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師匠の魔法学校

この世界の文字と、魔法の概念の説明のお話です。

 昼からは家の中での勉強会。と言っても先ずは文字の読み書きから。会話は師匠と普通にできてるから問題ないとして(若干敬語とか怪しいけど)問題はここからだな〜。


 こちらの文字は、文字というよりまるで色々な形の図形を組み合わせた模様のようだ、と思う。一文字の作りは英語(というよりは日本語のローマ字変換)、言葉にすると日本語。


 例えば、あいうえおという母音に当たる図形があって、か行、さ行に当てはまる図形がある。それらを組み合わせて一つの文字となり、またその文字ををいくつか繋げると単語になる。こちら特有の難しい単語もあるみたい。


 多分こちらなりの発音とかあるんたろうけど、その辺はもしかしたら勝手に変換されてるのかしら?転生者スキルとか?よくわかんないけど。


 まぁ、文字の仕組みはわかった。あとはそれを覚えるだけ。大変だけど頑張ろう。


 だって文字の読み書きができれば知識が増えるし、そうすれば自分の世界も広がる。この世界を自由に謳歌するためには絶対に必要なことだからね。


 それにもしかしたら、私の大好きな小説とかもあるかもだし……。(ホントはこっちがメインだったりしてw)


 あ、そうだ。この際だから気になってた事聞いてみよ。


「ハイ師匠、質問があります。」


 と言って私は右手を上げた。何だか小学生に戻ったみたいだw。会社の会議はもっと空気が張りつめてたしね。


「何じゃ?ヒナ。」


「こちらの世界に強さを表すレベルの概念ってあるんですか?ステータスやスキルは?あったらどうやって確認できるんですか?」


 やっぱりファンタジー世界ならではのそういった事って気になる。色々な転生漫画や小説読んできたけど、大体そういうのあったし、自分の強さを数字で確認できるとわかりやすくてモチベーションも上がるよね〜。


「あるにはある。が、今は確認できないな。ギルドに登録すると登録者カードというものが貰えて、それに全て書かれておる。」


 そっか〜、確かギルドに登録できるのって12歳からだったよね。もう少し先だな、残念。でもそういうのがあるってわかっただけでも嬉しいな。ホント、ゲームの世界みたいだ。


「カードはないが、ワシにもわかることはあるぞ?」


「?何をですか?」


「ヒナは剣よりも魔法の方が優れておる。」


 私は瞳を輝かせる。


「ホントですか!?嬉しいな!」


 師匠もニッコリ笑う。やはり魔女として、弟子が魔法を好きだというのが嬉しいらしい。


「まぁ剣が不得意というわけではないが、矢張り伸びが良いのは魔法の方じゃろうな。ヒナは魔力の器がな、普通の人間よりもかなり大きいのじゃよ。そしてその回復量も凄まじい。」


「魔力の器……ですか?」


 師匠は頷く。


「うむ。これはもう少し先にちゃんと話そうと思うておったのじゃが、この際じゃ。ちょっとだけ話しておこうかの。」


 私は思わず身を乗り出す。ワクワクが隠せない。


「はい!お願いします!」


 師匠はそんな私の態度を見て苦笑する。前のめり過ぎたかな?ちょっと恥ずかしくなって、私は椅子にキチンと座り直した。


「少し話が長くなる。お茶を用意するから待っておれ。」


 師匠はそう言ってカップを二つ用意し、水魔法で必要量の水を空中に出現させ、火魔法でそれを温め、小瓶の茶葉をそれに混ぜ、茶殻を取り出し別の小瓶に入れる。そしてカップを自分の前と私の前にコトンと置いた。茶殻にもまだ使い道があるのじゃ、と説明してくれる。


「簡単に言うと魔力の器というのはな、まぁ人間の身体自体が器なのじゃが、普通、魔法を使用する者は体内に蓄積された魔力を放つ事で魔法を使うのじゃ。器が大きいと言うことはそれだけ多くの魔法を使える、ということじゃな。」


 師匠は『ズズ…』とお茶を啜る。私もつられてお茶を啜った。温まる〜。


「で、器が大きいということはな、則ち魔力を体内に貯められる量が多いということじゃ。単純に同じ魔法を長時間、若しくは回数を多く使用できるということともう一つ。ヒナ、魔法はマナが濃いほうがより威力が増す、と朝説明したな?」


「はい。マナは自然豊かな場所はより濃くなり、エルフはその為に魔法が得意だ、と、教えられました。」


「うむ。よく覚えていたの。マナは魔力の源、マナを体内に取り込んだものが魔力、つまりマナ=魔力なのじゃ。一回の魔法で魔力を多く濃縮させることで、同じ魔法でもより威力の高い魔法を放つことができる。」


 私は無意識に身を乗り出していたらしい。ハッと気付いてまた椅子に座り直す。


 それに気付いた師匠が「くっくっく……」と笑う。


 は……恥ずかしい…………。ホント子供みたい。まぁ、実際子供なんだけど、中身は27歳だからね。


「まぁ気にするな。では続けるぞ?魔法にも段階があって、下位魔法、中位魔法、高位魔法、究極魔法、そして古代に使用され、今では一般の使用を禁じらている古代魔法がある。」


 おおっ、これはまたファンタジー用語。ヲタク心がくすぐられる〜!だが、先程学んだ私はソワソワしつつも今の体勢を維持し続けた。


 しかし、どうやら師匠にはバレバレなようで、師匠はこちらを見ないようにして、何とか笑いを堪えている。


 私は顔を真っ赤にして不貞腐れる。


 師匠はこれはいかんと思ったのかコホンと一つ咳払いをした。


「すまぬすまぬ。いや、可愛いな、と思うての。今までこんなにも魔法に興味を持った者はおらなんだので嬉しくてついイジワルをしてしまった。すまぬな。」


 魔法なんて素晴らしいものに興味を持たないなんて、何て贅沢なんだ、こちらの世界の住人は。


「悲しいかな、この世界の魔女や魔法使いの地位は、騎士や剣士に比べて大分低いのじゃよ。だから自らなろうとする者もあまりおらんのじゃ。勉強するとしても、ただの知識として知っておく、程度のものじゃな。」


 ああ……もしかして師匠はずっとこの世界で辛酸を舐めてきたのかな。こんな危険な沼地に追いやられて……。


 そういえばこの前、『悪意を持った兵士達』がこの家を探しに来てたっけ……。


「そろそろ、ワシもおぬしに話しておこうかの。おぬしとワシとの出会いを……。」


 そうして師匠はもう一杯、お茶を用意してくれた。

 

 



ヒナが食い気味に話を聞いているところが作者のお気に入りポイントでもあります。魔法……使ってみたいですよね。さぁ、次回はヒナと師匠との出会いのお話です。楽しみにいて頂けると幸いです。

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