サブスク地獄——空気も記憶も感情も月額課金の時代に破産したので、全部解約してみた
一 世界のすべてに月額がかかる
西暦4200年。
人類は偉大だ。
恒星間航行を実現し、太陽系の外に植民し、銀河の片隅に小さな文明圏を築いた。
ナノマシンのおかげで寿命は150年まで延びたが、それもサブスク次第だ。疾病は根絶され、労働はAIが代行し、全人類が「何もしなくていい」時代が来た。
——で、何もしなくていい人類が何をしたかというと、あらゆるものにサブスクリプションをつけた。
空気。
月額500クレジット。
呼吸用の大気組成は惑星管理AIが制御している。タダではない。サーバーの維持費がかかる。だから月額。解約すると、居住区の大気供給が個人単位で停止される。窒息するわけではない。共用の大気はある。ただし、共用大気は「広告付き」だ。呼吸するたびに鼻腔の奥で広告が再生される。
——吸うたびに「新発売! プレミアム酸素パック、今なら初月無料!」と聞こえる生活を想像してほしい。全人類が課金した。
重力。
月額300クレジット。
植民惑星の重力は人工制御だ。地球標準の1Gを維持するには、個人端末との同期が必要。解約すると、自分の周囲だけ0.8Gになる。歩けなくはないが、コーヒーの波立ちが異様に大きくなる。スープが変に跳ねてこぼれる。靴紐が勝手にほどける。地味にストレスが溜まる設計になっている。
——「解約してもいいですけど、生活の質は保証しません」。これがサブスクの基本戦略だ。
記憶。
月額1,000クレジット。
人類の記憶は、脳内のナノマシンで管理されている。ナノマシンの維持にはクラウドサーバーとの同期が必要で、同期にはサブスクリプションが必要。解約すると、ナノマシンが管理していた記憶——個人の体験や思い出——が段階的に揮発する。最初に消えるのは直近の記憶。やがて、古い記憶も薄れていく。名前も、顔も、声も——全部、溶けるように消えていく。ただし、言語や社会常識といった基礎知識は生体脳に定着しており、サブスクの管理外だ。
感情。
月額800クレジット。
これが一番えげつない。感情の振幅をナノマシンが制御しており、サブスクの等級によって「感じられる感情の幅」が変わる。月額800クレジットのプレミアムプランなら喜怒哀楽すべてフル稼働。月額400クレジットのスタンダードなら、感情の起伏が制限され、深い絶望も大きな歓喜もカットされる。何を見ても「まあまあ」という感想が精一杯。ベーシックになると、感情の振幅がほぼゼロになる。解約すると——何も感じなくなる。
他にも、味覚、嗅覚、色覚、夢、直感、やる気、恋愛感情、ノスタルジー——ありとあらゆる人間の機能がサブスクリプション化されている。
人類は偉大だ。宇宙を征服し、疾病を克服し、あらゆる不便を解消した。
——その代わりに、存在のすべてに月額がかかるようになった。
二 破産
レン・マクファーレンは、実質的に破産した。
32歳。惑星ノヴァ・テラの第七居住区在住。職業はなし——というか、この時代に職業という概念はほぼ消滅している。AIが全部やる。人間に残された仕事は「消費すること」と、「人間相手の窓口業務」くらいだ。
レンの破産は珍しいことではない。全人類の12%が「サブスク破産」に陥っている。人並みの生活に必要なサブスクだけで月額5,000クレジット。ユニバーサル・ベーシック・インカムは月額4,800クレジット。
——200クレジット足りない。
この「ちょっとだけ足りない」が絶妙に設計されている。足りない分を補うために、人々は広告を視聴したり、データを提供したり、他人のサブスクの紹介コードを送ったりする。人類の経済活動は、この「200クレジットの隙間」で回っている。
レンが破産した原因は、ギャンブルでも浪費でもない。
母親の介護だ。
母のヨハナ・マクファーレンは、3年前に認知症を発症した。この時代の認知症は、ナノマシンの劣化によるクラウド同期障害だ。記憶のサブスクをプレミアムプランに上げれば治療できる。月額3,000クレジット。母のUBIは在宅介護AIの基本料金で消えており、治療費は全額レンの負担だった。
レンは自分のサブスクを削って、母の記憶をプレミアムに上げた。
自分の感情をスタンダードに下げた。
味覚を解約した。
夢を解約した。
直感を解約した。
それでも足りなかった。
母の認知症は進行し、プレミアムでも追いつかなくなった。追加で「認知バックアップ」のオプションが必要になった。月額1,500クレジット。
レンは嗅覚を解約した。色覚をベーシックに下げた。
世界がセピア色になった。
食事は味がしない。花の匂いもしない。空は灰色で、夕焼けの赤が見えない。
それでも、母が自分の名前を呼んでくれるなら——と思っていた。
3ヵ月前。
母のナノマシンが完全に劣化し、いかなるプランでも記憶の維持が不可能になった。
母は重度認知症用の特別棟に移された。レンの名前を、もう呼ばない。
残ったのは、3年分の借金と、削り尽くしたサブスクの残骸だった。
三 解約
レンは、部屋の端末の前に座った。部屋といっても、もう私室ではない。住居のサブスクはとっくに解約した。今いるのは共用シェルターの一角だ。食事も無料の栄養ペーストで凌いでいる——味覚を解約しているので、どうせ何を食べても同じだ。
画面には、契約中のサブスクリプション一覧が表示されている。
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レン・マクファーレン 契約一覧
空気(広告付き無料プラン) …… 0 cr/月
重力(0.8G) …… 0 cr/月(ベーシック無料)
記憶 …… 1,000 cr/月
感情 …… 400 cr/月
味覚 …… 解約済み
嗅覚 …… 解約済み
色覚 …… 0 cr/月
夢 …… 解約済み
直感 …… 解約済み
名前 …… 1 cr/月(※別口座より引き落とし)
月額合計:1,400 cr
残高:1,403 cr
※来月の引き落とし後の残高:3 cr
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残高1,403クレジット。来月のサブスク合計は1,400クレジット。引き落とし後の残高は3クレジット。名前の1クレジットだけ「別口座」と表示されているが、意味は分からない。
再来月は——ゼロだ。
UBIの振り込みは2ヵ月前に止まっていた。借金の返済に全額充当されている。
画面を見つめているうちに、日付が変わった。残高が1,403から3に変わった。
3クレジット。それが全財産だ。
感情はスタンダードプランなので、絶望をフルで感じることができない。「まあまあ辛い」くらいだ。これがスタンダードプランの罠だ。絶望しきれないから、泣けない。泣けないから、壊れない。壊れないから、延々と「まあまあ辛い」が続く。
(感情を解約すれば、「まあまあ辛い」もなくなる。楽になる)
指が動いた。
『感情—— 解約しますか? Y/N』
Yを押した。
——何かが消えた。胸の奥にあった「まあまあ辛い」が消えた。同時に、「まあまあ嬉しい」も消えた。何も感じない。
悪くない。
——なお、解約すれば即座にサービスは停止される。引き落とし直後だろうと、日割りでの返金などない。それがサブスクの基本ルールだ。
(記憶も、要らないか)
3年間の母の介護の記録。味覚を失った日。嗅覚を失った日。色彩が薄れた日。夢を失った日。——思い出すたびに「まあまあ辛い」が復活しそうだが、もう感情がないので、「まあまあ辛い」も生成されない。
淡々と解約ボタンを押していく。
記憶。解約。
母の顔がかすんだ。「ヨハナ」という文字列は残っているのに、その音が意味を失っていく。数分後には、自分がなぜここに座っているのかも分からなくなり始めていた。——その間に、端末が自動で「記憶喪失時安定化プログラム」を起動していた。
色覚。解約。——1クレジットの節約にもならない。でも、もう世界を見る必要がなかった。
世界が暗くなった。——いや、暗いのではない。色そのものが消えた。セピアですらない。明暗すら曖昧な、輪郭だけの世界。
画面を見た。
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レン・マクファーレン 契約一覧
空気(広告付き無料プラン) …… 0 cr/月
重力(0.8G) …… 0 cr/月
名前 …… 1 cr/月(※別口座より引き落とし)
月額合計:0 cr
残高:3 cr
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全て解約した。残ったのは、無料の空気と重力と——月額1クレジットの「名前」。
名前。
なぜ名前にサブスクがあるのかは知らない。「存在の基本識別子の維持費」と説明されている。解約すると、あらゆるシステムから識別子が消え、社会的に「存在しない人間」になる。月額1クレジット。最低額。おそらく、全サブスクの中で最も安い。
そして、最も意味がない。
感情がない。記憶がない。味覚も嗅覚も色覚もない。名前だけがある。
——名前がなくても、呼吸はできる。
解約ボタンに指を伸ばした。
四 月額1クレジット
『名前—— 解約しますか? Y/N』
Yを押した。
画面が変わった。
赤い警告が表示される。——色覚を解約したはずなのに、この警告だけは見える。システムレベルの表示だからだ。
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【解約不可】
※生体認証:レン・マクファーレン(対象者)
※権限:解約権なし
このサブスクリプションは、別の契約者によって支払われています。
解約には契約者の同意が必要です。
契約者:ヨハナ・マクファーレン
契約開始日:4168年7月15日
支払い方法:自動引き落とし(ヨハナ・マクファーレン名義・名前維持専用信託口座)
備考:「息子の名前を、絶対に消さないでください」
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レンは画面を見た。
見たが、理解できなかった。感情を解約しているので、「驚き」という反応が生成されない。記憶を解約しているので、「ヨハナ・マクファーレン」が誰かも分からない。
——だが、分からないのに、指が止まった。
感情はない。記憶もない。なのに、「解約する」という行動が実行できない。
画面の下部に、追加の注記が表示される。
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【契約詳細】
契約者ヨハナ・マクファーレンは、4168年7月15日に本契約を開始しました。
対象者の出生届提出と同時刻です。
備考欄の全文:
「この子の名前は、レン。
蓮という意味です。
泥の中からでも、花を咲かせる。
この子がどこに行っても、何を失っても、名前だけは残るように。
月額1クレジット。この金額なら、私がいなくなっても、きっと誰かが払い続けてくれる。
お願いします。この子の名前を、絶対に消さないでください」
ヨハナ・マクファーレンの現在の口座残高:247クレジット
名前サブスクリプションの支払い可能期間:あと247ヵ月(約20年)
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247クレジット。
施設に入って、認知症が進行して、息子の名前すら思い出せなくなった母親の口座に、247クレジットが残っている。
月額1クレジット。あと20年分。
レンの記憶はない。感情もない。「ヨハナ」が誰かも分からない。
——だが。
画面を見ている。
「この子の名前は、レン。蓮という意味です」
その文字列を、何度も読んだ。記憶がないので、読むたびに初めて読むことになる。読んで、忘れて、また読む。読んで、忘れて、また読む。
感情がないはずなのに——視界が、滲んだ。
(……泣いている?)
感情のサブスクは解約した。涙腺の制御は感情プランに含まれている。解約済みなら、涙は出ないはずだ。
——出ている。
ナノマシンを介さない、生体機能としての涙。旧世代の人類が持っていた、原始的な感情反応。サブスクリプションでは管理できない、身体そのものの反応。
4200年のテクノロジーが管理できなかったもの。
記憶がなくても。感情の契約がなくても。名前の由来を忘れていても。
——身体が、覚えていた。
五 再契約
翌日。
レンは施設を訪ねた。端末の契約記録に残っていた住所を頼りに、来た。
母のヨハナは窓際に座っていた。白い髪。穏やかな顔。目はどこか遠くを見ている。
レンの顔を見ても、反応はない。
「こんにちは」
「……こんにちは」
「あなたの息子です」
「……息子?」
ヨハナは首をかしげた。息子がいたかどうか、覚えていない。
レンも覚えていない。記憶を解約したので、この女性が母親だという実感がない。端末の契約記録だけが、この女性が自分の母で、自分の名前に月額1クレジットを32年間払い続けていたことを示している。
知識はある。実感がない。
——でも、今朝目覚めたとき、頬に涙の乾いた跡があった。
「あの——すみません。一つだけ聞いていいですか」
「はい」
「『レン』って名前に、覚えはありますか」
ヨハナは少し考えた。考えて、首を振ろうとした。
——その手が、動いた。
膝の上に置いていた手が、無意識に、何かを探すように動いた。誰かの頭を撫でるような動き。小さな頭を。柔らかい髪を。
ヨハナの唇が、かすかに動いた。
「……レン」
名前だけ。意味は分かっていないかもしれない。記憶のナノマシンは機能していない。クラウドとの同期も切れている。
——ナノマシンが忘れても、身体は忘れなかった。
32年前に抱いた赤ん坊の重さを。命名端末に「レン」と入力した指の感触を。泥の中からでも花を咲かせろと願った気持ちを。
ナノマシンが記録する以前の、身体の記憶。
レンは母の前にしゃがんだ。何をすればいいか分からない。感情がないから泣けない。記憶がないから思い出を語れない。
——だから、ただ、そこにいた。
母の手が、ゆっくりと伸びてきた。レンの頭に触れた。
撫でた。
32年間変わらない手つきで。
* * *
施設を出た後、レンは端末を開いた。
残高3クレジット。全てを解約した後の、全財産。
生体機能のエラー——涙の原因を解析するには、感情プランが必要だと端末が判定した。だが、スタンダードプランの月額は400クレジット。残高が足りない。
感情も記憶もないレンは、それでも毎日、端末の契約記録に残った住所の施設を訪ねた。端末のリマインダーが毎朝「施設訪問予定」と通知してくるので、それに従った。理由は分からない。でも、行かないといけない気がした。
——翌月、端末に通知が届いた。UBIの全額差し押さえが解除された、と。端末のログによれば、サブスク全解約による簡易破産手続きが自動適用され、残債の大半が免責されていた。ただし、免責されなかった分の毎月の返済は続く。記憶がないので実感は湧かないが、重荷が一つ消えたことだけは分かった。
UBIが入金された。残債の天引き後、手元に残ったのは2,400クレジット。レンは感情を再契約した。スタンダードプラン。月額400クレジット。再契約手数料でさらに200クレジット持っていかれた。プレミアムには到底手が届かない。
世界はまだ輪郭だけだ。味もない。匂いもない。記憶もない。
——だが、今度は明確な感情を伴った涙が出た。
泣いた。
以前流した涙——いつの涙だろう。記憶がないので分からないが、端末のログに「涙腺反応:感情プラン外」と記録が残っていた。それはナノマシンを介さない、身体だけの反応だったらしい。今度は違う。心が泣いている。何に対して泣いているのか記憶がないので分からない。でも、感情プランが復旧した瞬間に、堰を切ったように溢れた。
スタンダードプランの涙だ。フル稼働の号泣ではない。
でも、それで十分だった。
涙が止まった後、別の感情が来た。申し訳なさ。記憶がないので、誰に対して申し訳ないのか分からない。でも、胸の奥に「待たせてごめん」という言葉が湧いている。
記憶がないのに、この涙には理由がある気がした。理由を思い出すために——記憶も、いつか再契約しよう、と思った。
六 名前
3ヵ月後。
レンは働いていた。
仕事を探した理由は単純だ。毎朝、端末が教えてくれる。「お前の名前の月額を払っている人がいる。その人の口座の残高が尽きる前に、自分で稼げ」。記憶がないので、毎朝初めて読むことになる。読むと、なぜか涙が出る。理由は分からない。でも、それに従っている。
記憶のない朝は、最初のうちは怖かったらしい。端末のログに「記憶喪失時安定化プログラム」という無料アプリが起動した履歴がある。目覚めるたびにパニックを起こさないよう、端末が最初に表示するメッセージはこうだ。「おはよう。あなたの名前はレン。記憶は解約済みですが、心配いりません。今日の予定を表示します」。施設への支払いは自動引き落としに設定してあり、視界のARには「この女性の生活費を払うこと。理由は、会いに行けば分かる」という過去の自分からのメモが固定表示されている。
この時代にほぼ消滅した「人間がやる仕事」を見つけた。サブスクリプション管理局の窓口業務。AIでも処理できるが、「人間に相談したい」という利用者が一定数いる。特に高齢者。特に——身体の記憶だけで生きている人たち。
記憶のサブスクがなくても、仕事はできた。業務マニュアルは網膜にAR表示され、ナノマシンに頼らない短期的な生体記憶だけで、その日の仕事はこなせる。翌日には忘れているが、またマニュアルが表示される。それの繰り返しだ。
「すみません、私の契約内容が分からなくて……」
「お名前を教えていただけますか」
「名前……名前は……」
「端末を見せていただけますか。——ああ、リン・チェンさんですね。お名前のサブスクリプションは、ちゃんと契約されていますよ」
「本当? よかった……名前だけは、なくしたくなくて」
レンは窓口で、毎日、同じ会話をしている。
名前のサブスクリプション。月額1クレジット。全サブスクの中で最も安く、最も解約率が低い。
なぜなら——ほぼ全員の「名前」が、本人以外の誰かに契約されている。
親が。配偶者が。子供が。友人が。
月額1クレジット。その人が存在していてほしいと願う誰かが、黙って払い続けている。
* * *
ある日の終業後。
レンは端末を開いた。
——————————————————
レン・マクファーレン 契約一覧
空気(広告付き無料プラン) …… 0 cr/月
重力(0.8G) …… 0 cr/月
感情 …… 400 cr/月
名前 …… 1 cr/月 ※契約者:ヨハナ・マクファーレン
月額合計:400 cr(名前の1 crは別契約者負担)
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感情はスタンダードに戻した。味覚も嗅覚も記憶も、まだ契約していない。色覚のベーシックは無料だが、再契約には手数料がかかる。今はそれすら惜しい。母の認知症が進行し、介護度の高い特別棟に移されたため、母のUBIだけでは料金が足りなくなった。不足分の1,200クレジットをレンが毎月補填している。そこに感情プランの月額を加えると、残債が天引きされた後のUBIと給料を合わせても、手元にはほとんど残らない。
世界はまだ輪郭だけだ。食事は味がしない。花の匂いもしない。空も、のっぺりとしたただの背景だ。
——でも、名前がある。
月額1クレジット。母が32年前から払い続けている。
レンは端末を閉じた。
帰り道、施設に寄った。
ヨハナは窓際に座っていた。いつもと同じ場所。遠くを見ている目。
「こんにちは」
「……こんにちは」
「レンです」
「……レン?」
首をかしげる。覚えていない。
——でも、手が動いた。また、小さな頭を探すように。
レンはしゃがんだ。母の手が、頭に触れた。
撫でた。
それだけで、よかった。
人類は偉大だ。宇宙を征服し、あらゆるものにサブスクをつけた。
——でも、この手だけは、月額じゃない。
(完)
お読みいただきありがとうございます!
「あらゆるものに月額がかかる」——書いていて、半分はコメディのつもりだったのですが、途中から笑えなくなりました。呼吸に課金、感情に課金、記憶に課金。SFのはずなのに、今の私たちの生活と、そんなに距離がない気がしてしまって。
でも、月額1クレジットの「名前」だけは——どんな時代になっても、誰かがそっと払い続ける。名前は、本人のためだけにあるんじゃない。「あなたがいてほしい」と思う誰かのためにある。
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——月額0クレジットの応援を、お待ちしております。
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