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遠い記憶の守人  作者: 名波 笙
成長記録
34/99

子供を巻き込む大人の事情 1







 日々は目まぐるしく移り変わる。


 短い秋が過ぎ、冬が来ようとしている。

 早朝、吐く息は白い。

 まだ寝ぼけたままのレグルスは、何故自分が馬車に揺られているのか、思い出そうとした。






 昨日はうっかり夜更かしをしてしまった。

 お祝いの贈り物には沢山の書物もあり、暇な時に読んでいる。昨夜は寝る前にその一つを読み始めたのだが、なかなか面白くてやめられず、寝るのがだいぶ遅くなってしまった。

 だから朝もいつも通りに起きられず、まだ布団の中でまどろんでいた。寒さの増した朝に、温かい布団は楽園である。

 楽園が壊されたのは突然の事。布団がはぎ取られたのである。


「レグルス、起きろ!出仕するぞ!!」

「……あう………?」


 目をしぱしぱさせていると、体が宙に浮いた。


「さあ、着替えろ。朝食だ」

「…うぁぃ……」


 半分夢の中で、全てを侍従にされるがままに着替えさせられ、皿に顔を突っ込みそうになりながらスープを飲まされる。

 ふらふらしながら玄関ホールまで来れば、冬仕様のローブを羽織らされる。執事たちに見送られ、馬車に乗らされた。






 舟を漕ぎながら、レグルスは自分の状況を確認する。


「とーさま……」

「何だ?」

「…しゅっしって、なんですか……?」

「出仕は官僚、或いは士官が王宮に出向き、職務を全うとすることだ。決して資金を提供する出資ではないぞ」

「……そーじゃなくてぇ~………」


 眠い頭にだるさが加わる。再び瞼が落ちる。


(…いつもひとりでいくじゃないですか……)


 それは果たして言葉に出来たのか。そして答えは聞いたのか。

 再び夢の世界へ誘われ、レグルスは覚えていない。

 次に目を覚ました時は既に政務省の大臣執務室で、体がすっぽりはまる椅子に座り、ブランケットに包まれていた。


「……あう………?」


 勿論、レグルスはここがどこなのか解らない。見慣れぬ場所に、寝惚け眼が覚醒していく。慌てて椅子から降りようとするが、ブランケットが体に巻きついて、思うように動けない。

 棚の陰になって良くわからないが、人の気配はない。何とかブランケットを蹴り飛ばし、今度は椅子から降りようともがく。


「父さま…父さま、どこですか!?」

「あれ?」


 声が聞こえた。棚の向こうからひょいと顔を覗かせたのは、文官のローブを纏った男だ。

 彼はにっこりと笑った。


「お目覚めですか?」

「ここはどこですか?父さまは?あなたはだれですか?」


 矢継ぎ早に質問を重ねながら、手足をばたつかせる。ふかふかの椅子は座り心地は最高だが、体を起こすのが難しかった。

 文官の男が両手を差し出してくる。レグルスはその手をとって、何とか椅子から降りる。


「お父上は今、会議に参加されています。先程出ていかれたばかりなので…一時間は戻られないかと」

「つれてきて、ほうち!」


 あまりの事に愕然とする。仁王立ちのまま、固まってしまった。

 その様子に、男が盛大に噴き出した。体をくの字に折って笑いだす。


「あははははっ、放置!確かに!!」

「わらいごとではないのです!あんまりなのです!!」


 男は一頻り笑うと、目に浮かんだ涙を拭った。そして丁寧に頭を下げる。


「失礼いたしました。よくお休みのレグルス様を残していくことは大臣も随分渋られたのですが、会議は最重要事項なので連行させて頂きました」

「れんこう、ですか…」

「ええ。テュールが首根っこ引っ掴みましたね」

「……ほんとうに、ごめんなさい………」


 レグルスが両手で顔を覆う。耳まで赤い。

 男がしゃがみ込み、レグルスの顔を覗き込むように見上げてきた。


「何だか、レグルス様は謝ってばかりですね」


 レグルスはそっと手を開く。男を見て、首を傾げる。


「どこかでおあいしましたか?」


 男は両手で頬杖をつく。


「ええ。レグルス様がまだ王子宮にいらした時に、一回だけ」

「……父さまをおむかえにきてくださった、ぶんかんさんですか?」


 あの時、文官が二人いた。ただ遠くて、顔は覚えていない。近衛兵に阻まれてよく見えなかったというのもある。

 男は頷いた。にこにこと笑っている。


「フラウ・ウェルターと申します」

「フラウさま?」

「呼び捨てにしてくださって結構ですよ。私は貴族でもありませんしね」


 フラウは立ち上がると、レグルスの手を引いた。応接用の椅子に座らせる。

 ようやく落ち着いたレグルスは、改めて辺りを見回す。大きな机を最奥に、少し小ぶりな机が幾つか並ぶ。レグルスが今まで眠っていた場所の奥には書棚が、並列に延々と続いていた。


「フラウさん。ここはどこですか?」

「…ここは王宮中央官省の中にある政務省の建物です。この部屋は大臣の執務室ですよ」

「…せいむだいじんは、ぶがいしゃをしごとべやにつれこんでも、よいのですか?」

「いけませんねぇ。ですが、国の筆頭貴族で国王陛下の従兄であるグランフェルノ公爵に、誰が何を言えますか?」

「……ほんっとに、ごめんなさいです………」


 レグルスは俯く。再び両手で顔を覆う。

 クスクスとフラウは笑った。レグルスの前にお茶と焼き菓子を置く。


「まぁ、ここのところ忙しかったですからね。大臣がご乱心するのも、無理ありません」

「ダメ大人じゃないですか」

「ふはっ!駄目大人!あの大臣を、駄目大人ですか!!」


 厳格で自分にも他人にも厳しいといわれる、政務大臣を。

 難しい顔で焼き菓子を取る少年が、日頃いかに甘やかされているか覗える。

 それも仕方ないかと、フラウは笑いを収めた。レグルスの頭を撫でる。キョトンとした目が彼を見上げる。


「レグルス様が可愛くて、仕方ないんでしょうね」

「……」

「本当は、政務大臣の席なんてさっさと捨ててもいいから、レグルス様を構い倒したいのでしょう」


 レグルスは目を瞬かせる。そして視線を伏せた。首を左右に振る。


「それは、ダメなのです……」

「レグルス様?」


 フラウが覗き込めば、レグルスは眉根を寄せている。


「すてるなんて、むせきにんです。ダメです。そんなの、ぼくの父さまじゃ……」


 言いかけて、ハッとしたように止まった。菓子を口に放り込み、咀嚼する。

 飲み込むまで待ったが、それ以上は何も言いそうにない。フラウはポンポンと頭を叩き、己の席に戻った。

 レグルスはカップを取る。一口飲んで、思わず顔を顰める。


「フラウさん…このおちゃ、しぶいです……」

「大分前に淹れたものですからね!」


 そんないい笑顔で言われても。

 満面の笑みで親指を突き出すフラウに、レグルスはますますしぶい顔になってしまった。





 公爵が戻ってきたのは、それからきっかり一時間後。

 廊下が騒がしくなり、扉が開かれた。

 レグルスはとっさにそっぽを向いた。だが、公爵は更に素っ気なかった。


「すまん。急ぎの案件が入った。もう少し大人しくしててくれ」


 ぽんと頭に手を乗せ、すぐに机へと向かう。一緒に戻ってきた部下たちに指示を出し、書類を集める。フラウも呼ばれてしまう。

 レグルスは意外そうに目を瞠った。バタバタと慌ただしくなった室内を見回し、首を傾げる。


「父さま。ぼく、おうちにかえってもいいですか?」

「駄目だ。大人しく待っていろ」


 厳しい口調で言われ、レグルスはポカンと口をあける。まじまじと父を凝視してしまう。

 人の出入りが激しくなる。

 レグルスは椅子の上に縮こまって、言われるがまま大人しくしていた。だが、あまりの居心地の悪さに、椅子から降りる。


「父さま、お外であそんでもいいですか?」

「頼むから、部屋で大人しくしていてくれ」

「でも……」

「レグルス」


 声に呆れと苛立ちが混ざる。

 レグルスの体が強張った。何も言えなくなり、小さく頷く。公爵はそれを確認して、作業へと戻る。

 フラウが申し訳なさそうに、最初に座っていた小さな椅子へと誘う。浅く腰かければ、公爵がフラウを呼んだ。

 レグルスは一人取り残される。

 窓際に置かれた椅子からは、父の背中しか見えない。ぼんやりとその後姿を見つめる。

 最初は驚愕、次に憤慨。今は寂寞の想いがレグルスを捕えている。




 今日は家庭教師に魔法を教えてもらえる筈だった。とても楽しみにしていたのだ。

 同年齢の子供たちに追いつくため、レグルスに与えられる課題は多い。貴族の教養やマナーを始めとする勉強が優先される為、どうしても後回しにされるものがある。

 魔法学はその一つ。レグルスの魔力が平均的な物である為、重要視されていないという理由もある。

 それでも、魔法は一般に広く普及しているものだ。簡単な魔法であれば、庶民でも日常的に使用する。魔具と呼ばれる道具で代用は十分可能だが、使えた方が良いに決まっている。

 一般教養の授業を必死で頑張ったご褒美で、今日の魔法の授業を入れてもらった。

 楽しみにしていた分、気分の落ち込みも半端がない。




 どうして今日、連れてこられたのだろう。

 どうして連れて来て、こんなに放っておかれるのだろう。

 何か悪い事をしたのだろうか。

 それとも、これは悪い夢なのだろうか。


 レグルスははっとした。

 夢。悪い夢。

 覚えている。何度も見た夢の一つ。父の背中をひたすら追いかける夢。

 レグルスは手を伸ばす。


「…とぉ…さ、ま……」


 掠れた小さな声しか出なかった。

 気付かなかったのか、父公爵は振り返る事もない。

 もう一度呼びかけようとして、今度は声も出ない事に気付いた。喉に手を当てる。何か喋ろうと思ったのに、出たのは空気を吐く音だけ。

 誰かを呼ぼうとする。だが、皆忙しそうに動いていて、誰もレグルスの異変に気付かない。焦りだけが募る。

 そうこうしているうちに、呼吸までが苦しくなってきた。体勢が崩れ、椅子に深く腰掛けてしまう。すると、昼寝には丁度良いこの椅子から、体を起こせなくなる。


(だれか、たすけて…!)


 視界が霞む。それでも、父の背に必死で手を伸ばす。


「っ!……!!」


 何とか声を出そうと試みるが、やはり出るのは空気の漏れる音だけ。

 霞んでいた世界が、暗くなる。


(いやです!とうのなかにもどるのは、いやなのです!!)

「…ぉ、まっ……」


 空気の混ざった微かな音。

 誰も拾ってくれないと絶望したレグルスの耳に、紙の束が落ちる音が聞こえた。


「どうされました!?」


 誰かが駆け寄ってくる。腕が取られ、体が起こされる。

 はくはくと口を開閉していると、ぐっと状態を逸らされた。


「息をしなさい!落ち着いて、大きく息を吸って!!」


 吸う?吸うってどうやるんだっけ?

 レグルスは困惑しながらも、口を大きく開ける。吸おうと思うのだが、上手くいかない。焦りだけが増していく。


「ゆっくりでいいから。胸やお腹に空気を入れて。出来なければ、吐き出すでもいいから!」


 吐く。空気を吐く。

 そちらを先に思い出した。息を吐くと、続いて吸う事も思い出す。

 だがすぐに咳込んでしまい、また息が苦しくなった。誰かが背中をさすってくれる。


「大丈夫です…もう大丈夫ですよ。ゆっくり息をして」


 レグルスは小さく頷く。深呼吸を繰り返した。

 ふと顔を上げれば、眼鏡越しのオレンジのような薄茶色の瞳と視線が合う。


「テュール、さま」

「無理に喋らずとも、結構です」


 テュールはレグルスを椅子に座り直させた。しかし、深く座らせることはさせない。

 ようやく落ち着いてきたレグルスは、辺りを見回す。途端、体を強張らせることになった。

 あれだけ忙しなく動いていた室内が、しんと静まり返っている。全ての視線がこちらに向いていた。床には書類と思しきものが散っている。


「あ…ごぇ・ん・な・しゃ…い……」


 舌が引き攣って、上手く喋れなかった。まるで数ヶ月前に戻ったかのようだ。


「謝る必要はない」


 椅子を蹴倒した状態で固まっていた父が、ようやく近づいてきた。レグルスの前で膝をつく。


「どうした?何があった?」


 首を傾げて、優しく問いかけられるが、レグルスは首を左右に振った。口を引き結ぶばかりか、手を当てて話す事を拒んでいる。

 公爵が手を伸ばせば、それを避けるように後ろに下がった。テュールが支えきれず、レグルスの体が椅子に沈み込む。

 公爵は固まった。茫然とした様子で息子を見つめている。


「…大臣……」


 テュールが呼びかければ、ハッと我に返る。厳しい顔つきで、後ろを振り返る。


「資料は出揃ったか?」

「あ…はい!後は各部署に決定項を送り、外務省より日程表が届けば、承認の通達も出来るかと」

「そうか。ならば、少し席を外す」


 グランフェルノ公爵は息子を抱き上げた。体を竦ませる我が子の背をポンポンと叩き、そのまま部屋を出ていった。

 残された部下たちは顔を見合わせる。そして深い溜息を吐いたのであった。




 レグルスは父の肩に顎を乗せ、眉を下げる。

 時折すれ違う人が、ぎょっとしたようにこちらを見るが、仕方ないと思う。政務大臣が子供を抱えて、廊下を闊歩しているのだから。

 公爵はある部屋の前で立ち止まった。レグルスを抱え直すと、ドアノブに手を掛けて扉を開けた。

 中は小さな部屋だった。整然と家具が並べられているが、使用感は全くない。

 公爵はレグルスを抱えたまま、ソファに座った。膝の上に乗せ、しっかりと抱きしめる。


「ここは、ちょっとした…内緒話をする為の部屋でな。多少騒いでも、外に声が漏れない構造になっている」


 まずは部屋の説明をして、自身を落ち着かせる。咳払いをし、気まずい沈黙を振り払う。


「レグルス。言いたいことがあるなら…いや……」


 言いたいことがあるのは解っている。だが先程、自ら口を塞いでまで言おうとはしなかった。言ってはいけないと思っている。

 その原因を自ら探らねばならない。


「…言いたくないのか?」


 そう訊ねれば、レグルスは頷いた。やはり両手で口を覆っている。


「無理矢理連れてきた事、怒っているのか?」


 今度は左右に首を振る。

 思わず安堵の息を吐いてしまう。これが原因だったら目も当てられない事態になっていただろう。だが、すぐに気を引き締め直す。すぐに次の原因を探し出す。

 その前に、別の因果に気付いてしまった。


「…怒ってはいないが、嫌だったか……?」


 腕の中の体が、びくりと震えた。頭は上下にも左右にも動かない。

 これか!いや、それであそこまでなるとは思えない…核はもっと別にあるはず。

 レグルスがプルプルと震えている。宥めるように、レグルスの体をさする。


「嫌な事か…執務室にいるのも嫌だったか?」


 これにも反応はない。


「俺は…お前に嫌な思いをさせたか?」

「ちぃ・が・う・の・でぇ・す……」


 レグルスは手を伸ばして、公爵に抱きついた。泣きそうに顔を歪めるが、涙はない。


「もど・さ・れぇ・ると・おもぉ・た・の・で・す」

「戻す?」

「たそ・が・れ・の・とお……」


 公爵の目が、これでもかというほど見開かれた。


「そんな、馬鹿な事を……!」


 声を荒げかけ、子供が体を縮こまらせた為、何とか留まる。

 そんな馬鹿な事を、誰がするというのか――だが、この子はそう思ったのだ。その原因は何だ。

 抱きしめる腕に力が入る。


「行かせない。二度と行かせるものか」


 レグルスがほっと息を吐く。父親の肩に頭を乗せ、目を閉じる。

 公爵はゆっくりと頭を撫でれば、震える体が落ち着いてきた。


「だからお前も、あの塔に戻ろうと思うな」


 レグルスは頷いた。ギュっと父の服を掴む。

 公爵は淡く微笑む。


「お前は良い子だ。どこにもやらない」

「…で・も……」


 掠れた声が言った。まるで助け出された直後のように、一つ一つの言葉を区切るように話す。

 レグルスが怯えないよう、表情は変えない。だが、内心では焦りが消えない。何をどこまで追いつめてしまったのか。

 息子の言葉を待つ。

 レグルスはポツリポツリと、あの時思った事を話しだした。

 まず、戻ってきた父の言葉に驚いたこと。そして自分が何か悪い事をしたから、無視されたと思った事。それから塔の中で見た悪夢……これも夢だと思った瞬間、声が出なくなったこと。


「こえ・で・なく・な・て、いき・も・く・る・しぃく・な・て、てを・の・ば・し・て……でも、きづ・い・て・も・らぁ・え・な・くぅ・て……」

「…すまなかった……」


 謝罪に、レグルスは首を左右に振る。ペタリと父に張り付く。

 酷く疲れた様子だ。顔色も悪い。

 無理もない。再び発することが難しくなった言葉を、無理に話させているのだ。

 公爵は頭を撫でる。

 この子の闇が根深い事は知っていた。どんなふうに顔を覗かせるかわからない事も、解っているつもりだった。けれど、日頃快活に振舞う様子から、つい軽視してしまうのだ。

 公爵はひたすら後悔するしかない。


「…今日は、仕事が少ない筈だったんだ」


 だから、レグルスの相手をしながら、出来る筈だった。予定が狂ったのは、ドラグディール王国から王太子の留学の申し込みがあったせいだ。しかも近々の。

 暫く忙しかった。一月ほど、レグルスの寝顔しか見れないほどに。だからつい、我を優先してしまった。部下の反対を押し切って。

 レグルスは顔を上げる。


「とお・さ・ま」

「ん…?」

「ぼく・を、き・らい・に・なった・の・では・ない・の・です・か?」

「なるわけないだろう。お前が少しくらい我儘を言っても、悪戯しても…嫌うわけがない」


 本音を言えば、もう少し我儘になって欲しいくらいだ。従兄弟相手に癇癪を起して以来、これといった問題行動は起こしてくれない。定期的に夜中に飛び起きるくらいだ。

 さらさらと流れる髪を、手で梳いてみる。

 レグルスが目を細めた。


「よかった……」


 一言呟くと、ふにゃりと顔が緩んだ。体にかかっていた余計な力が抜けたせいか、言葉も戻ってくる。

 公爵は微笑ましくその表情を眺めていたが、次の一言に全身を凍りつかせることになる。


「ぼくはまだ『ほんもの』ですね……」







誤字脱字の指摘、お願いします。


気力体力ともに駄々下がりではあります。

原動力は「暇」です。

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