隠し坊
初めまして、天川裕司です。
ここではシリーズでやってます『夢時代』と『思記』の原稿を投稿して居ります。
また、YouTubeドラマ用に仕上げたシナリオ等も別枠で投稿して行きます。
どうぞよろしくお願い致します。
少しでも楽しんで頂き、読んだ方の心の糧になれば幸いです。
サクッと読める幻想小説です(^^♪
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無課金でやっておりますので、これで精一杯…と言うところもあり、
お見苦しい点はすみません。 なので音声も無しです(BGMのみ)。
基本的に【ライトノベル感覚のイメージストーリー】です。
創造力・空想力・独創力を思いっきり働かせて見て頂けると嬉しいです(^^♪
出来れば心の声で聴いて頂けると幸いです♬
でもこの条件から出来るだけ面白く工夫してみようと思ってますので、
どうぞよろしくお願いします(^^♪
タイトル:隠し坊
京の都を歩いて居た時。
古寺の奥から何やら、子供の遊ぶ声が。
そちらに足を向け、少し行くと、
黄色くなった銀杏のそばで
青い衣を着た五、六歳の坊が遊んでる。
「…ほう。此処にもあんな坊が」
私は涼やかなる雄風を受け、
右手にある小さな池のほとりを眺め、
『ここにも歴史があるのか』など
別の事もちゃんと思い、歩いて行った。
坊「やぁ、おいちゃん」
坊の声は幼く若く、
夢を見るのに丁度良い。
涼しい空は地面に変わり、
地面の中から孤独が生まれる。
「ここで何しとるんぞね?」
私は訊いた。
坊「別に、何も」
「何もって、そこに蹴鞠の様な物があるじゃないか」
坊「これは蹴鞠の様で蹴鞠じゃなくて、草の様で、土じゃないんだ」
「ん?」
何やら妄想に耽った様な子で、
辺りの景色にその子が冴えた。
坊「じゃあね」
「また来るでな」
この寺の事を私は知って居る。
時は永禄から流れる歴史の主で、
それぞれの人を見、歴史を見、
山や川が動かずとも
この寺の空気は流れ続けた。
殺風景な朱が
子供の遊び場を採り、
何時もの様に孤独を秘める。
それから数日間、
その寺に私は通った。
その数日間は子供がずっと遊んで居たが、
数日が過ぎると
子供の姿もピタリと消えた。
「ん?」
少しの疑問を胸に秘め、
翌日に行って見ると今度は
三十路手前の美しい女がそこで戯れて居る。
しかし、ひと気の無い古寺。
女がこんな所で何を?
…そう思うと疑問が飛んだ。
女「フフ、此処で子供の帰りを待って居ますのよ」
「え?」
喋りは地方の訛りに在って、
蓮っ葉な言葉の冴えから
どうやらこの女、
生まれは東北にあるらしい。
「昨日、ここで見たんだが?」
私が何度そう告げても女は、
「此処で、帰りを待って居ります」
と姿勢を変えず、ただ微笑む様に
孤独の底無しを突き付けて来る。
やはり不思議に思って通う内、
私はその女と親しくなって、
ある日の昼下がり。
境内に設けられた小さな庵に
入って行った。
女の手引きでそこに入り
しばらく茶などを啜って居ると
部屋内を冷静に見る視も冴えてきて、
1本の掛け軸があるのに気づく。
しかしその掛け軸、不思議な事に
丸めた儘で掛けられていた。
「これは」
と聞いたところ女は、
「見ますか?」と一言。
そこまで来れば見たくもなって、
空気の後押しも私を動かし、
また女の手引きで腰を上げ、
掛け軸の前にちょこんと座る。
軸を結っていた黒色の紐を女が解き、
ぱらっと捲れた紙面を見ると…
なんとも驚いたもの。
「この子は…」
銀杏の横、池のほとりと
一緒に見えた
あの子に素似。
「この子は私の子。何時か帰って来るのを待って居ります」
しばらく黙った私の前で
女はゆらりと顔を上げ、
私を見下ろしこう呟いた。
「この子、お前さんの事が気に入った様です。この子と一緒に遊んでおくれ」
私はまるで地に返った温もりの中、
この子と一緒に遊んでる。
何年かが過ぎ、寺の庵も空気も朱も、
皆、歴史の渦に呑まれた後で、
多くの人が此処を訪れて居た。
案内人「えーここはその昔、『隠し坊のお寺』と言いまして、いわゆる怪談や都市伝説、オカルト的なエピソードが残された地として有名なんです」
そんな事を無責任に語る輩があった。
「誰か、ここから早く出してくれ」
「…それとも誰か、こちらに来るか…」
坊「フフ、おじちゃん、また遊ぼう…」
この会話を聴く者が、此処に居たろうか。
しかしあの女の姿は終ぞ消えて居た。
(※)これまでにアップしてきた作品の内から私的コレクションを再アップ!
お時間があるとき、気が向いたときにご覧ください^^
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=scbqxgfBzb8
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サクッと読める幻想小説です(^^♪
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