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誤字等を修正いたしました。27.4.3

 

「すっごく可愛いですね!名前はなんて言うんですか?」


「そうだろうそうだろう。名はクロムフィーアだ。アーガスト家の自慢の愛娘だぞ」


 案内されながらお父様の自慢話が炸裂してます。誰か止めてください。めっちゃくちゃ恥ずかしいです!


 寝顔がどうとか笑顔がどうとか、そんなの語らなくてもいいですので!!


 ついでに言うけどなんで1、2回ぐらいしか逢ってないのにそんなペラペラと自慢が出てくるの!?私はそこが知りたいよ!!


 今はゆっくりとした歩調で青年くんことロノウィスくんと一緒にレーバレンス様と言う方に会いに行くことになった。


 なんでも、ヴィグマン様はどっか行っちゃったから代わりにレーバレンス様に合うんだって。分かってるよ。さっき言ってたから。


 そんな事よりロノウィスくんは金髪系希望です。とりあえず白になりきってないグレーが少しかかっただけなので髪の色素は薄そう。瞳もなんか淡い感じ。いったいどんな色してるんだろうね。


 人懐っこそうな猫目に無邪気なちょっと幼めの顔がストライクに入りそうで怖いわ。げふんげふん。


 それよりここの人たちはローブが決まりなのかな?ロノウィスくんは紐で縛ってるだけの簡素なローブ。縁は覗けないのでわかりません。抱っこだと肩までしかわかんないよ。


 じゃなくてね。私がほしい情報はそんな事じゃなくてなくてですね。そのレーバレンス様と言う方がどんな人なのかな?と言うことなんですよ。


 いくら自分の家名がわかったからってまだ使えませんからね!くそう。だからもっと使える情報をっ!


 しかし、まだ舌足らずな私では話すことも出来ないので黙ってきょろきょろしながら笑顔を振り撒く事に集中。それしかない。


 因みに視力は普通でいい方だと思う。遠く離れた人でもちゃんと顔の部分が白く見えるんだから視力はいい方だよ。きっと。これで顔が黒くなってるとか怖すぎるっ。


 何人かこっちに気づいてポカンとしてる人がいたんだけど、なんでだろうね。まあ、赤ん坊がここにいたらビックリもんか。でも中には苦虫を潰したような顔もいるからきっとよくない人達だよね。怖い怖い。


 あれ。やっぱりみんなローブを着込んでるね。でもなんか長さが違う。若そうな子ほどローブの丈が短いや。


 お父様は膝ぐらいのロングなのに、なんでだろ?お洒落?………………そんなわけないない。


 で。バーンと扉の前まで来たんですが。ロノウィスくんが四苦八苦してます。


 なんでかって?入れないからです。


 なんでもレーバレンス様のお部屋は魔法で施錠してあるそうなので、解除の魔法をかけないと入れないらしい。すんごい焦ってる。魔法ってなんでもありなのかな。


 お父様は手にキラキラを纏わせたらドアノブに手をかけてすんなり開いちゃったんだけどね。ロノウィスくんは開かなくて必死だ。


「レーバレンス、ロノウィスもいれていいか?」


 返事はない。ただの―――居留守だ。


 部屋の窓際に書類と格闘している人を発見です。顔をあげずに頷くだけで声はわからない。


 でもお父様はニヤニヤしながらロノウィスくんを入れていた。あ。ロノウィスくんもう涙目だよ。


 ようやく入ってこれたロノウィスくんはしょんぼりした感じで中に。その姿がなんだか可愛く見えるのは気のせいじゃないはずだ。私が大人だったら黙っていないよ、ロノウィスくん!


 そのままスタスタとソファーに座るなり項垂れたらもっと可愛く見えるんだけどね。わんこに見えてきた。


「ロノウィス、お前はもう少し扱いをうまくしろ。いつも言っているだろう?」


「グレストフ様みたいにいきませんよ!その前にレーバレンス様の鍵が強力なのがいけないんです!」


「強力にしないでどうする。重要な書類も置いているんだぞ?それにお前………私の部屋も同じ仕組みだ。レーバレンスと少し違うだけだぞ」


「その少しが厄介なんです!!」


 うん。わかった。ロノウィスくんは絶対に弄られキャラになると思うよ。なんてったって反応がなんだか可愛いんだ。これは無自覚でも弄れると思う。


 がー!と反論するけどお父様はニヤニヤしながら笑ってるし。レーバレンス様は完全スルーだ。絶対に面白いことになるのは間違いない!遊んで遊ばれている感が全快だ!


 そう言えば気になっていた事があるんだよね。ロノウィスくんはもういいから私は気になるターゲットをロックオンしておく。


 ターゲット。そりゃもちろんこの部屋の主です。レーバレンス様ですよ。


 黙々と山積みの紙に埋もれている黒い人。この人は濃いめの色らしい。髪は結構な濃さがあるみたいでほとんど黒い。あ、眼も黒っぽい。それにしてもたくさんの白い紙タワーに埋もれていると対照的で一目瞭然。黒いねー。


 そしてもう一つ気になるのが『様』がこの部屋に入ってたら急に呼び捨てになったと言うことかな。


 なんなんだろうね。お父様が呼び捨てた出来るほど交遊が深いんですか?誰か説明を求む。


「グレストフ」


 おお。喋った。てか呼び捨て………親しいの?


「どうした?書類整理は手伝わんぞ」


「手伝え。それとその手にのっけてんのはなんだ」


「俺の可愛い自慢の娘」


 おうおう。すごい見られちゃってるよ。もちろん見つめて笑い返したけどね。にへら。


 でも固まったまま私を見つめられても困るんだけどね。赤ん坊に美貌はまだないよ。いや、ごめんなさい。なんか反応してください。


 視線はどっちを見ているのか全然わからない。もしかしたらお父様を見ているのだろうか?でもなんとなく見られているような自惚れ。だってレーバレンス様も格好いいんだもん。


 睨めっこしてるけど顔の筋肉は固まっているんですか。微動しないよ、あの顔。


 しばし見つめてみて―――お父様から声がかかるまで見ていたレーバレンス様は首を捻るようにお父様と会話をし始めた。


 バキバキと言っているから相当なデスクワークをやっていたんじゃないかな?


 いつの間に淹れたのかロノウィスくんが二人に紅茶を出して、それと引き換えに私が預けられた。マジか。抱っこ好きだからいいけどつまんないよっ。


 でもなんかおもちゃ出してくれるロノウィスくん大好きだよ!ヌイグルミなんだけどね!


 私の手でも掴める小さめの丸いもふもふしたヌイグルミ。外見的にはヒツジのような気がするけど異世界だからね。これが果たしてヒツジと呼べるものなのか謎だ。


「昨日今日とよく飽きないものだ」


「知ってたのか?」


「囁かれてるぞ」


「二人とも可愛いだろう?レーバレンスにはやらんぞ」


「こうも親馬鹿だといっそ清々しいな。まさか見せびらかしに来ただけならその赤ん坊だけ帰して俺の代わりに書類整理でもしろ」


「レーバレンスはまだ若いからクロムフィーアの可愛さに直視できないんだろう?照れるなよ」


「帰れ」


 冷戦が繰り広げられていませんか?その前にお父様のキャラは親馬鹿で決定してもいいよね。残念なイケメンパパさん、本題に入ろうよ。


 まるで当然のようにやり取りを交わしている二人を見て、ついついため息をついてしまう。なんでここでお父様の新事実を聞かされなきゃいけないんだか。そう言う設定は好きだけどさ。


 レーバレンス様なんか表情が一切変わらないんだよ?凄くない?お父様がダメな人に見えちゃうからやめてほしいわ。


 そんな私を見て?水を差したのがロノウィスくん。私を抱き抱え直して二人に一言。「呆れられちゃってますよ」て。


 そんなわけないよ!?とも言えるわけもなくヌイグルミをぶんぶん振り回したらお父様の苦笑いが返ってきましたー。それはどういった笑いですかね?


「ロノウィス。少しクフィーの散歩に行ってきてくれ。歩かせてもいいが絶対に見失うなよ」


「わかりました。1時間くらいでいいですか?」


「じゅうぶんだ。ただ魔法棟から出るな」


 わかりました、なんて言って連れていかれる私。拒否権があるなんて事はない。ロノウィスくんはお父様の部下かなにか?聞き分けがよすぎるよ。


 行こっか、なんて楽しそうに笑いかけられたら行くしかないんだよ!よし、行こう!私もまだまだ見学したいからね!


 まずはどこから連れてってくれるんだろうか?ウキウキワクワクでヌイグルミを握りしめていたらロノウィスくんの無邪気スマイルが返ってきて思わずヌイグルミを押し付けてみる。


 でも、青年だね。やんわり交わされてヌイグルミは私の元へ戻ってきちゃったよ。


「魔法棟から出ないように、だから―――女の子だし、でもあそこも連れてってあげたいな!」


 楽しそうだね。いったいどこに連れていってくれるのやら。


 どう?て語りかけてきちゃってさ。わかんないから当然、笑うだけなんだけど。


 まさかこの時、後で笑えなくなるなんて思いもしなかったよ。






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