いなされて。いさくさがやってきた?
クフィーの前歯を忘れていました。。。
拘りたいのですが、書きにくいので言葉遣いを普通に戻します。
きっと前歯は1/3ぐらい生えていたに違いない!
支障はないはずだ!!知識不足ですみませんでしたっ。
改訂いたしました。27.8.11
お父様に幻狼について話をしてみた。たまに引っ掛かるけど、なにやら私の前歯はちょっとだけ伸びた気がする!ちょっとだけ、なんだけどね。気持ちだよ、気持ち。これ大事。ほらおちょこ口で喋るとそれなりに聞こえるから頑張りますっ!
まず、お父様でも幻狼はあやふやな伝記しか残っておらず―――やはり誰でも聞けるようなことしか伝わっていないらしい。ついでに言うなれば魔法師の幹部や上層部、それとやはり教会は知っているんじゃないかな、と言うぐらいだった。
幻狼は精霊の王とも呼べる存在なんだって!そして全属性を司る精霊獣。まぐとりよりも伝説に近い存在ではないかと、お父様が言う。
ちょっと待ってね、お父様。幻狼ってそんなにすごいの?やめてよ。その幻狼………?に契約(共鳴)しないか?って押し売りされたんだけどっ。精霊の王とか、なにを言っているのかな?私を驚かそうとしたって………今、そんなことしないよね。
「クフィーから精霊獣の話をしてくるとは予想外だな………なぜ今話したんだい?」
「………すみません。実は、キャロラリンに連れ出されたとき、あの森でまぐとりと―――と言いましたが幻狼も一緒におりました」
「………なぜ、言わなかったんだい?」
「まぐとりでさえも私から話すと嘘臭いのに、さらに精霊獣を口にすれば絶対に信じません。話が大きすぎます。現に、陛下はさすがにわかりませんが、お父様を始めあの場にいた人たちは驚愕していたではありませんか」
「うっ………でも、他に理由があるだろう?そうでないと私にこんな話をしない」
「はい。精霊が願う気持ちと、まぐとりの願う気持ちですが、昨日の報告書にも書いたように、無理強いはできません。ですがこのままではアトラナが辛いでしょう。そこで幻狼がもう一つ、助け出す方法を提示してきました」
その内容はまだ、知らない。ただ、その幻狼が我ならできると豪語しているので保留にしたのだ。その事も含めてお父様に聞いている。だって、ね?新手の詐欺みたいだし。
契約(共鳴)して、アトラナを助け出せるかなんて分からない。嘘は付かないかもしれない………のかな?精霊は気まぐれだと念頭にしてしまえばそれすら疑わしいよね。だからうやむやに流して保留にしたのだ。ついでに誰かの意見も聞きたかったし、誰かの命がかかっている。わけが分からないまま突っ走るのは危険だよ。
「契約………共鳴したらアトラナを救い出してくれる。そしてクフィーの属性も何とかしてくれる。理由は暇で現状に飽きたから………刺激がほしいと考えれば契約は得策ではない。私としてはクフィーが魔病に怯えずに暮らせるなら少し靡きそうだな………」
「お父様。今はこうやって抑制魔法具で生きられます。【火】と【風】の魔素が濃いところに行かなければ私の魔病は発症しないのですよ?それに………幻狼と契約してしまったら、私は………」
「………精霊がない今、その存在は危険だな」
そう、危険物取り扱い注意の肩書きを付けなければならない。それはちょっと嫌だ。もう崩れかけているけど、私の人生計画にそんな大物をぶら下げて歩きたくない。しかも、子どもの私が。絶対に道具にされる。道具と狙いをつけられる。
ただね、ちょっと残念だなってこの機会をそう思ってしまう。精霊が魔法陣を描いて魔素も集めて魔法の手助けをしてくれるって説明してくれたときにね、ふと考えてしまった。精霊が魔素を集めて魔法陣も作って、人間が魔力を分け与えて放つだけなら―――もし、意思疏通が叶うならそれって私が考えている無詠唱の魔法をぽん!と出せるやり方にならないか、と。
異世界と言えば魔法。私はこの魔法と言う言葉が一番好きなジャンルである。だからよく魔法使い、魔法師、魔術師、魔導師、魔女など魔法を放てる小説を好んで読んでいた。私も魔法を使って楽しみたいとか思って。最初は地道に頑張って、その成果に無詠唱でバンバン使っては魔王を退治するような存在とか。ファンタジーの妄想だからそんな事を描いて楽しんでいたのだ。それが出来るのではないか、と思わせられたらちょっと揺らいでしまう。
もちろん、幻狼はちょっと怪しすぎるから手は………出さないかな。ほら、私って物語の主人公のようにうまく立ち回れないから。冒険者だったら外を動き回れるけど、私は貴族の令嬢だ。魔力しか特化していない、貴族………このファンタジーは妄想と現実をしっかり別けなければクロムフィーアの人生のように、ハチャメチャになる。その原因は私なんだけどさっ!
「クフィーはアトラナを助けたい、のか?」
「………ここまで関わったのですから―――死なせるぐらいなら助けたいです」
「あの子とクフィーとはあまり関わりがない。クフィーに怪我をさせたし、あの子の魔力暴走を止めるためにわがままに付き合わせているのがクフィーだ。ただ表面上で関わっているだけにすぎない。それでも、助けたいのかい?」
「―――どちらかであると、答えられません。友達であるのか、そうでないのかも自分でわかっていないのです。でも、関わってしまったから知り合いが死ぬのは嫌です」
「クフィー………偽善のような上部だけの関係でしか見いだせないなら、放っておくべきだ」
―――そう、だね。アトラナとは呼び出されたから私が応えただけのお仕事だ。そんな上部だけなら切り捨てた方がいい。ただその切り替えができないんだよ。
ゆっくりと私の頭を撫でてくれるけど、それだけじゃなんだか沈んでしまった心は浮き上がらない。本当に私はどうしたいんだろうね。聖女でもなんでもないのに、関わったから助けたい―――偽善、か………
「旦那様、そろそろお出になった方がよろしいかと」
「―――わかった。さあクフィー………考えてばかりでは疲れてしまうからね。あまりよくないよ。時には忘れて思いっきり遊ぶのもいい。今日も騎士棟だが、今回は面白いことが起きているぞ」
「騎士棟で面白いことですか?」
「行けばわかるよ」
そう言って私を抱えたお父様は、扉の向こうで呼び出したダリスさんに電波でも送ったのか、近づけば扉が開いたので堂々と進んでいく。そのまま玄関に向かうものだから私も向かうのかと一瞬考えたけど、私はご飯をまだ食べていない!朝ご飯を食べなきゃお昼で暴飲暴食を披露することになるから置いていってください!!
と、抗議したらあははは~とか言って下ろしてくれた。なんでも、離しがたかったらしい。お父様は忙しいので逢える時間が起き出して私たちが朝食を食べ始める時間までか、夕方にひょっこり顔を出して時間があれば、しか逢わない。なので、この時間をもう少し堪能したくあわよくばこのまま連れていってしまおうとしたらしい。
お父様、私はお腹が空いてしまっては困るので拒否する!まあそれを口にしたらどうして!?なんで!?で詰め寄られ、面倒に発展するから頑張れ、気を付けて、でも騒いだら抱っこ禁止とか色々と取って付けていつの間に来たのかわからないお母様と見送りました。最後はお母様のいってらっしゃいのキスの効果だと思われるので、今度からお母様を早く召喚したいと思います。玄関でお見送りも私がやるなんてあまりないけどね。
「クフィー………お父様に、なにか贈り物でもしましょう」
「え?」
「お疲れのようだもの。私たちがお父様のために考えた贈り物を贈ったらお喜びになって疲れも吹っ飛ぶわ」
いや、それをやったらお父様を煽動しすぎでレーバレンス様とかヴィグマンお爺ちゃんに怒られるような気がするっ。気がするじゃなくて怒られるの確定する!!そしてそれはきっと私が受け止めなきゃならないのも分かっているよっ!!止めてくだされ!!
「お、お母様、まずはトールお兄様たちにもお話しをいたしませんと!(引き留める仲間を増やさなきゃっ)」
「そうね。では、さっそく朝食の時にでも話しましょうか。いきますよ、クフィー」
い、いいいい行くよ!お母様を野放しにしておけないからっ!しかし、歩き出したお母様はなんだか早歩きのようで小股の私には追い付けないよっ。裾を持ち上げて駆け出したいが………お母様の近くでそれはやりたくない。ううん。やれない。だって、マナー指導が怖いから。長いんだよ、お説教とか。公爵気質はここに使わなくてもいいのにっ。伯爵の気品はそれなりでいいじゃんかっ!
頑張ってせっせと歩いたんだけどね………やっぱり追い付けなくて、ようやくたどり着いた食堂ではすでにお母様から話が進められていたのかノリノリのリディお姉様と、必死に、少しでも、出来ればなかったことにしようと焦っているトールお兄様になんだか近寄りたくなくてこっそりと席についた。が、バレる。これ………どこまで抑えられるかな………人形のように壁から動かないジェルエさんたちがちょっと羨ましかった。
はい、とりあえずお母様の案は遂行されるそうです。時間切れだったのでジェルエさんとダリスさんに任せてきた。これで少しは大丈夫………な、はず。トールお兄様もダリスさんに念押ししていたから―――ちょっとは大丈夫だと願いたい。
アビグーア中隊長の肩に乗って、出迎えから始まり門から玄関ホールを歩き、そのまま騎士棟への出入り口に入って軽く受付のメザックさんに挨拶を交わしてずんずん進んだら訓練所にたどり着きました。まるで見世物のような気分だったよ。
まず、出迎えで馬車から出たときに伸びてきた手が実に長くてビビった。どこから?ってそりゃあアビグーア中隊長の体から腕が伸びているに決まっている。しかし、約2メートクターだろう長身が持つ腕は長い。そして私は小さい。少し屈んで下ろしてくれたけど、あっという間に肩に移動させられた。そしてウェルターさんに挨拶。ごめん。蹴っちゃいそう。
ウェルターさんでも見上げなくてはならない高さなので、すっごくやりにくい挨拶を交わして門をくぐった。それから奇異の目で見られ、メイドさんから遠巻きに避けられ―――騎士棟へもぐれば唖然として騎士見習いに遭遇して受付でしょ?メザックさんもちょっとビックリしてたけど、いつも迎えにアビグーア中隊長の登場で慣れたらしくてすぐに通行証扱いの以前もらった牙のペンダントを見せたら中に入れてくれる―――そして、アビグーア中隊長が進んで入った訓練所は、空けた広い場所で………変な光景が広がっていた。
入った瞬間に見えるのは、まあ見習い、だね。装備なしの見習いたちが集団で全力疾走しながら騎乗している馬を追いかけています。馬は楽しそうに駆け回ってたまにいなないている。はて………これがお父様が言う、面白いことなのだろうか?
あれ、向こうの方にも馬を追いかけている集団が………あっちはすごい大きな声で回り込めとか騒いで駆け回っているね。そのまた向こうは………屍だ。地面にところどころに見える長細い物体は力尽きた屍に違いない………
「待っていたぞ」
「今日は楽しそうだ。クフィーも存分に楽しんでくれ」
「頑張る。任せろ」
え、いや、何を?
後ろから声をかけてきたのはウォガー大隊長とユリユア様。しっかり騎乗して格好いいです。そしてウママンが濃ゆくて顔をあげるものだからユリユア様たちの顔がインパクトに負けてウママンが憎いっ!濃すぎるよ馬!
それで、これはどう言うことかね?説明はウォガー大隊長。力と体力を誇る騎士棟で、キャロラリンにみすみす逃げられて私が拐われたから訓練をしているそうです。
体力向上と、統率力や判断力。加えて今は見えないけど向こう側で馬術の訓練。足腰の鍛えにもなるし競技としてやれば騎士の意思も高揚が得られていい訓練になっているそうです。
普段は走り込みや剣を振り回したり模擬訓練を始め夜営をしていたが、最近では魔法剣習得のために魔力操作などをやっていたために味気がなくなっていたんだって。そこでまだ夏場のこの時期に、広い平原に近いこの訓練所を使って競技と言いつつ訓練しているんだとか。訓練とは言わないと思うけど、何も言うまい。
それで、私はなんとアビグーア中隊長と乗馬して馬になれろと言う。見ていたら面白い―――かも!?しれないけどこれは遊べないよ、お父様。面白い?ことは確かに起こっているけど、同時におかしい事も起こっていることに誰か気づいて!!屍がさらに増えているよ!!騎士が死んじゃうよ!?
そして私もあの中に入れられるんだ………と説明を受けているところで―――横槍が。キャロラリンを連れた見知らぬ誰かさんが入ってきた。キャロラリンの回りを4人が囲って引き連れていますね。この人たちは重装備だ。
手綱を握っている人ががっちり着込んでる。兜、胸、胴、肩、腕、腰、脚と全体に鎧をつけて威厳に満ちたような顔でキャロラリンの横に立っていて、逆側には手綱を握っている人の装備から兜、肩、胴、腕は籠手で脚は膝までになくなっている。その後ろが装備を与えられていない見習いで、後ろの隣は前に見た下級騎士のような軽い装備の人。つまり、階級が高ければつけられる防具が増えるのかな?そのわりにはウォガー大隊長………は、論外か。アビグーア中隊長は軍服のような感じなんだけど?うん?
「君が『野獣の調教師』だな?君のおかげで我ら騎士は多大な被害を被った」
「………そう、ですか」
その二つ名、まだ引っ張るの………?
「おかげで私がキャロラリンの世話をやらなければならなくなった。どうしてくれる」
どうもこうも知りません。
「しかも、君のせいでこんな訓練をさせられている。これでは騎士が馬鹿の溜まり場のようだ。上から見ていて、さぞ楽しいだろうな?」
うーん。貴族、なんだろうね。ウォガー大隊長とかアビグーア中隊長、ユリユア様も無視できるなんてすごいね。それだけの爵位、またほ騎士の階級が高いのかな?あれ、これって面倒事が自らやってきたパターンじゃない?また私のせいになるの!?
「………どちら様でしょうか?」
「ふん。知らないのか?私は第六番隊隊長―――『紅蓮の剣』、レジフォン・ラーマ・カーメンだ」
うわ。お父様、面白い事が面倒な事に変えられたんだけど………これをどうやって遊べと?難易度が高すぎだよっ!!




