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ダンジョン日和!ー最強のダンジョンに至るまでー  作者: 波風 多子
第2章 バトル日和!ー始めてのダンジョンバトルー
18/54

到着日和!ー絶体絶命と託された思いー

ダイジェストですねぇ。


ごめんなさいでした


 ゲルミルバングとケルベンキルスの戦いの地高原の階層。そこの階下へ続く階段にて。


 するりと動く影。それを見つけられなかったゲルミルバングを責めるべきではない。なぜなら、それは…





 ○○○


 「あの子思いつめちゃうこと多いからね~。私がしっかりしなきゃ!」


 あのスライムは殺されてないか役目を果たしてるか、今狼たちは何階層にいるかなど、一度に大量のことに考えを巡らせる彼女は木の精霊、ジュンノ。


 彼女は今回のダンジョンバトルの攻撃部隊隊長にしてクレセイノの腹心の一人である。彼女は精霊であると同時に魔物である。つまり高原のように木が点在している階層での隠密性は、並みの精霊やモンスターをはるか上回る。


 種属名ジン。シルフィードよりも知名度は低いがしかしシルフィードより格段に強い。隠密性。破壊力。速さ。全てにおいてジンはシルフィードを上回る。


 そのジンは死霊階層にて身についた蚊をたたくように、子供がありを踏みつけるようにいとも簡単に死霊たちをほふり、再起不能にする。いくら再生能力が高くとも。骨まで粉々に砕く風が骨や肌をなでれば。問答無用で動けなくなる。


 まさに力によるゴリ押し。圧倒的強者の戦い方。


 「楽勝じゃないの。」

 

 ジュンノはつぶやく。


 「こんな奴らにやられるなんて一階層の奴らもばかね。」


 それは違う。なぜならジンが圧倒的過ぎるからだ。風の上位精霊ジン。彼女はこの世界において、そしてこのダンジョンバトルの参加者において、確実にトップの強さを持つのだ。比べるのが可哀想。


 そんな言葉を使えるのは、ジンの強さを知らないもの。比べるのもおこがましい。否、比べられる基準値に達しているものがあまりにも少ないのだ。信仰の対象にすらなっているジン。その力は低級であれば神にさえ届くかもしれなかった。


 「五階層…ここは迷宮?なに、得意分野ね!ジルドちゃんたち!正しいルートを探して!」


 しばらくすると風が吹き始める。ウンディーネや空魚が風を遮ろうとするも、それは容易くいなされる。それにそって歩いて行くとすぐに出口につく。


 そこにいたのは。


 「やあ。待ってたよ。」


 24時間まで残り…





 ○○○


 「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」


 さまざまな攻撃によってできるゴーレムの傷。ゴーレムが一度腕を振るだけで二人は下がらずを得なくなる。圧倒的な体格の差。勝負を決められない最大の要因。ゴーレムの高い回復の能力により決定打を与えられぬままでいる。


 「やくそくはっ!まもる!」


 「絶対に果たしてっ見せます!」


 二人して全力でゴーレムにダメージを与えている。


 蓄積するダメージはついにゴーレムの右腕を砕いた。


 「はあ。はっぁ!」


 しかし二人はもうすでに満身創痍。もはやゴーレムを倒す気力など残っていない。最後のポーションを二人は飲み干す。ゴーレムが持っていた燃料用のポーションだった。もはや出し惜しみなどしていられないと感じたドグは、ブロに叫ぶ。


 「おねえちゃん。さがって!」


 「なにを…まさかっ!」


 「そのまさかだよ。」


 一瞬悲痛な顔を浮かべるブロだが全てを悟ったように返す。


 「やれ。」


 「うん。」


 直後、周囲が黒く染まる。集束する黒い光。ゴーレムや周りの風景さえも呑み込んで一点に集まる。何もなくなったその空間に黒が生まれた。


 『ダーク』


 ドグが思いっきり開いたその手を。 


   



 握りつぶす。


 『マター』


 そしてその空間に残ったのは、たった二人の勝者のみ。


 「まかせ…たよ。」


 「まかされた。」


 安心したように笑ったドグはそのまま目を閉じしばし眠りについた。

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