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転生したら悪役令嬢みたいなんだけど、最強護衛メイドたちが勝手に誤解して、どんどんヤバいことになった件(´;ω;`)ウゥゥ  作者: ざつ
本編

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第9話 王子の独占欲と社交界の混乱 -3

 舞踏会の熱気が冷めやらぬまま、翌日からの王宮内では、アメリアに関する噂話が、より具体的なものとして広がっていった。


 衛兵詰め所では、夜勤明けの衛兵たちが小声で昨夜の出来事を話し合っていた。

 衛兵Aが衛兵Bに肩を叩いて囁く。


「おい、聞いたか?昨日の舞踏会での話だ。

 殿下が、オルテンシア公爵令嬢を終始独占していたらしいぞ」


 衛兵Bは驚きに目を見開いた。


「まさか、あの殿下が、そこまで?普段はあんなに冷静な方が……」


「ああ。まるで、他の男が近づくことすら許さない、とでも言いたげに。アメリア様は、やはりよほどの御方なのだな」


 衛兵Bはごくりと唾を飲み込んだ。


「王子の心をそこまで惹きつけるとは……恐ろしいまでの魅力だ……」


 廊下を歩く貴族夫人が、親しい友人の夫人の腕をそっと掴み、顔を寄せ合う。彼女たちの声はひそやかだが、興奮に満ちていた。


 貴族夫人Xは囁くように言った。


「奥様、ご存知かしら?あのオルテンシア公爵令嬢が、領地の村人たちを私兵として鍛え上げているという噂が……」


 貴族夫人Yは大きく頷いた。


「ええ、存じておりますわ。恐ろしいお方ですけれど、この腐敗した国にはああいう強引な方も必要かもしれませんわね。

 まさか、あの才覚を殿下が婚約者として独占なさるとは……。

 殿下も、いよいよ本気になられたと見てよろしいでしょう」


 彼女たちの視線は、まるで何か恐ろしいものを見るかのように、しかし同時に好奇と畏怖を込めて、オルテンシア公爵邸の方角に向けられる。




 宮廷の奥、書物と古文書が山と積まれた一室では、宮廷の学者たちが、白熱した議論を交わしていた。テーブルには広げられた古地図と、書き殴られたメモが散乱している。壁にかけられた古い世界地図には、何本もの線が引かれている。


 学者Aは、分厚い書物を叩きながら熱弁を振るう。


「オルテンシア公爵令嬢の行動は、一見すると悪辣に見える!貧民の救済、村の再建……

 しかし、その裏には、民衆の力を掌握し、王権を強化する深遠な意図が隠されているのではないか!?

 これは、歴史に名高い『統治の謀略』に他ならぬ!」


 学者Bが、眼鏡の位置を直し、冷静な口調で言葉を継いだ。


「うむ。先日のアーサー師団長の証言も鑑みるに、彼女はあえて悪役を演じ、国の膿を出す役目を担っているのかもしれぬ……。

 その冷徹な決断力と、完璧な実行力。

 これはまさに、古の賢者が用いたとされる『闇の聖女』の計略……!」


 学者Aはさらに熱がこもる。


「民衆を扇動し、騎士を心酔させ、さらには王子までをも手中に収める……。

 彼女の狙いは、この国の全てを掌握することにあるとしか考えられん!」


 学者Bは腕を組み、深く頷いた。


「そして、その策の巧妙さよ。彼女の行動の全てが、表向きは善行として行われている。

 だが、その結果は常に、彼女自身の権力と影響力を拡大させているのだからな。まさに、表裏一体の策略……」


 彼らの興奮した声は、静かな書斎に響き渡り、アメリアの「悪役」としての評価が、知的階層にまで深く浸透していることを示していた。




 王宮中に、アメリアの「悪役」としての評判が、まるで伝説のように語り継がれていく。人々は彼女を畏怖し、その行動の裏に何か恐ろしい、しかし巧妙な意図があるに違いないと確信し始めていた。




 アメリアは自室で、メアリーから届いた報告書を読んでいた。


 報告書には、王子の舞踏会での独占行動、アーサーの「正義の弁護」、そして自身に関する王宮内の噂が事細かに書かれていた。


(何これ!?「殿下を操る悪役令嬢」とか「国の膿を出す影の支配者」とか、「闇の聖女の計略」とか、どんどん話が盛られていってるんですけど!?)


 アメリアは報告書を握りしめ、頭を抱えた。自分の善行が次々と悪役の評判に繋がっていることに、新たな焦りを感じる。


(これじゃどうやって処刑を回避しろっていうのよ!

 ヒロインを育てて悪役脱却するはずが、かえって悪役化してるじゃない!)


 絶望に支配されそうになるが、そこでハッと顔を上げた。


(私、これ以上どうすればいいの……?

 いや、まだだ。まだ何かできるはず……!)


 窓の外を眺めるアメリアの目に、決意の光が宿った。


(ゲームのシナリオでは、この後、宰相が動いてくるんだった……。

 そう、あの天才宰相、アレクシス・クロフォード!)


 アメリアは拳を握りしめた。


「よし、次は宰相の誤解を解く……いや、彼に協力してもらって、私の善意を正しい方向に導いてもらうわ!」


(絶対に、絶対に処刑なんかされないんだから!

 待ってなさい、ハッピーエンド!)


 彼女の瞳は、未来への希望と、少しの無謀さを秘めて輝いていた。



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