ルックバックを読んで
その漫画を読んでいる最中に、自然と涙が溢れていた。
ゆっくりと頬を伝うような涙ではなく、集中豪雨のように、突然溢れ出すような涙だった。
今まで経験してきたものとは異質の涙に、大声で叫びたくなるような衝動に駆られた。
なんだよ。
なんなんだよ。
俺って本当に、なんなんだよ。
自分の中途半端な人生に込み上げる怒りと、ストーリーの悲哀に感情がぐちゃぐちゃになり、気がついたら声を出しながら泣いていた。
言い訳ばかりして何も為さず、これまで生きてきた。そんな自分を鉄球でぶん殴られたような衝撃だった。
ただ、湧き上がる感情は後悔ではなかった。
もう間に合わない。もう無理だ。と思っていた浅はかな自分を、ぶち殺してからもう一度生まれ変わらせてくれるような、沸々と湧き上がる何かを感じた。
三十歳を超えてまだ間に合うのか。
そんなことは分からない。いや、もうどうにもならない可能性の方が高い。
でも。
気がついたら金属バットを持っていた。
衰えた握力の限りを尽くし、両手でしっかりと握りしめる。
目の前の塊を、上から振りかぶって力いっぱい叩き潰した。
机や床なんて気にしない。
ただ全力で。