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プチ家族旅行12

改訂いたしました。27.6.14

 おはようございます。本日も薄いような濃いグレーの青空だろう空が窓から眩しい日差しと共に私の視界に飛び込んでおります。こんないい天気はぜひとも二度寝というものをしたいですね!でもさせてくれないのがポメアなのですっ。お嬢様に二度寝の権利を!なんだか眠いので睡眠を!


 と、駄々をこねてみたものの………私の体調を見て、聞いて―――あっさり「大丈夫です」と言ってくれました。詰まるところ、仮病はバレてますね、すみません。でも眠いのは確かなんだけどな………


 まあそんなこんなでぽーっとしながら朝御飯を食べていたのがいけなかったらしい。ぽーっとしていたから分かんなかったんだけど、育ち盛りで体を動かしまくるトールお兄様の2、3倍を無意識に食べてました………いやおかしい。これはおかしいだろっ。7歳児が何しちゃってんの!?自分でも分かっていないが、これだけはわかる。こんな大食漢みたことねぇ!!


 と。口調がすでに定まんなくなってきたところでお父様からお声が。なんともそっか~みたいな気の抜けた声で食後の紅茶を飲んでた。お母様もなんとなーく予想が付いたらしい。お父様の隣で微笑んでいた。優しい微笑みの方ね!


「トールは騎士に行ったし、リディはどっちも就かなかったから言わなかっただけだよ。いや、まさかクフィーはそっちをうまく出来るなんて思わなかった。昨日で気づけばよかったのに、すまない」


「そう言えば、たまに物欲しそうに食卓を眺めておりましたわ」


 それ!いつの話!?


「あの、どういう事でしょうか」


「そうだよ!クフィーちゃん大丈夫なの!?我が家の食いしん坊、ウーくん(ウーモルス/牛)よりもけっこう食べているのよ!?あとでお腹を痛くしちゃうんじゃないの!?」


「カリャル、落ち着け」


 ポメアから始まりカリャルさんがすごく心配してくれました!それを宥めるウェルターさん。いい構図です。さりげなく肩を抱くのを忘れない。やはりウェルターさんも立派なお父様の仲間だと思う。


 それで、なにが『まさか』なんですかね?ちょっとご飯をいつもより、もりもり食べていたらなんとなく眠気が吹っ飛んでいった気がするよ。でもまだ食べたい気がする。うーん。何でだろう。ついにブラックホールをお腹に飼ってしまったか………


「昨日、クフィーの魔力が持っていかれたからね。魔力の補給には大抵の魔法師、魔術師は睡眠をとって回復させるんだ。もちろん、そう言う薬もあるよ。ただ魔法を使った後は疲れるし、体力も何気なく減るから睡眠が一番いい魔力回復で利に叶った方法なんだよ」


「クフィーは魔力が強いから、睡眠で回復をしようとしたらきっと倍は睡眠を取らなくてはなからないの。少しの魔力なら普通の人なら生活習慣で回復できるのに、クフィーの場合はもう少し寝なくては完全に回復されないの」


「しかし、眠り続けるわけにはいかないだろう?明日は帰るのに一日を使うだろうし。たぶん半分は取られていると思うけど普通の睡眠時間では魔力が戻っていない。だから睡眠以外で魔力回復しようと魔力が食べ物で補給しているんだ。滅多に利用されない方法だけどね」


 ………………ん?ごめん。もう少し分かりやすく。あ、ポメアはこれのおかわりをお願い。まだ食べたいです。


「食べ物に魔力はないですよ?」


「ないよ。どういう理屈か、魔力が体内に流れてきた生命を魔力に変換してるみたいでね。食べるだけでも魔力回復になるだ」


「グレンくんがなぜ知らないの?」


「私は食べて魔力回復ができないんだよ。食べて魔力を得ることはなんだか稀でね。クフィーは特異体質なんだと思うよ」


「そうね。睡眠でも回復できて、食べても回復できて、薬でも回復できるのよ。クフィーはこの三つの中からどれでも好きな回復方法ができるなんて凄いわね」


「知りませんでした………」


「わたくしは元から魔法を学びませんでしたから気にしていませんわ」


「そうだね。でもトールも特異体質だぞ?魔力酔いするってことは無意識に魔力を出したり入れたりしてるような物だから食べて得られるはずだ」


「え。トールお兄様の量は訓練で体を動かすからお腹が空いてあの分だと思っていたのですけど………」


「それもあるけど魔力回復にたぶん繋がっていると思うぞ?」


 じゃあ―――トールお兄様があんなに食べているのに筋肉になんないなー………とか。お父様がいないときにタンパク質しか摂らなかった時があったのに結局は筋肉に変換されなかったのって………


 あ、トールお兄様も同じことを考えたようです。自分の二の腕をにぎにぎしているよ。力瘤を作ってまたにぎにぎ―――それを見たお父様が何気ない矢を放つ。「大半は魔力になって無意識に放出してるんじゃないか?トールはウェルターより細いなあ」とか。


 さすがにイラッときたらしい。お父様を睨んでいた。私もそう思ったのでなんとなく眼を反らしておく。たぶん、バレてはいない。お父様のはわざとなのかね?わざと地雷を踏んでいるような気が………


 ポメアが持ってきてくれたお皿をさらに完食させて、私は今日もメイと一緒に乗馬訓練です。でもカリャルさんもウェルターさんもあの量を見ているのか、お父様が大丈夫と言ってもなんだかんだ心配だそうなので、急な運動は止めようね、とのことでウーモルス、タブヒ、コケ鳥の逢うことになりました!


 その名前には異世界から来た住人でも分かると思う。牛と豚と鶏に違いない。そうに違いない!!ただ馬が4種類でああも違うのだから部分的におかしくなっているかもしれないね。これは心して行かねばっ―――…


 お父様とお母様は相変わらず家で仲睦まじく待っているそうなので置いていくとして、変な決意を胸にいざ………と向かうのですが、遠いです。これはこれでお腹に負担がっ。しかし、誰もなにも言わない。楽しくお喋りして向かうのです。まあ、こっちに来て運動不足が祟ったんだよね。私、ここに来て初めて長距離の運動をしている気がする。でも魔法院の食堂も非ではない?感覚がっ!感覚がおかしいのかな!?まだ小屋が見えませぬっ。


「クフィーはもう脱落か?まだ半分も歩いてないぞ?」


 なん……だとおおおっ!?


「そんな事だろうと思ってメイを連れてきた。ほら、もう無理だろ。お前さんはこっちだな」


 踏み台ともども、用意してくれたのは足が6本の子どもウパカラマ。じっとこちらを見るメイ………そんな顔をされたら―――乗るしかないよね?運動?なにそれ。今必要なのかな?ウェルターさんにも促されているのだからいいじゃないか。と、言うことでお言葉に甘えまくってメイに乗った。もちろん、手伝ってもらって。見守って貰いながら小屋に向かう。まだ遠いねー。あ。


「あれ?あれってヒッジメィですか?なんだか白いですよ?」


「あれはメスのヒッジメィよ。ヒッジメィは白と黒で男女が別れているの。メスの方はそうね………触り心地が滑らかだから下衣によく使われるわ」


「触ってもいいですか?」


 どうぞ、と言われたので遠慮なく。近づいてトールお兄様の手を借りながら下りて、オスのヒッジメィと同じようにその背中に雪崩れ込んだら予想以上に触り心地かよすぎて顔が緩んだ。なにこれ高級の毛皮よりいいっ!ふわふわ~すべすべ~。


 撫でながらほくほくしてたらメイも一緒になって頭と首を乗せて和んでいたらリディお姉様にはしたないと怒られました。いや、気持ちいいしこんなの滅多に触れないから堪能をですね………なんて言葉は聞いてくれませんよね。リディお姉様もヒッジメィの虜になってその場から動けなくなりました。怒りはどこかにいったらしいです。順番待ちだったみたい。


 やっとこさ小屋に着いたときはお昼だったりする。一緒についてきてポメアが小屋の隣にある休憩所に抱えていた軽食を準備して食べて………まだ欲しいけど我慢していよいよウーモルスたちである!待ってました!!


「じゃあ、ウーモルスから行こうか!私はこのまま街にいくからウェルター、あとよろしくね。夕方前には帰ってくるわ」


「わかった。いってらっしゃい」


 わお。やはり異世界の地でも愛情表現やら習慣とかはどこに行っても変わらないらしい。さり際にキスを見てしまってリディお姉様に軽く眼を覆われて、トールお兄様からお小言をもらってしまった。まだ早いそうです。ガン見もいけないそうです。ごめんなさい。ウェルターさんも隅に置けないのが悪いのではないのか、と言う発言は忘れておくよ!


「じゃあ、ウーモルスからな」


 そして出逢ったウーモルス………牛である。いや、これは………体は牛である。正しく、白に黒の大きな斑。全体的にお肉がついていて、お腹がぼよんとしている体は牛である。しかし、毛がおかしい。あれ、牛ってふさふさな毛があったっけ?それってヌーだったような気が………まあ、その生えてる毛が顎の下なんだけど………ヤギみたいだね。まあ、これは普通の範囲だと思われます!きっと!立派な顎髭だけどね!


 因みに餌は草。これは変わらないみたい。で、やり方に注意をウェルターさんにレクチャーしてくれたんだけど、顎髭は触るなと言われた。どうも、あの毛はとっても大切なものらしく、オスのアピールポイントらしい。自分で顎髭を整えているので、勝手に触られるのが気に入らないんだって。だから剣山のように草が直立してる束のヤツをあげます。置いてもいいし、手に持ってあげてもいいそうです!間違って触れたくないので怖くて置いたわ………へー。メスには付いていないんだ。そっか………私のヌイグルミのウーモルスは女か。


 次にタブヒ。こいつは苦い思い出があるよ!薬と一緒に食べた苦い記憶っ………そして私たちは出逢った―――「ブンブン」て言われた………鳴き声らしい。外見は豚だけど豚足は長い。胴体の高さより足が少し短いかな、と言うくらいの私の認識が違う。胴体よりもう少し長い足は猛烈な違和感に襲われますっ。色が分からないのですが、ピンクではないね。グレーである。グレーと言えば原色だと私の中で確立された色なのだけど………赤、青、緑、のどれを取るんだ、豚くんや。どれも食べ物として見たくない色なんですがっ?中身はちゃんと知っている色なのか、怖くて聞けません………


「あれ、嬢ちゃんはタブヒが駄目なタイプか。上手いんだけどな」


「色ではありませんか?魔物以外で動物に緑ってなかなかありませんから」


 み、緑なのっ!?


「初めて見るもんな。そう言えばリアディリアに見せた時もこんな顔だったな」


「わたくしはもう慣れております!」


「慣れたんだな」


 ウェルターさん、そのツッコミ微妙。そして私はどんな顔ですか。今ちょっとショックで思考がどっか行きかけているんですけど………私は緑の物体を食べていたのか………異世界でよく言うオークとかのモンスターの色がどうなっちゃっているのか、すごく気になってくるよ。絶対に叫びながら遠距離で集中砲火すると思うけど………てかまずこの世界にいるかな。この時だけ白黒でよかったと素直に思ったよ。


 餌のやり方は、嬉しくなったらこのタブヒは飛び付いてくるので投げ入れるそうです。草を適当に潰して、小麦粉で少し固めたものを投げ入れる。柵は大の大人より遥かに高いので私は辞退しました。だって、先に投げ入れたウェルターさんの餌に飛び付くタブヒが怖いんだもん………あいつ豚じゃない。豚はあんな大人ぐらいの高さまでジャンプしない!!


 ウェルターさんが親切に持ち上げていれるか?って聞くけど、餌が欲しくてジャンプして柵に激突してくるタブヒを前に、投げていられませんから!!タブヒはもう遠慮させてください!!


「最後はコケ鳥な。こいつは面倒だから、トフトグルに持ち上げてもらえ」


「なにが面倒なのですか?」


「色々とあるんだよ。クフィー、下りようとしたら出るからな?」


 と言うわけであえなくトールお兄様の片腕に。小さいって便利だ………でも面倒ってなんだろうね?しかも私は持ち上げてもらわなくてはいけないとな。いったい何があるんだろう?疑問に思いながらゆっくり扉を開けて―――ウェルターさんが中に入って様子を伺ってる。相手は鳥なのに何をしているのだろうか?


 それから続いてリディお姉様。やっぱり覗きこんで中に入っていった。次は私たちなんだけど、大きな声を出すな、と注意が。よくわからないけど頷いてゆっくりと中に入っていった。うん。塊だ。おっきい塊がごろごろ転がってる。羽毛はごわごわしてそうだね。なんか一部くるんとしてる。どうなってるんだろう?


 中に入ったら座り込んでいるコケ鳥がわんさか。なんだか鋭い目付きでこちらの様子を伺ってます。因みに目はなぜか半眼。寝起きなのかな?鶏冠もあるし、鶏っぽいけど体の大きさ………大きさはそうだね、私が丸まったくらいかな。ええと、大型犬が丸まったぐらい?なにかいいサイズないかなっ!?でも、なんで私が下りちゃ駄目なんだろう?


 静かにウェルターさんとリディお姉様がせっせ餌の箱になるべく音を立てないように入れて速やかに小屋からでた。ので、さっそく聞いてみることに。その前にトールお兄様、下ろしてね?


「触りたかったです!」


「あれは駄目だ。コケ鳥はな、小さいやつが好きなんだ。それはもう大事に懐に隠したいほど。小さい嬢ちゃんを入れたらあっという間にコケ鳥の下敷きになって出れなくなるぞ。あいつら弱いやつでも下敷きにしたがるやつだ。因みにうっかり屈んでみたりしてみろ。一瞬で下敷きにされる」


「―――それは嫌です………では、なぜ静かに入ったのですか?」


「コケ鳥ですもの。大きな音を出すと転けてしまうからですわ」


 ………それはどこのギャグ?ちょっと静かだったリディお姉様が自慢げに言うけど………そんなギャグが本当にあるのかとうっかり疑ったらウェルターさんが見せてくれることに。顔だけ覗きこんで―――「わっ!」と張り上げたら、ころん、ころん、とね。なんか可愛かった!足は鋭そうな爪でしたがね!短い足らしくて一生懸命じたばたしていた!あんなに静かにやったのになんてはた迷惑なんだろう。思わず笑ってしまった。


 それからまた乗馬の訓練に移行してメイとぽこぽこ歩く。今度はトールお兄様の指導です。ウェルターさんはリディお姉様に馬選びのコツを教わっているよ。


 日が暮れるまでに練習して――まあ、形だけでも乗れるようになったよ!鞍もつけられるようになったし、少しは出来るようになったさ!それをお母様に報告したら「お父様に報告はないの!?」と騒ぎ初めて、大変なことになった。どうやら抜けものにされたと思い込んだらしくて慰めるのが大変すぎるっ。


 そして次の日は馬車でのんびり帰った。なんでも話足りなかったらしい。お父様とお母様が。6人乗りで長い道のりをずーっと喋っていて………どこからかお茶が出てきたりとそっちの方が気になって仕方なかった。聞いたら後ろはメイドたちの控え室みたいになっているらしい。扉はそのためだったんだね………人一人動ければいいよね、みたいな狭さでよく動けるものだと感心したよ。馬車の大きさは伊達じゃなかったかっ。


 そう言えばふと思ったんだけど………これって旅行だったのかな?隣の領地の牧場に遊びに行っただけなんだけど………誰もなにも言わないから聞けない私の疑問はあっさりどっかに放り投げた。のんびりするならどこでもいいかなって。家についたらなんとなく帰ってきた気がしてホッとした。





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