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世界は嘘で満ちている。  作者: 月顔
6/11

-6広場を沸かせる男達

テストだったり個人的事情によりまた3週間ぐらい更新してませんでした。申し訳ねぇ!だけどテストも終わったからまた1週間更新で出来るんじゃないのかと。それでも自分のやる気次第でペースは変わるのでそこら辺は寛容的な心でよろしくお願いいたします。

日が落ち、静寂だけが包み込む森の中にひっそり佇むイープ村。流浪者カリウは村の住人ウーに頼みこみ、寝る部屋を提供してもらった。と言っても、提供スペースはウーの寝室の床スペースだけなのだが。それでも、寝ている間に夜行性の獣に襲われる危険性が無いとカリウは喜んでいた。


次の日、カリウは村の住人たちに「数カ月前にこの村を訪れた『ガリディシュラム』という男について何かしらないか?」と聞き歩いていた。あまりいい返事はなく、カリウは少し肩を落としながら村を歩き続けていた。人気のなさそうな道に出ると、昨夜お世話になったウーが今の自分以上に気分を悪くしているように見え、無闇に接しないほうがいいと判断したカリウはスッとその場を去った。広場のほうで声がしたのでカリウはそちらへ向かった。途中、少年二人とすれ違った。まだ話を聞いてなかった子達だったので引きとめようとしたが、既にそこに姿はなかった。どうやらカリウが通った道と同じ道を使って行ったらしい。カリウは、仕方ない。あの子達の話はまた後で聞かせてもらおう。と思い広場の方へ向かった。


広場には村の半数は入るのではというほどに多くの人がそこにいた。どうやらこれから狩猟に出かけるらしい。村の男衆が弓を背負いながら手を振っている。その男たちを何気なく見つめていたら、男衆のリーダー的な男―ノーに目をつけられた。ノーは村人の群れをかき分けながらカリウに近づく。

「これはこれは、先日来られたカリウさんではありませんか。こんにちは」

「これはどうも、ノーさん。これから狩りに行かれるようですね」

「おお、よくお分かりで。やはり色々旅をしていると食料は自給自足だったりするんですかね?」

「そうですね、良質な野菜などは街で買ったりしますが、肉に関しては自分で捕りますね」

「ほう!それではその腕前も素晴らしいものなのでは?」

「いやまぁ、大したものではないんですけど・・・」

ノーにおだてられたカリウは年甲斐もなくニヤリと微笑んでしまう。

「そんなカリウさんに、頼みたいことがあるんですが、どうでしょうか?」

ノーは自慢の白い歯をキラリと輝かせながらカリウに頼み事をする。

「頼みたいことというのは他でもありません。一緒に狩りに出て欲しいのです」

「普段は6人で行動をしているんですが、先日の狩猟の際複数名怪我をしてしまってですね。人手不足で困っていたのですが、いやぁあなたがいてくれれば百人力ですよ」

「そう言ってくれるのはとても嬉しいんですが・・・、俺はもうちょっとしなくちゃいけないことが・・・」

そう言った途端、カリウは注目されていることに気付く。広場にいた男衆が、それを取り囲んでいた女性たちが、男衆を憧れのものを見るようにに目を光らせていた若者たちが、カリウをギロリと見つめていたのだ。先程まで笑っていたノーも、どこか虚ろ気な眼差しでカリウを見つめる。その視線の威圧に思わずたじろぐカリウ。普段体感することのない『数の暴力』に言葉を失うカリウにノーが白い歯をニカリと見せ、

「さあ、行きましょうか」と言いながらカリウの腕を掴んで歩き始める。

カリウは掴まれた手を払いながら答える。

「別に無理やり引かなくても、一人で歩けるさ」

結局カリウは狩りに同行することにした。村から出るときに皆から「頑張れ!」「楽しみにしてるよ!」「あんたみたいな人が来てくれて嬉しいよ!」「いっぱい獲ってきてくれたら、美味しい料理作ってあげるよ!」「あなた達は村の誇りよー!」などと賛美の声が上がった。

その声もまとめて、カリウは『恐ろしい』と感じた。


――このぐらいの規模の村なんかはこの密集国外で見てきた。そういう村は決まって俺のような流浪者を良しとはしなかった。そうでなくとも、人と人が寄り添って生きている以上、何かしらの喧嘩だったりトラブルなんかを抱えているものだ。なのにこの村はなんだ?俺への待遇といい、この村の平穏といい、何かおかしい。この村を見ていた限りでは、誰かが誰かを虐げたり、村の人家族を不遇に扱うことで満足感を得るような光景は見られなかった。それはとても素晴らしいことではあるのだが、しかしなんだ?この違和感は。明らかに『平和すぎる』。まるで何事もうまくいっているかのような、トラブルなんてないかのような、どこかの教科書に出てきそうな理想の村のようだ。そして先程の『数の暴力』・・・。やはりこの村には、森の外からでは分からない深い事情があるようだな・・・。残りは子供たちばかりだし、さっさと話を聞いてこの村から抜けだそう。そういえば、まだあの少年―ウーといったか。あの子から話を聞いてなかったな。帰ったら聞いてみるとしよう。

この話に「密集国」という単語が出てきたんですけど、それはこの世界独特の言葉です。同じ言葉があったとしても自分のは違う意味で使われています。

彼らの世界では世界は色々あって人口の疎密が激しく、密集国っていうのは疎密の密である『国』がさらに集まっている状態って言うことです。その村が過疎化していてもその地域が密集国だからイープ村も一応『密集国内』ということになるんですね。まあそこら辺は『日本の中にある人口100人未満の村』みたいな感覚で理解してもらえれば幸いです。

で、この密集国って言葉はあまり重要な言葉じゃないんであまり意識して覚えなくていいです。そういう単語もあるんだねー程度に。


次回更新はいつになるかな?安易に来週とはいえないのですが、まあそこあたりを目標にします。頑張るます。

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