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ダンジョン日和!ー最強のダンジョンに至るまでー  作者: 波風 多子
第1章 誕生日和!ー成長するダンジョンー
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同期日和!ーダンジョンマスターの死ー

相当短めです。

 『久し振りだな。ダンジョンマスター達よ。』


 「!!??」


 聞き覚えのある声に全身の筋肉が硬直し、体に緊張が走る。混沌の神だ。今は近くにメイトがいないため、心細い。最近メイトに頼りっぱなしだっていうのが分かる。気をつけなければ。


 『つい先程、第78回ダンジョンマスターの一人が死んだ。ペルティ公国近くのブェルゼルド峡谷に作ったダンジョンが攻略され、水晶が破壊されたらしい。』


 は?


 固まっていた思考が急に動き出し、加速する。しんだ?しんだっていうのは、つまりその、”死んだ”ってことだよな?誰が?同僚が?なんで?


 『ちなみに他の奴らの近況報告もしておこうか。ゲルドはいまケルベルド帝国のエフェラス村の地下にダンジョンを作ったようだ。しかし村は第二王都ゲミシュに助けを求め、只今攻略されている。おそらくもうそろそろで攻略されるな。』


 どういうことだ?攻略されそう?どうして?なんで?


 『エレンは今のところ人が来てないな。』


 人が来ないってことはDPが稼げないということだ。DPがないってことはそろそろ死ぬってことか?なんで。ダンジョンマスターは人を殺す。そうでないと生きられないからだ。どんなものも何かをするのにエネルギーがいると書いてあった。物を動かしているのも、熱も、人が走るのも全てエネルギーが必要だと。人は魔物を殺し、食う。魔物やダンジョンは人を殺し、喰う。


 わかっている。けれど、わからない。小さく生まれたこの世への疑念は少しずつ大きくなっていく。


 『スタピラーは…まあ、結構元気そうだ。』


 …。


 『スタピラーのダンジョンに誰も来なくなったのは冒険者ギルドからの危険性特大非攻略地域にお前のダンジョン範囲が指定されたからだ。』


 …。


 『あと…遺書が書かれてたぞ。』


 そうして語られたのは…


 『他のやつへ。


 俺は今危機的状況にある。もしかしたら俺は死ぬかもしれない。だが俺は死にたくない。

 精一杯を尽くすが、それでも死んだら、その時だ、と割り切ることはできない。

 最近お隣のダンジョンが攻略されたんだ。その人とは仲が良くっていつか一緒に暮らそうぜとまで言った仲だった。女のダンジョンマスターだ。なのに、殺されたんだ。風霧のゼンターっていうやつで、そいつには注意しとけ。冒険者の中でも一流中の一流だ。強かったよ。新しいダンジョンを壊して回ってるらしい。

 人間が憎い。殺したい。けど、俺じゃ無理だよ。一人だって殺せなかった。俺の力じゃできなかったんだよ。だから、やつを殺してくれ。頼む。


 最後のDPを使ってこれを頼む。


 まあおまけを書くのはなんだが、ダンジョン間の繋がりは大事にしろよ。』


 冷静な頭と反して心は完全に怒っていた。ギリッと言う音が聞こえ、その後机を叩く音が続く。ああ。一緒にいた時間は少ないのになんでこんな怒ってんだろ。馬鹿みたいだ。自分の体が自分じゃないみたいにふわっとして、胸が痛い。


 いつからだろうか。人を殺すことが簡単だと思い始めたのは。


 一番最初の緊張は何処へやら。誰が来てもなんとでもなると、そう考えてしまっていた。誰かが死んだこの瞬間まで。そして思ってしまったのだ。死んだのが俺じゃなくてよかったと。


 同じ時期に生まれたってだけで何にも関係ないダンジョンマスター。けど、俺は思ってしまった。すぐにでもゼンターとやらを殺したい。けどきっと今の俺じゃ実力不足だ。その時俺は決心してたらしい。ゼンターを殺すと。

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