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どうなった。こうなった。

改訂いたしました。27.8.10

 円形のテーブルを囲んで私のお話しは炸裂。私の隣にいるのはヴィグマンお爺ちゃんとお父様。お父様が右で、その隣から順番にグラムディア様と顔が未だにわからない陛下。おっとり見つめてくる王妃様に、宰相様と能面のレーバレンス様。で、ヴィグマンお爺ちゃん。


 やっぱりこのメンバーか………とは言わずに顔にも出さずに私は―――ぼかさず、話した。と、言ってもアトラナに関係しそうな部分だけ。ざっくり話したんだ!頑張ったよ!


 まぐとりはさすがにキャロラリンの理由つけに使って、わんこ様は伏せた。まぐとりでさえ驚かれているのにここでわんこ様―――幻狼をだしたらどうなるか………そもそも、幻狼がどれだけの存在なのかわかんないし。まあ、まぐとりより若いみたいな事を言っていたけどさ。それでも長寿なんでしょう?伝説くらいは残っていそうだし、誰か倒れてしまったら怖いので。今もまぐとりで危ないんだよ。


 すべてをまぐとりのせいにして私のお話しは終わる。もうほとんどが信じられない、と顔に書いてあるんだけどね。あ、因みに前歯は隠しているよ。すかさずお父様が準備してくれた。陛下の前でいいのか、と思ったけど気にしないと言われたら遠慮はしない。さすがに前歯がない状態を晒したくはないので。私の羞恥心が勝ちましたっ。そこまで口を開けているつもりはないけど念のために!


 聞き取りにくかったであろうが、話し終わった次にはお父様の質問にあった。まず、怪我。昨日から言っているが、ない。「体調は?」どこも悪くありません、て。


 昨日も見つけてくれた矢先に言われたので逆に聞き返してみた。なんでも、私が立っていた場所は魔素の濃さが尋常ではなかったらしい。近づけば近づくほど魔素が濃くなって、空けた場所に私がいるものだからなにか影響は出ていないか心配したんだって。


 そりゃあ―――魔素を取り込むまぐとりもいれば、その存在に近そうな幻狼がいれば濃くもなるよね。精霊獣のことなんて言ってたし。あの大きさなら、見ていないお父様たちには特大な魔素の塊と捉えるのが当然かもしれない。全部をまぐとりのせいにしておいたけど。


「しかし………娘っ子はすごいの―――事件の塊じゃな。引き起こしておるのか?」


「私もそれを問いたい。ほとんどの問題に関わっていないか?」


「そんなことを言わえまひても」


「前歯が同時に抜けると、喋りにくいのよね。私の時は下の前歯も抜けていましたからクフィーちゃんよりもっと変な発音でしたわ」


「そんなティルリエにも、逢いたかったな」


「まあ、陛下」


「どうしてそっちに持っていかれるのですか!?」


 おっとりとしながら何ピンクの世界に入ろうとしているのかな?お父様が珍しく私の扇を取って、広げて、渡して使い方をレクチャー。やばくなったら扇を広げて顔を隠しなさい、とな。これ、いいね。


 ―――まあ、そんな流れをちょいちょい挟まれつつ、キャロラリンについてのお話し。今回はキャロラリンがいきなり子どもを連れ去ってしまった事件になっているけど、城内でかなりの騒ぎになってしまったためにこれは魔法棟のところまで伝わってしまったらしい。ぶっちゃけて言えば端にある騎士棟から向かいの魔法棟の全領域に。そして今、王宮に面している陛下たちの耳にも広がったので………城の全体に広がっていると断言した方がいいかな。


 お父様があんなに騒いだらそうなるよ、と思ったんだけど………広がり方はキャロラリンそのものが原因だった。騎士棟の出入り口はもちろん、魔法棟と一緒で玄関ホールと繋がっている。キャロラリンは訓練所から受け付けまで駆け出し、私を篭に入れてそのまま通路を突っ切ったために玄関ホールまで出たんだって。それだけなら篭をくわえて走る、または何かも持って逃げようとしているキャロラリンにしか見えなかったんだけど………私の手や頭が見えていたんだって。私は、悪くない、よ?


 玄関ホールでそれを目撃した人たちは………キャロラリンが子どもが入っている篭をもって逃走、にしか見えなかったらしい。これで歩いていたら―――まだ散歩かな?で押さえられたんだけど。しばらくしたらキャロラリンの名前を叫びながら飛び出してくる騎士、馬で駆ける騎士が複数もキャロラリンを追っていくではありませんか。


 もう何だろう?では済まされない。だって、駆け出していく騎士の顔か焦っているのは目に見えて分かるのだから。それから捜索願いに【風】の魔法師が総出で依頼され、統率されてからは不自然にならないように町中を探し回る事件になっているのだ。私は森でお話ししていたのでその大がかりになってしまっている事件に驚愕してもしきれない。どえらい事になっているよっ!


 しかも、キャロラリンはグラムディア様の愛馬と言うこともあって傷を負わせられないし、強い。鎧を身に着けていなくては、軽い怪我ではすまないので………遠くから見ても、どこから見ても大事件になってしまっている。


 そして解決した真実は私は運ばれただけで無事だし、城の裏手の森で優雅にお食事タイムも洒落こんでいたキャロラリン。実に和やかに過ごしていた。こればかりはグラムディア様の苦笑いが痛々しく見えましたよ。頭まで抱えちゃった。


 で、ここまで騒ぎを出したのだから、普通に罰則が与えられる。しかし、相手は馬。動物になんの罰が必要かっ!ここまで凄いことをやってのけた動物ならすぐに斬られると思う。しかし、キャロラリンは頭がいい。足も体力も他の馬より劣ることはない。つまり、切り捨てるのに惜しい馬である。


「私がしばらく躾ましょうか。秋の終わりまで乗馬はなし、食事も他の馬と同じで小さいものを与えるのもなし。加えて歩かせてあげても走らせることは一切なし」


「キャロラリンはそれで大丈夫なのか?守るのか?守らせられるのか?」


「問題ありません。キャロラリンですから」


「グラムディア様、それじゃったらご自身ではなく、騎士にやらせたらどうじゃろうか。キャロラリンもそうじゃが元々はキャロラリンを逃がしてしまった騎士にも責任があるじゃろう」


「騎士があそこまで騒ぎを起こしたのも同罪でしょう。それはいいと思います。キャロラリンの噂は私でも知っているほどですから。そうですね、朝と夜で12の鐘を目安に隊長の階級を持つもの以外に上級、中級、下級、見習いを各一人ずつ4人で組ませ、キャロラリンの世話に当たってもらいましょう。先ほど言われた通りに」


「それが妥当か。上級は統率力が欠けたからこそこの結果だ。下級たちも上級から習うのにいい機会だろう」


 馬の世話になんといい機会があるんだろう。そしてキャロラリンはまぐとりに頼まれただけなのに罰則が。ごめんキャロラリン。私では防げないよ。だからせめて私は逢えるようにしてもらおう。可哀想だ。いや、それでキャロラリンが喜ぶかは別だが。王妃様に懇願したら陛下が懐柔されてオッケー出ました!騎士棟に行ったときは必ず顔を見に行こう。


 グラムディア様を始めヴィグマンお爺ちゃんと陛下と宰相様でキャロラリンの処遇は決まった。キャロラリンが斬られるわけじゃないから別にいいけど、今さらながらこんな罰でいいのかな?


 そんな風に思っていたのがバレたのか。わざと口にしたのか、あえて口にしたのかわからないけどグラムディア様がキャロラリンの性格をさりげなく教えてくれた。キャロラリンは気に入らない奴に世話をされるのが大嫌いらしい。物事がはっきりしているから騎士でも手を焼いているし、交流を深めるには打ってつけだ、て。そしてグラムディア様の言葉は絶対に守る。だからこの罰が失敗することはない、らしい。


 ふーん。そんなに嫌ならキャロラリンにも罰になる―――のかな?騎士の罰にしか聞こえない………


 そんな感じでキャロラリンの処遇は決定。因みに私は被害者でお父様のごり押して何もない。むしろ謝罪の意味を込めてなにか持たされそうになったので断っておいた。無くした歯のお詫びもいりませんよ!?


 そして―――アトラナの話題になった。アトラナに関しては、さっきも言ったように精霊の助け出す方法と、まぐとりの真実をどこをどう信じるかが議題とされた。精霊の気まぐれであることは何回も推しておいた。ただ、魔法と精霊に関しては言っていない。事実を明確に私が告げるのはちょっと天変地異に近いし自信がない。収集がつかなくなることは明白。余計な波風はたてない方がいい。


 それに別に話さなくてもいいと思ってるんだ。だって、この精霊と魔法に関してなんて人間の欲目で精霊を利用しながら得た魔法に聞こえちゃうし、手を取り合って作り上げたって言っても、魔法師上層部と教会関連の人たちじゃないと精霊の存在はほとんど知られてないよね。私の世迷い言で終わってしまうし、今はそれを言う必要はない。肝心なのはアトラナをどうするか。


「クフィーは明日にでも………それかこの後にでもアトラナに逢わせようかと思っています。そこでクフィーに確かめてもらい、判断はその後に仰ぐしかないのではないでしょうか?幸い、まぐとりの話を聞いても魔力暴走さえさせなければアトラナの体は大丈夫だと思われます」


「その方がいいな………その娘が倒れてから魔力暴走は聞いていない。まだ少しは余裕があると見て娘に任せるとしよう。しかし、長引くのであれば精霊のやり方を実行させる」


「私は今回、アトラナの件に関わっていないのですが共鳴破棄の詠唱が必要と聞き及んでいます。その目処はついているのでしょうか?」


「教会に所属している魔法師に調べてもらっんじゃが………シェムピスならば知っているだろう、というあやふやな情報を手に入れたそうじゃ」


「げっ」


 お父様が蛙になりました。よほど嫌いなんだね。シェムピスと言う名前を聞いただけで、陛下もいるのに頬をひきつらせて嫌そうな顔を作っていた。それをみた全員が納得、と言う顔で頷きあうのだから………認知されるほど酷いのか。


 面白そうだからシェムピスのことをちょっとだけ聞いてみた。と、言ってもやっぱり誰でも聞くような回答が返ってくる。盲目で、その瞼の裏に魔力を感じとる魔法師。しかもちゃんと教会だからか光属性。昔にお父様といざこざがあったんだよ、と言われてミサイルを発射してみた。「手籠めでしたっけ?それってなんですか?」て。わざとらしくそこだけチョイス。


 発音はよろしくなかったけど、ちゃんと大人たちは変換してくれたらしい。そして―――場の空気が凍る。お父様はむせて沈んだ。うん。手籠めっていまさらながら子どもが口にしたら駄目な言葉だよね。しかもこんな大人数で。あれだよ。赤ちゃんはどこからやって来る的な子どもが無邪気にふるってくる攻撃。殺傷能力は人それぞれに問われるだろう。まったく動かないレーバレンス様とヴィグマンお爺ちゃんと王妃様あたりは忍耐が強いと見た。


 大丈夫ですか?なんてきょとんとした顔で言ってみる。お父様はすでにテーブルに突っ伏して唸っていた。このまま逃げるつもりなのかな?じゃあ被害が拡大するだけなんだけど………なんとなくグラムディア様の方へ―――はい、目を反らされましたー。じゃあ宰相様は?うん。こっちも目を盛大に反らした。宰相様はマルカリアがいただろうに。なぜ反らす。


 陛下は顔がわからないから却下。となると、忍耐の強い3人になるけどここはあえてお隣のヴィグマンお爺ちゃん。変な事を言っている自覚があるので迎撃されないためにもレーバレンス様は回避でっ!当たり障りないヴィグマンお爺ちゃんに回答券を委ねたいと思います!!じぃ~………と、見つめて。


「自分で調べてこそ、知識が身に付く。そのうち娘っ子が調べればよいのう」


「わかいまいた」


 締まらない。そして、つまらない。年配のお爺ちゃんらしい回答で避けられちゃったよ。ちぇ。


 とりあえず、お父様は復活が出来そうにないから放置しろ、と言われたので放置することにした。あれでも色々と忙しいらしいので、私は私のやることをしようと思う。解散だって。


 レーバレンス様の得意な影渡りで一っ飛び。現在時刻はお昼前ぐらい。と、言うことでレーバレンス様の部屋でハルディアスと共にお勉強である。


 ハルディアスは魔素に嫌われているから魔法が打てない。そのせいで魔法に関しての勉強はとことんやっていないらしい。ので、私が少しでもやる気を出せるように焚き付けろ、って意味で連れてこられた………さすがレーバレンス様。使えるものは使うね。私にどうしろというのっ。


 やる気がない人をやる気にさせるのって難しいよ。それって本人の気の持ちようでしょう?なんでまた私まで巻き込まれているんだか―――と、ぶつぶつ言っていたら後ろから声がかかるんだよね。


「ハルディアスが魔塊を作ったのはいくつかわかるか?」


「………5つぶぇすか?」


「その十倍は軽く越える」


 それは駄目だろう!それを聞いてしまったら私だって頑張らなきゃ!魔塊で体調不良なんてハルディアスもなんでそんなに溜め込んでいるの!!なんて言ってみるけど途中途中が前歯のせいで発音がおかしくなるものだから………まあ、ハルディアスから怪訝な顔をされた。腹立つから前歯がないんだよって教えてあげたわ。


 そうしたらハルディアスがぶふぅとか声を出さずに笑い出すからさらに腹が立ってですね―――ハルディアスの手を握って魔力操作で脅してあげた。動作は遅いかもしれないけど、これでも毎日のように魔力操作は行ってきた。集まれ、と思えばすぐに集まるんだよ!遅さは速いかなんて知らないけどね!


 そうしたらハルディアスが凄く焦りだした。止めろっ!と叫んでるけど、誰が止めてやるもんですか!!でも流し続けていたら今度はハルディアスの焦りが大人しくなる。まるで驚いているよう。どうしたんどろうね?あれ?ハルディアスの魔力ってなんか………吸われている感覚が………?


 魔力操作もそのままに集め続けて―――掴んでいる手から流れていくような気がする。でも、ハルディアスの体に魔力が大きくなるようなことはない。普通、だね。でも、私の魔力が減っている感覚が少し出てきたし………なんだろう?


「おい、このままだとお前の魔力がなくなるぞ?」


「………ハルデアス、魔力、吸ってる?」


 前歯が悔しい。とりあえず手を離してみた。なんともない。


「他人の魔力なんか吸えるわけがないだろう。そうしたらお前の魔病はとっとと片付いている」


「そう、ですよね。ハルデアスも魔力がふえぺいません(………魔力を吸ったら魔病が片付く?どういう事だろう?)」


 前歯よ。いつになったら生えてくるんですか?あれ、私、このままアトラナに会いに行くの?


「………魔素を寄せ付けないからだろ。お前の魔力も、俺に触ることによって魔素に返還されて勝手に散っていくんだよ」


「へー。すごい!」


「は?」


 つまり、魔法が当たっても散っちゃうんでしょう?つまり魔法無効にできるわけだ。耐久はどこまであるのか知らないけど、それを鍛えれば魔法に当たっても痛くないね!


「馬鹿じゃねーの?俺は誰の盾にもなる気はない」


 ハルディアスも馬鹿だよ。利用なんて色々あるでしょ。盾じゃなくて壁でもなくて、誰かを護る意味に変えたら格好よくなるのに。そんな事を呟いてみた珍しくハルディアスが驚いていた。今日はみんな表情を色々と変えるね。


 おっと、珍しく鐘が聞こえてきた。お昼だね!今日のお昼は何にしようかな~。魔力が飛ばされたおかげでお腹すいちゃってさあ。ポメアは玄関で待ち合わせになっているから、玄関に行って今日はエリーとジジルたちでお昼が食べられるかな~。………キャロラリンの噂を少しでも聞いておこう。私だとみなは知っているのか謎だ。


 意外と時間が短かったかな、なんて考えつつ私は部屋からお暇。お腹がすいたら何も出来ませんので。では―――ごーはーん。ごーはーん!!爆音がー鳴る前にー!ごーはーん。ごーはーん!!





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