第九章~日能研初授業~
ハジマリの朝、僕は夢から脱出するように起きた。なんの夢かはもう憶えていない。
今は、とりあえず学校に行き、放課後の初授業を頑張るだけだ。
学校では特に何もなかった。
皆、新学期の授業と言うことで僕を構う暇はないらしい。
まぁありがたいことなのだが。
家に着くと、日能研のバックを取り出す。
うん、心地よい。そして新鮮。届いたばかりの教科書を詰める。
今日は理科と算数だ。
学校でのことを詳しく思い出すと、日能研初授業と言うことで、クラスの皆が緊張していて、張りつめた空気だけが教室を支配した。
だから、虐めも珍しくなく、ほっとした。
「はい! 今日の授業は此処で終わり! 明日は、問五からやりましょう! 」
その元気の良い声の主は、清水敏文先生だった。
一年生の時に担任だった先生だ。カナリ色々助けて貰った記憶がある。
一年生の頃プールで溺れたときに助けてくれたのもこの先生だ。僕は、学校で清水先生だけを信じている。
そして、放課後、真っ直ぐ日能研に向かう。
教室に入ろうとするとざわめきが。新参者だから一番後ろの席に座ろうとしたとき、
「ねぇ……」
背後から宇田川さんが声をかけてくれた。
「ああ、久しぶり。結局2組だったよ~どうしたの? 」
「本当に知らないんだね。掲示板見てご覧。案内してあげる。もう有名人だよ? 」
全くなんのことか見当もつかない。てくてくと宇田川さんの後をついていくと、
【日能研クラス順位表(2組)】とデカデカ書かれたものと、
【科目別成績優秀者】とまぁ偉そうに書かれているものが掲示されていた。
「これがどうしたのさ? 」
「順位表見てご覧よ! 」
一位…宇田川千春
二位…堀内孝弘
……!!
なんとあのテストが2組で二位に輝いていた。
ちょっと嬉しい。
「ああ、やったー! でも、宇田川さんには負けちゃったね(笑)」
「違うの、これくらいはざらにいるの。入ってきて即トップスリー入りっていうのは。」
「うん。」
「今問題となっているのは、科目別成績優秀者。ほら、あそこで暴れている広瀬慶太っていうのがいるんだけど、いわゆる天才型で、栄冠組でもいつも算数がずば抜けて出来て、一位以外無いんだよね。で、堀内くんは、広瀬と並んだって事……ほら……私だって見たときびっくりしたよ。何が起きたか解らなかったし、事務の人だって、混乱していたよ? 本当に2組で良いのだろうかとか……」
信じて見てみる。
【科目別成績優秀者(算数)】その表には、「96点…広瀬 96点…堀内」
確かに書かれていた。
これで確信した。自分の力が本物であると言うことを。
「ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ! 」
予鈴。
直ぐさま教室に入った。
今から起きる、飛んでもない歴史の1ページを捲るために………………