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何かが起きています

改訂いたしました。27.8.15

 魔法院は相変わらず人が減っていくなぁー、なんて思っている私。昨日は31名がかこにいたらしいが、今日は29名になっているとポメアが言う。


 これも全部、秋の成人式の準備に貴族を筆頭に勉強なんかしていられないからだ。私はすでにお母様とリディお姉様の手によって大体がすべからく整っている。トールお兄様が日に日にぐったりとしているけどね!


 訓練と称してお母様の助言………助言?マナーの見直しなんだけどさ。夜にちょっとだけ指導が入っていて、朝にはなんか遠い目をしているよ―――でも体力はあるのか普通に1日を終わらせて毎日を送っているんだよね。トールお兄様、どうやって体力がついたんだろう。あ、ユリユア様たちの手にかかれば体力なんかすぐに付くよね。ごめんごめん。


「クフィーちゃん、今日は土の日だけど………先生、来ないね?」


「鐘は先ほど鳴っていましたよね?どうしたんでしょう?」


「んー………昨日のこと、だったり?」


「エリー、その話は口にしない方がいいと思います。約束したでしょう?」


「はいはい。クフィーってなんか私より年上っぽいよね。なんでそんなに落ち着いていられるの?」


「騒いだら疲れますから」


「クフィーちゃんはお貴族様だもん。私みたいに暴れないよ」


「えー。でも、落ち着きすぎだと思うんだよね」


 これでも数々の修羅場を乗り越えてきましたから………巻き込まれて。


 なんて口にすることは出来ないので軽く笑って受け流しておく。いや、この修羅場がどこまでの範囲なのかを考えると実に虚しい。前世まで引っ張ってきたら………やめよう。私は7歳児。クロムフィーアだ!


 とか頭の中でごちゃごちゃ考えて………まだ見ぬ先生に落ち着きがなくなってきた生徒はちょっと騒がしくなる。なんで来ないのかが分からないからだ。


 そこで、この教室のクラス代表の立場?にいるメリーベルが立ち上がりました!!やっぱりお貴族さまのようで、丁寧な言葉遣いから隣の様子を見てくるから出ないでくれとお願いされた。


 幸いにも誰かがしゃしゃり出てくることはなかったので、そのままメリーベルに任せて私たちはまだ待ち続ける。これでこの部屋に入ったときの私の敵みたいな高慢の貴族がいたら「私に命令するな!」とか言って騒ぎになっていただろうね。秋が近くて助かったよ。


 しばらくすると一人の魔法師を連れてメリーベルが帰ってきた。なんだか怪訝な顔で魔法師を中に入れる―――わけでもなく、何かを説明している。他と違うのかな?魔法師が顎に手を当てて考え出しちゃった。


「えー、君たち。人数も少ないし、隣と一緒に勉強しよう。荷物をもって移動してくれ」


 まあ、そうなるよね。一人ずつ無駄がないように誘導して隣に連れられた。こんな事もあるんだねー。全員が入れば所在なさげに突っ立っている―――のは、移った生徒だよね。席がまばらだからどこに座るか悩んでいます。とりあえず戻ってきた魔法師が右と左に別れるように誘導してなんとか部屋に収まりました!本当にどうしたんだろう?


 確認のため、魔法師が隣まで確認しに行っちゃった。部屋に微妙な空気が流れるのは………まあ、なんとなく分かる。親しんだ仲間と壁を隔てて隣にいた同級生!だもんね。いきなりこんなことをされたら反応に困るよ。


 そんな中でなぜか私が囁かれています。あれ?自意識過剰すぎ?


「あいつがあの」


「ちっさ」


「貴族だろ?なんでまだいんだよ」


「二つ名って嘘なんじゃないのか?」


 とかとか。うん。私じゃないよ。きっと私じゃない。そう、気にしすぎはよくない。てかこれがもし私だったら目立っているね!もう………自重を捨てた方がいいかな………あれ、自重って持っていたかな。


「はい、静かに。悪いがちょっとだけ自習にする。他の部屋も魔法師が来ていないところがあった。さらに調べてくるから………あー、調整するかもしれないからその間は【土】に関して読んでおいてくれ。あとで指名するからな。頼むから静かにしていてくれよ」


 言い残してさっさと出ていっちゃった。まあ、大変そうだから誰も引き留めないんだけど。それにしても、ね?魔法師が教えに来ないなんて何があったんだろう?これに関しては私のせいではないと言い張りたいんだけど………なぜかあっちから来てくれる場合があるからね。油断はできない。


「なあ、お前ってあの『野獣の調教師』なんだろう?どうやって手懐けたんだ」


 ほら、こんな感じに………ぱっと見で平民だね。貴族みたいに装飾や刺繍がいっぱいあるわけではなく、たぶん一色染めされたシャツを肘まで巻くって七分丈のズボン。ブーツも紐でぎゅっと縛るだけだったからまあそうだろうね。


 白っぽいグレーの髪は………うーん、クリーム色で。同じ白っぽいグレーよりの瞳はペールオーキッドなんてどうでしょう?憎たらしいにやにや顔に腹が立ちます。


 異世界ってすごいよね。白黒でも濃淡が様々だよ。これが地球だったら日本人は真っ黒。お洒落さんは薄いグレーから濃いグレーかな。でも色々なヘアカラーがあるからね。そう考えるとどこも変わんないかな?でもなんか地球は黒っぽい集団が多くなる気がする。


「お前、聞いてんのかよ!」


 君はガキ大将かなにかなのかな?うるさいよ。私はこれでも悩みがあって忙しい。ようやく魔法院の時間が作れたんだからその喜びがね、もうなんと言うか嬉しくって嬉しくって。通らないと思っていたら通ったからね!いやー、明日は休みだ。………結局なにかが起こるから魔法のお勉強が少なく感じるんだよね。


「お前だよお前!」


 そう言えば………お前って誰だろうか?


「お前には俺の声が聞こえないのかよっ!!ちびが!!」


 ああ、ポメアは動かなくていいよ。私、お父様から知らない人に声かけられても反応しちゃ駄目だよ、て言ってくれると思うから。今考え付いたけど言いそうだよね。あと、ついて行っちゃ駄目とか。


 これで私の印象が悪くなるのかな。そうだろうけど。別にもう腹はくくったよ。女は度胸とかよく聞くし。もうあんな二つ名を付けられた時点でぶっちゃけた方が早いもん。最短で魔法師を目指そうとしてたけど、あれは目立つって後々よくわかったし。


 でも、もういいやと。我慢して空回りしているパターンが変に絡まってごちゃごちゃになるし?それならいっそ思い通りにやった方がいいってね。どっちにしろ今年は見送りだし。おかげでエリーもジジルもいるし。問題はどこにもないかな?


 で、突っ掛かってきそうになって部屋の女の子たちが叫んじゃいました。騎士の訓練を見ていたおかげかな?大振りな拳がスローモーションに見えた。避けられないけど、見える。


 そんな訳でポメアの出番。ポメアは成人しているから、一際………とまではいかないけど背が高い。男女の力の差が出てきてしまうかもしれないけど、この少年なら大丈夫なようだね。


 上にパシン!と払ったらその勢いに負けて少年が後ろに倒れる。おかげで受け身は一切なしの尻餅はどしん、と痛そう。心配はしません。私、被害者。あ、でもポメアは私の侍女だから連帯責任?さて、何を言われるやら………


「てめぇ!!貴族だからって他の奴を使ってんじゃねーよっ!」


 そんな事を言われてもなー。明らかに君が悪いのだけど?私はこうやってすごい集中力で教本を読んでいるんだよ?


「クフィーちゃん。なんで放っておくの?」


「ジジル、あんなの放っておくのが常識よ。ただ突っ掛かってきてるだけなんだから」


 そうだよ。さすがエリー。わかっているじゃーん。あれとか肩がぶつかったから俺の肩が折れた。治療代払え、みたいな古くさい絡みだよ。無視されたからって激昂されても私は悪くないよ。名前を呼ばれていないのだから誰を呼んでいるのかわからないんだし。


 でも、少年は頑張って吠える。仲間はいないのかな。少年を鼓舞する者の声が誰一人として聞こえない。まあ、ひそひそと「やばい」とか言っているけどね。


 あ、へー。土魔法で作った剣って耐久はあるけど斬れないんだ。代わりに魔法剣として魔力を流したら切れ味が抜群になって普通の剣より耐久が高いんだって。上級魔法だけどね。


 ん?なら騎士の中で【土】の人はこれをやればいいんじゃないの?これなら普通の剣とかいらないじゃん。なんであんな訓練………そっか。騎士だもんね。魔法なんて分かるわけがないか。今までが不仲だったわけだし。そんなのわかっていたららさっさとやっているよね。


「お前がその気なら、俺だってやってやるよ!!」


 うるさいなー。だから私は悩んで―――ないや。勉強してるんだって。でもね、しかたないから少年を見てみると………手に魔力を溜めているようです。キラキラしていますね。今まで見てきた中で量は少ないかな。どうしたもんか。


 そしてたどたどしく魔法文字を書いていく。おかげでこの教室が阿鼻叫喚のように荒れ狂って私とポメアと少年が取り残されて部屋の隅にみんな固まり始めた。


 私の平穏、いずこにおられまするか………


「そこまでだ。静かにしているように、と言わなかったか?」


 ベシッと少年の手が弾かれました。あ。キラキラも散ったね。意識が途切れたか魔法文字が出来上がらなかったからかな?


「離せっ!」


「だから餓鬼って嫌なんだよ」


 あー、無理矢理に頼まれちゃった人?なんだか雰囲気が………さっきは好青年?のような感じだったのに今では悪人のような―――


「そんなに喧嘩がやりたかったら俺が用意した問題を解いてもらおうか餓鬼?いっつも手間とらせられるって他の魔法師から聞いてんだぞ。俺と喧嘩しろや」


 うっわー。すっごい悪人面。首根っこを持ち上げて言われたらもう悪人にしか見えない!それをこっちに向けないでほしいなぁ。巻き込まないでほしいなぁ。お願いだからこっちを向かないで!


「よりによってグレストフ一進魔法師様の娘になに対抗してんだ。あれか?羨ましいってやつか?それともかまってほしいってやつか?」


「ちっげーよ!あいつが俺を無視しやがるんだよ!!」


「と、言っているが?どうなんだ?」


「お前とは誰の事を言っていたのかわかりませんでした。私の事を言っていたのでしたら無視した事になりますね」


「はぁ………お前お前って呼ばれて反応する奴なんていないだろう?餓鬼だなぁ」


「なんだよ!離せってば!!」


「はいはい。じゃあ授業を始めるぞー。席につけー」


 なんだか………面倒くせぇの口癖が似合う人だね。さっきはささーと来てどっか行ったから見ていなかったけど。ちょっと跳び跳ねた髪に無精髭。口角をあげたら悪人面。なんだか面倒臭がりやの刑事さんを見ているみたいでなんだか笑いがっ。


 魔法師はささっと書ける人たちか多いのかな?指先がわっ、とキラキラをまとい始めたと思ったらぱぱーと書いちゃって少年が拘束されました。輪っかが少年の上半身と腰と足首に縮小したらきゅっ!となって土色?の黒っぽい輪っかのできあがり。これは中級の『土縛』。輪を何個って魔法文字に書いて完成したら相手に向かって放つ束縛系の魔法。目で認識していたら出来た輪が飛んでいって拘束していく魔法だね。輪っかだと通さなければならないのが面倒かな。こうやって捕まえる、と。


 土は硬さ調節が出来るからね。時間制限があるらしく、早く捕まえなきゃ輪っかは固まって終わり。だから一番の高確率は縛りたいところを魔法文字の書いていた指で叩くこと。ここだよ、と示す感じ。拘束には便利だよね。うるさいけど。


「【火】の魔法師はどうやってこいつを静かにさせていたんだ?まあいいか。始めるぞ。まずお前だ餓鬼。お前に施した魔法の名前は?」


「知らねーよ!俺の属性と関係ないんだからな!!」


「お前で反応するんだな?だったら今日からお前と呼んでやろう。さあお前、自習してろと言っていたのに属性が違うからと言う理由でなぜ勉強しない?大切なことだと色々な魔法師に教えられなかったか?」


 と、いうやり取りが続いて、最終的には無視する結果になった。ぎゃんぎゃん騒いでいるけどまるっと総無視で。そしてなぜ私は睨まれているんだろうか。まあ、無視するけど。


 あの少年が吠える事により声が消された少女たちは何度も言うはめになって大変だった。私も答えようとするのだけど、ここぞとばかりに声を張り上げるもんだから私は負けっぱなし。うっかりイラッと来たけど魔法師が口を押さえてくれたのでなんとか言えた。


 その間にこの少年の事をちらちらっと聞く隣の部屋にいた面々。こそこそっと「いつもこんな感じ」と教えあって、本当に気にしないようにすることが一番の解決だと教えあっていた。伝言ゲームのように回ってきたから驚いたよ!


 それでも勢いが衰えない少年は吠えて吠えて………結果、最後まで叫んでいた。彼の喉は大丈夫なのだろうかと心配になるが、叫んだ声量や声が枯れたような変化は見せていないので、大丈夫だと思っておくよ!一度も咳きこんでないし。。


「よし、そろそろ昼か………今日、魔法師の不在がまばらに発生した事がわかった。これから調べるが、大方は午後の授業もこうなる。よって、隣にいた若魔法師たちはこちらの部屋に来ているように」


 まばらにいない?何があったんだろうね。みんなで返事をすればあの少年の声が負けた。そしてちょうど鐘がなる。


「お前は………いいか、昼に行ってこい。いいか?何度も聞いていると思うが、騒ぎを起こすなよ」


「ふんっ!」


 意地を張っていますなぁ。小学生が廊下で立たされた感じ?全然、違うけど。でもよくみんなの目の前でお説教を………常習犯っぽいし、これくらいが普通?わかりません。


 エリーとジジルが来てくれたからお昼を食べに行くことにしよう。なんか私を心配してくるが―――まあ、なにもなかったよ。


 だってここでは詠唱が先、と教えられているみたいだし。魔法文字を書いてもあの魔素と魔力が釣り合わなくて結局は魔法が完成しないと思っていたし。それに書く字がたどたどしくて完成するのかも怪しく見えた。でも、あとから詠唱していたら、わからなかったけどね。


 そんな事をいったら二人に驚かれました。いやいや、驚かれましてもね?心配したと言われても私は焦ったり幻滅したり怒ったりしたら魔力暴走しちゃうからさ。言えないけど。


 ただね。ちょっと気を抜いておりました。はい。ポメアが後ろ。両サイドにエリーとジジル。前はがら空きで………横から前へ、少年がタックルしてきた。思いっきり尻餅を付いたよ!痛い!


「弱いくせに二つ名とかで喜んでんじゃねえ!!」


 いや、喜べないから。と言いたくても走り去っていく少年。止める術なんてありません。あれ、冷静にしてたら私って欠陥少女じゃない………?でもこれだけでイラッとはしないかな。なんだかあの少年を見ていると嫉妬してる風にしか見えないし。まず、少年だし。


 とか考えていたら保健室―――じゃなかった医務室に連行です。手が痛いな、て思ってたら所々がグレーのぶつぶつで手首も痛いかな。ポメアがすごい心配をしている。


 さてお久しぶりです。こんにちは、ム……む?ムムム先生!名前を忘れてしまいました!またご厄介になります!!




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