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お爺ちゃんと待ち時間

改訂いたしました。27.6.20

「レーバレンス、なぜクフィーの頭をわし掴みしてるんだ?お前なら抱えられるだろ。やらせないがなっ!!だがクフィーをもっと丁重に扱え!!」


「お前はなにを言いたい。寝言は寝て言え」


「あいっかわらずの親馬鹿だ。息子馬鹿で妻馬鹿。聞くに痛い」


「まあ、よろしいではありませんか。これが愛ですよ」


「ティルリエ………」


「アルグレット………」


 すみません。ゆったりとピンクの世界に入らないでください。子どもの目に痛いです。さすがになにか思ったのかレーバレンス様に両目を隠されました。片手で塞がれるとか手が大きいのですね。


 宰相様が遠慮するように注意するけどピンクは収まらない模様。お爺ちゃんお婆ちゃんになっても恋愛ができるってすごいね。ついには誰かに耳を塞がれました。ねえ、私はどうしろと。


 なんかぼやぼやと会話がなっていてですね。えー、暗いです。ぼやぼやです。だからどうしろと?なんとなくこのままは嫌なのでレーバレンス様の手を取ろうともがいてみる。しかし外れない。


 じゃあ今度は耳だよ!!この耳は誰が止めてるんですかね!?こっちももがいてみる。なんだかレーバレンス様よりは小さい感じがするからポメアかも知れない。うん。まだー?


 でもしばらく続くっ!でもただの立ちんぼは嫌なのでまたもがく!絶対に取れないだろうレーバレンス様の手に奮闘しているよ!これでなんとか時間を潰しているから早くなんとかしてね!!ふんぬー!うわ。ごめんなさい力を込めないで!


























「いやー。すまん。ティルリエが、な」


「まあ。アルグレットったら」


「だから止めてください!」


 宰相様も大変だね。宰相クラスの人って、どうしても陛下に振り回されるイメージがついちゃうから胃痛とかに悩んでそうと思っちゃうんだよね。実際に胸を押さえているのを見たら「あ、やっぱり?」て思っちゃうし。頑張れ!


 なんとかおっとりな王妃様とのデレデレ(声からして)のやり取りを終えたところで本題に入る。もう陛下と王妃様は喋らないで下さい、と宰相様が強く言ったので進行は宰相様が。ようやく本題に入れるのか、深呼吸で整えてからキリッとして始めてくれた。おかげで場の空気も少し変わる。


「この度、グレストフ一進魔法師の提案を飲むことにより、グラムディア様が王太子殿下に復位する事に決まりました」


 おお。ようやくグラムディア様が折れてくれたんだ。この一ヶ月(気持ち的に)なにもなかったけどそういう風に話は進んでいたんだね。ちょっと驚いて見せたら宰相様に苦笑いされた。まあ、双子ちゃん王子の後押しをしていたもんね。


 それで―――細かく聞くと、成人式の後に本来なら成人した王子のどちらかの婚約者を発表。そして国民に認めてもらうこと、を。グラムディア様に変換。公園の噴水で婚約者を連れてくるところをグラムディア様とセレリュナ様を引き連れていくらしい。この時、二人の姿は出来るだけ隠すみたい。


 で、王城についたら陛下が掲げるのはウィル様が言った通りパディック侯爵の件を名前を伏せた状態で広告。貴族たちにはわかるけどすでに箝口令は引いたらしい。そして姿を隠していたグラムティアと交代してついでに姿もだす。そこで魔法剣の第一人者として設立させ、国政の改正も公言。そして次期国王の宣言。これで民が着いてくるか、だけどこれだとまだ足りないかも知れないから顔を―――私が言った二重回復魔法でできるだけでも元に戻すことを決断した。


 その決断がこの一ヶ月に悩み、悩んでグラムディア様がついに決意を。最後に後押ししたのはセレリュナ様だそうです。セレリュナ様の印象が変わるね。でもどうして私もなんだろうか?またまた私はいらないと思うんだけど?


「それで、クロムフィーア嬢には見届けていただきたいのです」


 7歳児になにをさせるのっ!?


「ああ、施術に携われ、と言うことではないのです。終わった後に感想を聞かせてくださればいいんですよ」


「私が………ですか?ですが私はグラムディア様の以前のお姿はわかりません」


「それでいいのよ。民だって間近で見ることは叶わないのだから。見比べるのではなく、そのままのグラムディアを見てあげてほしいの」


 そんなおっとり言われましてもね!?なぜこんな事になっちゃうかな。それだったら別に誰でいいじゃないの?私はそんな顔をしていたらしい。陛下が割って入ってきた。


「お前はこの姿のグラムディアを見て先入観に囚われないだろう?人はまず先入観に囚われ人物の基準を作る。お前はそれをしない。むしろ探る方だろうな。誰に似たんだ」


「私とクレラリアに間違いありませんね!」


「………………確実にグレストフの血が受け継いでおると分かると空しさが込み上げてくるな」


 え。陛下ってば酷い。それこそ先入観!


 でもさらっと笑い飛ばされてじゃあ、今からやるからそっちよろしく、との事。………え、私を置いていかないで!話についていけないっ。待って待って!ヴィグマンお爺ちゃんとポメアだけ残されても私はどうすればいいんですかね!?


 訳がわからず―――とりあえずポメアがなんだかお茶の準備をしてくれたのでソファーに座ることに。あ、一応ヴィグマンお爺ちゃんに断ったよ。ヴィグマンお爺ちゃんの方が私より地位とか上だからね!まあ笑いながら真っ正面に同じくらいで座ったけど。どっこらしょ、とか私も言っちゃいそうになるから止めて。切実に。前世でもよくよっこらせって言ってたからっ。油断したら本当に言いそうっ。


 言わないためにもポメアの淹れてくれたお茶で口を塞ぐがな!………もう座っているから言わないよ。


「ふむ。これが7歳児、か?最近の子どもは妙に落ち着きがあるのぅ」


「みなが同じではないと思いますけど………なにかあったのですか?」


「ん?そう言えば娘っ子はアトラナと言う娘を知っていたな」


「知ってますよ。一緒に途中から入った子です」


 どうしたの?世間話に付き合うためにヴィグマンお爺ちゃんが残ったと言うのかな?いや、確かにお爺ちゃんだけど。………あれ?グラムティア様の施術するんだよね?ヴィグマンお爺ちゃんは魔学医とかじゃなかったっけ?あ、でもグラムティア様の魔病じゃないか。


 それでも陛下に王妃、宰相、お父様、レーバレンス様………ん?誰が治療するんだろう?あ、別室に移動するぐらいだから待機してるのかな?でもヴィグマンお爺ちゃんはなんでこっち?見届ける方じゃない?


 それよりアトラナの事を考えた方がいいのかな?いやいやでもあの子は別にやんちゃなだけで私はちょっと怪我を負わされただけだし関係はないよね?まさかあっちが私に遇いたいとか言い出して手がつけられなくなっているの?それこそ私はいけないよ。


「娘っ子はアトラナに触れた時にどう思った?」


「へ?」


「ん?じゃからアトラナと一緒におった時に手を繋いでおったのじゃろう?その時なにをどう思ったか知りたくてな」


「なにをどうと言われましても………」


 その質問が何がどうなの?触って手が小さいね、とか子どもの体温だから暖かかったとか?まるで私が変態みたいな発言じゃん。えーと?ヴィグマンお爺ちゃんは何を聞きたいのだろうか。


 アトラナの事を私に聞いているとなると何かは、あるんだよね。と、なると魔力暴走。触っていたとなればその魔力暴走の時に触れていた私は魔力をどう感じたか、って事なのかな?謎かけにしてはあれだけど………聞いた方が早いか。


「つまり、魔力がどうだったか、触れてどう感じたか、ですか?」


「ああ。それもある―――いや、それが聞きたいの。それと性格じゃな」


 私、そこまで親しくないのですが?ヴィグマンお爺ちゃんはいったい私に何を聞き出したいのか。正直、お父様にバレたけど他の人にはバラすつもりはない。だから必死に隠し通すつもりでいるけど………まず、アトラナについて考えてから当たり障りない事を言わなきゃね。


 アトラナ………アトラナ………希望は水色の髪と緑の瞳。言ってしまえば天真爛漫の7歳児。魔力は誰と比べればいいのかな?えーと………ジジルよりは低かった。言動を見て私が勝手に(・・・)発達障害にした子。私が基準だから実はあれが本来の7歳児なのでは?と今さら思ったり。子育てをした事がないから分からないけどね!でも7歳児ならやんちゃもいけるよね!30に近い私には若返りがキツいですっ。


 で、魔力をどう思ったか。どう思うって………何を思えばいいの?高い低い?魔力が乱れてるか正常か?いや、そもそも“ 普通 ”が分からない。ええと、暑い冷たい?【火】を持ってるんだから暑いに決まっているじゃんか。なに言っているの私。えーとえーと。どう思ったか………


「触れた時に何がどう思えたか、ですよね?魔力は気にしていなかったのでたぶん普通?でした。その普通が分かっていませんが、なにも変には思いませんでしたね。気にせず触れていたので何をどうとはこれ以上、伝えられません。手を繋いでいたら彼女の魔力暴走で手が熱くなったのですぐに離しましたから」


「そうか。普通………普通、か。そうじゃの、まだ娘っ子にはその“ 普通 ”が分からぬよのう。して、性格は?」


「私もそこまで知り合いとして詳しくありません。認定式の時に隣の席で少し会話をしただけですし、魔法院の説明を聞くのにも一緒にいただけです。二度しか顔を合わせていません」


「とりあえず見た目だけでもいいから話してくれんか?あの娘に今、手を焼いておっての。ウィルに聞いたら娘っ子の名前が出たから聞いてるんじゃ。なんでもいい。話してくれんか?」


 別に、いいけど………私が言って何があるんだろうか?性格を知っても何もないと思うんだけどね?まあ、伝えてみようか?天真爛漫なんて使ったらおかしいよね。うーん。細かく説明すればいいのかな?今さらだけど子どもっぽく―――いや遅すぎるよ私っ。


「ええと、そう、ですね。元気で少しわがままな感じでしょうか?」


「ふむふむ」


「(おーい。話繋げないで!)それぐらいかと………」


「他にあるじゃろ?思い付くことを言ってみるんじゃ」


「(え。これ詳しく言っちゃえよ的なヤツ………じゃないよね?)他ですか?そうですね………怒りっぽい?のと、感情をそのままぶつける方ですね」


「それで?」


「火属性で制御はうまくないのでは?」


「それから?」


「私から見てき、貴族らしく、ない?気もします」


「そして?」


「(何を言わせたいんだー!?)ええ?認定式を終えているので………まだ子どもが抜けていません、ね?」


「それと?」


「それと、ですか?ええと………淑女と教えられた私たちとほど遠そうなふるまいでした?」


 はい。ようやく満足いただきましたー。このお爺ちゃんもうヤだ。なんだかよく分からないけど貴族の部分を言わせたかった?なんで私に言わせたいの。まったく理解できない。


 ちょっと疲れたからお茶を遠慮なく飲んで喉を潤わせる。緊張していたらしい。なんだか染み渡るように喉から食道、胃に流れたお茶を感じる。ヴィグマンお爺ちゃんはいったい何をさせたいんだろう。お父様たち早く帰ってきてー!!


「認定式を終えたらな、本当はアトラナのような礼儀や貴族のふるまいも出来ない者は家から出られんのじゃ」


 え、はい?ヴィグマンお爺ちゃんどうした。


「7歳でも貴族は貴族。3年も立てば魔法師や騎士の道に進むものや、娘に生まれどちらの道も選ばない場合は嫁ぐしか道はない。そうなると早い段階でどこの家も徹底的に娘を淑女に仕立てあげるんじゃ。よりよい縁を結ぶために。早ければ貴族の仲間入りを果たした7歳からそれは始まる。しかし、アトラナはどうも先の3つから当てはまらないようなんじゃ」


「………魔法師を目指すわけでもなく、騎士になるわけもなく、淑女になるわけもなく、自由になりたいと言うことですか?」


「そんな感じじゃな。最近は本人から『お母様の言いつけは守るけど本当の私はこんなんじゃない』ともうよくわからん。それは昔から言っておる言葉のようで親の方もすでに放棄。『自由がいい』と言って何かした事を咎めれば突っかかり、抑え込もうとすれば癇癪を起こして魔力暴走じゃ。その暴走後はなぜかアトラナの魔力が増えておる始末で、これ以上に増やされると手に終えん。それで最近では娘っ子の名前が出てくるようになっての。もうこれしかなかろう」


「私、ですか」


「そうじゃ。それで一つ頼みたいんじゃが、わしらではもうアトラナの話し相手はできん。顔を見せるたびに魔力を膨れ上がらせて暴走手前じゃ。じゃから代わりにアトラナに逢って話を聞き出してほしいんじゃよ。将来の夢とか自由の意味とかとりあえず情報がほしいのう」


「私ではなく、同じ年頃の女の子でもよろしいのでは?」


「娘っ子がご指名じゃ。頼みを聞いてくれるその代わりに魔塊(まかい)の治療費はなくてよい」


 む。ヴィグマンお爺ちゃん、それは私との交渉じゃないよ。お金を持ってるのはお父様ですー。因みにおいくらですか?


「今から診て材料を考えるからのう―――そうじゃな、少なく見積もって両目で金貨5枚ぐらいじゃな」


「高っ!?魔塊の治療費はそんなに高いのですか!?」


「娘っ子の魔塊が分からんし、7年も放置して変化はないが塊の強度は並みではないはずじゃ。本来ならすぐ溶ける柔らかいものなんじゃが………痛いも気持ち悪いも変とも何も言わんし、わしもすーっかり忘れておってのぅ。まあ、もしもの追加治療もなしにするから許してくれんか?」


 ここで年よりのボケ発動しなくていいよ!!そんなに高いなら依頼を受けるわっ!………たぶん!




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