-9親は笑い子は嘆く
時間は少し戻り、ウーの住む家の一室。
そこでは夕飯を終えたカリウとウーの両親が他愛もない会話をしていた。
今年の麦の収穫量がどうだとか、密集国外でこんなことがあったなど、喋ったり聞いたりしているとうちに、別の話題が持ち上がってきた。それはカリウからの質問であった。
「そういえばこの村では夜更けとともに家に帰る風習でもあるんですかね?夕方になるとみな一様に帰っていきますが」
「ああ、それはですね・・・」
ウーの父親が喋り始める。
「風習というよりも、規則といったほうがいいのでしょうね。この村では日没以降、外に明かりを出してはいけないっていう習いがありましてね。明かりをつける時は家のような外に光を出さないようなものの内側でしか使ってはいけないっていうルールなんです」
「なぜそのようなルールが出来たんですかね?昔何かあったとか・・・」
「なぜかはよく分かってないんですよね。私たちの民族がここに移住したのが百、二百年前なんですけど、その規則はそれ以前からあったみたいで、一応習いに従ってはいますけど、まあいつ破られても仕方ないような脆いものですよ」
ハハハ、と軽く笑ってみせるウーの父親。
「それよりもカリウさん。あなたの旅の話をもっと聞かせてくださいよ」
「いいですよ。そうですね・・・あれは雪が降り止まない国でした・・・」
カリウの旅話は30分間続き、その話を最後に全員寝ることになった。
目の前にある灯りを頼りにカリウは階段を降りていた。一体どこへ向かうのか、歩いている間、ウーは一切しゃべらなかった。もしかしたら何か危ない場所に連れて行かれているかもしれない。そう考えたカリウはいつでも対応できるように警戒心を強めていた。
階段を降りきると、次はすこしずつ下っていく坂道が続いていた。
数歩先の床しか見えぬ道をゆっくり進む二人。するとウーが口を開く。
「こんな暗いところに連れて行って、僕がなにか悪いことするんじゃないかって思ってる?」
「えぇっ!・・・いや、そんなことは無いけど・・・」
突然の質問にカリウは少し驚きを交えながら答える。その答えを聞いてウーはウーはクスリと笑った。
「カリウってウソつくの下手だね。今のがウソだってバレバレだったよ」
「まあ、それが俺の性格なんだから仕方ないだろうな」
「・・・僕もそんな性格だったなぁ・・・」
「?なにか言ったかウー?」
「なんにも。あ、着いたよ」
彼らの目の前には石レンガを積み上げる形でできている大きな壁があり、ウーの目の前にはなかに入るためのドアがあった。
ドアを開けるとそこには小さな空間があった。その空間は先ほど見た石レンガで囲われており、奥の方に更なる空間へとつながる門が鎮座しているのが見えた。その光景はカリウにもウーにも目視できていた。その空間内は光で満ちていたためである。
「なぜか知らないんだけど、上にぶら下がっているガラスみたいなやつがずっと光ってるんだよね。どうして何だろう?」
カリウはその『ガラスみたいなやつ』の正体を知っていた。その正体は電球である。光による永久機関がこの空間の近くで作られているのだろう。その電力をもらってこの電球は光り続けているのである。
「まあそんなことはどうでもいいんだけどさ」
カリウとともに部屋に入ったウーは、ドアを閉めながらそういった。
「それじゃあ、話をしよう」
二人の夜は続く。
本当はもうちょっと長く書こうと思ったんだけど時間が時間だったのでこの程度になってしまいました。テヘ
やっと解説回が書けそうです。先週は書くって言ったのになー。
後地味に一週間更新してなくてすいません。モチベの関係で書いてませんでした。気乗りしないと筆が進まない以前に筆を持たない自分ですどうも。
今週中にもう一本上げて帳尻を合わせたいところですが、無理するとまたやる気失いマンになりそうなのでまあそこまでキツキツにやらないでいく予定です。