-2イープ村を知る村人
基本的に単位だったり何かしらの道具は今現在使われているものと変わらないと考えてください。別世界固有のものが出てきたらその都度節米するつもりでやっていきますので。
ガルという男が忽然と消えてから約3ヶ月経ったある日のこと。
アスト森林地帯の入り口手前に作られた村にいた一人の流浪者が村人に質問をする。
「この森の中にイープ村という小さな村があると聞いたんだが、何処にあるか教えてくれないか?」
流浪者のこの台詞を聞いた村人は顔を青くしながら身振り手振りを駆使しながら説明を始める。
「あんた何言ってるかわかってんのかい!?イープ村ってのは変なルールで自身の首を縛りながらばかみたいに笑っているようなおかしい場所なんだ。この村はたまに現れるイープ村に行きたがる奴を止めるためにできた村って言っても過言じゃないんだぜ。つまり村一つ作ってでも牽制しておかないと何時何をしでかすかわからないっていう村なんだ。悪いことは言わない、行くのはやめて、自分の家に戻るんだ。もし家がないんだったら、ここで住むのもいいし・・・」
「それでも。」
村人の説明を無理やり止め、流浪者は話す。
「そのイープ村に行かなくちゃいけないんだ」
「うぅ・・・・・・」
流浪者の目は村人の目へと向けられていて、その眼力に村人は思わずたじろぐ。流浪者は村人の双肩を掴み、ぐいっと顔を近づける。
「俺にはイープ村に行く理由がある」
「そ・・・その理由ってのはなんだよ」
「・・・ある人間を探しているんだ。俺にとってとても、重要な奴なんだ・・・」
流浪者は下を向き、肩を掴む力が強くなる。その力に村人は耐えられなくなる。
「痛い痛い!わかったからその腕を離してくれ!」
流浪者が肩から手を離すと村人は数歩下がり肩をさする。
「まったく・・・お前さんにとってその人ってのはかなり大事な人みたいだな。もしかして生き別れた彼女だったりするのかい?詮索するつもりはないんだけども、そんなに真剣に何かを頼まれたのも久しぶりだからな」
「大事な人・・・、ってわけじゃありません」
流浪者はだらんと垂らしていた腕を戻し、姿勢正しく答える。
「へぇ、そんな調子で聞くからてっきり大事な人でもいるんじゃないかって思ったよ。それともただの激情型なだけなのかな」
「深く詮索するつもりはないのでは?」
「ああ、すまない。つい気になってしまってな」
「まあ簡単に言いますと、仇敵を探しているんです。顔も姿もわからない奴を探しているんです」
「なるほど・・・なんか、聞いてすまなかったな」
村人が流浪者に向けて深々と礼をする。
「いえ、別に気にしないでください。俺が言いたかっただけですから」
流浪者は村人にイープ村の行き方を図示してもらうために紙とペンを渡す。手渡された紙にスラスラと簡略化された地図を書き上げていく。
「ここが今いる村で、この中心にあるのがイープ村だ。大体ここから5kmってくらいかね。今から行ったら、着くのが夜か・・・。今日は一旦この村で休んで、明日の早朝に出るといい。夜半に森の中を歩くのは危険だからな」
「わかりました」
「それじゃあ、今日は私の家で休むといい。部屋が一個余ってるんだ」
「ありがとうございます。それじゃあ馬をそちらの家に移動させないと・・・」
流浪者が馬に向かおうとした時、村人が流浪者を止める。
「そういやお前さん、なんていう名前なんだ?」
流浪者はそういえば言ってなかったかという表情を浮かべながら答える。
「カリウ、と言います。今日はお世話になります」
流浪者―カリウ―は村人にお辞儀をした。
「ああ、私の名前はキダという。まあ今日はゆっくり休みな」
それじゃあ私は部屋の掃除をしておくよと言い残してキダはその場を去っていった。
カリウは馬を引き連れながら先ほど行ったぶつぶつとひとりごとを繰り返していた。
「そう、あいつは俺の国の仇。絶対にお前に罪を償わせてやる・・・ガリディシュラムめ・・・!」
今回は早めに投稿しようとしたので次の日投稿になりましたが、次回からはそうは行かないと思います。大体一週間位かけると思います。このぐらい短い量だったらもうちょっと早くなるかもしれませんが、まあそこは自分が気分屋なのでなんとも言えません。