良いにおい
いつも、遅刻ギリギリにのんびりと教室に入ってくる女の子。
少なくとも学校にいる間は、いつも少し眠たげな眼をしていて、休み時間はずっと机に突っ伏して寝息を立てている。
ある日の、席替えで彼女と隣になった。
「んぅ・・・よろしく・・・」
いつも通り眠たげな眼と声で挨拶をされる。
一限目、日本史の授業だ。
僕は、いつも通り教科書を開くが、隣を見ると、彼女が、カバンをガサゴソと漁っていた。
「おーい、□□教科書忘れたのか?」
先生が気づいたらしく、彼女に声をかける。
「あ~・・・忘れたっぽいです」
「そうか、次から気を付けるように。隣は・・・○○だな。教科書見せてやってくれ」
そう言われたので、机を合わせ教科書を彼女の方に寄せる。
「ありがと~」
いつも通りの彼女だったが、彼女が教科書を見ようとこちらに頭を寄せる。すると、
「・・・君、良いにおいするね~」
「そ、そう?ありがと。」
唐突な話題に、戸惑いながら、何とかお礼を口にする。
また、彼女のにおいもこちらに届いており、柔軟剤のにおいか何かが鼻孔をくすぐる。
「そういえば、知ってる?良いにおいがする人は相性が良いらしいよ~?」
と、珍しく表情を変え悪戯っぽく微笑む。
その表情を見て、自分の中の何かが破壊されたのか、何かが創造されたのかよくわからなくなってしまったのだった。
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