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エンゲブラ的連載の作法

【なろうにおける作品のレイアウト問題】人気作家と頑張っているのに芽が出ない作家との違いをちょっと分析。

作者: エンゲブラ

「なろう小説は、一般小説とは全く別物である」


こんなことを言うと、脊髄反射的にイラっとされる読者も、おられるかもしれません。しかし、これは揶揄(やゆ)を目的としたものではなく、掲載媒体(ばいたい)の違いについての話です ――


一般小説は、わざわざお金を出して、手に取る。

だから、絶対に読むことが前提とされています。

ですので、多少の読みづらさがあろうとも、ページ内にギチギチに文字が詰まっていた方が、非常にうれしい。

むしろ、行間がスカスカで、ページ数に相当する分量の内容が詰まっていない場合、「金を返せ」と怒り出す読者も、けっして少なくはないでしょう。


しかし、なろうは根本的に違います。


基本、無料ベースで読み、よほど気に入った作品だけは、書籍や電子ブックなどを半分「お布施」の気持ちで購入する。

お布施なので、広々としたスペースの文章構成でも、誰も文句は言わない。

(最初から、スカスカなのも知っているわけだし)

無料で楽しんできたことに対する、お礼の気持ちでもあるわけだからです。


だとすれば「読みやすさ」こそが、なろう投稿における至上命題となります。


人気ランキングの上位作品をチラ見すれば、分かることですが、その作品レイアウトは、従来の小説(最早、古典的なとでもいうべきでしょうか)とは、非常に大きく異なります。


ひとつの「 」付セリフに対し、ほとんどの場合、前後に一行分ずつの行間が空けられていたりもします。

一般小説で、このような無意味なスペースを空けた場合、よほどの決めゼリフでもない限り、白目をむかれるのが、常で()()()()() ―― 過去形で語るのは、すでに「なろう的形式」が、一般小説の世界にも浸食し始めていると耳にしているためですが、これはなかなかにエポック・メイキングな流れといえそうです。


購入者が怒らないのなら、広々と行間をとる方が、筆者もラク。

無料読者も、読みやすい方がうれしいし、購入する人も、お布施感覚なのだから、怒ることもない。まさにウインウインウインという状況です。

(なんかのマシンが動いてる音ですか?)


―― さて、なぜわざわざこんなことを書くのかというと、それは頑張ってギチギチに行間を詰めて投稿している「作家の方々」に向けての忠告だったりします。


明らかに、全身全霊を込め、書いているとわかる力作。

にも関わらず、その「読みづらさ」から、()()()()()()()()()は、ものの数行、流し見しただけで、そっ閉じ。

結果、評価にまでたどり着かず、さらに迷走し、余計に変な力が入る。

そんな作品が、まったく評価ポイントの入っていない長期連載投稿には、けっこう多く見受けられたりするからです。


これは「内容以前」の問題です。

必ず、ある程度は面白いことが担保されてるプロ作家の作品を除けば、読みづらい作品は、なろう読者にとっては論外です。


無料で読んでいるとは言っても「読者がその作品を読むのに割く時間」を、作者は無料と考えるべきではありません。


読者は、貴重な時間を使い、作者の言葉に耳を傾けてくれているのです。

これはキャバクラなんかよりも尊い「無償の交流」であったりもします。


だとすれば、作者は読者に対し、最低限度のもてなす気持ち、態度を見せるほかありません。

それがいわゆる「なろうの流儀」であるのではないかと、筆者は考える次第です。



惜しい、特に若い作家と思しきひとの投稿によく見かける、不要な比喩と描写についても少し ――


それは「十代の特権」でもありますが、不要な格好つけを()()()()()()行ってしまっている作者が、非常に多いという点。


もちろん、決めの部分などでは、そういった表現も構いません。

が、通常の場面、場面でも、冗長で意味のない、ハードボイルド風な比喩を無駄に付け加えている新人作家が、かなり多く見受けられます。

これには、共感性羞恥(しゅうち)の心が働き、むずがゆくなることが多々あります。


読者は、バカではありません。


セリフ部分さえ、しっかりとしていれば、「読者の想像力」が描写部分を勝手に補ってくれます。むしろ優れた作品というものは、往々にして、読者の想像力を掻き立てる「余白」の部分を多く含んでいるものです。


ゆえに「考察班」なんてものが勝手に生まれ、時には()()()()()()()()()()裏の設定にたどり着くことも、ままなのでしょう。


書きたいけど、言いたいけどを削り、()()()()()()のも、また作家の度量というものなのかもしれません。

そんなこんなも、まあ、読者(批評者)側だから言えるセリフで、いざ自分が書いてみるとなると、これが……ということで、本来、批評専門マンだったはずの私も、連載小説の投稿にチャレンジ中です。ここで書いたことは、大半が自分自身への戒めであったりもします(苦笑)。

セリフもちょろいから、逆に情景もまったく伝わっていないという可能性もありますが、拙作


『この転生には、いったいどのような意味があるというのか?』(n0859js)


も、もしお時間がございましたら、一度ご覧くださいませ(宣伝)。

「けっきょく口だけで、お前の小説も全然やんw」と嘲笑するような感想文なども、大歓迎です。ほなまた。

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― 新着の感想 ―
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かっこつけは私も別に好きじゃないんだけど、 というか冗長だと嫌になって離脱することもあるけど(特に面白くないと) まあたくさんの人に読まれたいってのならやめろって言い分は分かるけど、 個人的には書き…
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