『○○の果てに』
記念すべき第一話。ほぼ処女作なので多めに見て欲しい部分があったりなかったり。
最初にいっておくぞ!結末はいくつか決まっているがそれまでが長い。超長い。
まあ、世界観としては…ちょいホラーの現代。
―“それ”は突然にやって来る。
天変地異の災害。流行病。事故。世界情勢。
いくら研究されていても、“全て”ではない。
科学にだって証明できないことはある。
だって、日常が崩れるのはいつも突然なのだからー
1、
「…ッ⁉」
ーガタン、ゴトン。
電車に揺られて“私”は目を覚ました。いつの間にか眠っていたらしい。
いつの間にか握っていた手には冷や汗がにじんでいる。
「…また。」
あの夢を見た。最近になって見る頻度が増えた気がする。
幼い頃から定期的に見ていた夢。
なのに、起きたら内容を忘れている。怖いという感情だけがいつも残されている、のに。
スマホの電源を入れ、時刻を確認する。
―12:55
夏休み前日は終業式をやって終わり。学校は早く終わる。
―次は~○○駅~〇〇駅~
車内アナウンスが鳴り響く。
目的の一個手前の駅。
「…帰りたくないな。どうせー」
今の家には居場所なんてないのだから。
◇
駅から出て、家とは反対方向の道を進む。いつもの場所へ。
駅から少し歩いて数分。
石段を登り見慣れた鳥居を潜る。朱の塗装が剥げた鳥居。ボロボロのしめ縄風に揺れている。
「また、お世話になります。」
見慣れた賽銭箱の前で手を合わせる。いつから人の手が入っていないのか、音のならない黒く錆びた鈴。
紐はーこの場所を見つけた時には既に千切れていた。DQNとやらの仕業なのだと私は思った。
こういう場所にはよくそのような者達が訪れるとオカルト好きの友人から聞いたことがあったから。
私にとってここはナニにも邪魔されない聖域だというのに。
参考書、ノートを境内の机に広げた。
2、
―カナ、カナカナ
「‥‥!」
ヒグラシの鳴く声で我に返る。
ということはー
―18:30
夏は急に暗くなる。
家同士に距離があるこんな田舎では尚更。
急いで荷物を片付ける。
「お世話になりました」
境内を出て、もう一度手を合わせる。
そして、帰ろうと、した。
「…?」
鳥居の向こう側に誰かいた。子供くらいの人影。石段に座り込んでいるらしい。
こんな時間に[[rb:ここ > 廃神社]]に人が来るのは珍しい。
来るとしたら私みたいにー
尚更、放っては置けない。
「…ねえ!君―」
迷子?と言おうとして。
―ブヂッツ
一迅の風と共に嫌な音が閑散とした廃神社に鳴り響いた。
影が振り向く。
―ミィツケタ。
「ヒッ!?」
距離があるはずなのに耳元で聞こえる声。
ケタケタと笑う口。異様に赤く耳元まである口。
薄暗いはずなのになぜかそれだけが分かった。
―『黄昏時は誰そ彼時。この世とあの世の線引きが曖昧になる時間。人ではないナニカがまぎれ込んでしまう。だから、暗くなる前に帰りなさい。』
今は亡き母の声が蘇る。今になって思った“こういうこと”と
―ボコッ、ボコッ
目の前の影が嫌な音を立てながら。
黒い肉塊の様なものを増殖させながらニタニタと笑っている。
今のうちに逃げないと。
けれど、“それ”は帰路を塞いでいる。
「…、一か、八か!」
異様な気配を放つ“入らずの森”に足を踏み入れた。
それにーどうせあの人達には視えない。
そう、思いながら。
3、
あれから数分後。
私は森の中にいた。
獣道を進みながらなんとか逃げている。
”入らずの森“
一度衛星写真をことがあったけれど。
こんなに広かったけ?
―ドコだア?
あの影は未だに追って来ていた。
ニタニタと笑いながら。
地獄から響くような声で。
効果がないと悟ったのか、声真似は止めたらしい。
「‥‥ここ、なら!」
人が一人は余裕で入れそうな木の洞を見つけ、体を滑り込ませる。
いつの間にか降り出した雨で体は凍えている。
方向感覚がぐちゃぐちゃだ。
変になりそう。
―隠れンぼかア?
小枝を踏むが近づいて来るのが分かる。
思わず息を止める。
―違うなア。ドコだア?
私を探す声が段々と小さくなっていった。
一分、五分、十分‥‥
◇
何分経ったか分からないけれど。
完全に私を探す声が消え、た。
「‥‥ふう」
思わず息を漏らー
―ミイツケタァ
目の前にあの大きな赤い口が見える。
その鋭い歯がゆっくり、ゆっくりと開かれていく。
動けない。
怖い。
生暖かい唾液が肩にかかる。
目の前が真っ暗な虚空に支配される。
―イタダァキマァス
―だれか、助けて!―
思わず私は目を瞑った。
一秒、五秒、十秒…
想定していたはずの痛みが来ない。
ゆっくりと目を空ける。
「…?‥‥!?」
目の前には何なかった。
いや、ナニカが焼け焦げたあとあった。
「―!」
白い人影慌てた様子で駆け寄って来た。
何か言って、いる?
―なに?なんて言っているの?耳鳴りが酷くて聞こえない。
嫌な気配は近くには感じない。
足元の感覚が無くなる。
「l!」
白い人影に支えられる。
思わず顔が近くなる。
月の光に照らされて煌く銀の髪。
吸い込まれそうな薄い桃色の目と新緑のような緑の目。
幼さの残る顔は物凄く丹精で。
―この気配はだいじょうぶ。
なんとか意識を保とうするのに反して瞼は重くなっていく。
「〇〇!」
今度ははっきりと、聞こえた。
―ああ、なんで貴方が私の名前を知っているの?
それを最後に私の意識は完全に落ちた。
4、
僕の“愛し子”の気配が消えたと思ったら。
雑魚に追いかけられていた。
忌々しいことにあの女の守護で手が出せない。
助けることも、ね。
―こっちへおいで
樹海への距を開く。
―さすがに守護りきれないでしょ。だから、堕ちた所を狙う。
なのに、なのに!
もう少し、という所で邪魔が入った。
白いフードの男。
術師?退魔師?
僕は近づけなカった。
コの僕ガ。
見えていナいハズ、ナノニ。
アイツは僕を睨ンだんダ。
それダけ、ナノに。手ガダせナカッタ。
アイツは、ボクの愛シ子ナニか付けサセタ。
ソノ瞬間ニモドサレタ。
アア!ボクノ、ボクダケノ愛シ子ニナンテコトヲ!
一幕、一幕で投稿するつもり。
pixivアカウントの方が投稿が早い。※本人です。