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雑賀孫一と言う男。<ジンクスレコード:0>番外編  作者: 小犬ハンナ
第一章 渡航初日
6/9

孫一の動揺。

1日開いてしまいましたが、大して繋げられませんでした…。



道中、考えに耽る俺を察したのか、キャサリン女史は特に話し掛けるでもなく、ドライブを楽しんでいるようだった。

街の明かりが見え始めたかと思うと、その光は急速に膨らみ、突然に街が現れたような、そんな感じだった。

俺は眩しさに胸ポケットに手を伸ばすが、そうでした、俺の相棒(サングラス)は、天使の胸ポケットだった。

相棒、幸せ過ぎるだろう。


「ホテルまであと少しです。お疲れ様です、雑賀君。」


ルームミラー越しに微笑む天使、マジ天使。


「明日は8時半にロビーで待ち合わせ、大丈夫ですか?」

「はい。」


何、俺、しおらしくなってんだろうか。

そんな俺を見透かしているんだろうか、キャサリン氏は微笑んだ。

高速道路を降りてからホテルの駐車場まで、気を付けていたツモリだったがサッパリ道のりは覚えて居なかった。

方角だけは更に北方向で正解だと思うんだが、空を見るまで正解は分からないだろ。

って言っても、北半球の更に北って、星、どんな感じなんだろうか☆


「着きましたよ。」


俺はバックパックを背負い、車のドアを開ける。


「サッブッ!!」


笑っちゃうくらい寒かった。いや、寒いという表現をとっくに通り越して冷えきっていた。

凍るように冷たかった。

吐く息は当然白く、空気に霞が掛かるほどだ。

そして改めて仰ぎ見る、異国の夜空。時間と星座の位置は違えど、その内容は同じだった。

ただ、北極星だけがやたら近い気がしたのは、気分のせいだろうな。


キャサリン氏は俺が歩き出すのを待っていた。

いかん、いかん。こんな寒空の下、レディを待たせておくとか、ありえんな。

ピンヒールのこともあるし、ここはやはり、俺がしっかりしなければ。

俺は急ぎ彼女の元へその足を速める。

天使の横に並んだ時、コートのポケットに手を入れた俺の腕に自然と彼女の腕が絡んだ。

いや、あ、はい。ありがとうございます?


「さ、行きましょう。」


歩き出すキャサリン氏、っていうか、待て。俺、少し待て。

歩きながらでいいから、少し考えろ。

コート越しとは言え、美女との距離は0cm。いわゆる、圧着。密着程ではないが、ゼロ距離状態だ。

いや、違うな。これはアレだ。


―考えるな。感じろ、俺。


悟りを開きかけた俺が気が付いたそこは、すでにホテルのフロントの手前だった。


極東のホテル、都心部に近いとは聞いていたが、俺はぶっちゃけ、割とレトロな世界を想像しいた。

昔ぶち込まれたような、エレベーターもなければレストランもないような、そんな感じかと思っていた。

っていうか、あれはもしかして、アパルトメントだったのかもしれなかったと今更ながら思う。

2階フロアまでの吹き抜けと更に高い天井に、デザインされたステンドグラス調の飾り照明。

壁の白と家具の赤のコントラストで作られたラウンジに、それをまとめる柔らかな照明。

流石にこの時間ともなるとラウンジには誰も居なかったが。

そして何より、床が大理石っていうの?石ですよ。

何が言いたいかって言うと、俺が案内されたのは、いわゆる普通の豪華なホテルだった。

物珍し気にホテルのロビーを眺める俺を他所に、フロントで手続きをする天使。


「部屋は3階です。」


いや、俺は今回、交換留学生ってことで、その、何ていうか、いくら何でも大っぴらにゲスト扱いではないと勝手に考えていた訳だ。

拍子抜けを通り越して、これは逆に、何というか、裏に隠れた期待度の高さ以外の何かを、勘ぐらざるを得ない。

俺だって、ひょいひょいと甘い言葉に乗る男では、ない。

いくら目の前に天使が居て、カードキーを2枚持っていて、その人が同じエレベーターに乗り、同じフロアで降りたとしても、何が起きるかは神のみぞ知る世界だ。

と言うか待て。

今更だが、本当に今更だが、この人が本物のキャサリン氏ではない、と言う可能性は?

実は俺は、空港を降りた時点で死んでいて、魂が天使に誘われてるだけという可能性は?


エレベーターは3階で停まり、俺たちはそのまま広い廊下を歩く。

廊下に敷かれた絨毯、その厚みで足が持ち上がるような感覚は、俺を余計に現実から浮かせるようだった。


「はい。これが雑賀君の部屋の鍵です。私は隣なので、何かあったら何時でも連絡してください。明日の朝は、8時半にロビーでお会いしましょう。」


ふと足を止めた天使から渡されたカードキーを、俺はそのまま受け取る。


「あの、今日はありがとうございました。」


俺の口からやっとでた言葉は、それだけだった。

正直、それしか出てこなかった。

条件反射もなく、考えることもできない、ふわっふわの俺がいた。


「では、おやすみなさい。」


そう言うと、天使は微笑みながら、両手を後ろに立って、俺を見つめて居た。

俺がそのドアを開けるのを待っているような、キャサリン氏から、そんな気を初めて感じた。

俺がドアに手を掛けると彼女はようやく安心したように背を向けた。

振返る仕草がマジ天使だが、とりあえず、それはさておき、俺は今生きてるのかどうか、その辺から検証したいと思う。心臓は、割と分かりやすくドキドキ言ってるんだけども。

これは明日書き足し案件ですね!


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