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文芸部

 好きな小説を読んだり、互いに紹介しあったりと、そんな名目の文芸部。


 だが実際は、部長である自分と、口数の少ない後輩が、ただ黙々と小説を読んでいるだけの静かな空間だ。


 そんなある日、いつも無口な後輩が、珍しく口を開いた。


「先輩、この部活の、もう一つの活動ってなんでしたっけ」


 唐突な問いかけに少し驚く。彼女が自分に話しかけてきたのは、入部の挨拶以来のことだった。


「小説を紹介し合う、だったかな。……何か、おすすめの作品でもあるのか?」


 予想外の出来事に、自然と声が弾む。


「はい。『大好きな文芸部の部長は私の恋に気づかない!』という恋愛小説です」


 一瞬、思考が止まる。けれど、どうにか気を取り直して言葉を返す。


「そ、そうか……どんなところが気に入ったんだ?」


 すると後輩は、これまた珍しく、鼻息も荒く熱を帯びた口調で語り始めた。


「この本、古本屋で見つけたんです! 部長、覚えてますか? 私が入部したとき、“自分の気持ちにマッチした小説が一番面白い”って言ってましたよね。最初は半信半疑だったんですけど、読んでみたら、本当にその通りでした!」


 勢いそのままに、彼女は手にしていた文庫本を、ぐいと自分の目の前まで差し出してきたのだった。

いつもお読みいただきありがとうございます!

ちなみに、作者は文芸部に所属していましたが、こんなイベントは起こりませんでした

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