表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン日和!ー最強のダンジョンに至るまでー  作者: 波風 多子
第1章 誕生日和!ー成長するダンジョンー
4/54

来客日和!ー罠の多いダンジョンへようこそー

DPの性質については後々説明が入ります。

 ダンジョンを創り、暫く強化とDP上げに勤しんでいたとき…。

 …ヤツは来た。


 そう、屈強なそれでいて知性の宿る眼差しと一流にも迫るであろうその気迫。獣たるその尾と感覚を研ぎすませた、並みの人間では越えることはできないであろうその強化された五感。そこにあるのは強者の気配。洗礼された足の動きは、一撃で人間を殺せるほどの力を持つ。そしてヤツは口を開く。


 「こんにちは~。定期報告に来ましたよスタピラーさん。」


 「おー。きたか!ありがとー。」


 …ペルシャである。間違ったことなんにも言ってないし。猫耳と尻尾が目立つが、実は腕や背中ももふもふな、猫の毛なのだ。モフりたい。


 そう。彼女には一ヶ月に一回。定期報告に来てくれている。家の外にいた俺は、息を整えつつ家に戻る。


 「ハァハァ。ありがとペルシャ…ふぅ。」


 椅子に座ってホッと一息。はぁ。やっぱり我が家は一番だな。ペルシャは椅子を少し引き…


 「何してたんですか?」


 「いや、外でちょっと鍛錬だよ。」


 席に座った。俺も同じように席に座り、息を整える。


 「そうだ。知ってます?この辺にダンジョンできたのって。」


 あ、うん。知ってる。知ってるとも。知らないわけがない。…俺のだそれ。十中八九百パーセントなんの疑いもなく俺のだそれ。


 「も、もちろん知ってるさ!そこに前行って狼に追われて帰ってきたんだから!はっはっは!」


 「いや、大丈夫なんですか?それ。笑い事じゃないような。」


 狼のところはちょっとやりすぎたか…。ま、そっちのほうがリアリティ出るかな?と思って考えただけだけどね?ほんとに狼に追いかけ回されたりなんかしてないよ?いや、ほんとに。


 そんな冗談を言いつつ、色々と教えてくれるペルシャさん。


 「ま、定期報告は以上ですね。さようなら。」


 「おう。気をつけてな。」


 …ダンジョンの存在はもう知れ渡ってるのか。さて、いつ人が来るか楽しみだ。






○○○

 

 「さぁて、へびが出るか、じゃが出るか…。」


 「いやそれ蛇しか出てないじゃん。」


 そう答えるのはメンバーの一人である、ピコルストいう男だ。


 今、新人パーティー三人が、ダンジョンに入っている。パーティーと言うのは、どうやら人が集まって、ともに命をかけた冒険をする仲間のことらしい。もとは、一緒に冒険したい、もしくは別にただ相性がいいから…。という理由の集団のことを言っていたらしいが、今となっては解散はあまりしないようになった…らしい。


 で、冒険者というのは、職業の一つ。魔物やモンスターを狩ることで、お金を貰い生計を立てる。正式に職として認められるには、しっかりと冒険者支援団体に援助を頼み、街に届け出を出さなければならない。意外と厳しい条件なのだ。ただし利点もある。それは冒険者となるのに必要な、実戦試験と、口頭試験だ。これさえ受かれば、身元のはっきりしない人も、身元を保証してくれる。試験が口頭なのは識字率の問題である。なので、冒険者になるには、ある程度の知識と、賢さ。そして実力が必要なのである。


 さて、そんな新人冒険者パーティーが、うちのダンジョンを攻略に名乗りをあげたらしい。緊急事態である。いやまぁ人が来るのは当然なんだが、こんなに早く来るとは思ってなかったし、初めての侵入者ということで少し緊張しているのだ。


 「なんか、お腹痛いんだけど。ここの気候おかしくね?」


 おっといち早く異常に気づいたのは魔術師のケルスのようだ。


 その通り、第一階層は、嫌がらせに重点を置いた、蜃気楼&体調不良階層なのである。戦いづらいしお腹は下すしで散々な目にあったところで、ボスに倒してもらおうというコンボである。しかもダンジョンボスの部屋への到達条件が、ピクフィーの巣の討伐という鬼畜仕様。冒険者たちをどこまでも嫌がらせするのが、第一階層である。ちなみにピクフィーの巣は50DPである。頭が痛い。


 「くっ。俺も腹が痛くなってきた…。あっ待て。敵感知に反応。ピクフィーだ!」


 その直後。ピクフィーも声を張り上げ、遠吠えをする。そう。このダンジョンの一階層は、全てがピクフィーの縄張り。最低限戦えるやつで、これが一番安かったんだから仕方ない。


 「くそっ!幻影魔術か!?」


 当てても当てても当たらない。こんな状況に新人が焦ったように声をあげる。


 違うな。蜃気楼だ。蜃気楼は密度の異なる大気の中で光が屈折し、物体の位置が変わって見える現象だ。光は普通直進するが、密度の異なる空気、つまり極端に温度が違う空気があるとより密度の高い、冷たい空気の方へ進む性質があるので、これが起こる。…と、書いてあった。


 それを利用したのだ。戦いにくくて当たり前。魔力の消費はなく、しかもピクフィーには嗅覚があるので、一方的に攻撃されるのだ。


 新人は最初は剣をがむしゃらに振り回していたが、撤退の決断を下す。正しい判断だろう。が、その途中ピコルスが背中を負傷し、なし崩しに全員が殺される。3人が死んだことにより、一気にDPが入って来る。いいよこれ!癖になりそう!


 そうして初めての来客は、無事俺のダンジョンの糧となったのだった。


ぜひ評価ください。(初心に戻る)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ