留学生
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中国から来た留学生の少女がいた。日本のアニメに感化されたらしく、日本語は完璧なはずだったが、なぜか友人と話すときは語尾に「〜アル」と付ける癖があった。
ある日、いつものように学食へ向かうと、その少女が食堂の前で戸惑っている姿が目に入った。緊張しながらも声をかけると、どうやら食堂の使い方が分からず困っていたようだった。その日は運悪く、仲の良い友人も欠席。弁当も持ってきていなかったらしい。加えて、留学生ということもあり、誰にも話しかけられず孤立していたようだった。
その日は、食堂の使い方を教えながら一緒に昼食を取ることにした。それからというもの、彼女は毎日のように「一緒に食堂に行こう」「一緒に帰ろう」と声をかけてくるようになった。
そんなある朝。下駄箱を開けると、自分のシューズの上にピンク色の可愛らしい封筒が置かれていた。
こっそり開いて読んでみると、そこには情熱的で、どこか重たさすら感じる愛の言葉が綴られていた。
差出人の名前は書かれていない。ただ一人、思い当たるのはあの留学生の少女だ。けれど、文面には彼女特有の「〜アル」が一言も入っていなかった。少し不思議に思っていると、すぐ隣から声がした。
「手紙、読んでくれた?」
驚いて横を向くと、彼女がそこに立っていた。その瞬間、ふと思い出す。そういえば、自分と話すとき、彼女は「〜アル」と言わなかったな、と。そして気がつく。自分の手のひらに、彼女の細く温かな指先がそっと触れていることに。
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