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プチ家族旅行7

改訂いたしました。27.6.13

 リディお姉様とドーベルマン(仮)が動きません。なぜでしょう?私にもそれは分からないのです。だからトールお兄様にあれは、と。聞いてみる。本当に固まってしまっているのだけど………大丈夫だろうか。なんでそんな―――対峙をしているのかな?


 そんな中でまたひょっこりと顔を出しに来てくれたカリャルさんが登場。リディお姉様を見てなんだか目を見開いたようです。2割り増しで目が大きく見える。リディお姉様はいったいどんな顔をしてるんだろうね?回り込んでみようかな………


 扉にずっと佇むドーベルマン(仮)にも見て驚いて………なんだか分からないけどドーベルマン(仮)のお尻を追いやって強引に中に入ってきた。邪魔だそうです。いいのですか、飼い主様。くぅんとはすっごい渋々という感じで項垂れちゃったんだけど?でもリディお姉様から目線は離さない………どうして?言動がかなり合っていないのだけど、君はどうしたいっ。


 しかし!それでも可愛いので私は大歓迎!!ほら!こっちにおいで!!撫で回させてっ!!たぶん、私の顔は緩みまくっている。そりゃあもう、ぷるぷるして頑張ってよたよた歩きの子犬を見たら鼻血もんだよ!癒しでござるっ!もう頭がおかしいんじゃないかって言われても正直に頷くしかないわ!でも、ねえ―――


「トールお兄様、なんだかあの………犬たち(だよね!?)、あの場から動きませんよ?」


「ん?ああ、あれは仕方ないだろ。たぶんクフィーに警戒中だ。親の方は分からないが」


「え?私ですか?」


「ふっふっふっー。分からなければこのカリャルが教えてあげましょう!」


 とかなんとか言って私の対面にお茶を飲んでいるカリャルさん。いつの間に………教えよう、とか言ってすごい寛いでるんだけど。まあいいか。なんだかすごいにこにこしながら教えてくれるらしいからさ!これもお勉強だね!


「あの子たちはドーベルって言う子たちでね、犬の中で唯一の魔力探知ができる子たちなの」


「魔力探知?」


「んー。ようはヴィグマン十進魔法師様?あのお方は的確に魔力を感じとるのだけど、それをこの子たちは鼻で魔力を感じるの」


 つまり、ヴィグマンお爺ちゃんの犬バージョン?………白じゃなくてよかった。黒っぽくてよかった!!


「て、あれ。それじゃああそこから動かないのって―――」


「ドーベルは犬の中で一番、守護役として忠誠が高いの。だから主を守る習慣か、高い魔力を察知して動けないか、じゃないかしら?リディちゃんと対峙してるけど。リディちゃんの後ろにクフィーちゃんがいるからどっちを見てるのかなー?でもクフィーちゃんは魔力が高いなんてグレンくんに似たのね」


 お父様の倍を持っているんです―――なんてさすがに言えない。私はこの犬に夢中になっているフリをしてこの話を流すことに。いや流れないんだけどっ。手元のふさふさなわんこ様が愛くるしくてそっちに気がいってしまうんです!可愛いっ………


「ふふふ。その子はコーリャって言う種類でね。名前はミロよ~。クレアのお気に入りの犬ね!ほとんど愛玩動物で見た目も可愛くて人懐っこいのよ。滅多に人を嫌わないの。それに甘えん坊であまり吠えないからなおさら人気が高いのよ!!」


 わかる!わかるよその意味が!まさに今っ、私の顔を舐めて遊んでと言ってくれているのだから!!だから私はこのミロの体全身を撫で回すのです!うりゃあ!どうだ!ツボは分からないけどくすぐったいでしょ~。私のくすぐりに身をよじって逃げようとしてる。息が早くなってきているようなので止めたらすっごいこっち見てきた………甘えん坊めっ。


「クフィー、こっち」


「んぶあ」


 や、トールお兄様………息ができません。確かに顔を舐められてべとべとだが、そんな顔全体を塞がれたら息がですね!でも喋っても言葉にならないと言う残念さ!うーうー唸っていたらようやく離してくれて拭ってくれた布はポメアに渡された。


 トールお兄様がなんだかお父様とは別枠の過保護だね。それもまた嬉しいんどけどさ、なんだかこのままだと私はブラコンになるんじゃなかろうか………もうなっていたらどうしよう。お礼を言ってもう一回ミロでわしゃわしゃやっていたら対面から笑い声。カリャルさんが楽しそうに一人で笑っているね。


「いや~、まずいわ。こりゃいい。ちっちゃいクレアとグレンくん見てるみたい!とくにトールくんなんてグレンくんの小さい頃そのままでしょ、きっと」


「よく言われますね。嬉しくありませんが」


「中身はクレアなグレンくんか………面白いな~」


「お母様とお父様の小さい頃を知っているのですか?」


「残念。知らないよ。ほとんどクレアとグレンくんの人なりに見て触れて私が想像してる」


 それは妄想と空想の狭間ではないだろうか。てかリディお姉様、いつまでドーベルとにらめっこしいているの?


「私が知っているのはウェルターと結婚してからだよ。色々と大変だったみたいだね」


「………それは、聞いてもいいのでしょうか?」


「私からなら駄目でしょうね。残念なことに私とクフィーちゃんは家族ではないから」


 そんな事を言って―――なんで悲しそうな顔をするかな。まるで距離を取っているみたいに見えるよ。でも、誰もなにも言わない。もしかしたら言えないだけかもしれないけど………トールお兄様は黙ったままお茶を飲んでいる。つまり、言う気はない。ここでは話せないと言うことらしい。


 なんだかしんみりしてしまったので未だにドーベルと対峙しているリディお姉様について語る事にした。私の手元は相変わらずミロを可愛がっているよ!笑いすぎて酸欠になったら困るのでたまに背中を撫でて毛並みを整えたり休憩を挟んで遊んでるのさ!


 で、リディお姉様はいつまでああしていると思いますか?ズボンのせいでぐっと背筋を伸ばしているリディお姉様の立ち姿は完全な仁王立ち。拳をきゅっと握って後ろ姿でもわかるほど少しだけ覇気を感じる。なんの覇気かは知らないけど、近寄りがたいオーラが放たれているんだよね、これが。


 対してドーベルマン事、ドーベルのセナ(メス)はよたよたな子どもと共にリディお姉様を見据えて動かない。唸る事もせず、威嚇に体制を低くするわけもなく。ただこちらも仁王立ちよろしくと4つの足でしっかりと床を踏みしめて、ちょっと顎を引いた感じで見つめている。


 これってあれなのかな。視線だけで会話しているってやつかな?いやそれだと長すぎるし人と犬が何を語る………まさか火花でも散らせているの!?初めて合うはずなのにもう剣呑な仲!?いったい二人は外見だけで何を見たっ!?


「リディちゃんは動くとしたらどう、出ると思う」


「いや、決闘やその類いではありませんから」


「でもさ、あの調子で両者一歩も動かず一触即発状態よ?クフィーちゃんはどう思う?」


「そ、そうですね………前にドーベルのヌイグルミが連れ去られてその内にリボンと交換されましたから―――じっくり鑑賞しているのでは?」


「そんな事があったのか?」


「はい。一度、お部屋に招かれたのですがちゃんと飾ってありましたよ」


「やだ、リディちゃんてもしかしてドーベルが好きなのかしら?ドーベルは格好いいものね!私も大好きよ!それにセナって凄く賢いのよ~」


 ドーベルマンが凄いことに。聞くに、ドーベルマン―――じゃなくて、ドーベルは忠誠心が高く、生まれたときから警戒心が強い。さっき言ってたように主を守るためにいつも得意の鼻でつねに警戒し、目で最良を判断する賢い犬なのだそうだ。


 主が決まっていなければ自分の親だけど、今は子どもがいるのでその警戒もしているのかもね、て。子を持つ親はみんな一緒だね。でもあれは警戒しすぎなんでは?と聞いてみたところ、やっぱり私が原因ではないか、と言う理不尽な事になった。なんで?


 カリャルさんの聞くところによると、お父様と出くわした大抵のドーベルは警戒して近寄って来ないそうだ。全く動こうとせず、常に警戒して身を守っているらしい。下手に近づくと襲われるそうだ。じゃあ子どもの方はどうなんだろ?生まれた時から警戒してるんじゃなかったの?


「警戒してるけど、あれは本能。敵わないと分かっているから逃げようとしてるんだけどお母さんが動かないからどうすればいいのかわからなくておろおろしてるの」


 それは、難儀な。あのよたよたは逃げ惑っている理由があったとは………なんだかごめんよ。私のせいではないと言いたいのだけどお父様の魔力を越えているので否定も出来ない。因みに私が不用意に近寄ればまず吠えて警告してくるらしい。下手したら襲ってくるので近づくなと言われてしまった………触りたいっ。


「本当にいつまでああしてるんだろうか」


「やらせておきなさいよ。それよりウェルターたちはどうなったのかしらね」


「また何か聞こえたか?」


「それが何も………もしかしてこの家は結界など張ってあるのですか?」


「そうしたらセナたちがずっと警戒してて疲れちゃうわよ。でも、なにかあるのかしら?ウェルターの家だから聞いてみないと分からないわね。私、気にしてもしょうがないものは気にしない方なの」


 そんな感じがする。だって貴族街に店を構えてるぐらいなんだもん。聞くところによると夫婦で往復してるらしいね?貴族がいちゃもん付けてきたらだいたいカリャルさんが対応しているらしいし。それを気にしていたらあの中で疲れちゃうもんね。


 でも気になるものは気になるんだよね。わかるのは小さな飛行物体で、性別は男の子。これぐらいしか分からないけど。はて。どうしたものか。見に行くわけにはいかないし。でも気になるし………とりあえずミロと戯れるか。うりゃ。


 そんな事をしていたらトールお兄様からため息がっ。いや、だってねえ?深く考えてたら煮詰まるだけだし。堂々巡りするなら気分転換が一番いいんだよ。ほら、トールお兄様もどう?遠慮しなくてもいいんだよ?




 ど う し て い な く な っ ち ゃ う の?




「………どうしていなくなるのか、って聞いてきました」


「そう言えばこちらから声を届けるたりはしたのか?」


「いいえ。やっていませんし、やろうとも思いませんでした」


「それでいい。相手はどんなのか分からない。なんらかの方法でここにたどり着かれても困るからな」


「それにしてもまちまちなのね。何が目的なのかしら?」


「美味しそうと言っいてましたから食べたいのでは?」


「あら。クフィーちゃんて意外と肝が座ってる」


 おう。しまった。ここでも落とし穴がっ。肝が座った7歳児は疑われるんだね!勉強になりますっ。しかし、こちらも回避のすべはあるのです!トールお兄様やお父様が守ってくださいますから、と笑っておけば万事解決なのだよ!


 案の定、そうよね!と笑い飛ばしてくれたのでこれ以上深く突っ込まれる事はなかった。よしっ。しかし、カリャルさんから意外な攻撃が。「ウェルターもクフィーちゃんを守るからね」と強くウェルターさんを推されて………


 上流騎士は伊達じゃないとか。格好いいとか。守るものをもつ騎士は素敵だとかなんとか………どうやら変なスイッチを私は押してしまったらしい。押したと言うか設置しちゃって自ら押しにきた?そこから止めどなく溢れるウェルターラブを聞かされて私の口から砂が流れていき、トールお兄様からはきっと砂糖が流れているのかもしれない。


 それがお父様たちが帰ってくるまで聞かされて、それを知ったウェルターさんから「忘れてくれ、頼むっ!」と懇願された。その姿に上流騎士とやらの肩書きは存在しない。必死すぎるその姿がやけに哀愁を漂わせている。ただ頷くことしかできない私はトールお兄様と一緒に肩を叩いてあげた。今は騎士とか関係ないよ。頑張って、色々と。


 お父様は相変わらす私たちを見て絶賛だ。妹をそっと見守るトールがっ!犬と戯れるクフィーがっ!犬と以心伝心してるリディがっ!と、来て早々に感嘆の声をあげて喜ぶ。リディお姉様のは以心伝心に見えるらしい。その歓喜にデレデレの姿はまさに親馬鹿だね。カメラとかあったらずっと撮ってそう………


 因みにリディお姉様はずーっと、仁王立ちでセナと対峙してて。君たちは疲れないのかと聞きたいです。どうやら決着はつかなかったようで、両者共に背を向けて別れを告げた。てかセナがお父様が来たからビックリして子どもをくわえて脱兎のごとく駆けていったよ………なんかリディお姉様が満足そうな顔で笑っている。本当になにやっていたの?まさかの以心伝心!?


 そしてそのまま何も聞かされずに寝かされる私。………………あれ。午前の緊張感が漂うあの話題はどうなったの?明日?明日なの?別にいいけど帰りに1日使うとしたらあと2日しか時間がないのですが?私に遊べる時間はちゃんとあるのだろうか………?あるよね!?そして無事に解決が出来るんだよね!?




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