表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
155/242

お父様による魔力操作の仕方

改訂いたしました。27.8.13

「ぎゃーははははは!!はは、あーっはははははははっ!!はっ、ははっ!ひーっ!ひひひっふははは!!!あー!!はっはっはははははっ!!!!ぶっげへっ!げへっ!!っ―――」


「いいかい、クフィー。ンゼットォラを黙らせたい時はどこでもいい。適当な場所、直じゃなくていいから体に触れている部分を触って一瞬で魔力を最大限に、触れたところに集めるんだ。そうすると大抵はあまりの魔力に驚き、停止する。ンゼットォラがいい見本だ」


「なるほどです」


「ここで注意するのは魔力操作を一瞬で行うこと。ゆっくりとやっていたら相手に悟られてしまうので触った瞬間に魔力を一気に集めるようするのが理想だ。触れる前に集めておくのは駄目だよ。気づかれてしまうからね。それと出来たら面積が広い方が効果的だ。指先より手のひら全体を使った方が伝わりやすい」


「はい」


「では、私が押さえておいてあげよう。クフィーはどこかそこの腕でも触って魔力操作の練習だ」


「わかりました」


 お父様の手とンゼットォラ様の手を握って………よし。えーと?一瞬で集める。あ、難しいかも。


「―――っ!?~~~っ―――!!!!」


「お父様、難しいです」


「何事も経験だ。そうだね―――押し寄せるようにやってごらん」


「はい」


 押し寄せるように―――つまり波が迫ってくる感じ?海なんて行かなかったから想像しにくいや。小波程度にしかできない………うーんうーん………………


「気にしなくていいですからね。あれは馬鹿なだけですから。君たちのやり易いようにしなさい。報復はクロムフィーア若魔法師に任せて君たちは練習をしましょう」


「………小人ってそんなに変ですか?」


「発想が可愛らしいですよ。それで魔力操作ができるのですから何も問題はありません」


「で、でもンゼットォラ魔法師様は笑ったじゃないですか。小人はもう止めます………」


「エリー、ジジル。やり方など人それぞれですよ。小人で分かりやすいなら小人のままでいいじゃないですか。やりにくい事を延々とやるより、やり易いやり方の方が魔法を楽しめますよ」


「そうですよ。クロムフィーア若魔法師の言う通り、無理して習得するより自分にあったやり方をすれば魔力操作も簡単です。ンゼットォラは馬鹿なんです。馬鹿だから馬鹿なりの馬鹿な態度しかとれないのです。馬鹿ですから馬鹿の流儀など放っておいて君たちはやり易い方法で、君たちの速度で、魔法師を目指しましょう」


 お、おおう。ウィル様もなんだか怒っている。ンゼットォラ様を馬鹿だ馬鹿だとすごい貶しようだ!!だが私にもそれが同意できるので報復はしっかりとさせていただきます!覚悟しろっ。お父様も真剣に教えてくれるのだから、私はマスターしてンゼットォラ様を倒して見せる!!―――もう窒息しそうだけどね。大爆笑でお父様による停止方法にビックリして体が硬直して息が出来ないらしい。


 どうしてンゼットォラ様が大爆笑したかと言うと、魔力操作をしよう!→ウィル様にお披露目!→ウィル様が感心。どうやっているの?→私が魔力を小人にして~魔力操作を行ってます!→聞いたンゼットォラ様が大爆笑!!「小人とかなにそれねーわ。笑える。やばい腹痛え!!ぎゃーははは!!」となり………


 なかなか出来なかった魔力操作が小人のおかげで出来た!て、けっこう喜んでいたエリーがしょぼーん。気に入っていたらしいジジルがしょぼーん。ウィル様がンゼットォラ様に絶対零度の視線を向けつつ二人の気をなんとか持ち上げたりしていた。


 それを見ていた私は―――小人の発案者であり、二人に教えたのも私。喜んでいた二人に苦笑いはあったけどやっぱり嬉しそうにする二人にほっこりしていたのは当然で、それを笑うンゼットォラ様にムカムカしてきたのは言うまでもない。子どもだからいいじゃないかい?んん?右目が少し、熱いんだけど?


 お父様が私のあからさまな怒りの表情を読み取ってくれたらしい。例の肩にあるらしきスイッチを押して黙らせてやり方をレクチャーしてくれた。ただいまそれを習得中です。実験台はもちろんンゼットォラ様。いい実験台ができて最高です。これは気がねなくできる。


「んー。魔力は圧倒できているけど集めるのはまだゆっくりだね。そうだ………クフィー、これを見てくれ」


「なんでしょうか?」


 まだまだ素早く集められない私にお父様がンゼットォラ様を押さえながら指先に少量のキラキラ。詠唱と手早く魔法文字を書いていく。パッ!と出来ちゃうのは慣れなのかな?まぐとりは字がごちゃごちゃしているからちょうどいいって言ってた漢字がなぜお父様は素早く書けるのだろうか………


 そんなことより、ですね!短い詠唱をして出てきたのは水球。人の顔ぐらいの大きさですね。そしてウィル様を呼んで………これっくらいの天面が開いた箱を所望されました。なんだろう。


 ウィル様はいいですよ、なんて軽い口調で―――こっちは丁寧な書き方。でも、やっぱり早いと思う。お父様より魔力が多いみたいだね。拳が見えないぐらい魔力が溜められてすごいキラキラが!………ウィル様も詠唱が短い。で、出てきたのが―――ドン!と、横が50センクター。縦20センクター?高さ30センクターぐらいの箱。天面なし。黒っぽいから土でできているのかな?ウィル様は土属性だもんね。


 どうするんだろう?あ、お父様が水球をそのなかにゆっくりと入れた。弾けて………水槽になっちゃった。水の高さは数センクター。溢しても多少ですむと思う。


 お父様とウィル様の魔法でエリーとジジルはちょっと元気になったみたい。わぁあ!て嬉しそうに見て小さく拍手を送っていた。んで?これは何に使うんですか?


「クフィー、押し寄せるっとはどんなものか、まずどう想像する?」


「押し寄せる、ですから………なにか力がぐっと迫ってくるような感じでしょうか?」


「間違ってはいない。しかし、それだと想像と言うより感覚的な発想だな。ここに水をいれた箱がある。この水はクフィーが言うような何かの力をさせるための魔力だと思うように」


 そう言ってウィル様が箱に手をついて………また魔法文字を発動ですね。指をキラキラしながら~の、円を書いて~箱に手のひらを押し付けました!何だろうか?三人の頭に?を浮かべながら見ていると―――人っぽい星型の物体が水が溜まった箱―――の、中心から出てきました。なに、これ。


「人です」


「え」


「え?」


「おでぶちゃんだ」


 ジジル………君にはそう見えるんだね?ウィル様は眼鏡をズレてもいないのにかけ直しちゃったよ?素直すぎるのは駄目だって。いや、私も一瞬ぐらい?お、驚いちゃったけど!ここはあえてスルーをしてだね!


「この人に注目するように」


 スルー出来ないっ!?


「ウィルは極端だから気にするな。ちゃんと人形を作れるが、作ると懲りだすから時間がかかる。だから時間を短縮するとそれっぽい形で終わるんだ。気にしないでおこう」


「グレストス様もけっこう失礼ですね!すみませんねっ、雑なもんで!」


「まあ、それは横に置いておいてだな―――海には色々な現象があってだね、今回は波を使おう。この人形がンゼットォラだ。水をさっき言ったように魔力とする。魔力操作として集める行為は『ここに集める』意思で行われる。角に集めるにはどうしたらいい?エリエリーチェくん。箱を動かしてもいいよ」


「私っ!?えと、傾ける!」


 ぐっと押しても動かない。この箱はなかなか重い作りになっているらしい。


「うん。正解だ―――よっ、と」


 傾けて集めたね。うん、確かに集まった。


「これか大雑把に言うが魔力の集め方だ。こうしてここに集めたいから意思でかき集められる。ここに動かす用に操作する。動かせないのは小人の用に魔力の想像が出来ないならだ」


「想像………」


 お父様が真面目なんですが。相当のお疲れだね。いつ弾けちゃうのかな………そっちの方が心配になってきた。


「それでね、このンゼットォラに水を押し寄せたい。攻撃したいんだ。どうすればいいかな、ジジルニアくん?」


「えーと………押し寄せる?攻撃?攻撃だから、手ですくってかける!」


「それは魔力操作でできるかな?」


「ジジルニア若魔法師、この水は魔力です。体の中にあるんですよ。手は使えませんね」


「う~~~………クフィーちゃん助けて!」


「え?私はジジルにどやって助けに行くのですか?」


「クフィー、違う違う。クフィーならわかってるんでしょ?教えてってこと!」


 え、そうだったの?全然、まったく、想像もしてなかったよ。ちょっと恥ずかしいじゃないかっ!まあ、波って言ってくれたからお父様の言いたいことはわかるんだけどね。


 お父様をチラリと見て………なんだか意地悪な顔で見返されてしまった。ふふん、見たいな。こっちだってその顔ができるんだからね、お父様。答えを言ってやりますとも!エリーとジジルの期待に答えてあげるよ!!


「これを傾ければいいのですよね?交互に」


「クフィーには分かるのか」


「先ほど、傾けた時に溜まりましたでしょう?それをンゼットォラ様に当てるなら反対の動作をすれば水はそちらに移動します。勢いをつければ水が一気にンゼットォラ様に攻撃するのではありませんか?」


「すごいですね。一度傾けただけでそれを見抜くとは………」


「どうだ、ウィル。私の娘は凄いだろう」


 あ、いつものお父様だ。


「はいはい。では見せてください、エリエリーチェ若魔法師とジジルニア若魔法師が追い付いていません」


「よし、頑張ろうかな」


 しゃがんだままではさすがに出来ないらしい。そりゃあ今から交互にガッタンゴットンとやるもんね。同じ高さより上からやった方が楽だよね。


 お父様の見ててごらん、と言う合図と共に右へ傾けたらンゼットォラ様の足元から水が引いて右側面に水が溜められた。次にゆっくり左に傾けて水を左側面に押しやる。また集まってきたら右へ。また左へ。右、左、と交互にガッタンガッタンと披露。これにより高波となってンゼットォラ様が飲み込まれること数回。これでンゼットォラが溺れているだろう?なんてお父様が言えば、二人は声を揃えて驚いていた。


 傾ける速度が早くなれば端にたどり着いた水が勢いに乗って上から中央に戻ったりしてンゼットォラ様を攻撃したり。たどり着いていない水が向かっていた進行と逆向きの力に押し返され衝突すれば荒れている水の中ではなく、何もない上へ水が上ってンゼットォラ様を攻撃したりと見てわかる光景に小さな拍手が巻き起こった。


「これが押し寄せる、ですね」


「そう。今の動きでわかったように、水が揺さぶられた勢いで高くなっただろう?腰の高さしかなったのに壁に揺さぶられ、ぶつかって跳ね返った水はンゼットォラを覆うように被ってきた。こんな感じで魔力操作を一気に襲うような感じで押し寄せるんだ。今さらだけど放つ、と言えばよかったかな」


「それは危険そうですから止めてください」


「でも、これ………私だとあんまり想像しにくいかも………」


「私も………なんだろ?水って勝手に動かせないし」


「君たちはあの小人を使えばいいでしょう。街の大浴場は行ったことありますか?」


「お金がないからそんなには。催しがあるときや季節に一度入るぐらいです。後は水で清めて終わり」


「私もそんな感じかな。大浴場って、教会が管理しているから寄付としてお金すっごく取るもん。でも、信者だと半額なんだって」


「あ、それで信者を増やそうとしてるってお父さんから聞いたことあるよ!」


 え、街にそんなものがあるの?初めて知ったんだけど?大浴場って、温泉?いや、でも異世界って地下から湯が出るとかそんな概念がない気がするっ。


「泳いだことは?」


 あ、ウィル様そんな。眼鏡がキラリと光ったような気がする。で、エリーとジジルは照れたように視線をそらした。つまりしたことがあるんだね?駄目だよっ。お風呂でそんな事をしちゃっ。でも、私も子どものころ温泉に行ったときばた足をしていたねっ!結局は沈んじゃってお母さんに笑われていた記憶がっ―――でもなんでウィル様はそんなことを?


 お父様に促されながらちょっとエリーたちの話を聞きつつ魔力操作。お父様が隣で一気にだよ、という言葉を聞きながら未だに倒れているンゼットォラ様の腕に触れる。あ、因みに生きているよ。ただ、笑いすぎとお父様の停止方法で窒息をしかけていたから疲れて倒れたままなのです。


 よほど体力を使ったらしいね。ぶつぶつと「なんで俺なんだ?俺、なにか悪いことしたか?俺が悪いのか?攻撃対象にされるほど俺が悪いのか?いや、だって小人っつったら笑えんだろ?………」とか長々と、ね。自答自問で迷宮入りしている。ぼそぼそ喋るからちょっと怖いです。


「島に水場を作りましょう。大浴場のように大きくてみなが遊べる場所です。小人は水場で遊ばせましょう」


「小人を………?」


「小人さんを………?」


 え?


「ええ、そうです。小人にも遊び場が必要ですから。そして、なにか緊急が起きたら先ほどのように水の流れを使って素早く小人を移動させるんです。小人が水の上に乗って移動するんですよ?」


「なるほど!それならさっき見たからできそう!!」


「うん!これなら移動も早いですね!!」


「では、やってみましょうか」


 待ってぇぇえええええええ!?なにそれなにそれ!?小人島が進化しちゃったんだけどおおお!?ウィル様なんて事ををををっっ!?溺れるっ!溺れるからあああああ!!!!


「ぐええっ!?」


「さすがクフィー!出来たじゃないか!」


「え、あ………できました、ね」


「今の感覚を忘れてはいけないよ?さ、もう一度」


「わ、わかりました」


 感覚なんて分からないんだけどね!でも想像はできるのでぱぱっ!とやったらあのお父様が帰ってきた。私を抱き上げてくるくる回り始めた時にはどうしようかと思ったよ。あと、しゃがんでて気づかなかったんだけど………ンゼットォラ様の頭の周辺に位置する濃いグレーの床が黒くなってる………まるで頭を殴られて倒れてしまった被害者のようだね。ピクピク動いてるから死んでないだろうけどさ。


 エリーもジジルもウィル様の機転を利かせた水場の想像は成功したらしい。水に乗って移動が出来たんだって。溺れるって知らないから出来たんだろうねっ。満面な笑みで喜んでいるのだから、それが間違えのない答えだと思う。ウィル様も眼鏡をかけ直して「先ほどよりいいですね」なんて褒めちゃったよっ。


 あ、あのね、ジジル、エリー。君たちはそれでいいのか!?小人説を進化させてっ―――それでいいのか!?


 残念なのはこの二人が喜んでいるので止めさせれないって事だよね!いいんだけどっ。いいんだけどっ!なんか納得いかないよ!!せめて小人から水に進化させようよお!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ