老婆日和!ー何者かと問うものをー
ミッジーカメ
転移が終わった俺たちは、いい場所探しを決行し始めた。
正直言ってこの作業が難航すると結構ヤバイ。見つかってしまう可能性が増えるし、何より大荷物を何日も持ってさ迷うのは手間が過ぎる。まぁ最悪明後日までは延長が利くのだが、なるべく余裕を持って行動したい俺としては基本的には今夜のうちに終わらせたい。
ということで近場でいい場所がないかを探しはじめる。正直なところそんなにすぐ見つかるとは思ってないが、なるべく今日のうちにすべての作業を終えておきたいのだ。
そんなことを考えつつ海岸線を離れ、平地の方に歩く。あそこが街と…。ここから徒歩だと半日掛かりそうだな。すると、もうちょっと離れた方がいいかな?
試行錯誤しつつ、場所を決めに動く。がいっこうに見つかる気配がない。もうそろそろ太陽が出ようとした時…。遠くに何かを見つけて駆け寄る。
「何だこれ…。大きい岩?」
興味本位で触ってみる。でかい。とにかくでかい。魔力…っていうか生命力を感じる。岩に命があるわけないと言われればそれまでなのだがなんだか……
「旅人さんかね?」
「うおっ!?」
振り向くといつの間にか高齢のお婆さんが。いつからいたんだ?転移?全く気づかなかった。
「それとも、魔物さんかね?」
「ッッ!?」
正体を見破られたか……?何故かはどうでも言い。予定外だが想定内だ。そう考えて俺はメイトに指示を……
「あぁ、別に敵対しようってわけじゃないんだ。私にできる事なんて何一つ無いからね、目も見えないし、もう少しできえちゃうから」
「あんた誰だ?」
老婆は耳をヒクヒクさせながら笑った。なんでこのタイミングで笑うんだ?
「私はまぁ、こいつの飼い主さ。元ね。」
「へー。って、ん?こいつって生き物なのか?」
婆さんは話を続ける。
「私はね。こいつが色んなとこに行って騒ぎを起こすのを見てきたんだ。呪い亀と呼ばれたり、化け亀とと呼ばれたりはたまた神亀と呼ばれたり」
「まて、そこにいる亀からは我と同じ気配を感じる。既死の魔物じゃないか?」
「そんなこといわれてもしらないよ。ただこいつは悪いのを惹き寄せるんだ」
悪いの?今でいう俺たちの事か?そりゃ人間から見りゃ悪だろうけどさ……。
老婆は続ける。
「あんた等が悪い奴らなのか、あんた等に悪いのが付いてるのかは分からないけど、関わらんほうがいいよ」
ふーん。
「まあいいや、じゃあ別のとこ探すかぁ。」
「あそこにある塔は、誰も使ってないからいいんじゃないかい?」
「そうだったの?じゃあそこにするか。」
キレイだったし誰かまだ住んでると思ってたよ。
「ありがとな。」
「いんや。大したことじゃないよ。」
老婆と別れを済ますと、老婆が言ってた通り塔に向かう。すぐそこだしもう日が昇りそうだから急がなきゃ。
「っぷは!」
「どうした?クレセイノ。」
「どうしたじゃないわよ!あの女……とんでもなく強いわよ!?」
「へ?」
そんな気配は感じなかったけど。
「あんた思考誘導にかけられてたから分かんなかっただろうけどあの亀多分あの老婆の本体よ。それであんたがダンジョンマスターってのもバレてる。」
「そうだったかも…。」
あれ?これ結構やばい相手に関わったんじゃない?ともかく敵対したら元も子もないので助言に従って塔にダンジョンを作ろう。
鳥肌たつわ。
つおい老婆っていいですよね




