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彼女達が手にしたもの

 その後の話をしよう。

 エリカ達はその後、転送された元の場所へと戻された。

 奈落の落とし穴となっていた地面も元通りとなり、その場所に倒れていた所を食糧調達に赴いていたカルマタン村の人が発見。無事保護されたのである。

 エリカの傷もユーノの足もルシアの回復魔法のお陰で完治。

 涙拭うルシアの熱烈な抱擁をエリカと共に受ける事となる。

 

 ユーノ達が行方不明なった数日の間、カルマタン村の救助に尽力したルシア。

 その行動に村人から『蒼穹の聖女』と崇められる存在に。(ルシアはものすごく困惑していた。)

 そんなカルマタン村のご厚意に甘える事3日後、救援物資を携えたアルベルト隊が到着。

 彼らと共にカルマタン村を後にする。

 尚、ユーノ達と共に救助されたドナルドは逮捕された。

 罪状はジェイクに対する暴行罪。

 また彼が雇った傭兵はトマス達以外は皆死亡が確認された。

 一方トマス達は逮捕されなかった。

 彼達はドナルドに何も知らされずにつれてこられたことが証明されたからだ。

 ただもうしばらくはカルマタン村に留まり、復興の手伝いをしつつダンの体調の回復を待つそうだ。


「色々とあったわね・・・。」

 馬車の窓から顔をのぞかせるルシアがしみじみと呟く。

「本当だな。」

「でも良かったねエリカちゃん。念願の自分の剣を手に入れることが出来て。」

「そうね・・・。」

 膝の上に置く新しい剣の鞘をそっと撫でる。

「ジェイクも絶賛していたな。」

 エリカが手にする剣を目にして、恍惚とした表情が今でも忘れなくて含み笑いが漏れるユーノ。

「ええ、ジェイクのあのような顔は中々の見物でしたな。」

「そういえばガウル。俺とエリカがいない間、よくルシアを守ってくれたね。ありがとう。」

「もったいなきお言葉。」

 首を垂れるガウル。

「ガウルさんにはずいぶん助けてもらったわ。村の事も含めて。本当にありがとう。」

「お礼を述べられる程ではありません。村の事も全てルシア様が奮闘されたからですよ。このガウルは何もしておりません。」

「へぇ~~。」

「ユーノ様、何か?」

「いいや別に。」

 意味深な笑みを浮かべるユーノ。

 ガウルがルシアに対する態度の変化にいち早く気づいたのだ。

「と、ともかくユーノ様!今後このような無茶な事はお辞めください。このガウル、肝が冷えましたぞ。」

「そうだよユーノ君、私もすっごく心配したんだから。エリカちゃんも!」

「ごめん。」

「ごめんなさい。」

 腰に手を置き、仁王立ちで怒るルシアに素直に謝る二人。

「ルシア様、ユーノ様にはもっときつく言ってください。反省の色が見えておりません。」

「そんな事はないさ。」

「本当に止めてよね。二人がいなくなったら私、悲しいから。」

「大丈夫さ。いなくなったりはしないよ。絶対に。」

 抱き寄せて優しく頭を撫でた途端、機嫌が元に戻る。

「本当に?」

「ああ本当だ。ずっと一緒だよ。俺達三人は。」

 エリカも引き寄せて二人の頭を撫でる。

 目を細めて幸せそうな表情を見せる二人にユーノは頬を緩めてふと窓の外へ視線を向ける。

 もうすぐ王都。

 ユーノ達の我が家まであと少しだ。


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