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美人さん

改訂いたしました。27.8.15

 レーバレンス様と一緒にお父様の影から登場!したのは私から見て黒よりの配色を持つ妙齢な女性でした!


 髪の色は濃いめのグレー。艶が見えて私のようにハーフアップをしているその色は赤橙を推したいです。光に当たっていないのに艶があるように見えるのはなぜですかね?すごく気になる!お父様を真剣な目で見ていた瞳は濃いような?薄いような?どちらでも取れるグレーは翡翠色を所望したいです。そしてゆっくり微笑む姿にはっきり言います。




 美人さんキタ!!




 お母様とはまた違う美人さん!お母様は優美がすごく当てはまって美人さんだけど、こちらの人はなんだろう―――婉美な人。動作がとっても綺麗で動くたびに淑やかさが、ね!美人さんなんだよ!美人さんだよっ!!


 思わずガン見をしたのは恒例です。当たり前です。当然である!でもお父様が真剣な顔をしてさくさくと話を進めてレーバレンス様をタクシー代わりに連れていっちゃいました。あっち行ってこっち行ってそっち行くって言っていたから間違いではないと思う。


 てか最後のお父様が親馬鹿モードになっていたんだけどさ、どうしてそうコロッと早変わりしちゃうかね?あのままだったらすっごく格好よかったのですが………やっぱり残念な人だよ。とりあえず


「初めまして。クロムフィーア・フォン・アーガストです」


「初めまして!エリエリーチェ・プラムです!」


「初めまして、ジジルニア・パルセ、です」


「初めまして―――エジーラよ」


 私、初めて二人の家名を聞いたような気がする………まあいいか!


 自己紹介をしたら順番に頭を撫でてくれる美人さん。好感度は天井を突き抜けて鼻血が出そうです。私、大丈夫かっ。しかしだね、こう美人さんが微笑んだら照れてしまうぞ?私の頬は心なしか熱いです。さすが美人さん。子どもも落としちゃうのね?


 まあ、それはとりあえず私の懐にしまっておくとして………今更ながら言います。こちらの美人さん、魔法具を待っています。キラキラがすごい。


 両耳にキラキラが密集しすぎてイヤーマフラーにしか見えない!すごいな、あれ。イヤリングかピアスの効果がすごい出ているってこと?キラキラの印象が凄すぎて―――美人さんだからって許せそうで流しそうになったよ。


 そして掌。手が全体じゃなくて、掌。魔石でも埋め込まれているのか一瞬だけ想像してしまったよ。でも、頭を撫でられたときに違和感がないんだよね。どう言うことだろう………?


 それと―――お父様、そしてウィル様と同じ十進魔法師のようです。長いマントに10のチェーン。間違いはないと思うよ。ウィル様と向かい合うように座ってこちらもお仕事モードだ。私たちもいそいそと空いているソファーに座る。誰も位置は気にしないらしいです。気軽いね。


「ウィル、さっきのはなんでしょう?セランダと私の関係に何があるのですか?」


「ええ驚いてください。若魔法師の三十一名に貴方のことが知られました」


「………え?私の………待ってください、何を知られたのでしょうか?」


「貴方が作り出す土の威力です。今回はこちらの―――クロムフィーア若魔法師のおかげで早く異変に気づきました」


「この子、がですか?どのように?」


「彼女の好奇心からです」


 はい、ウィル様から私の好奇心でちょっと大変なことになったよ、と説明がされましたー。偶然らしいけど、確かにエジーラ様の事がバレるのはおかしいらしい。二人が言うにはエジーラ様はある場所にひっそりと暮らしているのだとか。そこには限られた人しか出入りが出来なくて、エジーラ様の存在を知っていたらそれこそ怪しいと思わなくてはならないレベルまでなんだって。


 そんな事を聞かされた私たちは余計な事を知ってしまった、と軽く焦る。絶対に言わないようにしなきゃ、てジジルが言うけどそうしていると怪しいから失敗しちゃうよ、て注意しておいた。そうしたらエジーラ様からカウンターが。なぜ。ずいぶん落ち着いているわね、て。そりゃあ………色々と踏み越えましたから?


「私もエジーラ様ほどではありませんが、色々と隠し事を持っていますので」


「魔力が光って見える以外にですか?」


「『野獣の調教師』は隠せませんよ」


「ウィル様っ。それは不本意な二つ名です!それに、みなが囃し立ててしまうから風説が一人歩きしているだけですから。私はなぜ呼ばているのか理解できていません」


「え?クフィーちゃん知らないの?もう確定しているよ?」


「―――え?ジジル!どう言うことですか?!」


「私も聞きたいです。グレストフ一進魔法師にあのような面白い顔を作らせた二つ名………娘さんだとまだ信じられませんでしたし、面白そうです」


 え、なにそれ!?


「私も聞くだけで本当かにわかに信じられないんですよね。ここはジジルニア若魔法師とエリエリーチェ若魔法師の話を聞きましょう」


 ウィル様がもうまとめ役だ。それはいいんだけど、本当になぜ『野獣の調教師』が確定しているのか教えてほしい。切実に。ここまで引っ張ってくるんだから当然、それほどの理由があるんでしょ?


 なんだか嬉しそうに話始めてしまったけど………なんだか聞いていてまったく言葉が出てこなかった。魔法院の男の子たちが情報を集めたらしいんだけどね。私はトールお兄様に聞くまで確信しないよっ!


 騎士棟でウォガー大隊長にめった打ちにされている騎士見習いを兄に持つ魔法院の若魔法師と、好奇心旺盛の若魔法師から。私の回りにはそれぞれ扱いにくい獣たちが悉く軟化していて『野獣』『狂犬』『鉄壁』『覇者』を虜にしてなお、『暴れ馬』と『凶暴』を手懐けたんだって。そういえば前にもそんな事を聞いたような気がする。


 この『暴れ馬』はキャロラリンで『凶暴』はウーウなんだって。なぜ、と聞けばあの怒ったときの様子を説明されて何も言えなくなりました。エジーラ様からとても優しい目で見られています。ウィル様からはポカーンとした顔です。


「凄いですね。騎士の狂犬とはアビグーア殿ではありませんでした?」


「そう言えばどんな人なの?見てみたい!」


「私も私も!!クフィーちゃんだけずるい!」


「扉から顔を覗かせばいますよ。アビグーア中隊長様は私の護衛に着任いたしましたから」


「ああ、だからいたのですね。最初に驚きましたよ」


「見てくる!!」


 あ。君たちちょっと待とう。て言う私の伸ばされた制止の手は意味もなく………むしろ見向きもされずにパタパタ~と言ってしまった二人。そして扉を勢いよく開け放って―――固まった。そしてジジルは泣き出し、エリーは盛大に叫んだ。隅っこの壁に勢いよく駆け出して蹲っていますよ。


 因みにアビグーア中隊長は顔を伏せてゆっくりと開け放たれた扉を閉めていました。しょんぼりしているように見えるのは気のせいではないと思う。


 慰めるのはもちろんウィル様です。私の声はかき消されているし、背中をさすってあげても効果は皆無。仕方なしにウィル様にバトンタッチしたら二人とも飛び付いたよ。なんだよー、広い胸か欲しかったの………?二人を抱えるようにウィル様が一生懸命だ。


 そんな姿に何かを思ったのはエジーラ様。二人を見ていたら私の体が浮いたよっ。ビックリして身を固くしたらふわりと優しく抱き締めて頭を撫でられました。うん。美人さんに抱えられるなら、いいかな。別に怖くもなんともないし。嫌じゃない。ウィル様を見ながらよしよし、て―――それになんだろうね?すごく掌が暖かい。


「………すごい魔力量ですね」


 そんな。ぽそっと言われましても………だったら私だって聞いちゃうんだよ?ジジルとエリーはまだ泣いているからこんだけくっつかないと聞こえないもんね。てかエリーもつられたのか。


「エジーラ様だって耳に素敵な魔力を纏っているではありませんか。それに、掌も魔力ですか?すごく暖かいです」


「私は魔法具を付けていませんよ。でも―――と、そうでした。教えることは出来ません。貴方が秘密を知ってしまうと貴方が大変な事になってしまうから」


「不躾にすみません」


「まだ小さいのだから無理に畏まらなくてもいいですよ。そうそう。【土】の代表と言えばウィルよ。私は作った土がすごいだけで、ウィルには敵わないの」


「え?」


「これだけは教えてあげますね。私は天才型と言われるとすればウィルは努力型です。努力型のウィルはその培った努力の分だけ土が美しく変化します。元から作れる味気のないものより、最初から実らせたものはとても綺麗なものが出来上がるんです」


 そうやって一度もあやすウィル様から視線を離さなかったエジーラ様は私の顔を見て笑った。やっぱり綺麗な笑顔で―――それだけですべてが変わってしまう勢いだ。なにが変わるかって?………気持ちかな。この笑顔は反則だよ。


 そんでもってまたウィル様を見るんだけね。貴女様はどれだけウィル様を見つめているんでしょうか?そんな事をしていたら恋する乙女に認定しちゃうよー?どうなんですかー?


 と言うわけで聞いてみたら顔色が悪くなりました!あれ、冗談が本当だった!?しかもはいそれ、赤面ですね!私から見るとどうもグレーになるから顔色が悪く見えて困っちゃうよ。それでも顔を赤くしながらでも平静を装って内緒よ?なんて言われても説得力があんまりないかなー。


 えー。これは引っ掻き回したーい。ようやく泣き止んでウィル様と来たジジルとエリーにこの話を持ちかけてみよう!普通の7歳児と10歳児ではどんな反応を見せてくれるのか楽しみじゃないか。アビグーア中隊長を忘れるにはいい感じにインパクトがあると思うんだ!


「ジジル、エリー、面白いこと―――知りたくありません?」


「………なに?」


「どんなの?」


「耳を貸してください」


 いやー素直に従ってくれる二人が可愛いね。ここにこそこそっとエジーラ様の事を教えたら聞こえたらしい。慌てた様子で私を止めようとするけど、タイミングよくウィル様がエジーラ様の顔を覗いて顔の赤みを指摘するって言う、ね!ちゃんと伝えられました。


 そうすると面白いものを見つけたかのようにニヤリとする私たち。さっきの泣き顔は目元以外に見つかりませんよ。二人とも、悪い顔をするね?


 にこにことウィル様とエジーラ様を見てにやにやが止まりません。とりあえずジジルが動いてくれて、ウィル様をエジーラ様の隣に座らせようとしてますよ!そんでもってエリーが押し込むという連携。てっきり直球に聞いちゃうのかと思っていたらまず近づけさせるって言う考えみたいだね。


 わ!とウィル様から掛け声が。そして隣の座る二人の隙間は―――ない!君たち、いい仕事するね!そしてウィル様の隣に並ぶ二人は………いい感じに顔を覗かせてにやにやしてますとも!そんなウィル様はちょっと怒ってますがね。細かいことは気にしちゃ駄目だよ。


 よし、これでエジーラ様の話し相手は私以外、全員があちらにいるから話すときはあっちを向かなきゃいけないよね?ふふふーん。エジーラ様の顔、たぶん真っ赤だわぁ。


「て、エジーラ?どうしたんですか?顔が真っ赤ですよ?」


「え!?あ、あのその………えーとです、ね」


 おお!?ウィル様ったら大胆!エジーラ様の頬に手を当ててなおっ、自分の方に向けて確認までしているよ!こりゃあ乙女なエジーラ様には嬉しい事なんじゃないでしょうか!?やっばい。私たちのにやにやが止まらないよ!


「すみません。確認のためこちらに来て頂いて………送りましょうか?」


「だ、大丈夫です!あの、もう少しここに、います」


「本当に大丈夫ですか?なんだかさらに赤くなっているような………?」


「い、いえそんな。ことはないです」


 ごめん、動揺しすぎだよ。あれか。一定の距離なら大丈夫だけど近すぎると駄目な人だったの?てかウィル様はこれをみてそれしか思い当たらないの?私は二人とも赤面すると思っていたんだけどなー。


 あ、ウィル様が手を額に当てて熱を計っていますね。おデコをこつんだったらキスしてる~とか遊べたのに………ぶーぶー。あ!エリーもそう思う?背押しちゃう?それはごっつんしそうだから止めようか。


「やはり部屋に戻り―――って、そうだった。駄目か。ここからだと距離があるし誰かに見られたら厄介ですね」


「そ、そうですよね。私は………機密…です、から」


「すみません。移動手段があればよかったのですが、あいにくと私にはその属性がなくて―――あったらいつでも逢えるんですけどね」


 お?実は脈ありでした?お節介だったかな。てか私たちには見つめあっているような姿でしか見えないのですがね。エリー、駄目。指をわきわきしても駄目だから。てかなにするつもりなの!?


「たまに、来てくれるだけで―――私は」


「ぅわ!」


 あ、押しちゃったの?それって私にも被害が来ないかね?てかもうウィル様がエジーラ様に突撃しているんだけどさあ!?なぜだっ。ぐっとお腹に食い込んだ腕っ。私まで巻き込まれているよぉおお!?


 いい雰囲気だったでしょエリー!?なんて事をしているのだねっ。ここは雰囲気を大事にこっそり押せ押せだよ!ウィル様に肘で殴られたっ………


 そしていい具合に帰ってくる我が父は押し倒すウィル様をみて、にやにやを全快にエジーラ様に「よかったな!」と喜んでいた。どうやらお父様は知っていたらしいよ。


 ウィル様がなんか言ってたけど、レーバレンス様の手によって強制連行されていったよ。んでもって投げ出してきたんだって。豪速球で帰ってきた。


 因みに私は救出されたけど………エリーとジジルも一緒に褒められて怒られた。大人の恋に子どもは邪魔しちゃ駄目なんだって。でもよくやった!とまた褒められてお父様が壊れた………レーバレンス様の一撃で止まったけどね。凄い。


 そしてレーバレンス様によって運搬される私たち。最後に私たちだけとなった瞬間から小言がボロボロボローと出てきて帰りの馬車が待ち遠しかったよ!トールお兄様がなんか引いているしっ。これは私のせいじゃないのにっ。


 それとあとで聞いた話―――お父様が嬉しそうにウィル様とエジーラ様がうまくいったとの報告がありました!!じれったかったそうですよ。今度はレーバレンスだ!と叫んでいたお父様にはあえなく本人による制裁が下されたけどね。お父様、そこはこっそりやろうよ。




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