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今後について

改訂いたしました。27.7.25

 ロノウィスくんからもらった手紙を自室に持っていって、お父様を待つ。しかし、ここでお父様の残念な速報が通達された。今日の帰りは遅いらしい。あの共鳴破棄の詠唱は難航みたいだね。


 ポメアから夜遅くなるので寝てくださいと言われてしまった。なら私は用事を済ませて寝ることにしよう。この手紙を読むと言う用事を、ね。


 いやーロノウィスくん下手だよね。封もしていない手紙を渡して中身を強調されたらねー。お父様が夜遅くなるのは当然ながらロノウィスくんなら知れるはず。なら、これは私に読んでくださいと言っているようなもんだよ。それに、私はロノウィスくんとドトイルに用事があった。この2人が私に用事と言えばアトラナの事になるのは流れ的にわかる。


 と、言うことで見ちゃうぞ!もしやばそうだったら忘れるように努力しよう。私の間違えじゃなければいいんだけどね。よし、とりあえず取り出してですね………長いね。3枚か。


 1枚目。私宛が書いてあったのでやっぱり読んでよかったのんだと安堵する。内容は予想通りにアトラナの事だった。どうも、今は落ち着いているらしい。頻繁に癇癪を起こしていたのが嘘のように本を読んだりたまに作り出された窓を見たりと無言の日々を暮らしているらしい。ンゼットォラ様が言うには、本当に、たまに、ぼんやりしている時に私の名前が不意に出るぐらいなんだって。ので、そろそろ元気になった姿を見せてはどうかと打診されていた。返事はレーバレンス様のお迎えが来るそうなので………お父様に伝えてくれればいいそうです。


 そして2枚目はお父様について。忙殺されるのではないかと言う書類に囲まれて黙々と仕事をしているらしいよ。別にいい事ではないのかな?と思ったが本来は書類を今日中のものと早急なものをさっさとやったら抜け出しているらしい。ロノウィスくん、それを書いていいのかね。むしろ書いたから私がお父様にこっそりと発破をかけろと言うの?でも仕事はしているんだよね?なんですか、この2枚目。お父様の状況を報告しているの?娘はけっこう気にせず寝て起きてたまによぎる程度に過ごしていますよ。


 あ、でも途中で教会の話になっているね。なんでも、教会の関係者に聞き込みをして共鳴破棄の詠唱を探しているらしい。でも惨敗しているみたいだね。ただ、ここに今日の話にでた盲目の人が鍵を握っているのではないか、と予測が書いてあった。その人の名はシェムピスと言う女性。魔力がその盲目の中で見える人でお父様の天敵らしい。なんでも、お父様の魔力が高いためにその濃さ、質量、綺麗に別れている2つの属性に惚れ込んで教会に引き込もうと色んな方法でお父様にけしかけたんだって。


 それはそれは………お父様が嫌いになるわけだね。だけどロノウィスくん、こんなことを書いていいの?文中に『手籠め』ってあるんだけど………大丈夫かな、ロノウィスくん。何度も言うけど、大丈夫かな。手紙の相手は7歳の私でよかったのか不安だよ。不安だから1枚目の宛名をじっくりと確認しちゃったじゃん。これはドトイルも止めるね。


 しかし、この人はなかなか逢えない教会の中心人物。探りを入れるにも教会のガードは堅いらしい。引き続き調査をすると書いてある。これが長期戦になっちゃうのか………まさか、アトラナの中にいる精霊が言っている『お母さん』は教会のシェムピスさん?でも、どうやって交信をするか、だよね。それだったら産みの親である『まぐとり』と考えた方がしっくりくるかな。


 3枚目は………押し付けたんじゃないかな、これ。なぜ貴方が私に手紙を書いたのか、教えてほしい。私宛と、挨拶文と一緒に自分の名前が綴られているその名はンゼットォラ・マリャル。内容は全面的に私の秘密を推測した内容だった。


 あっただけなのに私とンゼットォラ様の感覚が同じ属性だと言っている、とか文面がストレートで私の中ではンゼットォラ様って土属性の人だと思っていた。のだけど、なぜかンゼットォラ様は己の属性をこの1枚の手紙に書き込んだ。ンゼットォラ様はお父様と同じ2つの属性を持っているらしく、【土】と【風】で【風】が同じ気がするとつらつらと書いてあった。しかし、聞いた話では私の属性は【水】となっているのでそれについてはどうなんだろうかと疑問に持ちつつもそこから思想に発展していく文面によく1枚で収まったな、と思う。


 それから私の魔力量についても気になっているらしく、そう言えばアトラナがいきなり倒れたあと強引に連れ出されたときにロノウィスくんと共に引っ張られていたな、と考えてそこから私の魔力に触れたのだと憶測をたてる。わざわざお父様に抱きついて魔力を確認して私の魔力は多いんじゃないかと。今度あったときにどれくらいあるのか教えてほしいとも色々と書いてあるね。お父様に抱きついて確認した事に感服するわ。


 読み終えて思うのだけど………3枚目、濃いな。研究員のように1つの事にすごい執着を見せてる文面がまさに怖い。ンゼットォラ様が考えている内容は飛躍して突飛な回答が返ってきているのでなおさら。【風】であると同じ属性の仲間なのだから是非とも仲良くなって魔法師として活躍するために………てさ。【風】がどんなに便利か書かれても困る。私が死んでしまうじゃんか。


 とりあえず私は様子見と言うことでその手紙を丁寧に畳んで引き出しにいれた。もっぱら本を読む時にしか使っていない勉強用の机と椅子だけど、たまにこうして使う―――時しかないね!そう思うとちょっとこの調度品が可哀想なので使おう。報告として手紙をもらったが今思えばポメアには『お父様宛の手紙を預かっている』のを目撃されている。お父様に手紙を渡しておかないとちょっとポメアが困惑するかもしれない。


 よし―――お父様を労る言葉と………最近のことをちょっと書いておいて………抑制魔法具と魔力暴走寸前も書いておこう。そして明日はすぐに謝ろう。他には………魔法院の出入りを増やしてもらうこと。明日はお昼を一緒にするからその時にも言うけど、手紙を書いておけばお父様も喜んでくれるし。日々の疲れに娘の心配はあのお父様であれば嬉しいはずだ。書いて損はない。内容もおねだりだし。


「ポメア、お父様にお願い。ダリスに渡しておいて」


「かしこまりました」


「私はもう寝ます。おやすみ」


「はい。ごゆっくり、お休みくださいませ」


 そしてふわりと笑うポメアに私はメロメロだよ!やっぱり可愛い子が笑うと頬が緩んじゃうよね。しかも仕事をしっかりこなすから文句なんてない。出るわけがない!とかちょっとにやにやしてベッドに潜り込んだらすぐに寝転けるという、ね。怒ったりわいわい話したりしたのがよほど興奮して疲れたのかな。今日はぐっすり寝れる気がする。ぐー。


























「ん?日付を減らしてほしい、と?出来たら騎士棟の魔法剣が完成するまで見てやってほしいんだが………クフィーも友達と遊びたい年頃か」


「まあ、娘に頼りすぎていたかもしれないな。半分ぐらいは魔法師としての時間を作った方がいいかもしれん」


「だが、あと二十日も過ぎれば秋の兆しが訪れる。魔法院の方に在籍している貴族が出払うのではないか?」


「私の友達は寮生活をしていますから問題はないのですけど………駄目ですか?まだ時間はあると言っても、私が目指しているのは魔法師なのでもう少し魔法に力をいれたいのですが………」


「本人からの申し出なら無理にはできんな。俺には縛る理由はない。ユリユアよ、時間を空けてやったらどうだ?」


「私は姪を眺めていたいのだがな………」


「その分、俺が相手をしてやろう」


「本当か?なら、魔法剣についても改めて考えねばなるまい」


 そしてハハハと笑う目の前の二人に私は微妙な思いである。姪を眺めたいって………ユリユア様は騎士棟に入ったら嬉々として剣を振るっている姿しか見ていないのですが?まさか振るいながら隙を見て私は見られていたのだろうか………?


 そしてなぜかウォガー大隊長とよくわからない空気をまとわせながら2人は互いにじゃれていた。ユリユア様がウォガー大隊長の顎を触ったかと思うとウォガー大隊長がそれを阻止してユリユア様の首を刈る。強く絞めているわけではないとは思うけどね。密着してもこの二人は親友同士でじゃれてるとしか見えない。


 なんでよくわからない空気―――もとに、雰囲気を私は捉えたかと言うと、2人の顔がどことなく目を細めて喜んでいるように見えるからである。抑制魔法具に皹が入っちゃったから目に障害が………そこだけ空間が別のものに見えるのだから、目のせいだけではないよね。ウォガー大隊長は黒だからいまいち目の位置が把握できないけど、どことなく細めて口許が楽しそう。ユリユア様だって鋭い視線は睨みあげるものではなく、猫が心地よい時に表す目の細め方だ。そんな2人がじゃれ合うなんてなんだかえらい勘違いの雰囲気を私が脳内で作り上げてそのまま出来上がってしまうのですよ。私だけが悪いはずがない!


 今から休憩であるから、この2人の姿を目撃する人はいない。私は迎えに来てくれるはずのレーバレンス様待ちで騎士棟の待ち合い室みたいなところにいる。この騎士棟はなんだか迷子になれる気がするんだよね。地図がないと私一人ではたぶん迷子は確定かな。何て言うか蟻の巣みたい。通路があって枝分かれがいくつもあり、その先に開けた場所に出る、みたいな感じ。もちろん真っ直ぐ進んだら食堂、みたいな場所があるんだけどね。でも実際に騎士棟はどうなっているのか未だにわからない。訓練所は十、二十とさらに奥には森もあるらしい。いったいこの城と何処にどう繋がっているんだろうか。探索したいかも。


 それにしてもレーバレンス様が遅いのです。今日も地味に魔力を使ったからお腹が空いているのに………レーバレンス様の鬼畜っ。そんな待っている時間でも付き合ってくれる3人のメンツはやっぱりすごいけどね。アビグーア中隊長もお昼に行っても大丈夫なのに………待ってくださって、ありがとうございます。


「それはそうとレーバレンス殿が来るまで魔法剣について色々と話を聞かせてくれ」


「構いませんが………何かお話しをすることがありましたか?」


「色々とな。魔法剣の使い手として魔法師殿たちと区分けもしたし、実際に魔法の基礎とやらを教わっているので軌道には乗っている。しかし、明日は魔法剣の維持を中心的にやろうと思っていてな。体力と魔力は違うのである程度は知っておいて損はない。娘から要注意人物はどんな輩だ」


 唐突だね!いいけど座ってくださいな。アビグーア中隊長は私の隣に座ってくださっているけど、なぜ2人は座らず立っているのかがわからない。首が痛いのです。………いいけどっ。


「今まで訓練を見てきて思ったのですが―――せっかちな人は魔法剣に向いていませんね。焦りが見え始めると魔力の放出が極端に強く見えます」


「クフィーが言いたいのは魔力の枯渇のことか。確かに魔力がなくなるのも戦闘では駄目な傾向だな。危険が増えたか」


「薄くまとえば大体の効果は得られる。それを維持させながら戦闘となると乱れるのは当たり前、か」


「そう言えば魔法剣が出す魔力が強ければ威力なども強くなるんですか?」


「強い、と言うより威力と共に属性の効果が広がる」


 どう言うことだ?私が見る感じそんな属性の効果が広がるところなんて見たことがないんだけど………?顔に思いっきり疑問です、て表したらユリユア様が説明してくれました。さすがです。


 まず、魔法剣の纏う威力が大まかに三段階に別けれると考えて魔力量を小、中、大、で証言すると、小が薄く魔力をまとう剣。魔法剣の初期段階で普通の剣より切れ味が増すと言うこと。中は切れ味と付属の属性が片鱗を見せる程度になる。例えば【風】の魔法剣を中まで魔力を流し込んで打ち合いすれば、剣から【風】の魔法が少し相手に襲いかかるらしい。これには魔法剣に注ぐ魔力で威力が問われるが、【風】なら髪の毛を乱れさせる風やカマイタチのような斬り込むものまで。その属性が少しだけ魔法として出てくるとのこと。共鳴はどこにいったのだろうか?え、そこは魔法師に投げちゃったの?聞いといてよ………


 そこまできたなら大はもっとキツいものが出るのかな―――と言う私の予想は多少なりと当たっていた。聞いたらこれは酷いと思う。魔力を大、つまり強めに魔法剣を作り上げると薄くまとっていたものが濃く属性を纏うらしい。一番の表現で伝えるなら【火】だね。魔力大で剣から火がまとわれるんだって。目に見えるように。しかも、剣は溶けないらしい。熱くはなるが炎の剣と言う魔法剣が出来上がるので、ぜひとも騎士としてはそれを習得したいと上に上がるに上がれない下級騎士がこぞって頑張っているんだとか。


 因みに【水】は氷の剣。【風】は雷の剣。【土】は石の剣。【光】はあまり変わらなかったそうです。しいて言えば輝いていた、とのこと。逆に【闇】は黒く染まって、使うだけでも躊躇われるほどだそうです。暗に止めておけ、と言われた気がする。


 魔力大はそれぞれ魔法の最上位に当たる魔法剣に変身するらしい。ゆえに威力はとんでもないので、習得していないものは勝手に魔力大でやらないように呼び掛けられた。まあ、大までやったら魔力の枯渇による死か昏睡状態に陥るので―――死にたいなら止めんぞ、とウォガー大隊長が軽く脅したらしいので大丈夫だろうとのこと。実際に枯渇寸前で倒れた騎士がいるので枯渇したらそいつは馬鹿だな、と教えられた。


 まさか魔法剣でそんな凄いことになっていたとは………魔力大で私が想像していた魔法剣になるってどうなの?元々あって廃れていたみたいなことをぼそっとアビグーア中隊長が言うけどさ………騎士と魔法師との仲はこじれていたらしいし。今ではそれが現実味になりそうで騎士たちが喜んでいるみたいだけど………下級騎士は大丈夫かな。貴族ならそれを得られれば天狗になる奴が増えるような気がする。


「あと、魔法剣と言うより剣を理解していない人は止めてほしいですね。魔法剣の威力ともども危険であると私でもわかるのです。その剣がなんのためにあるのか、ちゃんと理解している人に魔法剣を伝えてほしいです」


「さすが私の姪だ。そうだな。剣の意味を知らないものが魔法剣を知っても意味はないものだ」


「まさか、騎士より若魔法師の方が己の剣を知ろうとしているとはな………」


「面白い。変わり者」


「私、まだアビグーア中隊長の言葉がすべて理解できなくて残念です」


 何となくはわかるんだけどね。剣に対して口にしたことが面白くて、私を変わり者だと言いたいんだね?別にいいんだけど私は知らないふりをさせてもらおうかな。ほら、ちょうど誰か来たみたいだし。


 がちゃりと開けて入ってきたのは待っていましたレーバレンス様。しっかりと眉間にしわを寄せて入ってこられました!………………眉間にしわ?なぜに!?後ろにヴィグマンお爺ちゃんまで………


 そしてため息を吐かれました。なんでですかね。人の顔を見てため息を溢さないで下さいよ。それよりお腹が空いてしまったんですよ!今日のご飯はどこで食べるんですか?




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