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ダンジョン日和!ー最強のダンジョンに至るまでー  作者: 波風 多子
第1章 誕生日和!ー成長するダンジョンー
2/54

獣耳日和!ー情報収集、これ重要ー

 自らの欲望との決闘に勝利した俺は、獣耳さんをダンジョン家に招きいれた。

 正直水晶がバレるのが怖いが、あそこで話すのも逆に怪しすぎる。

 隠し事をするなら堂々とってのは嘘つきの基本である、が。

 命を守るための嘘なのでどうか許して欲しい。


 「とりあえず、召喚〘普通の煎れられたお茶〙」


 ダンジョンでは、ダンジョンマスター権限の一つとして、DPを使う事によっていろんな物を召喚する事ができるっぽい。

 先程の上級ポーションやお茶がそうである。

 上級ポーションは300DP。お茶は3DPである。

 普通に残り697DPしかないどう考えても何もかもが足りない。


 お茶を獣耳さん前まで運ぶ。

 そういえば名前聞いてなかったな。

 

 「お名前を伺っても?」


 その問いに、緊張した面持ちで答える獣耳さん。


 「あの、ペルシャって言います。猫獣人で、ケッピーの討伐をしているところで、メイトが出て来てしまって……。油断してたら背後から斬られてしまって」


 「ふぅむなるほど」


 本棚にあった魔物大全を開く。うわっ……。召喚に必要なDPまで書かれてるよ…全部手書きだ。

 一体誰が書いたんだこんなの。

 十中八九混沌の神だろうな。

 っと、思考が逸れたな。ふむふむ、456ページか。


 ケッピー:二足歩行のできる有袋類。強さとしてはベテラン冒険者を数匹で倒していまうほど。特筆すべきはその集団連携力であろう。三匹いれば強さは十数倍にもなると言われている魔物。


 で、メイトは…328ページ。


 メイト:亡霊となった一流の剣士。特筆すべきはその指揮能力と召喚能力であり、数百の魔物を生み出し、村を幾つも滅ぼしたという逸話もある。しかし身体能力等は他の上位死霊と比べて大きく劣る。


 メモ書きまでしてある……。しかし出没したってことはまたメイトが出る可能性は高い。

 そのことを口実に俺がついていったらなにかお礼をせしめられるだろうが、よくよく考えるとここらへんの地形を把握してないな。

 護衛対象に先導されるという少々残念な絵が完成してしまうのはさすがに避けたいのだが、他にいい案が思い浮かばない。

 まぁ一応聞いてみるか。


 「街まで送りしょうか?俺と一緒なら多分メイトも襲ってこないですけど……」


 「そこまでしていただくわけにはいきません、そもそも次やったら確実に私が勝ちます。部下も連れてませんでしたし、問題ないでしょう」


 「でもまた倒れたら…今度は助けが来るとは限りませんし」


 そう言って心配するも、今度は遅れをとらないのだと言いつのるペルシャ。

 本当に腕に自信がある様だが、じゃあ何故負けたのかと。  

 多分聞かない方がいいんだろう。


 「しかし、やっぱりお礼をさせてください」


 「と言いましてもお礼……ねぇ。あ、そうだじゃあ情報とかどうですか?私ここにずっと住んでたので世間の常識に疎いんです。定期的にここにきて近況とかを教えてくださいよ」


 「それだけ…ですか?」


 え?何厳しくして欲しいの?もっともっと要求して欲しいの?そう言うことなの?それなら俺耳を触っていい権利とか言うよ?いいの?いいんだね!?

 よし言うぞっ!


 「あの……」


 「あ、はい!なんでしょう!」


 しまった!ぼーっとしてた!えっと…なんの話だっけ?


 「貴方のお名前も伺っても?」


 名前?ああ、そういえば言ってなかったな。


 「スタピラー。スタピラーですよ」


 「そうですか。ありがとうございます。えと、さっきの条件ですがわかりました」


 「しかしここから街までどのくらいかかるんですか?」


 一応聞いてみる…が。そこまで遠くないだろう。


 「二日くらいですね」


 「遠っ!」


 うん。

 どうしようか。

 ここまでの距離をいかせるのは流石に良心が許さない。

 なにせ獣耳である。獣耳虐待だめ。これはきっとどの世界でも共通の認識だろう。

 知らんけど。

 あ、そうだ。名案が浮かんだぞ?

 DPを使って何か魔道具を作ろう。


 「召喚〘ニ空間をつなぐ小型魔道具〙」


 これでできたらちょっとDP万能すぎ……!?

 まじで出来ちゃったよ……。

 これは……何かの機械か何かだろうか。小さい鉄の球体だ。

 しかし、これでもともと697DPあったのが297DPになってしまったな。

 ま、これで表の世界の情報を得られるんだから安いもんかな……。

 いや、安くないよな……しくったかな……。


 「コレのここのボタンを押すと……」


 ……しかも使い方がわっかんねぇ。


 



○○○


 な、なんとかわかって説明も終えた。

 使い方が普通に難しかったんですけど。

 誰だよあれ設計したの。神か?あの神なのか?


 その後色々な話を聞いた。その結果分かったのが…この世界を作ったのが混沌の神だということ。

 まぁ、知ってたんだけどさ。

 改めて聞くと世界の創造主にあったんだよな。不思議な感覚だ。


 また、この世界には5つの大国と、数多ある小国が主でありこの国は、大国の一つケルベルド帝国。

 そして他に北方諸国連合、西にペルティ公国と、ゲルマティア連合王国、そして南に、ローレングルス島があり、そこに仲の悪い大国ペテルス王国と、ノルマルズ共和国がある。

 

 けっこう小さな国に囲まれた国だな。

 そして帝国の最東端はここらしい。

 森を抜けると巨大貿易都市、ケバビーがあるらしい。他にもいろいろなことが聞けて、まぁ情報収集は成功だろう。


 「では、そろそろさようなら」


 そう言って彼女は帰って行った。ふぅ。なんか色々あって疲れたなぁ……。

 初っ端からあんなことが起こるとは幸先が()()

 他のダンジョンマスターは今どうしてるだろう。まぁいいや。それより……。


 ウィンドウ!ウィンドウ!ウィンドウ!ウィン……


 〈ウィンドウ〉

 DP:297

 [履歴]

 ニ空間をつなぐ小型魔道具

 淹れられたお茶

 上級ポーション

 [スキル]

 魔物創造

 魔物懐柔

[称号]

 獣耳愛好家



 よしよし。構造的に人間より魔物と認識される獣耳となかよくなったからだな。魔物懐柔は……。


 しかし俺が求めていたのは一個前。そう!

 魔物創造である。これはどんな魔物も創造できる。DPさえあれば。


 人間と獣人は根本的に違う。

人間は魔法や呪いなどに異常な耐性がある。

 これが教会の「人間は選ばれた生物だ」と言う教えを後押ししているのだが、それは置いておくとして。

 人間は臓器や皮膚など以外に、人間ですら知り得ない器官を持っており、それを聖力器官と、教会は呼称している。

 そして教会は魔物の使う術を、魔なる術( ま   すべ)魔術と呼ぶ。




 ……と書いてある。

 まぁ人間が使う魔法も魔物が使う魔法も実際に同じものらしい。

 ってかこの本便利だな。

 なんでも載ってるぞ。


 この聖力器官を獣人は持ち合わせていない。

 魔物や獣人は空気中から聖力(魔力)を取り込めるのだ。


 しかし、この獣人は少し変わっており、取り込めることには取り込めるのだが魔物に比べそれが相当少ないのだ。

 それでも人間よりは身体能力も魔力操作も慣れているのだが、これを教会は劣っていると見下しているわけだ。


 こう言う理由で獣人は人間より魔物に近いのだ。

 ちなみに発情期はないらしい。人間と一緒。まぁ、知ってたけどさ。


 そしてこの魔物創造だが、本来はとんでもなく厳しい条件がある。

 魔物を10000匹以上飼育もしくは100000匹以上の殺害である。しかしダンジョンマスターにとって罠と魔物は命である。

 なのにこんなに厳しい条件だとダンジョンマスターがやってられない。

 と言うことでダンジョンマスターのみ取得条件が緩くなるのだ。

 条件は魔物懐柔の取得。ま、創造にはDPが必要なんだけどね。







 ……と書いてある。


 はっ…。世の中しょせんDPよ。


 --バゴォォオオオン!


 「えっなになにぇっは!?」

 

 急に響いた爆音とともに扉が乱暴に開かれる。

 急な事態を飲み込むより前に、彼はやってきた。


 そこにいたのは……。

  

 「我はベルト。メイトという魔物である。」


 お前かーー。


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