冒険者日和!ー冒険者デビューはお早めに?ー
ああああ!ペースが早い!死にそう!
ペルシャとリーで列の前に進んでいく。俺についてきた三人は奥の酒場で何かを食べている。俺、金持ってないぞ。
「そういえばスタピラーさんは何をしにここに?」
「ああ、ギルドに登録しておきたくて、まだ登録してないから。あとお金稼ぎたいしね。」
「それは…人類社会にようこそ!」
ペルシャは俺のことを未開人かなんかだと思ってるんだろうか。さっきから。
「それでペルシャ先輩は今から何の依頼を?」
「あぁ、例のダンジョンの調査依頼だよ。三階層まで調べて来いってさ。」
ダンジョンという言葉がペルシャの口から出た時、前は気づかなかったが僅かに表情に陰りが見えた。少しだけ。
「ダンジョンですか!私もいつか攻略とかしてみたいなー。」
そんなリーの何気ない言葉に、ペルシャの顔が不快げに、不安げに、揺れる。しかし、それを隠すように…
「どれだけの脅威か分かんないからね。油断しない方が良い。けどま、怯えすぎるのもどうかと思うけどねー?」
ペルシャは自嘲気味に笑った。まるで昔を思い出すような苦々しげな顔が、俺の頭に嫌に張り付いて離れなかった。
「ペルシャ先輩も気をつけてくださいね!」
「大丈夫だよ!私は腕に自信があるからね。怖くなんかないよ!」
先程俺に冗談を言ってたときとは違う 嘘。
ダンジョンに行くことかもしくはダンジョン自体が。ペルシャの言葉に反比例し、ペルシャの恐怖であるような、憎悪であるような。そう感じさせる一瞬の裏。ペルシャが以前俺へ向けた懐疑の視線に似た、そんな目だった。
人も、ダンジョンマスターも。殺し殺される存在で。相容れないのだと、そう。
ー深く 感じた
○○○
数分たって遂に俺の番が来た。ペルシャとリーの紹介からか、登録はするすると進み、軽い必要事項を書く段階に至った。その時俺は難敵に遭遇する。
年齢、今までの職業学歴、種族だ。嘘を書いてバレたらまずい。いかん、とてもいかんぞ…。クレセイノ達には期待していない。くそ、どうすればっっ!
っあ、駄目っぽい!
こんなところで挫折して貯まるか!種族は人間と書けばバレないだろう。年齢は、適当に15で良いか。職業…樵か?違う気がする。ここは素直に相談するが吉と見た。
「あの、職業の欄って…」
「あぁ、貴方は学校に通ってらっしゃいますか?でないなら空欄で良いですよ。これから冒険者になるわけですからね」
神はいた。
「冒険者って戸籍詐称とか身分を証明できない人のためにつくられたものでもあるんです。だから別にいいんです。ここは貿易都市ですしね。」
慣れているとでも言うように軽く言う受付さん。なるほど。それなら納得だ。
「…というか文字読める人のほうが少ないんですが?あなた学校以外の何処で文字を?」
「いや、家にたくさん本がありましてね。ずっと山での生活だったんで両親に教えてもらったんですよ。」
よし完璧。完全できれいな言い訳。これだったら疑われない…ハズ。
「書類は完成しました。では、券を発行しますので少々お待ちを。あそこの椅子へ腰掛けていてください。」
そう言って受付嬢は奥へ消えていった。
椅子に腰掛けてしばらく待つと、受付嬢の人が奥から帰ってきた。そして手渡されたのは、冒険者の証、そう冒険者証明証だった。
新規読者さん(?)がめっちゃ誤字報告してくださってたみたいで、本当に嬉しかったです。
感想も何件か来るようになり、PVは5000突破。ptも99と100まであと少しです。
これからも応援よろしくお願いします!




