第二章~孤立~
次の日が来た。幸せな朝も不幸せな朝も、神は選ばず残酷なまでに平等に朝を与える。
陽が眩しすぎて仕方がない。母親は「はやくしなさーい! 何時まで寝てるの~」
そう言って、うるさい。僕は階段をゆっくりと降りて、朝食を食べる。
父親はとっくに会社に向かった。一人だけの朝食だ。母親も今から仕事に行くのである。
僕は、学校に行くしかなかった。
足を組んで、机の上に座る山口を朝一に見てしまった。戸を開けにくい……
別に僕は悪いことをしていないのに何故だろう……
力が強いってそんなに凄いことなのだろうか?
勇気を振り絞った。
ガラッ! 戸を開けた。その音は僕の勇気とシンクロしていたはずだったのだが、クラス中無視。
「お、おはよー! 」空元気でそう言っては見たものの、誰一人反応しない。
何故だろう。何故反応してくれないのだろう。挨拶くらいいつもしているじゃないか。
そんな疑問を抱きつつ昼休みとなった。すると、「サッカーしよーぜー! 」山口が言う。
普段なら誰も振り向きもしないはず。そう、普段なら。
「おう、俺やる! 」「私もやってみようかな。」「じゃあおれも! 」
ついに、教室には僕と加奈子だけになった。
「加奈子もサッカーしてくればいいじゃん。」
「ホッちゃん違うんだ。あれ……グルなの。」(ホッちゃんとは僕のアダナである。)
「グル? 」
「そう、山口が、今朝早くから、ホッちゃんを除け者にしないとぶっ殺すって脅したんだ」
「クラス全員を? 」
「そう。」
意外な事実が僕の胸に刺さる。相手には勿論敵うはずがない。また、敵も増えすぎている。
「俺……」
「ん? 」
加奈子が近寄りこっちを見る。
「絶対に勉強で、成績で、クラス全員見返してやることにした! 」
「ホッちゃんなら出来るよ! 」
加奈子はそう微笑んだ。
その後の記憶は勉強以外ほとんど無く、気がつけば夕暮れだった。