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世界は嘘で満ちている。  作者: 月顔
8/11

-8暗き夜に聞こえる二人の声

――もし仮に、僕がカリウにあの話をしたとして、彼は何をするのだろうか。

太陽が落ち、月が静かに村を照らす頃。ウーは自分の部屋の外で両親と何か話しているカリウについて考えていた。

――見たところ、カリウは村に移住する目的できたわけじゃないらしい。ということはやはり、この村については何も知らない、と見ていいんだろう。まあ、あんな活気付いた人がこの村に堕ちぶれに来たとも思えないし。ということはいるとしてもあと2日か3日か。その間、あの大人たちが何もしないなんて思えない。この前のガルの件もあるだろうし、早めに動くかもしれない。今日か、もしくは明日か。その前に教えてあげないと。

ウーが頭のなかで何を教えるべきかとグルグル頭を回していると部屋の外で物音がした。どうやらカリウとウーの両親との話が終わってカリウがこちらへ来るみたいだ。ウーは少し緊張しながらカリウが現れるのを待った。

カリウがドアを開けてウーの部屋に入ってきた。ウーは『カリウに話したいことがある』と述べるために口を開けた。すると、

「ウーくんにちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

「カ・・・えっ?」

ウーはカリウから不意に吐き出されたその言葉を受け止め、なぜか負けた気分になりながらも返事をする。

「う、うん。いいけど、なに?」

「ガリディシュラムっていう男について、教えて欲しいんだ」

「え・・・、それってガルのことかな?」

――なんでガルのこと、この人知ってるんだろうか?もしかしてガルって有名人なのかな?

突然出てきた彼の名前に少しばかり自分の目的を見失いかけているウーを見つめながら、カリウは話を続けた。


「俺はある目的のためにガリディシュラム―君がいうにガルっていうんだっけか。そのガルってやつを探している。そいつの最後の足取りがここの村に来ていたということなんだ。そこで君には申し訳ないんだけれども、そのガルってやつがどこかへ行くような事を仄めかしていたりしないか?なんでもいいんだ、教えてくれ」

カリウはウーの目を真摯に見つめながらそういった。その言葉を受けて、ウーは顎に手を乗せ考えるような姿勢になった。返事はなかったが、協力的になってくれたように見えるその姿を見てカリウはホッと胸を撫で下ろした。

数分沈黙が続き、ウーの方から「そういえば」という声が上がる。

「そういえばいなくなるちょっと前、ここらの国を見て回るとか言ってたような・・・」

「それは本当かいウーくん!?」

「くんはいらない・・・。だけど、そう。ガルが言ってたんだよ。『ここら辺にははいったばっかりだから、回ってみようと思う』って」

ウーがそう言うとカリウは「そうなのか」と言いながら頷いていた。

「ありがとうウーく・・・ウー。おかげで今後の指針が決まったよ」

それじゃ、と言ってカリウは部屋の端に畳んでおいた布を広げる。どうやらこのまま寝てしまうようだ。ウーは自分の目的を思い出してカリウに語りかける。

「寝る前に、ちょっと僕の話聞いてくれるかい?カリウ」

「・・・わかった。ウーは俺の質問に答えてくれたからな。なんでも話してくれ」

カリウは床に敷いた布の上に座り込みながら聞く姿勢をとった。その姿勢を見てウーはカリウに大きく右手を広げてながら言う。

「いや、ここで話すのはちょっと危険だから、別の所で話そう」

「危険・・・?」

ウーはカリウの疑問には答えずに、行動に移る。

カリウが敷いた布をカリウが座っている方にまとめて、床にある木の板の一枚を外す。外した木の板の下には取っ手がついていて、ウーはその取っ手に手をかける。取っ手を上に持ち上げるとその下には地下へ続く階段があった。その階段は幅は小さく、ひとりずつしか入れそうにもない。

ウーはその階段を指さしながらカリウに話しかける。

「この下に暗いけどちゃんとした空間があるから、そこで話そう」

ウーは部屋の明かりであるランタンを手にとって先に階段に降りていった。カリウもその後を追っていった。部屋には空虚だけが広がっていた。

イープ村の夜は続く。

時間帯が夜に偏っているのは気のせいだろうか?なんてことは気にせずにこのまま書いちゃいます。もうちょっと書いてもいいんですけど、これ以上加えてたら更に遅くなりそうなのでとりあえずここまで。

次回は解説回になりそうです。ネタバレ回になる予感

次話投稿予定は来週です。いつかは確定させない。

それでは、また次回。

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