私と、両親
誤字等を修正いたしました。27.4.2
ビックリした。声がすごく近くに聞こえて、すごく優しい光で私の回りが何かに覆われた。
それがなんだか、わかんなかったんだけど多分、魔法なんだろうな、て。
だって回りがキラキラと光ってたんだよ?それも、ジェルエさんが魔法を使ってくれる時にでるあのキラキラが。
そしてもっとビックリしたのが私はイケメンに抱っこされている、って事だよね。うん。むしろそっちの方がビックリしている。
だって泣いてて、どうしても止められなくて、どうしようて思ってたらキラキラと光ってイケメンが間近にいる。しかもドアップ。驚かないでどうする!
これできゃー!なんて言って叫ばなかった方が凄すぎる。えらい、私。
しかもかけてくれる声がすごく優しい。私でもわかるぐらい優しすぎるよ。蕩けるっ。
すぐに落ち着いたかを確認したら後ろにダリスさんがいたらしい。てきぱきと指示を出して部屋から出ていった。
知らない女の人がいたけど、すれ違いで部屋に入っていく。つい、目が追っかけた。
そうしたらその時にみた部屋の惨状が凄かったとしか言いようがなくて――――まるで小規模………じゃないね、あれは。竜巻が部屋の中で巻き起こったらしくて家具とか、ヌイグルミとか、部屋にあったものがすべてぐちゃぐちゃになってた。
あれは私がやったのかな………?
まったくどういう状況なのかわからないよ。
そのまま抱えられた私はどこかわからないまにま突き進むイケメンの服を握って、黙ったまま景色を楽しんだ。怖いとかそんなんじゃないよ!
だって、初めての外なんだもん!家の中だけど。いつもと違う景色なんだよ!
全部が真新しいもので楽しい。首がぶんぶんとあっちこっちに動いてしまう。
とくに我が家は絵画がよく飾られているらしい。感覚的には1メートル感覚で両サイドになにかしら絵画が飾ってあった。
見ていて面白いけど………………白黒だと楽しみも半減だね。明暗もボヤける感じで水墨画でも見てる感じだよ。私はそこまで渋い趣味はないんだけどな。なんてこったい。
やっぱり貴族の壁といったら赤茶なのかな?うーん………………色の判断がまったくできないよ。なんとなく赤色らしいポーテのヌイグルミと同じ色に見えるぐらい、かな。
でも、ここまで絵画が飾ってあったらかなりの貴族様かな?お金にものを言う貴族じゃなければいいな。てかどこに連れていかれるんだろう?
「今日はお前の母親に会おう」
なんですと。今日はイベント過多だね!
兄にあってすぐに母にあえるなんてイベント発生しすぎだと思うんだけどね。でもそっか。母か………
そこでやっと気づく。そう言えばこの人誰だろう、なんて。いや、だいたいの予想はもうついているんだけどね。ダリスさんにあんな物言い出来るなんて一人ぐらいしか思い付かないよ。
「ちーうえ?」
「!?」
あ。止まった。え?ここでまさかの間違いを冒してしまったんですか。やめてよそんなフラグ。いらないから。
いや、もしかしたら『お父様』の方がよかったってヤツ?止めて。1歳児にそんな発音力を求めないで。『と』もまだ言いにくいんだから。頑張ったら『と!ーしゃま』になっちゃう。『ちーうえ』で我慢して下さい!
てか、じっと私を見て驚いてる。私も見つめ返してみる。え、マジの失敗ですか?そりゃないよ?
なにか言ってくれなきゃわかんないよー!!
でも私はどうしようにも出来ないからまだ睨めっこは継続中。あ。よく見たら髪の毛ボサボサだよ。イケメン台無しじゃん。ここは1歳児を発揮させよう。
「もあー。もあー」
くっ。実際はぼあぼあって言いたいんだよ!でもまだ発音なんて出来ないんだから仕方ないじゃないか!
子どもだから許されることを信じて髪の毛も触っておいた。そうしたらようやく現実に戻ってきたのか自分の髪の毛を手櫛で直して満面の笑みを浮かべて歩き出した。
なんで喜んでいるのだろうか?しかも結局、当たりかも外れかも言ってくれない。赤ん坊ってやりにくいなー。
そうこうしてたら大きな扉に付いちゃうし。そのまま中に入っていったら一人の女性が静かに椅子に腰かけていた。
おっとりとしたような顔で髪を後ろでまとめているこれまた美人さん。服もゴージャス!きっと母に違いない。てかそう言ってた。
こんな美人と美形の間に生まれたなら私の顔もきっといいに違いない。そう信じてる。
「クロムフィーアの魔力暴走だった」
「まあ………………城に手配しましょう。レーバレンス様でよろしいかしら?」
「いや、ヴィグマン殿に頼もう。今思えばレーバレンス殿は神出鬼没すぎる」
「また、引きこもっているんですか?本当に研究熱心でいらっしゃるようね」
「この国随一の魔術師だからな。ああ、出来れば明日にでも向かう」
「………………それほど、でございますか?ここに連れてくるくらいに………」
「部屋の物、全てが浮くくらいにな。小さいベッドでもかなり重量があったと思うのだが………」
「………私にも抱かせてくださいな」
いや、別にいいんだけどね。もうちょっとわかるやうに説明してよ。魔力暴走とか。
多分でもなく深刻な話をしているんだろうけどさ。本人はわかってないから。どれほどすごい事したのか分かってないから!
内心が荒れまくりながら叫んでいるのに気づいてくれない。当たり前か。とんとん拍子で事が運んだと思えば私は普通に母(多分)に渡された。
いや、本当に別にいいんだけどね。
父(多分)から母(多分)へと渡った私はじゃっかん視界が低くなったと思いながら今度は母(多分)にしがみつく。
間近で私の顔を見てふんわりと微笑んでくれた。ならば私も微笑もうじゃないか。にへら。
すると喜んでくれたみたいでくすくす笑い出した。なんだよー。照れるじゃないかー。じゃあ和んだところで確認いっきまーす。
「はーうえ?」
「あら。初めての逢うのに私を母と分かってくれるの?」
「私も先ほど父上と呼ばれた。なんだろうな。一度だけの顔合わせでも覚えられるものだろうか」
「魔力を感じとったのかしら?」
「さすがにそれはないだろう。子どもは最低3つまでに魔力が安定しなければ魔法、魔力など扱えない。そのため魔力持ちの乳母たちにやらせるから、刷り込みで間違うのはよくあることだ。ああ、ダリスあたりが何かしたかもしれん」
くすくすと微笑まないでくださいな。くすぐったいですよ。しかも………………見えるように夫婦の顔を並べて私の顔を覗き込むとか。
めっちゃ暖かい家庭ですな。神に感謝したいぐらいですよ。ええもう、叫ぶくらいに。
てか子どもは最低で3歳まで魔力が扱えないんだ。早くやりたかったのに。魔力ってそんなに大事なのかな?安定って言っていたから幼いと危険そんなに危険なの?うーん、この辺の説明って誰かやってくれるのかな?
むしろ私はなぜ他の人に会えないのかが気になってるんだけどね!いくら3歳まで乳母に任せるからって顔を見せに来ないのはどうなのよ?これが普通なのかな………?私、馴染めるの?
考えていたらいつの間にか私はどちらに似ているのか、て話になっているし。鏡を見た事がないからわかんないよ。
なにやら鼻筋と目元は父似で口許と輪郭は母似らしい。輪郭が似てるとかあんまり聞かないんだけど。髪の色は薄い翡翠で瞳は藍色だってさ。それだと目の色が目立ちそう。
並んでいる顔の二人からどっち似か比べてみるけど白黒じゃあ本当にわかんない。
父様は黒っぽい。だからえーと、………………翡翠は緑系で黒っぽい緑は深緑なんじゃない?瞳も黒いから、あ、濃いんだね。これが藍色か……母様は白っぽい髪だから明るい色で。金髪を所望します。瞳はうーん。薄くもないけど濃くもない。まったくわかんないよ。金髪碧眼でお願いします。
髪の色は足して薄まったんではないでしょうか。だから翡翠。瞳は父譲り。あれ母の部分は口と輪郭?なにを喜べばいいんだろう。
まさか色でこんなに苦戦するなんて。これ、大丈夫なのかな?ハブられたりしないよね?
誰かお医者様を呼んでください。




