夢の女子トーク?
改訂いたしました。27.7.11
意外とアトラナがなにも言ってこないと言う、ね。この前は来てくれと頼まれていたのになんだか変な気分です。そんな感じでけっこう日が過ぎていたり。私もビックリなほど普通に日を送っていますよ!
久しぶりの魔法院でございます!エリーもジジルも普通に出迎えてくれるので居心地が悪くなったりはしていない。さすがこの2人。もちろん、ポメアも全力で感謝ですよ!
私が騎士棟へふらふらしていても着いてきてくれるんだからね。ちょっとたまに存在を忘れがちになってしまうと言うあるまじき主人だが、ポメアにはちゃんと感謝していますっ。特に今日の予定とかね!もう闇の日とか風の日とかわけわかんなくなるよっ。
とまあ、今日は魔法院で午前を終わらせて午後の授業の雑学が待ち構えている昼です。お昼もたらふく食べたので午後は寝ないようにするのが私の課題だったりします!この頃はなんだかお昼寝が無性にしたくなる時があるんだよね!頑張って起きてはいるけど。この適温にしてくれる魔法具がいけないんだっ。
おかげで近くにいる人たちとか羨ましがられるけどね。たまに魔法師にも怒られるけどね!暑さが我慢できなくて許可もらったさ!まあ、たまに絶対に駄目だ!て言う人がいるけど………その時はちゃんと外して授業の時は預かってもらってる。暑くて倒れそうになったときはどうしようかと思ったよ。あの魔法具、便利すぎるっ。
それにしても………まさか『野獣の調教師』がここまで広がっているなんて知らなかったなあ。こっちはこっちで誤解が生まれているしっ。騎士棟で飼っている魔物(馬)が野獣に変換されていて、私はそれを手懐けた事になってました。エリーに直球でボールを投げられたときはミットに受け止められそうになかったよ。そんな野獣、手懐けようとしてるあたりで食われているから。
因みになぜ野獣=馬になったかと言うと、この前のキャロラリンのせいだった。キャロラリンの存在はずっとあるようなもので、原因は主にキャロラリンに被害を負った見習いか下級騎士の貴族。キャロラリンの外見などを伏せて弟や妹たちにちょっと盛ってお話しをしたら、見たことない貴族坊っちゃんどもが野獣と認識して騎士棟では野獣を飼っていると言うことになっているらしい。貴族がそう言いふらせば平民は疑いつつもそうなんだ、て思っちゃうからね。一人や二人の話ではないし。
それで私が最近になって騎士棟に出入りしていることと、キャロラリン騒動に私が関わっているんじゃないかと結びつけ、なおかつ自宅通いのお兄ちゃん貴族どもが盛ると、ね………私の二つ名の理由がえらい事になる。
まあいいんだよ。それだけで済むなら。ただ春先がちょっと怖いな、て思うだけだからっ。実は今、だんだんと魔法院に通う貴族が少なくなっている。理由は秋になると成人の儀があるから。もう一ヶ月か二ヶ月したら秋風が吹くと思うんだよね。数字にしたらまた60日ほどあるけど。
成人の儀では貴族なりの準備があるらしい。街に備える花は何にするか、とか。その飾る花は他の貴族とかぶらないか調査したり、親戚と合わせるならどんな花にしてどれだけの数と、どんな形にするかとか、親族総出で決めるらしい。私はお母様にお任せである。被らない花はなにかしら?とでも聞かれたら『氷の花』とでも答えるよ!なんだか面白そうだからね!お父様はすごいから私は疑われないはず!
あと、ドレスとかね。貴族は面倒な事にこういう賑やかな祭りごとがあるとわざわざ新しいものを仕立てるからその準備とか………大変だよねー。私はもちろん丸投げです。なにか言われたらお手伝いだけにする。
「クフィーちゃんもそのうちお休みとるの?」
そんなこと聞かれてもわからないのです。だからどうでしょうね?と悩みつつもチラリとポメアに視線を向けて―――首をふられた。どうやらその予定は今の段階でないらしい。よしっ!
「でも、貴族ってけっこういたんですね。半分ぐらい減っていませんか?」
「そりゃあ、貴族は出入り自由みたいなもんだよ。平民と違ってお金があるから。それにわざわざ寮生活をしなくてもいいし」
「私は魔力が高いから引き取られたけどね」
「私もそれですね」
「はいはい。私だけですよー。ちょっと高いお金を払って入学したのはっ。無理を言って入ったから本当に頑張らなきゃいけないの!」
「そういえば冬に試験があるもんね。エリーは本当にいいの?準備しなくて。前と言っていることが違う気がするけど………」
「………本当に、魔力操作が苦手なのよ。だから無理して親を心配させたくないし、これで2年になれなくても親の負担にはならないから………」
ちょっとしょんぼりしているエリーに私はどうしようか悩む。エリーは本当に魔力操作が苦手のようで、一ヶ所に集めることがうまくない。幼い頃に魔塊を作っていて、トラウマになっていると言っている。
私としてはエリーは春からいて勉強しているのだから1学年を進んで上がってほしい。留年はちょっといただけないと思う。そっちの方が親は心配すると思うからね。でも、私と一緒にいたいから、とこの前に呟いてくれたのはちょっと嬉しかった。エリーとは2歳年上のせいもあってかちょっと頼れるお姉さん。一緒にいて気が楽だし楽しい。だからこのまま―――なんてね、思ったりもするんだ………
「エリーはどうして魔法師に?憧れる人がいたんですか?」
「え」
「あ。そう言えば聞いてないね。私も知りたい」
ジジルと迫ってみたり。おおう。ちょっとたじろいだ。でも無理矢理はよくないよ、ジジルくん。ここは我々が引くのだ。そうすればちょっとエリーが聞いてほしいような顔になるのだよ。
ほら、「あ」て片手を伸ばして戸惑っているよ。それを見せてくれたのならば私たちは聞くだけ。まだお昼の時間は残っているのでゆっくりできるよ。さて、白状しようか?顔が笑っているのはしかたないじゃないか。楽しくやっていますから!
「もー!クフィー笑ってるよ!あっジジルまでっ」
「だって、エリーの顔がっ―――すごく聞いてほしそうなんだもん!」
「ね!さあ、エリー。話してしまってください!」
ずいずいと迫ったら逆におろおろとし始めたエリー。こっちは2人がかりなのでエリーが戸惑っても勝てませんよ?あ、そうだ。場所を移動しようよ!そう言えばって感じだけど私、寮の中を見たことがない!!と言うわけで案内はよろしくね?
渋々と言う女の子がやると唇を少し尖らせる感じだから可愛いだけだよ、エリー。それだけでは私たちを止められないから!もう聞く気満々なジジルと一緒に手を繋いで歩き出す。食堂から出てひたすら歩いて―――遠いな………うっかりここで力尽きそうになったけど話しかけてくれたおかげでめげずに済んだ!ありがとう。それで、寮はどこなんですかね?と聞いてみたら―――あっち。と返された。アバウトだね。
指差された方角はまた遠い一角を指している。魔法院の玄関から右にそれて、少し歩いたらグランド2、3倍の広い平地。そのまま真っ直ぐ進んでいったら食堂で、ジジルたちが指差した方角は城側の一角だった。魔法院の裏ではなくて城の裏?建物が見えるけど………屋敷だよね?因みに反対側にも同じものがあった。それは男子用だって。
ひたすら歩いて歩いて―――近寄ってみるけど、やっぱり屋敷としか見えないどでかい一軒家。コンクリートマンションとかそんな作りではない。高さはマンション並みだけど。立派な門とか屋根とかどこからどう見ても屋敷です。そして普通に入っていく2人。なかば遅れるように入っていく私は場馴れしていないからですよ!そしてここでも手続きと言うものがあるみたい。受付のお姉さんがいたよ!ワイシャツにベストでキャリアウーマンのオーラが眩しい!!一人で変な暴走しそうだったからちょっと離れておいた。ごめん。任せる!お姉さんが気になってしかたがないんだ!
その濃いめのリップにゆるふわのセミロングを右肩に流して首もとがちょっと大胆な大人の女!みたいな色気までもしてさっ。お母様とかユリユア様とまた違った妖艶さがちょっと刺激的で困る!百合でなくてよかった!男じゃなくてよかった!間違いなく魅了に引っ掛かる!!
そんなことを思って後ろで控えていたら手続きが終わったらしい。行こ?と手を引かれたのでそちらに従ったさ!玄関を抜けて―――ああ、マンションだわ。ホールを抜けたら扉とご対面、てね。屋敷の広さと一緒で廊下と扉がずらー………………と、並んでいます。もはや魔法廊である。でもここは女子寮であるだけにちゃんと名札が飾ってあった。飾りが各自すごいけど。
1年は5階なので階段をあがるのが大変なんだて。長ーい廊下をひたすら歩いてそれぞれ角に設置されている階段から上へ。意外にも螺旋階段となっております。そして5階へ上り歩いて………ほぼ向こうの端あたりに来たところで到着。足腰が鍛えられるね。私も寮生活したいかも。無理そうだけど。
ポメアもつれてぞろぞろと入れば………意外にも広い部屋。両脇にベッドにクローゼットに小さめだけど鏡もあるし、対面の扉の前の近くには2人で使うにはじゅうぶんな大きさのテーブルと椅子がある。あ、トイレの場所もある。因みにこの世界のトイレは壷に出して布切れで拭ってそれも壷に捨て、別の壷に備え付けてある『浄化の水』とやらをぶっかけて処理します。酸をかけて消した感じ。臭いもなければ煙もないよ!
この『浄化の水』は壷が魔法具でできていて【光】で『浄化』の魔法陣を書き込んで水をいれるだけ。そうすると、なんの変鉄もない水が浄化された水となり『浄化の水』と呼ばれるようになったのだとか。言わば聖水かな。
これを掛けるだけで汚物が浄化されて消えるんだから異世界だよね。匂いも消えるんだから初めて使った時は恥ずかしがりながら終わった後はすごい感動したよ!消えるんだよ!
とまあそれはいいや。エリーの話をしよう!私はそのために来たのだよ!ささ、エリー。もう逃げ場はなくなったんだから話しちゃいなよ。
「あ、あのね………私が魔法師の道を選んだ動機って、不純なの」
「聞きましょう」
「なんでクフィーがそんなに食いつくのかわかんないんだけど………まあ、それが原因で魔法師になるために入って、何も考えずにここに来たからちょっと後悔してるのよ」
「あ、だから拘ってないの?諦めてるのかと思っちゃった」
「………実は、諦めかけてる。本当に魔力操作が苦手で―――馬鹿したなあ、て」
「なぜ諦めてしまうのですか?まだ始めたばかりてはありませんか」
「だって………出来ないんだよ。うまくならない」
あ。そんなしょんぼりしないでっ!
「私が手伝いますよ?」
「魔力操作は私たちだけでは無理でしょ?」
「では、お父様にお願いします」
「え」
「えっ」
え?なんで固まるの―――てああ、そっか。お父様は偉人だったね。でもお願いすればやってくれると思うし、駄目ならアドバイスぐらいは もらえると思うんだけど………?と言ってみてもエリーは首を振ってしまう。ちょっと強情だね。お姉さんなエリーの見る影もないよ。
じゃ、話を少し変えようか。動機についてなんてどうでしょうかね?ここで落ち込んでるのなら原因でもあるらしい、不純な動機とか聞いてもいい気がする。答えてくれるかは別として。それに………突っついてみたら顔がなんだか濃い目グレーな顔だよ?これって顔を赤くしたといっていたアーグラム王子と同じ色だよね?
これはまたとない乙女の話ではないかな?ね?そうだよね?女子トーク!!やっぱりこういうの好きだわー。友達で恋の話!大好き。自分のは楽しくもなんともないけど人のってつい余計なことをしたくなるぐらい反応を見るのが楽しい!それはジジルも女の子だから、そんなキラキラした目でエリーを見ているんでしょう?1対2なら私は負けないよー?
「ええと、あの………だっ、誰にも!言わないでよ!?」
エリーの根負け。ジジルがエリーの両手を握って見つめたらエリーが負けました。ジジル、やるね!
「言いませんよ。3人の秘密です」
「うん!秘密だよ。当たり前じゃない」
場合によってはお節介します。偶然なら―――しかたないもんね?大丈夫、秘密にするよ!
「お、同じ平民の出の人でね、魔法師様がいるのっ。3年前にその人に助けてもらって………逢いたくて、私も、魔法師になろう、て………」
「追っかけてきたの!?わっ、だれだれ!?」
「ジジル、落ち着いて。それで、誰ですか?私も知りたいです」
「クフィーもジジルと一緒じゃんっ!」
いや、気になるもんは気になるし?10歳の初恋?を語るなんて楽しいじゃんか!なにより恋愛を語って相手を弄るのが楽しい!!人に何て言われようがそれが楽しいのだからしかたがない!しかも魔法師となればおじさんに恋はない!説明を受けているから魔法師の間違いはないもんね!つまり相手はおっさんだ!若者が下級、中級、上級をすっとばして魔法師に慣れなからね!!エリーはどんな人に憧れたのか気になるっ。さあエリー、話すんだ!!私は今ジジルの味方であるから引かないよ!!
と言うわけでジジルのようにじぃっとエリーを見つめて誰に逢いたいのか聞き出す。逢いたいってことは好きなんだよね?気になるなら好きだよね?おっさんだけど………誰、誰なの!?名前がわからないなら特徴を教えて!お父様に探りを入れてくるから。もちろん秘密で。
さあさあ、と迫ったらやはり根負けしてエリーがぼそぼそっと言ってくれる。エリー、押しに弱いね。じゃなくて、ぼそぼそが聞こえなかった。もう1回!!ジジルと声を揃えてワンコール。エリーの顔がさっきよりさらに濃いグレーだが大丈夫だろう!てかそこまで赤くしたら誤解しそうだから落ち着いて。憧れになんで赤くなってるの………時間はまだあるよね?
「ほ、本当に憧れてるだけだからね!恋とかじゃないから!お兄ちゃんて感じなの!これは本当だからね!あ、ああああ相手は20ぐらい離れてるからっ!本当に憧れだからっ!!」
「魔法師って言っている時点でわかってますよ。10歳以上は年上確定ですから」
「そうだよ。でも、エリーの顔がゴリンみたいに真っ赤。からかいがあるね」
「だって………年はかなり離れているのに、すごく若く見えるから………ちょっと好み………」
「どんなおっさんですかっ」
「おっさん………うん。おっさんなんだけど………見た目が若いのがいけないと思う!!」
ごめん。地雷を設置して踏ませてしまった………なぜか特徴がぽろぽろ出てきてなんで若いんだ!て言われても………エリーか憧れちゃったからでしょ?でもね、その特徴になんとなく心当たりが………




