何て言われたらご飯がよぎるのですよ。お昼に万歳だよ!!だからお父様の後ろに繋がって一室で一緒に食べようってなったんだけど……
「お、お母様!?リディお姉様!?どうやってこちらに!?」
「そんなに驚いてどうしたの?普通に入ってきましたけど……クフィーは私がいると邪魔なのかしら?」
「違います!逢えないのかと思っていましたら逢えたので驚いているのです!!」
と言うわけで抱きつきましたよ!なにこのサプライズ!?どうなっているの!?誰か説明をっ!!とか思っていたらポメアがさらっと言ってくれました。さすがである。
なんでも、ふつーうにトールお兄様の見学として潜入……入れてもらって、トールお兄様とお食事という名目で家族でお食事しよう!と言う事になったらしい。トールお兄様はお出汁ですか、お母様。
ちゃっかり一部屋まで確保しちゃってさ。アーガスト家って案外なんだも出来るのではなかろうか。着々と進んでいく食卓に私たち家族とユリユア様。護衛のアビグーア中隊長とポメア。八人も入る部屋ってよくとれたよね、本当に。天晴れだよ。
もっぱら私の心配をしてくれてさ。涙が出たらどうするんだか。とか言いつつ花より団子の私は相づちをうちながらもりもり食べていたけどね!美味しい~。
リディお姉様が文句を言おうとしていたけど、仕方がないじゃないかっ。お腹が空いていたんだから!見ただけで魔力を消費するとか私だってどうなのって思っていますよ!
――色々と近況報告をして家族団欒はいいね。ますます頑張ろうって、思っちゃうから負けられないと思えたよ。




