表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
162/242

危険回避のために

改訂いたしました。27.11.15

 お休みの日はのんびり、と過ごせたのが意外な感覚でまったりすごせたよ、夕方まで。休日がまさかそんな事になってしまうなんて―――誰も思わないじゃん。


 無の日で私はのんびりとお母様とお庭でティータイム。その際にボテガイラのヨレヨレにお母様と花を咲かせたり。本物の花にほんわかしたり。やっぱりボテガイラの話になったり。


 いやー。ボテガイラって実はネタの宝庫だったよ。ヨレヨレを注意しないのですか?て聞いたら笑顔で「意味がありませんから」って返ってくるし。当の本人は照れるってどう言うことなの?


 理由はボテガイラが身だしなみに拘りがまったくないから。あるとすればある程度の常識で汚れてもいい服を着る、だって。ある程度の常識ってなに。と聞けば使い古しのボロボロの布切れじゃなくて、服としての形があり、伯爵家で働くなりの質素でもいいからそれっぽく見える常識、とのことです。それは常識ではなく最低限だと私は思いますよ、お母様。


 でも笑いながら流された。さすがである。


 じゃあなんでボテガイラってあんなに植物が好きなんですか?て聞くとお母様が本人に視線でなげる。ボテガイラの慌てっぷりが面白い。


 なんでも、ボテガイラの母が植物が好きで離れるまでずっと一緒に花に一直線で携わってきたのだとか。とくに教えながら大切に育てていたものがお世話をした甲斐あって花が開くと嬉しくなるって。その一つ一つを喜んでいたら花にのめり込んで言ったと嬉しそうに言われましたとも。


 それで、お父様にお母様を迎えるために雇われたんだって。どういうルートでお父様は調べたのかは知らないけど、ボテガイラの庭師として実に匠なものを見抜いて拾われたって………………その時はまだ成人をしていなかったらしい。お父様、これは誘拐じゃないよね?拾ったはどういう事ですか。


 お父様のおかげでこんな広い庭で花を育てられて幸せです。なんて言わせられるんだかいいと思うんだけど―――ボテガイラもボテガイラですごいから何も言えません。結婚とか大丈夫?てか幾つだっ。


 おかげでアーガスト家はいつも美しいとお母様が褒めたらボテガイラの顔がグレーに大変身しながら嬉しそうだった。こんな一日もいいよね、て。


 思っていたら夕方になって物騒な事になりましたよ!アビグーア中隊長がなぜここに!?トールお兄様が案内しているから呼び出しちゃったの!?その前にお母様とリディお姉様の顔がやばいよ!むしろリディお姉様は悲鳴をあげていますっ!!


 あの毅然としているリディお姉様が驚いて叫ぶなんて―――いや、私はそこに驚いたのではないけどね。もっと驚いたのは本物の絹を裂くような甲高い悲鳴です。色がないのが悲しきかな。金髪碧眼の美人ならハリウッド女優に負けない、絵になるんじゃないかと思わしき行動。頭を支えるように恐怖に叫ぶリディお姉様はまさにホラー映画に出演している人だよ。これだけで引き込まれて絵になる!ここはヒロインの役にしておこうか?もしくは死体現場を目撃した第一発見者かな?うん。逃げ出さないのがリディお姉様のすごいところだよ。


 お母様はと言うと、いつの間にいたのか聞きたいお父様の胸の中。腕の中?に、しっかり収まっています。扇で口許を隠していますが、じゃっかん震えているような気がする。それをお父様が優しい抱擁で包むんですね?色がわからないのにあそこだけピンクが漂うのは目のせいにしておこう。


 ゆっくりと出てきたアビグーア中隊長がなんとなく元気がないので近づいて慰めておいた。といっても私がやれるのは何もないのでにっこりと笑って声をかけるぐらいだ。本当は肩を叩いて慰めたいんだけどね!腰元ぐらいしか届かないから断念したわ!!


 アビグーア中隊長とトールお兄様に………て、よく見たらレーバレンス様も後ろに控えていたよ?どうしたんだろうか?とりあえず大事な話があるから応接間に移動させられた。家族、全員が。なんだろう?


 座らされた位置も微妙だった。片側にはお母様、トールお兄様、リディお姉様、私。向かい側にはお父様。その後ろにアビグーア中隊長とレーバレンス様………なんか、重苦しさが増した気がする。


 ようやく落ち着いたところで聞かされたのが―――私をどうするかのお話し。どうするかと言うのは、この話は保険だと言うことだから。


 家族だからか微妙にボカされた気がするけど、内容は他国が干渉してきて私の魔力を欲しがるかもしれないから。これが第一の理由。もう一つはさすがに、声もでなかった。


 もう一つの理由は教会。先日、市民街にある教会で爆発事故があったんだって。それも………大きさは私にはさすがにわからないけど、とにかく施設は半壊。多くの死者が出たらしい。その中にはアトラナも………含まれていた。


 アトラナの名前が出て憶測はすぐに浮かんだよ。と言うか、そんな大きな爆発を起こすならそれしかない。案の定―――言葉を少し変えてお父様の告げる話と合致して、悔やまれる………私の魔力を心配してか、手を握ってくれたリディお姉様。その目が水辺のように歪んで見えた。


 そこでシェムピスは―――生きていたらしいと、重々しくこれも告げられる。聞いたのは別の人で、そこにいたにも関わらず本人は俄然と「わからない」と言っているらしい。どうして、と聞けば結界のような衝撃を防ぐ魔法具を身に付けていたからだろうと教えてくれた。だから―――魔力が高い私が危ないと危惧しているらしい。


 なぜ、と問えば精霊は濃密な魔素に自我が芽生えて精霊になるからで、お父様の2倍の魔力を持つ私のものを魔素に変換させたらどれくらいの物になるか予想ができず、最悪な事態を想定できるから。シェムピスがそれを狙うかもしれないと予想を立てているらしい。


 魔法を失敗して放てば魔素を返還されることは誰でも知っていて、なおかつ精霊は魔素の濃いところで生まれると分かっており、さらにアトラナから精霊を取り出すやり方を知っているのだから―――つまり、魔素=魔力がほしい。それに打ってつけが一番魔力が高かったお父様から私に変わった。そして、私はまだ幼女だから抵抗の手段がほぼないに等しい。


 なら、私の自由を奪ってでも隠した方がいい、と言う結果に行き着いた。最近だが、シェムピスの情報をかき集めているが相手にはすでにお父様に息子が一人と娘が2人(・・)と伝わってしまっているらしい。リディお姉様は知られる可能性があったとしても、私の存在は貴族側にしか伝わっていないはずでお父様が教会には色々と操作していたから知られないはずだったにも関わらず、知られてしまったのだとか。


 あれだけ城で騒いでいれば………と聞いてみたけどその辺も徹底して教会関係の魔法師も黙らせていたから漏洩はされていなかったらしい。どうやって?て聞いても教えてくれなかったけど、私の魔力を知ってから本当に隠しまくっていたんだって。


 だが知られてしまった。だから目をつけるのは同然ではなかろうか、と思っているたお父様は項垂れちゃった。シェムピス―――司教は精霊が大好き過ぎるゆえにお父様の魔力をしつこいくらい狙ってたのだから、ね。


 そして私は決断の時である。お父様やレーバレンス様たち、お城に勤務している魔法師側からしてみれば私を隠し通したいらしい。エジーラ魔法師様と共に。でも、それは窮屈だろうと予想されている。ううん。予想ではなく、窮屈しかないと断言された。


 場所は結界が強い城内のとある一室。そこでエジーラ魔法師様と日々を過ごしてもらうことになる。不自由がないように手配とか色々してくれるらしいが、基本はその場所から出られず、飽きるだろうと。逢える人は厳選されるが、お父様とかは会いに来てくれるらしい。暇ができれば。


 期待はさせたくないが、友達のジジルも魔力が多く成人より扱いやすい子どもだから同じ理由でそこに移動させられる―――かもしれない。ただ、エリーは商家の娘なので無理と断言された。期待だけのジジルも、それだけしかないので逢える可能性は低すぎると………侍女としてならポメアも隔離させること前提でいいと言われた。


 もし私が否定するなら―――今まで通りとはいかないが、とにかく私をせめて成人まで隠し通したいので、騎士のアビグーア中隊長と魔法師のンゼットォラ様がつねに護衛に付くことになるらしい。さすがに張り付いていたらわかるので傍にもう決まっているアビグーア中隊長。連絡係や周囲の警戒にンゼットォラ様となり、移動範囲は個室の魔法院と魔法の訓練所のみと部屋のみ。表向きは寮生活だが、部屋はある一室で移動はレーバレンス様かもう一人の闇魔法師が行うことになっている。てさ。


 正直に言うと、そこまで厳重にしなきゃいけないの?城にいれば安全じゃない?と思うんだけど………レーバレンス様が訴えてくるのです。問題が起きる前に先手を打つ―――眼光で釘を刺されている錯覚はどうなんでしょうね。


 もちろん家族にあえるのは私が成人するまでお預けだ。お母様が声を圧し殺して泣き出して収集がつかなくなっている。それを見ると、聞くと、やっぱりなんでそこまでするの?と思ってしまう。


「お前が一度、誘拐されているからだ」


「………それだけではありませんよね?」


「ここで言うのもなんだが、お前は少し賢すぎる。何千、何百と月日が流れている歴史で新たに産み出された魔法は俺たちの―――魔法師の概念を覆らせた。七歳児の娘にな」


「それが私であっただけです」


「―――たしか、魔法の基礎を俺に教わっていた最中に聞いたな?『魔法陣を固定する事はできるのか』『魔素を集める魔法具とすでに書かれている魔法陣があれば、無詠唱になるのか』と。その問いに俺は無詠唱の意を唱えた。それは置いておくとして、お前が言いたかったのは魔法をわざわざ呼び寄せたり、魔法文字をわざわざ書かずに出すと言うことだろう?つまりは精霊の力のみを借りた発想だ。この時のお前は―――五歳ぐらいか?」


「クフィー、そんな事を聞いたのか!?」


「………………聞きました。楽に、出せたらいいな、と………」


 そんな今さら昔の記憶を引っ張り出さないでレーバレンス様!しかも俺ってことはお怒りですかっ!?ど、どどどどどうしよう!?


「まず、魔法具の方はそんな物を作ったら精霊を飼い潰している思われるので作れないし、作ろうとも誰も思わない。発想が出来たとしても、精霊を知らなかったとは言え出来上がればそれは恐ろしいものだ。“ 集められる ”。それだけで多額な金を手に入れたと思ってもいい。魔素はそれほど困窮している。精霊が見えなくなった、感じられなくなったほどに。そしてそれをうまく利用できれば戦争にも使える」


 戦争………それは、嫌だけどっ。え………ここで糾弾されるの?私の今後の住みかどうしようか、って話じゃなかったっけ………!?


「次に固定の魔法陣。これに関しては魔石が存在するのだからまあ概念に相応する。実際に魔法師も威力をあげるためや結界に多用をしているだろう。お前の魔力で魔法具を創った俺が言うのもおかしいが、お前が魔法具を創る、または魔石に魔法陣を組み込むと想像を越える威力しか作れなくなる可能性が高い。ほんの少しが土が抉れるらしいな?普通のほんの少しは水溜まりが出来るだけだ。エモール魔法師から聞いている。いくら魔力操作ができようと、簡単に持ち運びができ、親に左右されやすそうな子どもを放置しとくと言う事は、餌を見せびらかしているのも当然だ」


「クフィー………」


「クフィー」


「クフィー?」


「クフィー、一度ゆっくりお話しようか」


 呆れる声のトールお兄様。怒ってるわけでも咎めているわけでもないただ名前を(読み取れなかったよっ)呼んだリディお姉様。どう言うことなのか聞こうとして困惑しているお母様。そしてお父様。そんな事は知らないのだけど?と言うようなお話タイムを要求。




 初めから私に逃げ場はありません。




 知識が不足な私にはお父様とのお話しは必要ですよね。結局はどっちにする?と言われたので。両方にしておいた。突然だと怪しいから様子を見ながら城に引きこもることにしておいたよ。はい。


 監視がなんだ!行動制限がなんだ!!今までのよくわかんないツケが回ってきたと思えば―――思えばなんだよ!!軟禁生活を宣言されたから回避したら大人の事情でこうなっちゃったんだよ!!


 ―――けっこう退屈しない気がするけどね。お父様、プレゼントを用意してくれるって言ったし。私は忘れていたけど、そう言えばアトラナに関して会いに行く代わりにペットを買ってくれるって約束だったよね!もう忘れていたから内容すら抹消しちゃったけどね。


 で、ばばば!と荷造りして―――と言うかジェルエさんとポメアが準備してくれていました。さすがですね。もう、決定してたもんね。


 そして数週間、エジーラ魔法師様と私。護衛のアビグーア中隊長を置いて優雅にまったりティータイムをしたり読書をしたり。時には魔法を教わったりエジーラ魔法師様の仕事の様子を伺ったり。


 まあ、ゆったり………と余韻に浸れるくらいはのんびりと暮らしています。レーバレンス様が忙しすぎて魔法院、及び騎士棟へ行けません。騙された気分だ。別にいいけどねっ!エジーラ魔法師様は美人さんで目の保養にもなるし優しいし素敵だしぃっ!


 一人だったら暴れていたね、と思うのは当たり前じゃないですか。広い空間に、ふかふかのベッドは奥の寝室。オープンテラス………までとわいかないけど白を基盤にテーブルや壁とか扉とか椅子とかとかとかとか………白いしやっぱり広い。テラスの向こうは庭みたいに一面はたぶん緑だろう、瑞々しい空間。


 どこからか吹く風に花が揺れてスーランや他の花から魔力でキラキラ光ってみたり。エジーラ魔法師様が相手をしてくれなきゃつまんなかったよ。


 こっちに移動してだいぶ慣れてきたけど、広すぎる空間にエジーラ魔法師様はよくここに一人でいられたもんだ………と思ったらウィル様のおかげでした!愛はエジーラ魔法師様を救っています!


 それに、たまにだけどエジーラ魔法師様のウーウに寝そべったり。買ってもらったリスの(リッスンだって)で遊んだりちょっとは、うはうはだったりしています。軟禁?そんなの忘れられるほどですよ。一人ではないので。たまに顔を出してくれるし。大丈夫。


 リッスンの名前は雄だからノルアにしました。本当は太郎とかにしようと思ったけどエジーラ魔法師様が首を傾げてしまってね。急遽2人で考えて『ノルア』くんになりました。お父様の方は雄にするか雌にするかかなり迷ったらしい。そこまで気にするお父様がさらに残念だと思ったよ。


 思い出した希望通り、てかお父様の復唱。希望通りのふわふわしていて、可愛くて、ふさふさで、円らな瞳で、放し飼いもできて、連れ歩ける賢さがあって、私になついてくれて、いざって言う時に助けてくれる勇敢な動物であります!


 大きさは子どもが抱ける小型犬かな。リスって可愛いよね!毛並みももふもふっ。抱ける手頃なサイズ。円らな瞳に溜め込む頬袋がまたっ~~~!しかも口から飛び出さないように両手のひらで押さえて可愛すぎるよお前っ。


 それにね!言っている通りに賢いよ!ついてきてもらったりここまでの範囲で遊んでいて、とかちゃんと理解している!可愛い!!そして土の中から出てきたミミズに私が驚いていたらとてとてと歩いてきて助けて!とつい言ったら引っ付かんでペイ。だよ!?本当にリスかっ!?て疑いたくなるけど可愛いからよし!異世界だからなにも気にしないさっ!勇敢なノルアに抱きついたのは言うまでもないよ!手を先に洗わせたけどっ。それも覚えてくれたよ!!


 また洗う姿も可愛くてね~………こうやって考えると充実な毎日だと思わされちゃうんだよね。たまにふと、2人に逢いたいけど………こればかりは仕方ないと思うしかないよね。我慢が出来なくなったらわがままを言ってみよう。そうしたら大人がまた必死になるんだろうけど。主にお父様が。


 まだ大丈夫だから。寂しくないならまだ、ここで暮らせる。最低期間は私の成人するまでの七年間。最高は教会と他国の出方によって変わるからなんとも言えない。早く教会とか黙ってくれれば、成人前に出られるんだけどね。


 頑張れ、私。ここでは何をしてもいいと許しが出てヴィグマン様から課題をもらっているから。まずは薬草を覚えなさいって。課題があるならまだやり易いね!期限は三年だし。薬草ならエジーラ魔法師様のところに本物があるからね!頑張るよ!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ