少女の夢
開いた扉の向こう
私の髪をなでるそよ風
木漏れ日を背に受けて
少年が私に呼びかける
少年の頰は赤く染まり
まっすぐな言葉を紡ぎ出す
私の頰も赤く染まり
まっすぐな言葉を受け止める
忘れかけた 少女の夢
心の奥で色褪せる
今になってどうして
どうして扉を叩くの
もうあきらめて帰ってよ
鍵をかけて閉じこもる
思い出ひとつももういらない
カーテンを閉めきって
関わる全てから目を背ける
握った拳は白く染まり
何も叩いていないのに
鈍い痛みが拳を濡らす
何も聞かない聞きたくない
憶えていない 少女の夢
心が全部 凍りつく
ノックをされて 耳塞ぐ
ひとりにしてと意地を張り
ひび割れた殻に手を添える
いつしか耳を澄ませてる
少年の頰は赤く染まり
まっすぐな言葉を紡ぎ出す
目を閉じればあの日の輝き
まぶしすぎる優しい笑顔
さし込んでくる 少年の夢
心の奥が ざわめくの
待っているのにどうして
どうして静かになっちゃうの
もう一度 扉叩いてよ
開いた扉の向こう
私の髪をなでる掌
思い出した 少女の夢
あなたの色でよみがえる