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ダンジョン日和!ー最強のダンジョンに至るまでー  作者: 波風 多子
第1章 誕生日和!ー成長するダンジョンー
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モンスター日和!ー作られ始める最強のダンジョンー

 未だ思考が少しばかり追いつかない俺に、ベルトは無慈悲にも話しかける。

 

 「貴様、聞いておるのか?」

 

 「あ、ごめんなさい、ちょっと待ってください。」


 そこには人間が人間を捨てたような、無機質で青白い肌に、黒いボロボロの服を着た、世捨て人のような風貌をした男が立っていた。何より驚くべきは、全身が若干透けていることだろうか。虚ろな表情を浮かべるベルトは、こう続けた。


 「我は貴様に仕えにきたのだ。」


 なんだ?仕えるって。なんで突然こんなことに?メイトって危険なやつじゃないか?なんで俺に仕えようとか思ったの?なにをとち狂ったらそうなったんだよ。おかしいだろ。


 「なんで仕えようと?」


 ここは素直に聞こう。そうだ、こう言う時は状況判断が先決なんだと俺の経験が言っている!


 「力の強いものに仕える。これは自然の摂理だ。貴様の強き力を感知したので俺は貴様に仕えるためここにきた。理解したか?」


 「理解してません。意味がわからないです。まずなんで貴方より私のが強者だと思ったんです?」


 「敬語はやめてくれ。かたっ苦しい。」


 そう言って彼は抜くが早いか、剣先をこちらへ突きつけた。惚れ惚れするような速さと、剣を操る技術に恐怖した俺は恐る恐る敬語をやめた。


 「お、おう。」


 敬語をやめると、彼は剣を再びしまった。変な霊だ。まごうことなき変霊だ。しかしここで敬語を使い続けるのも命が危うい。結構本気の生命危機だ。ここは敬語をやめるべきだろう。そんなことを考えていると、メイトが答えた。


 「そういう気配を感じたから。」


 よし、こいつに聞いても大した成果を得られないことをやっと理解したぞ。しかし部下、か。なぜだろう。こいつは信頼できるって言うか、話してると懐かしい感じがして安心する。


 「どうした?」


 「いや、なんでもないよ。」


 しかし、だ。


 「俺はダンジョンマスターだから…って言うのもおかしいけどおそらくそこまで力はないし、裏切られると困る。」


 「ああ。」


 わかってる。ここですぐに信用すべきではないことに。


 「…メイト。お前は俺に忠誠を誓えるか?仕えるってのは、多分そう言うことだぞ。」


 「ああ。勿論だ。」


 そんな事かとばかりに言ってくれるメイト。そう。こう言ってくれるのを知っていたかのように、俺の心は動かなかった。こうであるのが自然であるかのように。


 しかし、こいつの強さがわからないな…。っと、そうだ!


 「召喚〘魔物の強さを鑑定できる紙〙」


 おぉ。こんなものも召喚できるとは。さすがDP、優秀だ。これにはメイトも驚く。しかしこれ、どうやって使うの?


 そして俺の50DPはどこに消えたの?






 ○○○


 

 ベルト:メイト

 ステータス

 魔100

 速293

 攻373

 守455

 腕100

 スキル

 死霊召喚

 死霊指揮

 能力向上


 

 しまったぁ。完全に獣耳さんの二の舞いくらった…。説明書もつけとけばよかった。なんだよこの意地悪アイテムは。メイトが使い方知っててよかった。


 無事メイトの強さがわかった俺だが、しかし無限に使えるのは嬉しい誤算だな。ついでに俺のも測っとくか。俺が指先を切って、血を紙に落とした直後、じわっと紙に血が滲み、じゅくじゅくと嫌な音を鳴らす。や、やっぱ悪趣味だな…。


 「おお、出た!」


 スタピラー:ダンジョンマスター

 ステータス

 魔15000

 速54

 攻120

 守21

 腕43

 スキル

 暗視

 状況判断

 強者へ至る道

 不屈

 大罪

 リーダーシップ

 


 はい?魔の値が常軌を逸している。魔とは内蔵総合魔力量のことなんだが。つまり、超弩級の魔値を誇るダンジョンマスターということだっ!と言うか大罪ってなんだよ。俺が何したってんだよ。


 「んな!?た、大罪!これは伝説のスキルじゃ…。」


 「えっ?何そんなにすごいの?」


 「すごいの領域ではないぞ、伝説級だ。これは伝承なんだが、古き時代9つの大罪を犯した者達がいた。一人は怠惰。一人は憤怒。一人は快楽。一人は傲慢。一人は非情。一人は強欲。一人は憂鬱。一人は虚飾。一人は恐怖。そう呼ばれた。その大罪を司るスキル。それこそが大罪。」


 思ったんだけど憂鬱とかそこまで罪じゃなくね…?怠惰とか。なんでなんか悪い感じなんだろ?許してやれよ…。


 「それを持ったものは少なからず苦痛にさいなまれると聞く。」


 「なんか…すげぇスキルだなあ。」


 苦痛に苛まれる、ねえ。




○○○


 「早速ここにダンジョンを作ろうと思います!」


 寡黙気味のメイトに向かってかけ声をあげる。


 「これがなんだか分かるか?そう、このダンジョンの核たる水晶である!」


 そうである。この水晶が壊れれば俺は死ぬ。って言うか、この水晶が俺の本体なのでこの水晶が壊れたり、DPが0にならない限り俺は死なないんだけどな。ま、この水晶はダンジョンを作る上で最重要であり、また一番大切なものということだ。とゆーことで!


 「スタピラーの3分も掛からないダンジョンづくり!!まず始めにDPを使ってフロアをつけ、そこに罠を仕掛けていって…。かんせーい!」


 ダンジョンを作る場所はあらかじめ目星をつけておいた。家の近くに流れる川の向こうに洞窟があるんだが、そこにいるゴブリンをメイトに掃除してもらって、ダンジョンの入り口に変えた。構造としては、入ってすぐ少しだけ迷路があり、そこを抜けると開けた平原のような空間がある。ちなみに迷路には罠がたくさんある。角と相まって見えづらく、効果は抜群だ。

 

 中には数匹のピクフィーという犬のような魔物を配備し、徘徊させる。また、ダンジョン気候をいじって一メートルずつ暑い空気と寒い空気を交互に設置することで、寒暖差による体調不良も見込める。という地味に嫌なフロアとなっている。


 何だろう。初めてにしては良くできたよな。因みに核はまだ俺が持っている。しかしDPが100になってしまった。また貯めないとな。

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